つぶやき
【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第九章 -【フォース〈ASTERLISK〉】-【期間限定公開】
どこからもとなくひょっこり出てくる神宮寺Re⑦です。
さてさて、あれからの続きです
***
「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」
あらすじ
自分は救世主になれない──そう思っていたのに。
第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。
これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。
***
前回→
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第一巻《ワタシノユメ》第九章 -【フォース〈ASTERLISK〉】-
***
〈Gunpla Battle・Nexus online〉。
通称GBNと呼ばれ、各自好みで作りあげたアバターとともに製作したガンプラをスキャンし戦うオンラインゲームである。
そこでわたしとアカネ、ハルナは週末に特訓を行ったことでフォースを結成する運びとなった。
Sランクダイバーであるエリカ。
続いてAランクダイバーのアカネ。
フォースを結成するのに最低限のランクであるDランクダイバーとなったハルナ。
「……いままで二人だったからフォースって感じはあんまししてないけど三人だと途端にチーム感が出るねエリカ?」
「え?……あぁまぁ……その、そうだね?」
……二人でGBNやることに慣れきってたからちょっと心配ではあるけれど、まぁ大丈夫だよね?
(ところでアイドル活動はどこ行っちゃったの?)
(そんなことよりフォースバトルだよ!)
(わたしのアイデンティティはどこ!?どこにあるの!?)
……アイドルって謳ってたのにまったくやってないよ!おかしいよ!こんなの!ねぇ!カテジナさん!
「私まだGBNがどんなのかわからないんだけど……GP・デュエルとはなにが違うの?」
そうハルナが疑問に思ったのかわたしに話しかける。
違い……?えっとね、それはね……
「GP・デュエルだとアーケードゲームだから、大会規定までいくと破損前提でやるんだけどこれはオンラインだからガンプラは一切傷つかないって感じかな?」
「初心者に優しいゲームってこと?」
「それはちょっと違うようなぁ……チャンプのクジョウ・キョウヤさんとかそもそも別のゲームでもやってるんですか?って感じだし」
「ちゃんぷ……?」
「有名なダイバーの人なんだよ?噂だとGBNの開発に関わってたとか言われてるらしいけど……」
噂だよ……?本当のことは知らないよ?
「こらこら!始めたばかりのハルナを困らせてどうするのエリカ!ほら!フォースバトルやるよ!」
そうしてわたしたちは待ちに待ったフォースバトルへと向かった。
***
ダカール。
機動戦士ガンダムUC、OVA episode4〈重力の井戸の底で〉およびTVアニメ版第一〇話『灼熱の大地から』より登場。
「ラプラスの箱」の動乱の最中、地球圏の砂漠に墜落した袖付きの艤装貨物船ガランシェールが連邦軍に見つかることを阻止するため、地球連邦政府の首都であるこの場所に大型MAシャンブロを操るロニ・ガーベイが襲撃し、多くの犠牲者と混乱を招いた。
(そういえば市街地戦かぁ……あんましやってなかったなぁ……ミッション攻略と対人戦に夢中になりすぎて……)
「デスティニーガンダム・ルヴァンシュ!エリカ!いくよ!」
「ガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア!アカネ!やっちゃうよ!」
「……ガンダムポータント!ハルナ!とりあえず行きまーす!」
多くの建物が立ち並ぶ街中に降り立った三機のガンプラ。
そこでアカネはエリカとハルナに指示を出す。
「あたしは狙撃メインで立ち回るけど、エリカは敵機の確認とおびき寄せできれば撃破よろしくね!ハルナは無理に動こうとしないで空気感を体感するだけでいいから!……できるなら状況把握だけお願い」
「わたしはいいけど……ハルナは?って!やっぱりわたしが前線に出るんじゃん!」
(そりゃまぁそうなるんだろうけど、近接寄りに改造してるんだから尚更だけど……前にもあったねこんなこと)
「はじめてだし、いいよそれで」
各自の体制が整ったところに対戦するフォースが視界に入ってきていた。
「アカネ!敵機は見える?どんなやつ!?」
「……ちょっと待ってよエリカ!いま確認するから!えぇ〜と……」
「はやく!」
「そう急かさないでよ!」
覗き込むスコープの先にあるガンプラを視認したアカネ。
「……敵ガンプラはフォーンファルシア、ガンダムグシオンリベイク、あとひとつはウーンドウォート?かな」
フォース〈MARS RAY〉。
フォーンファルシアを操るAランクダイバーのオリバ。
ガンダムグシオンリベイクフルシティを使うBランクダイバーのノノセ。
最後にウーンドウォートのBランクダイバーのクロミ。
女性三人で結成されたダイバーたちは全機とも機体色は紅く染め上げれていた。
「……じゃあとりあえずわたしが前に出るね!」
エリカは操縦桿を動かし、距離が近づく三人に向けて飛び立っていった。
対するアカネは崩れかけたビルの中に入り、狙撃態勢へと移行する。
ハルナはアカネを見通せるドームに伏せていた。
「……フォース!〈MARS RAY〉!勝利をこの手に!」
「「勝利をこの手に!」」
オリバの掛け声とともに三方向に散らばっていく。
中央にエリカを迎え撃つオリバ。
左から虎視眈々とチャンスをうかがうノノセ。
右にアカネのガンプラを視認するクロミ。
「……近接がいち!狙撃がいち!汎用がいち!そっちはどう?」
オリバが二人に対して状況確認のため通信を繋ぐ。
「危なさそうなのはスナイパー……だとおもうんだけど!」
と、ノノセがなにかを感じたのか緊迫感を感じる震えた声で会話する。
「ずっと隠れてるなんか粒子撒いてるやつはどうするオリバ?」
クロミはあまり動こうとしないハルナのガンプラの対処に戸惑っていた。
「……フォースバトルを申請されたときにいた、始めたばかりらしいやつなんじゃないの?簡単に倒せるでしょ!ほっときなさい!」
「……は、はい!」
クロミが咄嗟に答えると、急速に近づく一機に視線を奪われる。
「……あいつは!なんかアイドル活動とかいう意味不明なことする奴のガンプラか!」
漆黒と桃色に彩られたエリカのガンプラを直視したクロミ。
(やばい!この距離だと……!囲まれる!)
クロミのガンプラを間近に見てしまったエリカは左に急旋回し、崩壊しているビルに潜んだ。
(……あっぶない危ない、あのままいってたら速攻負けてた)
バクバクと鳴り響く心臓の音を鎮めようと深呼吸するエリカ。
そんな中、アカネから唐突に通信が入る。
「いますぐにそこからは離れて!エリカ!ファルシアが近くにいる!」
(どういうこと?もう一人にも見られてたってこと……!?)
「……なにヒソヒソと隠れてんだよ!Sランクが!」
花の形状をもつ〈フォーンファルシアバトン〉から星形にビームを形作り、エリカに向かってビームを放ち出すオリバ。
xvb-fnc フォーンファルシア
機動戦士ガンダムAGE三世代編より登場。
ヴェイガンが開発したXラウンダー専用機である。
最終局面でのガンダム三機を撃破するため〈ディグマゼノン砲〉の射角に誘いこむ命令を受けたフラムは、ゼハートが望むエデンのために自身の彼を慕う気持ちとともに儚く宇宙に散った。
(ってやばっ!この距離はさすがに対処できないって!)
条件反射で左手の〈ビームシールド〉を展開して防御するエリカ。
それを予想していたのかオリバは左手から〈ビームサーベル〉を発振し、関節部を狙って振り下ろした。
(……ちょっと!こんなの聞いてないよ!)
左腕の関節から下が切断されたエリカのガンプラ。
開始早々片腕が損壊したため、即座に有利な距離にまで距離を離す決断をするエリカ。
「……逃げるなんて!見当違いも甚だしいねSランク!」
(この人しつこすぎるよ……!アカネ!ちょっとアカネ!)
追われるエリカのあいだに一瞬にして砲撃とも遜色ない狙撃がオリバを掠める。
「チッ……!先にあいつを叩けば勝てると思ってたのに!」
◇◇◇
ノノセはいまだに大きな穴が開いたドームの中にいるハルナを誘い出すため、実弾のロングライフル四つを出し惜しみなく撃っていた。
AGW-011 ガンダムグシオンリベイク・フルシティ
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第二期より登場。
昭弘・アルトランドがブルワーズより鹵獲したガンダムグシオンをバルバトスの予備パーツ等を使用し、再設計された機体である。
最終局面では三日月のバルバトスルプスレクスとともに火星圏での戦端で宇宙から放たれた〈ダインスレイヴ〉による大規模攻撃によって中破するも、敵討ちとなるイオクを倒すもギャラルホルンの同胞たちによってトドメを刺された。
「おらおら!どうしたどうした!」
(このひと、なにも考えずに撃ちすぎじゃない……?)
ハルナはノノセの無計画さに少しばかり、というかもうすでに呆れた表情をしていた。
〈GNビームライフル〉の銃身のみを空へと向けて、射撃を行いはじめるハルナ。
打ち出された射撃によって手に持つロングライフル二門が直撃していく。
「……こいつ!本当に初心者か!?どうなってんだよその正確な射撃!」
「──その程度で私に勝てるなんて思わないでよね!」
「よく言う!たかだかDランク程度で!」
腰部スカートから取り出した〈シザース〉を両手に掴んだノノセ。
ハルナは左手の〈GNピアスソード〉を使用し、火花を散らしながら鍔迫り合わせた。
「こいつ……!力押しでくる!」
ノノセにたいしてハルナは操縦桿を強く握り、ビルに叩きつけようと前へと押し出していく。
「さっきまでの威勢はどうしたんですか!それくらいしか出せないんですか!馬鹿にされたもんですね!」
(なんなんだ!こいつ!なんなんだよ!)
ノノセは自身がランクが上なのにも関わらず追い詰められている状況に理解ができず、むしゃくしゃしていた。
「……アカネ!いまだよ!」
ハルナの掛け声とともにアカネは視認したノノセのガンプラに狙いを定めた。
「──いっけぇぇぇぇぇぇぇえ!」
放たれた狙撃がノノセのガンプラを貫通し、消失していくグシオンリベイクフルシティ。
「こんなの!こんなのがありえるのかよぉぉぉぉぉ!」
なにもできずにその場から消えるノノセ。
(私なんかやれそうじゃない!?まぁ……こっちに来るまでに比べればこんなのは遊びの範疇だよね……)
◇◇◇
ノノセを失ったフォース〈MARS RAY〉。
残るクロミとオリバは対抗手段を考えていた。
「……明らかな初心者なはずのあいつがどうして!」
「落ち着いてオリバ!まずはSランクから倒すべきだよ!」
「そんなのはわかってるけど!」
不利になっていることに変わりないが、最初に左手を削ぎ落としたデスティニーガンダムを追い詰めれば勝てるの踏んでいたオリバ。
対するエリカはハルナと合流し、臨戦体制となっていた。
「GBNはじめてで連携できるとかやるじゃんハルナ!」
「そ、そうかな……?」
頬を赤く染め、照れながら受け応えるハルナ。
すると──そこにやってきたのは……
「よくもノノセをやってくれたナァ!初心者ごときが!」
バトンから撃ち込まれた射撃によってハルナのガンプラの胴体にビームが貫通していく。
「うそ、でしょ──!?」
「……ハルナぁぁぁぁぁぁ!」
(……あぁまただ──またこの感覚だ……上手くいくと思ってたのに、あのときのことなんてもう思い出したくないのに……ぁぁぁぁあああああああ!)
「ねぇ!ちょっと!エリカ!どうしたのよ!ねぇ!返事してよ!」
アカネからの問いかけにも反応を示さない。
明らかにおかしい。
崩れいく瓦礫と炎に包み込まれる記憶を呼び起こされてしまい、脳内に悪夢のフラッシュバックされた映像が再生され、挙動不審になってしまうエリカ。
(……もう!もう!もういやなんだよ!こんなのは!)
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【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第八章 【布教活動はじめます!】-【期間限定公開】
とにもかくにも気楽にビルドダイバーズRe RISE 二次小説を投げている神宮寺Re⑦です。
さて、あれからの続きです
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「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」
あらすじ
自分は救世主になれない──そう思っていたのに。
第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。
これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。
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前回→
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第一巻《ワタシノユメ》第八章 【布教活動はじめます!】-
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金型製作工房T3。
橘輝夜が跡取りとして引き継がれる予定の代々つづくこの工房は、都内に会社を設立してから五〇年の老舗である。
都立星羅高等学校から帰ってきたカグヤは、父親から金型製作および調整などの修繕作業の仕事を学ぶため、学業の合間をぬって作業場で鉄と油が染み込んだこの場所で日々鍛錬を重ねていた。
この工房の二代目であり父親の真守から、いつも叱責を受けていた。
「どうしていつもこんなに雑な仕事をするんだ!仕事をなんだと思ってんだ!」
形が歪になった金型を見て真守は怒っていた。
「……そう言われたっておれはまだこの仕事のことわかってないだよ!父さん!」
カグヤにとっては、そもそもこの仕事が何の意味を持つのかさえ理解していなかった。
たかだかフィギュアの金型だと思っているカグヤにとっては、こんなことをしている暇があるのなら勉学に励んでいたほうがマシだと思っていた。
「跡取り息子なんだから仕事くらい覚えてもらわないと困るんだよ!お客さんとの信頼を裏切るわけにはいかないのがわかないのか!」
そんなことを言われてもカグヤにとっては、無理やりやらされているに等しい状況に不満が沸々と募るばかりだった。
「……そんなのおれにわかるわけないだろ!父さんこそいつまでこんなのに縋ってんだよ!」
「こんなのとはなんだ!こんなのとは!甘ったれるのもいい加減にしろ!」
平手打ちをされたカグヤ。
紅く染まる左頬の痛みを抑えながら、バーナーでの加工作業に向き合っていた。
(……おれはいったい何のために頑張ってるんだよ)
自身の決められたレールの上で迷子になっていたカグヤは、本当にこれでいいのかと思い悩んでいた。
(……こんなのやってたってなにも楽しくない)
自身の境遇を羨む者は学校でたくさんいた。
それに加えて生徒会長ということもあり、不用意に悩みを打ち明けられるような余裕さえもなかった。
できることならここから逃げたかったと言えるわけもなく、ただ流されるままにやっているだけだと。
そんな窮屈な毎日が続いていた。
***
いつものようにカグヤが学校に向かっていると、突然話しかけられる。
「……あれ?カグヤ生徒会長?」
「ハ、ハルナくんじゃないか」
学校へと向かう通学路で転校生である七夕陽那とばったり会ったカグヤ。
「どうかしましたか?顔色悪いですけど……?」
「こ、これかい?別に徹夜で勉強してただけだよ?」
「そ、そうですか?ほんとうに?」
カグヤのことを心配そうに見つめるハルナ。
「ほんとだよ、君には関係ないだろう」
学校では生徒会長ということもあり、常に神経質になっていたカグヤはそれ以外の場所で顔を見られるのはいささか格好が悪いと思っていた。
「それよりハルナくんは学校にはもう慣れたのかい?」
「ええ、まぁ……エリカとアカネがいますからね、いつも騒がしいですけど」
「なら良かった、そうだ模型部のことだけど」
カグヤはハルナにこの前に話した模型部の再興としてはじめることとして、ガンプラ体験会のことを報告する。
「どうなったんですか?やっぱりダメでした?」
「……先生たちと掛け合った結果、承諾されることになったよ」
「おおぉ〜!幸先いい報告ありがとうございます!エリカとアカネにも知らせなきゃですね!」
取り出したスマホでエリカとアカネにチャットを送るハルナ。
「……楽しそうだね」
「だってこういうの私のいた惑星では無かったですからね!……というか私の場合はそもそもこんな遊びしたことなかったですし」
「どういうことだい?」
「そのままの意味ですけど……?おかしいですか?」
「い、いや、そんなことあるのかと思っただけで」
「他の人と境遇が違うかもしれないことだって、相手と話してみないとわからないじゃないですか」
「それはそうかもしれないが……」
いつも一人で学校に向かっていたカグヤにとって、すこしだけこんな他愛もない時間が心地いいとさえ感じていた。
「ところでいつもベールをつけているけど、なにか意味があるのかい?」
「あぁ〜これですか?私、ここに来たときに修道院に保護してもらったんですけど……本当の姿を見せると驚かされてしまうから隠しておけって言われてて……そんな感じで」
ハルナがそういうと、ベールを外そうとする。
「別に取らなくてもいいんだが……」
「まぁここなら誰にも見られないですし、生徒会長になら良いですよ?」
道端にある路地裏の電柱の近くに身を潜めた二人。
そういうと、ハルナがベールを外して本当の姿を晒し出す。
「……こりゃまたこんなことがあり得るなんてね、はははは」
「どうして笑うんですか!失礼ですね!」
「すまないすまない……ちょっとおかしくて……はははは……」
「もう!生徒会長にしかまだ見せたことないんですからね!」
怒った表情を見せるハルナに、口を塞ぎながら笑いを堪えるカグヤ。
ハルナの本来の姿見はキツネ耳がある姿だったのだ。
おかしいと思わないほうがおかしいことである。
「……いつも隠してるのにはこの理由があったんだね、納得したよ、こんなの人に見せるものじゃないね良い意味でも悪い意味でも」
「だからあんまり見せたくないんですよぉ……」
恥ずかしそうに頬を染めるハルナ。
「お〜!カップルかい!仲良いね〜!」
通りがかった男性が冗談めかしてそんなことを言う。
「「違います!」」
二人は反論するも、その男性は間に受けてはくれず……
「仲良くやるんだぞ〜!」
「は、はぁ……」
「まあまぁいいじゃないか、学校に遅刻してしまいそうだし急いで行くよハルナくん」
「私のことはハルナでいいですよ!じゃあまた学校で!」
走っていくハルナを見つめながらカグヤは、つづくように学校に歩いて行った。
***
修道院〈パラオ〉。
七夕陽那がこの惑星に来てから、生きていく場所を探していた最中に目に留まった施設である。
そこには多くの同じような境遇で親を亡くしたことで住む場所がなくなった女性たちや子供たちが住んでおり、日々共同生活を送っていた。
「……帰りました〜」
ハルナが修道院の扉を開けて、建物に入っていくと……
「おかえりなさいハルナさん」
「ただいまです〜ナナミさん」
帰宅したハルナを迎える子供たち。
「ハルナおねえちゃん!おかえり!」
「おねえちゃんが帰ってきた!」
子どもたちが嬉しそうにハルナを迎える。
「こらこら!静かに!ハルナおねえちゃんは疲れてるんだからあんまり驚かさないの!」
「えぇ〜!だって〜!」
修道院の別のシスターであるネネが、子どもたちに注意を促す。
「そういえばおねえちゃんがもってるこれなに?」
ひとりの子どもがハルナの持っているものに興味を示した。
「……あ〜これ?これはガンプラって言うんだって、おねえちゃん初めて作ったんだよ」
手にしたガンプラであるガンダムポータントを子供たちに見せるハルナ。
「すごいかっこいいね!ぼくたちも作ってみたいな!」
「わたしも!わたしも!」
「これってむずかしいの?」
「そんなにむずかしくないよ〜!おねえちゃんこれがはじめてだったけど楽しかったよ!……ごめんね、これ以外に持ってないから私あげること出来ないの」
「じゃあじゃあ〜お願いしてもいい〜?」
ひとりの男の子がお願いごとをハルナに伝えようとする。
「どうしたの?」
「ぼくたちもおねえちゃんと同じようにガンプラを作ってみたい!」
「じゃあ御天道様にお願いしにいかないとね〜!一緒にいこっか!」
「うん!いく!」
そうするとハルナは子どもたちを連れて修道院の中にある神殿へと向かった。
***
週末となった放課後、ここは模型部の部室。
そこでわたしとアカネとハルナは届けれた大量の箱に四苦八苦していた。
「なんなのこの量……どんだけあるのこれ……」
大量に置かれた箱を見てわたしは途方に暮れていた。
「そもそもこれなに?わたしたちの荷物じゃないよね?」
とりあえず箱を開けてみないとわからないや……
「やぁ、やっと届いたようだね」
「カグヤ生徒会長じゃないですか〜これなんなんですか?」
「君たちが布教活動をしたいと言ってただろう?それから問い合わせたらバ○ダイから送られてきてね、ぜひこれをと──」
っていうことは……つまり?
「わぁ〜!箱いっぱいにガンプラが入ってるよ〜!」
箱を開けたハルナが目を輝かせながらそう言った。
「……これって簡易的なエントリーモデルのガンダムじゃないですか!それがえっと……いくつあるアカネ?」
「んん〜と二〇箱くらい?一個に何個入ってるんだっけ?」
「たしか二十四個……だったような気がする」
わたしが入っているガンプラの量を計算すると、……全部で四八〇個!?多くない!?これ捌けるやつなの!?
「本校の全生徒数は一五〇〇人だから、それくらいはないと最低限行き渡らないからね」
「そんな大事なことになってるんですか!?あたしそんなに量が来るとは思ってもみなかったんですけど!?」
「まぁまぁ、落ち着いて君たち?一度で全部やろうとは元々想定していないからね?」
「それはそうなんでしょうけど……」
いや、あの、ほんとこれ無くなる量なの!?間違えるわけじゃないよね!?
「そのほかの準備についてはおれに任せてくれてもらっていいよ、それ以外の仕事を君たちに任せるわけにはいかないからね?それじゃああとは頼んだよ」
カグヤ生徒会長が手で合図をしながら去っていくのを見るわたしたち三人。
「なんだか大変なことになっちゃったね……?」
「そ、そ、そ、そうだね……ハルナ」
「まぁどうにでもなるでしょ!ほら!箱を移動させるよ!」
アカネが箱を持ちながら、空いている倉庫にガンプラが詰まったそれを移動させていく。
こんな量がくるなんて考えてなかったよぉ〜!てっきり大きい箱一個くらいだと思ってたのに〜!どうしてこうなっちゃったんだよぉ〜!……ってわたしが言いはじめたことか、なにが起こるかわかんないやもう!
「ほら!二人とも立ち尽くしてないで運ぶ!ハルナ!エリカ!」
「「はぁぁぁぁぁ〜い」」
そうしてこの日の放課後は大箱を倉庫にしまうだけで模型部としての活動はあまり進めることができなかった。
「……あぁぁぁ〜!もう!GBNやりたぁ〜いよぉ!」
そういえばあれ以来、GBNをプレイしていないことに気づいたわたし。
アイドル活動もなにも、まったく出来てないじゃん!
タイトル詐欺もいいとこだよ!こんな体たらくで話進められてないじゃん!どうなってんだよ!
……って言ったところでなにも変わらないんですけど。
(まあまぁ今日は出来なくてもGBNやれる日はあるし)
(これからどうする?どっか遊びに行く?)
(疲れたから寝たいんだけど……だめ?)
(ラーメン食べたいラーメン!)
(作りかけのザクがまだ完成してないじゃん!)
こんなときにばかり出てくるな!イマジナリーフレンドエリちゃんたち!すこしは静かにしてよ!……ってわたしのことですね、毎度すみませんうるさくて。
***











