ガンタンクの観察ver,2

（こちらは、地面から生えたばかりの『ガンタンク』です。出典→『ガンタンクとは。』）

『ガンタンク』が地面から生えることを発見したタンクコ＝レクター＝オッパニ。
この度、彼は庭から生えてきた新たな『ガンタンク』の論文を発表いたしました。
これは、彼の論文を日本語に訳したものになります。

まず、軽くおさらいします。

『ガンタンク』はタネから成長します。
親世代の『ガンタンク』がタネを蒔き、それが芽生え、地面の中でキャタピラが成長し、抜け出して、その場からいなくなるという不思議な性質を持っています。

どこへ行くのかは、まだ分かっていません。
（出典→『ガンタンクとは。』）

ここから先が、タンクコ＝レクター＝オッパニ先生の論文となります。
翻訳、引用をいたしました。

……わたしの庭に、また新たな野生の『ガンタンク』が生えた。
わたしに警戒したのか、生えた『ガンタンク』の愛しき顔は見えなかった。……

……なんとこの『ガンタンク』、通常の『ガンタンク』とは異なる性質を持っていた。
腕のところに「破」という文字のようなものがあったのだ。
これまで何度か、野生の『ガンタンク』の観察は続けていたが、このような文字が浮かび上がる機体は、わたし自身、見たことがなかった。……

……わたしは、その『ガンタンク』に「和破（かずは）」と名前をつけ、観察し、論文を発表するに至った。……

……この性質は、この「和破」にしか浮かび上がらないかもしれない。
『ガンタンク』が大好物の『デスサイズヘルカスタム』なんぞに狩られてはならない。
だが、野生下の食物連鎖に、観察者が直接手を出してはならない。そのため、わたしはカカシを設置することにした。……

……どこのホームセンターでも購入できる、3個入り1,580円の「モビルカカシ」である。
モビルスーツの形を模したカカシであり、搭載されたAIによって、敵か味方かを判断し、その場に合わせた立ち振る舞いをする。
タンクとの良き話し相手にもなるようだ。
果たして、デスサイズヘルを撤退させることはできるのか。……

……効果は、絶大であった。
デスサイズヘルは、警告音を立てながら威嚇してくるモビルカカシをひどく警戒し、近づくことはなかった。
また、心強いカカシが近くにいることで、「和破」も強気になっているようだった。……

……もし、将来、『ガンタンク農園』なるものができたとしたら、モビルカカシの威力がどれだけのものになるか。
仲間が近くにいる『ガンタンク』たちはどのような立ち振る舞いをするのか。
『ガンタンク』の秘めたる力を、また垣間見てしまったような気がした。……

……「和破」が無事に成長した。
わたしは凛々しく成長した「和破」をこの目で見た瞬間、息が上がった。心が打ちふるえ、背中が粟立つ感覚を覚えた。
全体の雰囲気が引き締まったこの「和破」の美しさに、いたく感動したようだった。……

……悩んだが、「和破」を捕まえてさらに観察するよりも、新しい命を残してほしいという結論を出した。
そのため、あえてこのまま解放することにした。
全ては、『ガンタンク』の新たな進化のために。……

……ちなみに、モビルカカシはあくまでもモビルスーツの形を模し、AIも搭載した「カカシ」なので、成長はしない。
だが、「和破」がえらく気に入った様子だったので、そのまま連れて行かせた。
元気でやるんだよ。和破。……

オッパニ先生の論文は以上です。
ご高覧、ありがとうございました。

出典：『ガンタンクとは。』『麗しき世界 〜ガンタンク編〜』『なぜなにガンタンク』

「多方面から怒られそうだよなあ。タンクもそう思うだろ」
「うん……」