宇宙へと撤退するジオン本隊を護衛する為、地上に”置いて行かれた”部隊がいた。彼らは宇宙には必要ないMS、旧式や水陸両用機など、限られた物資を利用し、連邦軍のジオン残党狩り部隊の攻撃を逃れる。
パイロットはフォルカー・エンデ少尉(45)
色白で斜に構えた様な態度をとることが多く軽薄な印象を与えるが、実際は部下思いであり、仲間思い。くせ者揃いの隊をまとめ上げる。毎朝必ず髭を剃るのが"生き残る"ジンクスらしい、色白の為、髭の剃り後が目立つが、そのことを指摘すると怒る。本国コロニーに妻子がいたが…。
ハモンド伍長のザクⅠと、イーグルアイシステムのデータ連携の為のアンテナが確認できる。
本機の左腕には、より汎用性を高める為、ザクマシンガンが内蔵される。この機体の構造上、自身によるマガジンチェンジは不可能である。背部に装備されたバズーカは、僚機の武装として担架されるが、背中に担架された状態でリモートにより、トリガーにアクセスし発射することも可能。
「隊長ォ!」
薄暗いコクピットに自分以外の声が響く。哨戒行動中に、遭遇した敵の小隊をさほど苦もなく撃破し、残りは対岸の小さな丘、おそらくMS用の塹壕の跡、ここは過去に何度か大規模な戦闘があったエリアに近い。その陰に隠れた敵機を誘い出す為、川辺に近づいた時だった。モニターが"水"で埋まる。目の前の川に巨大な水柱が上がったのだ。
「砲撃ッ…違う」
敵の遠距離攻撃ではない、水柱の中に影を見た。咄嗟に上を見る、太陽の光に眩みながらも太陽光ではない光を見る。瞬間、ステップするように後方に移動させたアッガイの足元に光が爆ぜる。ビーム兵装による攻撃だ。立て続けに、二射、三射と放たれるビームの光を、軽快に躱し先程、ハモンド伍長のザクが狙撃したジムの陰に隠れる。どうやら川の中にもう一機いたようだ。"それ"は妙に生々しい"ヒト"の様な動きで着地し距離を詰める。丸みを帯びた関節、曲面を多用した装甲まるでジオンの水陸両用機を彷彿させる。しかし今、自分を見据えるその双眸は、
「…ガンダムッ!」
物言わぬジムの陰から左腕のミサイルを放つ足元を狙ったそれは、"ガンダム"の動きを止める。爆発の煙に包まれたガンダムは、頭部バルカンを放ち煙を払う。
「機転は効くようだな」
足を止めたガンダムの装甲に、数発の着弾後方の丘の上のザクによる狙撃だ。だが目の前のガンダムは、曲面を多用した装甲、その厚さもあるのだろう、火薬を増やした程度の120mmでは抜けないらしい。それに気付いたハモンド伍長は、マシンガンの牽制射撃をしながら丘を下る。そのザクに対し、細いビームの光が伸びるが当たらない。ガンダムではない、隠れていたスナイパータイプのジムだ、今頃、ザクの存在に気付いたらしい。
「バルベッ!」
「アイアイッ!!」
バルベ軍曹のゾゴックがジムスナイパーの背後に回り、そのコクピットにブーメランを突き立てる。
「合わせろ、伍長!」
「了解!」
掃射されるマシンガンに、怯むガンダムに対し、背中に担架したバズーカを放つ、一発二発、このまま川辺まで押し戻す。しかし、敵もガンダムだ。バズーカの直撃を受けながらも肩に内蔵されたビームサーベルを抜き放つ、"ヒト"のようにしなやかな動きで、斬りかかろうとするが、どこか足元がおぼつかない。どんなに装甲が厚かろうとダメージはあるのだろう。こちらも、右腕のアイアンネイルを展開、一気に距離を詰める。一閃するビームサーベル。斬り飛ばされる右腕。しかし
「踏み込みが甘いッ!」
その勢いのままガンダムに体当たりをするそのまま川辺まで、アッガイに対し細身のその機体を、質量を持って押し出す。対岸のバルベ軍曹のゾゴックに対し、
「ヤツの足元にシュツルムファウストッ!足元を崩せッ!」
間髪入れずに着弾するシュツルムファウストの爆発を避けながら、ダメ押しのミサイルを放つ。二重の爆発により抉れた地面に、膝まで埋まる、そこに流れ込む川の水、下半身の身動きが取れないガンダムのビームライフルがこちらを睨む。その瞬間、ライフルの中程が弾ける。そして、その頭部も。ハモンド伍長の狙撃だ。
「良い腕だ。伍長」
「今夜は美味いビールが飲めるな」
通信の向こうでバルベ軍曹が笑う。コイツはどうします、と聞くハモンド伍長に、
「ほっとけ、今の俺らにゃコイツをヤレるほどの弾もないからな、撤退だ、撤退」
薄暗いコクピットのモニターには、斬り飛ばされたアッガイの右腕を大事そうに抱えたゾゴックが映っている。
了
なんか長々とすいません。
隊長の背中カッコイイっす。
モノアイの機体はこれらの色で塗ったら大体格好良くなるな。
スプレー缶…つまり、そういうことだ。
隊長のアッガイさん
コメント
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相変わらずワクワクが止まらないストーリーでした!
アッガイの方も、ザクマシンガンやバズーカなど、いかにも「現地改修機」といった雰囲気で非常にカッコいいですね!!
何より、アッガイに迷彩塗装がこんなに似合うとは思いませんでした・・・!
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