ジム・カスタム高機動型 妄想SS『いわくつき』
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作ったガンプラの妄想SSです。
このガンプラ自体は、もう2つ前の投稿をご覧ください。
著・責任:情報部戦史戦略保存管理室
MS開発及び回収報告書 235011号
RGM-79N-Fb ジム・カスタム高機動型
『×××開発計画(検閲済み)』で開発された『××-××××××/××』のバックパックと脚部のテストのために、RGMー79N ジム・カスタムを素体に組み上げられたテスト機体。
脚部、およびバックパックは従来のものよりも大型化しており、特にバックパックには『ユニバーサル・ブースター・ポッド』と呼ばれる可動型ブースターが採用されている。これはMSの機動性、運動性を著しく向上させる装備ではあるが、操作難易度が高く、また部品摩耗の点でも問題があり、整備データの蓄積が待たれる。プロペラントタンクを内蔵する脚部は、宇宙機動には適しているが地上での運用は考えられておらず、あくまで艦艇やコロニーなどへの着陸用の補助四肢であると考えられる。
性能自体はとても高く、UC0088年代でもその高機動性は申し分ない。しかし、その性能に対して扱えるパイロットの確保が難しいことが予想される。
その上で、『××××開発計画』は0083の事件において封印処理をされており、この技術を表立って使用する場合、この封印処理についての追及が考えられる。
本件の機体は、サイド× 地球連邦軍×××基地にて回収された。
出撃記録は無いが、定期メンテナンスおよび定期点検が複数回実施されており、その際のデータも加えて回収されたことを追記する。
記録、および検証者:ーーーー
以上のMSの開発データ、活動記録、本機の回収終了を報告する。
回収後は地球連邦軍⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎地区第⚫︎⚫︎号 ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎基地に輸送後、調査保管に移行する。
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浮遊感が残る基地の通路を、2人の連邦軍兵士が歩いていた。画一的な通路だが、明るく通りやすい通路はハルト・アリスガワにとって安心感を感じるものだった。
「・・・。」
「何か、気になるものが?。」
つい、通路を見すぎてしまったのだろう。ハルトを案内していた副司令が通路を通りながらハルトに問う。口ぶりこそ軽いが、その立ち振る舞いには長年軍人として生きてきた者が持つ機微のようなものを感じる。
「いえ。しっかり掃除されている通路だと思いまして。」
「そうでしたか。そう思っていただけたなら、前の当番のものに清掃を徹底させた甲斐がありましたよ。」
笑顔の副司令の言葉に、ハルトは少しばかり笑みが浮かぶ。見た目からは冗談を言うタイプには見えなかったが、案外、冗談好きなのかもしれない。常日頃から徹底されているのだろう。
「ご謙遜・・・いえ、失礼。ありがたいことです。」
副司令の冗談とも、こちらを試すとも思える言葉に慎重に返す。副司令はその言葉に満足そうにうなづいた。
ハルトはため息をつこうとしたが、その瞬間、面倒な上官のことを思い出した。金髪の、見た目こそ美しいが人使いが荒い女性士官。
『そういえば、ため息禁止だったな。』
理不尽な命令だし、彼女がここで見ているわけではないが、命令されてしまえば無視できないのが彼の性分だった。出かかったため息を必死に噛み潰す。
そうこうしているうちに、彼らは広い格納庫に出た。所狭しとMSが立ち、資材が行き交っている。幾多の整備兵が動き回る。
「例の機体はあちらの奥に。では、私は担当を呼んできます。」
操作室に向かった副司令に一礼を返して、ハルトは格納庫の奥の一角に向かった。出撃用の通路からは一番離れたハンガー、そこには薄い青に塗装された機体が固定されていた。
見た目はRGMー79N ジム・カスタムであった。0089の現在では見かけることは珍しくなりつつあるが、それでも連邦軍基地では見かけることは珍しくない機体である。しかし、そこにあった機体はジム・カスタムとは明確に異なる場所にあった。
「もしかして、それの輸送任務の方ですか。」
ふと、ジムカスタムを眺めていたハルトに声が掛かる。振り返ると、まだ若い整備兵が立っていた。咄嗟に、目の前の整備兵が敬礼をした。力が入った、若手特有の敬礼、それにハルトはゆったりと敬礼を返す。
「失礼しました。整備兵のジニアンです。」
「輸送隊のアリスガワだ。この機は君が?。」
「あ、はい。先日の定期点検で点検責任者を務めました。」
そうか、と答えつつ、ハルトは顎に手を当てる。若手整備士が点検責任者になることは珍しい。戦時中で人手が足りないならまだしも、周りを見れば縦横無尽に整備兵が動き回っていることを考えると、著しい人材不足というのも考えづらかった。
「そうか。しかし、こいつは従来のジムカスタムとはだいぶ異なっているな。」
「そうなんです。見ての通り、脚部とバックパックが全然違っていて。」
「見たところ、特別なもののようだし、整備はだいぶ大変なんじゃないか?。」
ハルトの言葉に若手整備兵は大きくうなづいた。
「そうなんです。専用の整備マニュアル自体はあるんですが、それでも資材にないパーツが結構あって。前任がいろんなパーツで補っているのもあってすり合わせが大変で・・・。」
「そうか・・・。」
よほど大変だったのだろう。ジニアンと名乗った整備兵は感情豊かに定期点検上での苦労を連ねていった。ハルトも苦笑いを浮かべる。
「バックパックの特別性のスラスターなんて、他のMSのスラスターとの互換性は全くないし、しかも補修パーツで稼働が変化した分、OSの再設定をしなくちゃならなくて大変だったんですよ。」
ジニアンの言葉に、再びジムカスタムを見上げる。特徴的な脚部と共に、その背部スラスターも目を引いた。通常のジムカスタムの簡素なバックパックよりも一回り大きく、さらには上部に追加のスラスターが増設されていた。そのスラスターには可動域が追加されており、それだけでこの機体の運動性能がどれほど高いかが予想できた。
「ちなみに、整備兵の君から見てこの機体はどうだい?。」
ハルトの問いに、ジニアンが真面目な顔で考え込む。そして、自分の考えをゆっくりと言葉にしていった。
「全体性能なら、106(ハイザック)くらいかな。ですが、ポテンシャルは108(マラサイ)を超えてると思います。」
「108(マラサイ)を?。」
「はい。」
真面目な顔で、ジニアンはジムカスタムを見上げた。
「ベースはジムカスタムですが、脚部はガンダリウム合金製の特別製で、内部にはかなりの容量のプロペラントタンクになっています。それにバックパックのスラスターの推力だけでORX005(ギャプラン)の総推力にも匹敵します。しかも可動式スラスターで運動性も抜群、正直、こいつを使いこなせるパイロットがいるのかわからないくらいだと思います。」
「バックパックだけでギャプラン以上、か・・・。」
ジニアンの横顔には、そんな機体の責任者を一時でもできた責任感と誇りのようなものが浮かんでいた。その表情に安心しつつ、一方でハルトはそんな機体を輸送する意味を考えて、苦々しい思いを抱えていた。
「おい、ジニアン!。」
そこで、のぶとい声が響いた。褐色の整備兵が眉間に皺を寄せて若手整備兵を呼ぶ。その声にジニアンは縮こまった。
「あ、はい!班長。」
「整備確認が終わったんなら、サボってないでこいつの搬入準備に加わってこい。」
「はい!。」
歴戦の風格を纏う褐色の整備兵の言葉に、すぐさまジニアンが走り出した。その後ろ姿をやれやれと言いたげに見送ると、その男がハルトに敬礼した。
「失礼しました。ヘクトール・シルバ曹長です。今回の輸送計画の担当をさせていただきます。」
褐色の肌の整備兵の敬礼に、再び敬礼を返す。
「いいや、彼に質問したのは私ですので。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「そうは言っても、奴はああやって話始めると長くなりますからね。熱意があるのはいいのですが・・・。」
やれやれを肩をすくめる整備兵に、今度は同意の苦笑を浮かべる。
「点検責任者と任せられたと聞きましたが、あの様子だと。」
「あ、ええ。奴は今回初めて点検責任者をやりましてね。・・・と、いうよりここじゃ新人はこの機体の点検責任者を任せられるのですよ。」
「新人は・・・?。」
ふと、シルバの言葉に何かを感じて、ハルトは聞き返した。その様子にシルバもまた苦笑を浮かべる。
「ご安心ください。あいつは新人の中じゃ一番腕がいいですし、何より熱意もある。手を抜く、なんてことはありませんよ。」
「そうですか。」
ハルトがつい、ほっとため息を漏らす。その様子を見て、シルバは続けた。
「・・・この機体を新人に任せるのは、私の前の整備班長が始めた恒例行事みたいなもんです。」
「恒例行事、ですか?。」
「ええ。・・・この機体の輸送ということは、この機体がいわくつきなのはご存じですね。」
「・・・。」
無言で返答を返す。お互いに、明言できないものがあることは理解していた。
「こいつは面白いことに整備マニュアルはあっても、補給物資はない。しかし使われているのはアナハイムの純正部品ばかりです。つまり、補修自体も割と上手くできる。」
「点検でも整備でも、その整備兵の腕が試されると?。」
「ええ。バックパックも脚部もかなり独特な部品配置をしていますが、それでも工夫と確認次第でどうにでもなる。腕が試される上に、穴が開くほどパーツを吟味していれば、自ずと整備ができる。熱意も試されるわけです。」
「なるほど。」
「それにね、若いうちに曰く付きで高性能な機体をいじらせると、それ以降そういう機体を触らずに済む、なんてことも言ってましたね。」
「と、いうと?。」
ハルトの言葉に、にやりと整備班長は笑った。
「こいつくらいきな臭い機体は、今のところ私も知りません。そして、こいつ以上にきな臭い機体を触るとすれば、前線や危険な任務に赴く戦艦くらいでしょう。この機体以上にきな臭い機体を触らないように、そんな事を考えて、任せたんだそうですよ。」
「・・・この機体の整備は、皆さんの願掛けだったのですね。」
「願掛け・・・東洋のまじないでしたかね。そう考えればそうなんでしょうな。」
ハルトの言葉に、シルバは感慨深げにジムカスタムを見上げた。その横顔には、誇りのようなものが見えた。
「・・・そうだった。副司令から輸送の段取りを頼まれていたのでした。すみませんが、機体の輸送準備の確認作業にたちあってもらっても?。」
「ええ、わかりました。」
機体のハンガーで作業していた作業員に手で合図を送ったシルバに、ハルトはふと尋ねた。
「・・・あなたも、この機体を任せられたのですか?。」
「ええ。私が一番最初でしたね。だからでしょうな、この機体が輸送されると聞いて、志願しました。」
答えた男の顔は、大切なものを手放す子供のような、良くも悪くもさまざまな思い出が詰まったものを手放す大人のような、複雑な表情だった。
ーーーーーーー
地球連邦 フォン・ブラウン基地
月のクレーターが見えるオフィスで、銀髪の女性が通信を受けていた。端末の画像には『SOUND ONLY』の言葉が浮かぶ。互いに、素性を知っていても記録に残せないことはわかっていた。
『それで、例の機体の輸送はうまく行きそうかね?』
通信機越しに聞こえた低く落ち着いた男性の言葉に、女性が答えた。
「ええ。部下からの連絡では何も問題なく進んでいるようです。・・・心配ですか?。」
『まあな。アナハイムから起動データの催促があってな。こちらとしても、恩を売っておきたい。』
「わかりました。到着し、機体の確認が終わり次第、機動テストをさせます。よろしいですね。」
『・・・任せる。あの機体は君の部署の所有物だ。表立った使用さえなければ、軍もうるさく言うまい。まして、あの機体にうるさく言う者は、あの機体を知るまい。』
「・・・。」
男の言葉に、女性は自分の端正な顔を顰める。男の言葉の真意を探ろうと考えを巡らせているのだろう。
「・・・コーウェン少将はすでに中央に影響力は無く、隠蔽に加担した者はすでに世を去っている、そう言うことでしょうか。」
『そして、それを知っている君は、このことを表に出すなどということは無い、そうだろう?』
男の確信を持ったような言葉に、女性はため息をつく。部下にため息を禁止したが、許してくれるだろう。勝手にそう決めつけた。
『あれは、そのガンダム開発計画の忘形見ということだ。あの機体には、ティターンズがもみ消した高性能機の稼働データがあるというわけだ。』
「やはり・・・。」
『アナハイムも製造データは残っているだろう。しかし、数年にわたる整備データと実際の稼働データはあちらとしても欲しいのだろう。そういうことだ。』
女性は、ここでようやく男が何を言いたいのかわかった。彼は、自分に情報を渡したいのだ。そして、その上でこの情報を正しく扱えるか、試しているのだ。
彼女は、少し考えると冷たい微笑を浮かべる。彼にもこちらの様子はわからないはずだ。だが彼女にとっては大事な者だった。氷のような微笑という仮面を被り、この男に相対すためには。
「わかりましたわ、叔父様。回収させていただいたジムカスタムは、こちらで扱わせていただきます。活用させていただきますわ。」
ジムカスタムを強調し、笑みを浮かべる。その言葉に、少しの間があったが、男が答えた。
『すまないな。しかしソフィア、何度も言っているが軍の回線を使っている時にはそう呼ばんでくれ。』
「あら、失礼しました。では、ヴォルコフ大佐、そろそろ部下の定時連絡の時間ですので。」
『ああ。』
まるで親類同士のような挨拶を最後に、通信を切る。わざとらしさを感じつつ、銀髪の女性、ソフィア・ヴォルコフは自分の椅子の背もたれに深くもたれると、外の光景が映し出されたモニターを眺めた。
「うちの倉庫は、いわくつきなものでいっぱいね。」
自嘲気味に笑った。
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作るの大好きな初心者です。
妄想設定好きですので、そう言ったものが苦手な方は申し訳ありません。
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