第一二七独立戦隊ウォッチ・ドッグスは数日の時を経て金星圏に到着した。MSデッキでは機体の調整を行っている。
「大尉、どうだろうか?」
タントラ整備班長のヤン・ホンマ技術大尉がガンダムのコクピットにいるグレッドに聞いた。
「かなり良くなってるよ。これなら実戦でも使いやすい」
「そうかそうか。武装はこのままでいいか?」
「構わんさ。でもあのビーム・ライフル、妙に反応がいいな」
「あいつはスイングネス・ビーム・ライフルだ」
「スイングネス?」
グレッドが首を傾げる。
「パイロットの意識に反応して、ビームの出力とかを自動で調整してくれる、言わばサイコミュ・ビーム・ライフルさ」
「えらく御大層なものを。ま、使ってみせるさ」
グレッドはコクピットハッチを蹴り、ホンマの方へ降りて来る。
「元々別の正規パイロットがいたって聞いたな、この機体。一体誰なんだ?」
「ハインリッヒから生前聞いた話じゃあ、あいつの娘さんとその男を乗せるために作ったらしいな。自分の子供のために兵器一つ作るなんて正気の沙汰じゃないと思ったがな」
「その二人はどうなったんだ?」
「行方不明らしい。実験中に急に通信が切れたって。そこの宙域には二人が乗ってた機体の頭だけが残ってたってな。誘拐された可能性もあるそうだ」
「誰に?」
「例のジオンじゃないのか?」
「まさか、金星から来るかよ」
「それもそうだな」
二人は鼻で笑っていた。
「そういやこいつ、型式以外の名前ないよな?」
「確かにそうだ」
「名前欲しくないか?」
それはグレッドなりの遊び心である。
「開発コードはΣだと聞いたが、シグマガンダムってのは?」
「普通過ぎやしないか?」
ホンマは頭を抱えた。
「“スターライト”ってのは?」
グレッドの提案である。
「スターライト?」
「ガンダムって言ったら、味方からしたら希望の光みたいなものだろ?でもそれはパイロットが居なきゃ輝かない。俺がこのガンダムを星の光のように輝かせる太陽になってみせるって魂胆さ」
「良いじゃないか。登録しておこう」
タントラのブリッジからはもうすぐ中継基地のホルストVIIが見えてくる頃だった。
「もう一報が入っても良い頃だと思うが?」
レーゼンビーがオペレーター達に尋ねる。
「ホルストVIIからは音沙汰ありません。こちらからの通信にも反応がありませんでした」
「妙だな…」
すると、ホルストVIIの周辺に妙な船があった。
「なんだ…?」
「⁉︎これは…」
「どうした?」
「エンドラ級です…!」
ミナ・オクイ少尉が怯えるように言った。
「なに⁉︎」
そこには確かにジオンのエンドラ級らしき艦艇が鎮座していた。
「本当にジオンがいるのか、この金星圏に、いるというのか!」
彼は考えが甘すぎたとようやく自覚した。
「高熱源反応、来ます!」
エンドラ級が艦砲射撃を行ったのだ。ビームの閃光がこちらに向けて徐々に広がってくる。
「回避ぃ!」
レーゼンビーが叫ぶが遅い。ブリッジへの直撃は避けられたが、右舷カタパルトを軽く焼いた。機能が死んだわけではないだろう。
「主砲発射!」
タントラの主砲のビームが敵艦に向かう。しかし手応えがない。どうやら外れたようだ。敵艦が背にしたコロニーを考慮しすぎたのだろう。
「全艦、全速前進!主砲を撃ち続けろ!」
全艦がブースターの出力を上げ、敵艦に突進する。敵艦はコロニー内に侵入する。
「撃ち方やめ!本艦はコロニー内に侵入する!他は待機!」
タントラは出力を上げた。
「これは…」
内部には駐留部隊の母艦が残骸となって浮遊していた。
「副砲、エアロックだ!」
ビームでエアロックが溶解する。
「突撃!」
タントラは柔くなったエアロックを突き破って内部へ侵入した。内部は想像通り沈黙している。
「こいつは酷い…何もかも焼けてしまって…」
前方にあったエンドラ級から数機のモビルスーツが飛び出して来る。
「よぉし、モビルスーツ隊、全機発進!」
オクイ少尉らの復唱がモビルスーツデッキにも届き、ハルサメ小隊を中心としたモビルスーツ部隊がカタパルトにモビルスーツの足を乗せる。格納庫のハッチが開き、床がカタパルトデッキの方へとスライドする。アーガマ級以外ではほぼ採用されなかった特殊な方式である。
「グレッド・パトラス大尉、スターライト、出る!」
カタパルトが火花を散らし、スターライトは発進した。
「スター…ライト?」
「ガンダムの新しい名前さ!」
困惑するブリッジクルーにホンマが叫んだ。
「そうか。スターライト、幸運を」
レーゼンビーが届かぬ激励を与えた。
「隊長!敵機です!」
フレグ少尉である。
「見れば分かる!」
ヒルデマリーが叫ぶ。
「全機、モビルスーツ戦に備えろ!」
「「「了解!」」」
ヒルデマリーはスラスターを吹かせ突き上がる。
「もう増援が来るとはな…だが所詮は堕落した連邦軍だ。いなせば良いのさ!」
差し迫って来たルクレ少尉のジェガンにビーム・トマホークの一閃を与えた。
「うわああ!」
ルクレ機はシールドごと左腕を切断された。
「甘いのさ!」
ヒルデマリーは機体を一回転させその勢いのままルクレ機の頭部を蹴り飛ばした。
「頭くらい!」
ルクレ少尉は右手のビーム・ライフルを投げ捨て、ビーム・サーベルに持ち替え、ヒルデマリーに斬りかかった。しかしそれは軽く躱された。ヒルデマリーは右腕も切り裂き、そのまま地表に叩き落とした。
「コクピットを狙わないでおいてやったんだ、ありがたく思いな!」
その後ろから隙をついたと思ったアディス機が斬りかかる。
「ルクレ少尉を!」
「執こい!」
アディス機はコクピットを蹴られ、そのまま落下した。
スターライトは高感度センサーで早速背後の敵機を察知する。クレル中尉のギラ・ズールである。
「何だ?」
スターライトはコンポジット・シールド・ブースターIIのスイングネス・ビーム・ライフルでクレル機のタンクを撃ち抜いた。誘爆によって左腕も吹っ飛び、機体がベイの管制室に突っ込んだ。
「チィっ…!」
スターライトはビーム・ブレードを展開すると同時にクレル機のコクピットを切り裂く。クレル中尉は断末魔を上げるまもなく蒸発した。
「ルクレ!」
ドリスはスロットルレバーを引き上げ、上昇した。しかし間違いであった。ヒルデマリーは機体を急速旋回し、ファランクスを放つ。腕部装甲で受けきると、そこにはビーム・トマホークの剣先がスタークジェガンを指差していた。
「くっ…!」
次の瞬間、閃光がヒルデマリー機のシールドを焼いた。
「…⁉︎」
上方からの砲撃、スターライトである。
「高出力ビームだとぉ⁉︎新型か…本気のようで!」
ヒルデマリーはビーム・アサルトライフルを収束して発射する。グレッドは機体を分離させて回避した。
「可変機⁉︎」
グレッドは接近し、再びモビルスーツ形態に変形した。
「こいつ…まさか…」
油断したヒルデマリーにスターライトがビーム・ブレードの一閃を与え、前腕を両断した。
「ヒリー!」
アルム機がバハル・ライフルを連射しながらこちらに向かって来た。
「アルム、気をつけて!そいつは…!」
アルムはビーム・トライデントを起動し斬りかかるも、グレッドはビーム・ブレードで受け止める。アルムは鍔迫り合いの中で敵機の頭部を一瞥した。
「⁉︎」
アルムは驚いて操縦桿を握る力を緩めてしまった。その隙を突かれ、アルム機はスターライトに蹴り飛ばされた。それはコクピットハッチが少し歪む程の強さであった。スターライトはすかさず肩部ビーム・キャノンを発射する。ビームはアルム機の頭部と胴体の一部を削り取った。ジェネレーターに爆発反応が見られ、イジェクション・ポッドが作動し、アルムはコクピットごと空中に投げ出された。その数秒後にアルムのギラ・ズールは爆散した。ポッドも爆風に押され少し飛ばされた。
「アルム!」
ヒルデマリーが右マニピュレーターでライフルをしまい、ポッドを拾い上げた。
「あいつ…まさか115か?」
「完成していたっていうの…?」
ヒルデマリーは通信を開く。
「全機、敵は新型の“ガンダム”を使っている!勝てる相手ではない!ここを放棄し撤退せよ!」
スサンドラは主砲でコロニーの外壁に大穴を開け、逃走する。大穴には大量のトリモチが発射された。
そうしてペーターゼン隊はスサンドラと共にコロニーを後にした。
「敵は撤退した。全機、タントラへ戻れ。残りは制圧部隊に任せよう」
「敵は去ったが、補給経路が絶たれてしまったな…」
レーゼンビーは落胆した。
「もう船も残っていませんからね」
アヴァロンも同調する。
「艦長、制圧部隊から入電です」
「繋いでくれ」
ブリッジのモニターに男の顔が映った。
「司令、こちら制圧隊ジャーキー隊のザノ・サウ大尉であります。現在我が隊はコロニーの軍本部の検閲を完了いたしました」
「ご苦労。何か奴らの手がかりのようなものは?」
「少しですが、奴らがロサ・ギガンティアIIを襲った連中と同一組織で、自分達を『ハイ・レゾナンス・ジオン』と名乗っているようです。それに良い知らせもあります。補給部隊のアンティータム改級ルドウィグがコロニーを脱出していたようです」
「そいつは今どこだ?」
「エーヴェ宙域です。ここからそう遠くはありませんよ」
「よぉし、これより本艦はエーヴェ宙域でルドウィグの救出を行う!モビルスーツ隊は再び装備を整えておけ!」
タントラは艦体を反転させ、ホルストVIIを出航した。












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塗装は部分塗装がほとんどかつ雑で下手っぴなのでお手柔らかに…🙇
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