はじめに
私は人生で三回模型趣味に復帰しているのですが、そのいずれもアムロのガンダムとνガンダム、シャアのゲルググとサザビーを同スケールで並べたいという気持ちで始めています。
ブランクで忘れたことを思い出すためと、現在の模型シーンに合わせた技術習得の習作としてザクから始め、ズゴックを経てある程度の自信とメドがたったので、いよいよ個人的な真打ち、バンダイ MG 1/100スケールキット シャア専用ゲルググver.2.0です。
ワタシにとってシャア専用ゲルググは鬼門の機体で、過去に何度も制作していながら一度も塗装工程に至っていないで未完成で終わっています。
そんな積年の呪いが込められたシャア専用ゲルググは、20年の11月中旬から取り掛かり、翌21年1月17日に完成。いつも通り前置きが長くなりましたが、復帰三作目、ぜひ写真だけでもご覧ください。
YMS-14 ゲルググ 開発経緯
MS-06シリーズの開発・運用に成功したジオン公国は、休むことなく後継機の開発に着手していた。いくつもの後継機が設計され、多くの試作機および生産型を開発したジオン軍であったが、なかなか軍の要求する性能に到達できなかった。いずれ地球連邦軍もモビルスーツを開発してくると想定していたジオン軍は、地球連邦軍がMS-06の性能をなかなか超えられないだろうと考えていたが、地球連邦軍の圧倒的物質と生産能力の前にMS-06のリードはあまり長くないのではないかという一部の見解があった。万が一にも超えてきたとしてもさらに先を行く性能のモビルスーツで対応すると考えていたため、後継機の性能には、操作追従性、運動性、機動力、火力、装甲、整備性、積載能力、拡張性、生産性、運用性能、などあらゆる面で次世代機としてのレベルを引き上げることを求めた。
宇宙世紀0079年9月18日、ジオン軍に衝撃が走る。特務任務を受けていた宇宙攻撃軍ファルメル隊のシャア・アズナブル少佐は、帰還時にデータにない地球連邦軍の新造戦艦を捕捉。サイド7に寄港した同艦を威力偵察した結果、地球連邦製のモビルスーツと交戦、その後、幾度もの追撃を続けるもことごとく撃退された。
数的優位からの捕獲どころか撃墜もできない地球連邦製のモビルスーツをアズナブル少佐の戦闘記録から検証した結果、MS-06と地球連邦の白いMSには明確で大きな性能差があったことを認めざるを得なかった。皮肉にもその性能はジオン軍が想定した仮想連邦製モビルスーツの性能をはるかに凌駕し、次期後継機に求める性能すら超えていたのである。
次期後継機になるべく開発されていたMS-14は、ビームライフルの携行火器サイズでの生産性が満たされていないだけで、想定の目標値を達成して生産可能な状態であったが、連邦の白いMSショックから、ビームライフルの運用は必須事項とされてしまったため、生産および前線配備が79年の年末まで遅れてしまった。
ジオン軍の中でもエースオブエースで知られるアズナブル大佐は、連邦の白いMSと戦える性能のモビルスーツを要求し、配備されたのがこのYMS-14で、25機生産された量産試作先行機のうちの一機である。MS-14系の特徴の一つにバックパックの換装により簡易に作戦内容にあった機体仕様に変更できるという運用思想があり、YMS-14はその試験的な役割があった。
アズナブル大佐機はのちの空間戦闘特化型にあたるMS-14Jg型に採用されるバックパックの試作型が搭載されている。本機YMS-14は量産試作先行機とはいえ、その後の正式量産機であるMS-14とスペック的な差はない。
YMS-14 ゲルググ(シャア・アズナブル大佐仕様機) 実働記録
U.C.200年現在で判明しているシャア・アズナブル公国軍大佐が作戦運用した記録は以下の通りが有力である。(妄想設定です)
007912XX
サイド4のテキサスコロニーでの試験運用中、第13独立戦隊のRX-78と交戦。互角に渡り合った交戦後、ジェネレーターストールで稼働停止。
00791225
コンペイトウの外郭宙域から駐留艦隊に攻撃を仕掛けたMAN-08の試験監督機および護衛随伴機として出撃。
00791227
不意遭遇した地球連邦艦隊との交戦時、MAN-08と随伴機MS-09Rとの連携が取れず苦戦中、陣頭指揮のため出撃。
00791228
アバオアクー進行中の地球連邦艦隊に突撃機動軍の先鋒として戦闘中、第13独立戦隊のRX-78に対抗するために出撃、交戦時に左腕部を損傷。
00791229
再度進軍を開始した地球連邦艦隊に突撃機動軍艦隊が激突、アズナブル大佐は第13独立戦隊と激しい戦闘を行うもRX-78に右腕部を切り落とされ撤退、なおこの交戦でMAN-08を失う。
00791231
アズナブル大佐はアバオアクー要塞攻防戦で試作MSで出撃し、多大な戦果をあげた後「白い悪魔」ことRX-78と交戦、激しい戦闘が繰り広げられ相討ちとなって自機を失っていた。要塞からの退却が始まっていたなか、ハンガーに残っていた自身専用機のYMS-14に搭乗し出撃。本国に撤退する友軍を鼓舞し殿を務め、バラバラなMS部隊の指揮をとり追撃する連邦部隊と交戦しこれを撃退。
00800101
ジオン公国政府が終戦に向け降伏準備を進める中、これを是としない人々のサイド3脱出に呼応。包囲している地球連邦艦隊と交戦し脱出艦隊の航路を確保するために出撃。
00800716
地球圏離脱艦隊がアステロイド宙域に向け航行中、艦隊から離反した反乱部隊を鎮圧するために出撃。何度かの戦闘を行っている。
YMS-14 ゲルググ 総括
MS-14はMS-06系に変わる主力汎用モビルスーツとして開発され、その量産試作先行機であるYMS-14はエース部隊キマイラ隊に24機が配備され、各種試験や運用データの構築、装備の検証が行われてきた。1機だけジオン公国軍最高のエースパイロットと畏怖され称賛される「赤い彗星」シャア・アズナブル大佐のもとに配備されたのは、彼が短期間で機種転換ができる能力を有していたこと、部隊自体が各種新兵器のテスト任務中であったことが大きいだろう。
前線に配備されたMS-14にYMS-14で得られたデータがどこまで反映されていたかわからないが、MS-14系の性能的にはRGM-79系と同等もしくはより高性能ともいわれており、MS-14自体がもう少し早く配備されていたら歴史は変わっただろうという評価を戦後に受けている。
YMS-14 ゲルググ 制作
今回の制作テーマは「パーツのスクラッチ」と人生初の「シャア専用機カラー」の塗装です。シャア専用機といえば、ザク、ズゴック、ゲルググの三機ですが、これらに共通するいわゆるシャアピンクの塗装をしたことがありません。
ガンプラで一番作ってきた初代ガンダムシリーズですが、あの狂乱の第一次ガンプラブーム期にすらシャア専用機としては作ったことないんですよね。
各部の主な改造箇所は以下のとおり
・ゲルググJっぽいバックパックをフルスクラッチ
・ライフルとシールドのマウントアームを作成
・肩と股間付け根関節部分にディテール追加
・前腕部の熱核ジェットエンジンを速射砲へ
・全身にディテールアップおよびディテール追加
人生初のスクラッチ
まず取りかかったのはバックパックのスクラッチでした。結局、コレができなければ思い通りのゲルググは作れないので、制作の取捨選択をするためにも最初に行う必要がありました。シールドとライフルもマウントできるようにと思っていたので、背負いものを軽くしたくてプラ板の箱組みで作りました。
重量物であるシールドのマウントが可能なようにマウントアームとの接続には前作のズゴックで余った関節軸とポリパーツを流用しています。ライフルの方は軽いので3mmプラ棒です。本体とバックパックも本体のポリキャップを活かしつつ、3軸接続です。試行錯誤はしたものの思ったよりもすんなり作れたので全身の改造に移行します。
プロポーション変更のポイント
次はプロポーションとして大きく変更される部分からです。仮組みでかなり満足できる雰囲気で一番の懸念のバックパックも目処が立ったし、膨らんだお腹につるんとした股間にスカートアーマーが姿が「女の子」っぽく感じたので漢らしい雰囲気にしたくて股間ブロックを増設します。
ワタシは個人的にムーバブルフレーム採用前のMSの股間はしっかりしてないと2脚ロボとして耐久性、機能性とも物足りなく感じるので大型化することが多いです。パーツ的に高負荷に耐えられる頑丈さと稼働する熱を逃がす機能が必要なのと姿勢制御機能のパーツなど股関節周りには多くの機械的機能が求められると思うからです。
色々たいそうなこといっていますが工具箱に入っていた20年前くらいのMGザク1.0の股間パーツをくっつけただけです。
ディテールアップのポイント
ノーマルのゲルググがマリーネやイェーガーに比べて味気ない部分があるのは、外装がツルッとしている部分が面積的に多く大味な印象を与えてしまっていると思っており、腰回りのスカートと下肢のフレア部分が特にそれを印象付けていると思うので、多くのディテールアップを施しています。
腰回りには武装類をマウントするハードポイントを施しましたが(未熟なもので)機能はしません。下肢部分のフレアは途中で落ち込み部分を作ってアクセントにしています。肩装甲はイェーガーっぽくしました。
塗装
塗装は冒頭でも書いたとおり人生初のシャア専用機カラー。皆さんの制作記を見ると発色のコントロールや思い通りの色味に苦労している方が多かったので、赤い彗星カラーとはなんぞや。と自分の中でしっかり決めて選色しました。通常のシャアピンクと呼ばれる部分はピンクなのかオレンジっぽさがあるのか、はたまたオリジンのように赤いのか、皆さんイメージが色々あると思います。
アニメ映像のイメージ色はピンク、だけど「赤い彗星」の異名なのでピンクに寄せたレッドに。濃い赤はマルーンよりもベーシックなレッドに寄せました。一気に塗らないで、それぞれ3回くらい重ね塗りしています。サフはピンクサフを使いました。ウェザリングで汚す前は理想通りの発色になり、ホント汚したくなかったですw
ウェザリング
ウェザリング工程では宇宙用ということもあって、どういう汚しがいいのか考えました。
シャア専用機ということであまりダメージは受けてないからキレイ目にと思いましたが、アムロとの戦闘はすべて激戦で砂塵の中や腕を切り落とされたり、ビームや爆発の攻防の中をくぐり抜けて戦っているので、綺麗にする必要はないなと思い普通に汚しました。
地上用だと上から下へという意識を持って汚しますが、無重力の宇宙空間はそのセオリーをやめたほうがいいだろうという考えと、地上よりも強い紫外線や近距離での爆発などで塗装も傷みやすいかなと思ったのと、細かいデプリもパチパチいっぱい当たるだろうということで満遍なく汚してますが、ひととおり終わった後にやりすぎたカモと思っています。
A12のマーキングについて
ガンプラのブランクが如実に出てしまったのはマーキングの選択です。みなさんは一年戦争のシャア専用機でカールによくある「A12」のマーキングが、何を意味するかご存知でしたか?ワタシはシャアの機体番号だと思っていました。この「A12」はいつごろできた設定なのかわからないのですがファルメル隊の部隊番号だそうです。
教えてくださる方がいて、余計な無知を晒さずに済んだとありがたかったのですが、削ってレタッチする勇気も湧かずそのままにしています。ワタシ的な勝手なガンダム設定ではシャアの機体番号ということにします。ガンダムデカールNo.41でもシャア専用ゲルググ2.0の部分に大佐章とGELGOOGの文字の組み合わせでA12ってあるし(この時はまだシャアの機体番号だったのかな)
まとめ
個人的な理想のゲルググ造形はゲルググマリーネなんですが、1/100モデルがあればそれをベースにシャア専用ゲルググを作ったでしょうが、いっこうに出る気配が無いのでゲルググ2.0で作りました。
冒頭にも書いたように今までシャア専用ゲルググを作ろうとして挫折してきました。20年近く前にMGゲルググ1.0とドムをミキシングして球体関節を各所仕込んでゲルググを作ろうとしてパテ盛り盛りのバラバラでそのまま挫折。その前は1/144のマリーネのレジンキットの軸打ちと接着がうまくできず挫折しました。三度目の正直でやっとある程度納得のできるシャア専用ゲルググを完成できて感無量です。
人生初のシャア専用機、見てください(シャクティ)
コメント
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まずは完成おめでとうございます✨ヽ( ¨̮ ヽ)
A12はそんな意味だったのですね(;゚ Д゚)ノ
シャア専用カラーとても良いと思います❤️💖
最近のゲルググキットの肩アーマーには繋ぎ目の蛇腹はないんですね。
いつか作ることがあったら再現してみたいです🪗
バックパックは昔のモナカキットで作った時はグフのを流用してつけてました。
まずはコメントいただいてからお時間が立ちすぎて申し訳ありません。コメント嬉しいです、ありがとうございます。
このキットはMGゲルググVer2.0なんですが、キットには蛇腹パーツあります。個人的に気に入らなかったので可動域を邪魔しないよう軸にプラパイプをかぶせて加工しています。
それとバックパックのお話、良いですね。ゲルググって背中に何もなくて物足りないので小さくても何かあると様になると常々思っていました。
こちらこそお返事いただいていたのに気づかずすみません。
蛇腹パーツついていたのですね🪗
けど蛇腹って肩アーマーと胸パーツつなげる+αの稼動しか出来ない設定だから、腕上がらないですよね〜😞
そうです、ver2.0の肩は蛇腹構成です。なんかこの構成好きじゃなかったので変えましたが、今ならもっとうまくできるかもなぁとも思います。
すいません 文章あんまり読んでないですが画像でもう全て伝わったような気がして….. そして言葉はいらないですよね すごいの見せて頂いてありがとうございましたm(__)m
コメントありがとうございます。時代的にも仕方のないことですが、大味なデザインを改修したくて、後発のゲルググJやマリーネのテイストを参考に作りました。気に入っていただけたようで何よりです。
ゲルググ、カッコイイですね。「外装がツルッとしている部分が面積的に多く大味な印象を与えてしまっていると思っており、」の部分に共感します。キットままだと、ポテッとしていて、劇中の機動力あるゲルググとのギャップを感じていました。このゲルググは機動力ありそうですね(gandam-hand2)
お褒めいただきありがとうございます!「機動力がありそう」嬉しいお言葉です、励みになります。
大雑把に感じるのはデザインが古いというのが一番の理由なんですけどねw ガンダムからの5年間はロボット物の最盛期でものすごい進化でしたからね。その後にデザインされたイェーガーやマリーネとは差があるしやっぱディテールに差があるんですよね。
あおり視点の画像は特に迫力が出ててカッコいいです🤩
初登場時のアングルもこんな感じでしたよね。立体的なデザインなのでいろんな角度から楽しめる気がします。カッコいいと言ってもらえて嬉しいです!
人類がガンプラを生み出してから40年、人はキットを買い、組み上げ、そして積んでいった、、、
若さゆえの過ちを繰り返し、時代を作るのは老人ではないと知りつつも、自身の足跡をこの電脳領域をお借りして記録しておこうと思います。
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