先の行為の後もずっと愛撫(工作)をし、マゼラを高ぶらせ続けていたロートルだったが、おもむろに取り出した黒いバンドで彼女の脚を拘束し始めた。

それまでの紳士的な態度から一変した行動にマゼラは脚を強張らせたが、それはまるで仔猫のあまがみのようであり、これから始まる“快楽”という演目の舞台挨拶にすぎなかった。

やわ肌(プラ)にくい込む異質な樹脂製の拘束ベルト(ポリキャタピラ)が彼女の脚を完全に固定し、あられもない格好のまま今にも壊れそうなほどに締め上げている。(ポリキャタがきつい)

だが彼女は満足げに恍惚の表情すら見せている。

「やはり君は正真正銘の“M”(ﾐﾘﾀﾘｰﾓﾃﾞﾙ)だったね。わかっていたよ」

ロートルがベルトで拘束されたマゼラの脚を撫でまわしながら意地悪く言う。

「ん…ふ…そんな私をこんなにするなんて、あなたこそ“S”(ｽｹｰﾙﾓﾃﾞﾗｰ)なのでしょう？」

「昔とった杵柄ってやつでね。この後、シャワーを浴びたら(超音波洗浄器)じっくりと俺色に染め上げていくよ。(筆塗り塗装)いいね？」

「ふふ、ここまでさせてあげた私がそれを断るとでも？」

ふたりは しばし見つめ合い、そしてまた重なっていく。

快楽(製作)の波に溺れ、たゆたい疼く心(疲労)はすでに理性を解離し、ただ“ふたり(ﾌﾟﾗﾓ)”という世界に呑まれていく。

ただ“ひとつ(完成)”となりたいが為に。