ザクⅡ改

0079年12月31日、ア・バオア・クー下部のMS整備場、パイロットが一人駆け込んできた。

「おい！出せるMSはもう残ってないのか！？」

黙々と作業を続けていた若い整備士がつまらなそうに返事をする。

「もう全部出払ってますよ。補充で戻ってくるようなのは一機もいやしません。中破して戻ってこれたら運がいい方ですからね。」

手を止めた整備士が整理中らしき機体から降りてくる。パイロットは声を上げた。

「こいつは動かないのか？」

「ようやく調整が終わったところで、武装もマシンガンしか用意できてませんよ。」

同時に整備場が、というよりア・バオア・クー全体が大きく揺れ動く。

パイロットは辺りを見回し自分と整備士の二人しかいないことを確認する。

「充分だ、コクピットに二人は乗れるな。お前も一緒に来い！」

乗り込もうとするパイロットを整備士が制止する。

「あ、そこは・・・」

「なんだっ？」

「ペンキ塗り立てです。」

「・・・」

「脱走ですか？」

緊張感もなく整備士が声をかける。

「バカ言うな、年寄り達の無謀に巻き込まれて死ぬことはない。若い将校達が再起のための場所を用意してある。とにかくこの戦場を抜けてZポイントに向かうんだ！ヒューエンデンからの部隊もとっくに合流してるハズだ。」

「だったら丁度良かったですね。タンクとバーニアを増設してますから、戦闘宙域さえ抜けちゃえば何とかなりそうですよ。」

「気楽に言うな！ここを抜けるのが一番の難所だろっ！」

「ま、そこからこうして生き延びて今があるワケだ。」

「いや、整備長も若い頃はそんな感じだったんですね〜。ところでそのパイロットさんは？」

「・・・」

「・・・」

「もう0094も終わりか。何にしても生き延びてナンボだからな。お前もこの機体、年内にちゃんと仕上げておけよ。」

「年末くらい休みましょうよ、整備長〜（泣）」

ハイ、今年最後の妄想にお付き合い頂きありがとうございました(gundam-kao2)

何とか紅白に間に合わせようと、デカール無し、トップコート無しでの参戦です(zaku-kao4)

「調整段階で出撃することになってしまった」という言い訳は、さーしースーさんからの絶妙なスルーパスのおかげで思いつきました(gundam-kao2)

今年もあと僅か。

コロナにかかったりなんだりと個人的にはゴタゴタした1年でしたが、コメント、イイネを頂いたり、皆さんの作品を観たりすることが確実に生活のモチベーションとなっていました(gundam-kao3)

世の中色々と変わっていきますが、趣味を楽しむ気持ちだけは変わらず、来年も皆様にとって良い年でありますように！(gundam-kao3)