ガンプラにおける武装キットの話

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筆者は本サイトで「GBNWeapons」という連載をしていました。
ガンプラの「武装」を(改造ガンプラ込みで)紹介してきた一連の連載であり「作品」。
そして、自分自身が様々な武装キットの魅力、ガンプラを作ってきた人達が「遊び」を広げるために創られてきたキットに触れてきた経験でもあります。

その旅はきっとこの後も続くのですが・・・
今回は連載完結と手に入る範囲でのガンプラ武装キットをやり尽くした(HGBC47個一部重複、HGBD:R武装キットアーマー以外14個、HGIBA9個、システムウェポンキット10個、その他旧キット・水星・雑誌限定・プレゼント品などいくつか)と言うことで・・・
いつかブログでやろうと思っていた「ガンプラ武装キットについて」まとめる機会を今回GUNSTA管理人様から頂いたのでそちらを語りたいと思います。

なお、バンスピ以外のメーカーは取り扱わない他、主に1/144の話題が多くなることをご了承ください(1/100以上の武装キットはかなり少ないので・・・)。

ガンプラ武装キット、その始まりはこちらのモビルスーツ用武器セット(1981年発売)。
初代ガンダムの各機体(ガンダム・ザク・グフ)に対応する武器を詰め合わせたものでした。
この時点では、武装キットは劇中の装備を「再現」するものでした。対応する各ガンプラの存在を基本とし、必要とあらば他の機体にも応用できました。
この後、「Z」・「V」などでも同様のキットが見られます(「V」は多少オリジナルみもあったっけ)が、それらの主な目的は本体キットにプラスして作中の・設定の武装を再現するもの。
「X」の時には1/100の追加武装としていくつかオリジナル武装が付いたこともあったっけ(いくつかは劇中に拾われた)・・・

一方SDでは多少趣が異なり、元祖SD用(一部は漫画の再現パーツだったりもした)や一部キャンペーン品でオリジナルの鎧などが付属する展開がおおむね’90年代中盤あたりまで続きました。
のちの「三国伝」でのノベルティの多さは後で再発売時に付属させるほど。
一部武者には現行はもとより過去のSDキットとの連動要素が組まれていたこともありました。
初期のBB戦士の説明書には「SDガンダムは自由だ」と書かれており、その流れをある意味受け継いだものと言えます。

21世紀に入り、「SEED」や「00」では「武装キット」というよりは「追加武装がついたキット」が多数発売されました。
旧HGエールストライクガンダムにコレクションシリーズのソード・ランチャーストライクガンダムからストライカーパックを持ってきて組み合わせたりとか。
時には、HGダブルオーガンダム→オーライザー→オーライザーがついたダブルオーライザーGNソードIIIがついたダブルオーライザーダブルオーガンダムセブンソード/G・・・と言ったように、同じ素体のガンプラがが何度も発売されては買われていったのです。
ダブルオーガンダム達2期ソレスタルビーイングが何機も家にいる方はきっといるでしょう・・・筆者も当時はそうでした・・・
一方、模型誌の付録キットという形で武装が補完されたこともありました。
電撃ホビーマガジン付属のMGGガンダム用カスタムキットやホビージャパン付属のソードカラミティ改造キットなどを皮切りに、「AOZ」・「00」関係の新規キット(SEEDコレクションシリーズ相当)が付属することさえあった’00年代は雑誌付録の黄金期。
写真は当時の写真ですが、左のダブルオーが持っているGNセファー、右のダブルオーが付けているザンライザーもそれにあたります。
一部キットはのちに一般(プレバン・ガンダムベース)販売されアップデートが加わったことも。上記ザンライザー、フルドド・プリムローズとかね。

「AGE」での3ミリ軸換装システムの採用(ウェアシステムを再現していましたね)を皮切りに、そしてシリーズこそ違いますが「ダンボール戦機」の別売り武装・・・LBXカスタムウェポンなどを受け、自分専用の機体・・・「カスタマイズ」への需要は高まっていきます。
2013年、「ビルド」シリーズのスタートと共に武装キットが再度生まれるようになります。ハイグレードビルドカスタム・・・HGBCの始まりです。
初期のそれらにはビルドジョイントと呼ばれる汎用ジョイントパーツが付属し、当時のガンプラのメインであったHGUCへの拡張能力を高めていました。
これに加え、完成済みの武装パーツ・システムウェポン、ベテランビルダー向けのアクセサリー・武装パーツであるビルダーズパーツシリーズなども同時期にスタート。
自分の機体を「ビルド」するカスタマイズ黄金期が到来したのです。

みんな大好きボールデンアームアームズ。筆者はこれなかったらプラモやめると豪語するくらい好きなボールデンアームアームズ・・・

それはさておき、初期のHGBC(および同時期の武装キット)は当時からの流行りである3ミリジョイントを多用しながら、作中武装の「再現」・・・作中のビルダーの装備を立体化した物(ガンプラのパーツ部分のばら売り+αとも言う)がまだ主でした。
無印「ビルドファイターズ」終盤、ガンプラバトルアームアームズが出たあたりになるとその様相は一変。
TV作中に出ないオリジナル武装が次々に登場し、皆の想像力を高めていきました。武装キットは「カスタマイズ」に大きく舵を切ったのです。
写真のボールデンもその一つです。
「トライ」以降では作中との連動と自分専用ガンプラの製作補助の双方がさらに重視され、ライトニングガンダムやプラネッツシステムは素体となるガンプラにカスタマイズキット(バックウェポンシステム、コアドッキングシステムのアーマーやウェポン)を組み合わせることで初めて作中仕様を再現できるというものでした。
これにより「武装だけを盛る」と言ったこともできるようになりましたが、先ほどとは逆に、今度は武装キットが売り切れだったり素体が売っていなかったり・・・
制作者側の武装の売り方への苦心はこれからも続くことでしょう。

「鉄血」でも同様の武装キット・・・HGIBAが発売。
イオク砲(試作レールガン)やマンロディをランドマンロディにできるパーツなど作中の補完を行いつつも、獅電のオリジナルバイザーや3ミリ軸ジョイントパーツなどで既存キットとの拡張性、そしてコスパを確保していました。
ブリッジを多用してプレバンでバリエーションキットが出たときも対応できるようになっており・・・個人的には売り方としては一番好きかもしれません。

「ビルド」4作の終了後。
「水星」ではフライトユニットにやめなさい平手を付けたりデミトレーナー拡張セットが売れ残ったりもしました(そして御三家装備セットはプレバンに)が・・・
バンスピの武装キットは(システムウェポンがガンダムベースで組み立て式のシステムウェポンキットとして発売されたりもしたけど)「30ML」・・・30ミニッツレーベルの各種武装やアーマーに移ります。
あちらはあちらで、ガンプラ武装キットをより汎用性の高いものに直した展開が好評で・・・ほとんどのキットはすぐに売り切れています。
「境界戦機」も独自に1/72ながらウェポンセットを多数展開、ガンプラの武装キットは一部を除いて発売はおろか再販もほとんどされなくなります。
にもかかわらずガンプラ公式系統のコンペなどでは「ガンプラの武装だけを使ってください」とまで・・・
昨今「ビルドメタバース」記念再販でHGBCが再登場し、瞬く間に売り切れていったのはご存じの通りです。こちらは多数の再販が期待されるところです。

この先、「武装キット」はどのように展開していくでしょうか。また新ガンダム合わせでIBAぽくやってくれないかなとかプレバンなどで細々と展開されるかもとかボールデンボールだけセット出してほしいなとか・・・
・・・と、「ガンプラくんDXセット」付属のあの300円ガンダムっぽいビームサーベルを見ながら考えてしまうのでした・・・

コメント

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  1. エビコウキ 12か月前

    たしか御三家のキットはそれぞれ別売りで店頭販売もやるらしいですよ!
    プレバンは先行販売らしいです。

    • solphis 12か月前

      ありがとうございます・・・とはいえ今後の武装レビューは未定なので色々と考え中です。
      余談ですが、水星のフライトユニットは未レビューです。
      しかし紹介が淡泊になりがちなので見送った経緯があります(MSオプションセット4の改参照、あれも難しかった)・・・

  2. solphis 12か月前

    (そして遅れましたが補足説明。
    本文にはリンクを張っていませんが・・・この下にある「おすすめ作品」の「GBNW索引」からだいたいの武装は見られます。
    また、もし「次」のカレンダー企画があるならちょっと考えはあります・・・)

  3. 田中 八尋 12か月前

    長年追い続けているからこそ書けるすごい記事ですね。
    カメラの交換レンズやスケールモデルのエッチングパーツなどのように、サードパーティーもまた文化を広げ育てる大事な要素ですから、ぜひバンスピ以外も含めたお話のことも書いてほしいところ。
     
     
    趣味の世界の場合、メーカーが用意したものをユーザーがただ消費するというだけではなく、ユーザー側で生み出されたものが人気になってメーカーが追いかけるということもありますし、未来のバンダイに自分の改造の真似をさせるぐらいの作品をバーンと作ってやりたいところですけれど、今年はそもそもプラモを一つも完成させてすらいないという現実が…。
    波佐本ディテールとか、むむむ式とか、他人に真似される側を生み出す人というのは、すごいなぁと憧れるばかりです。

    • solphis 12か月前

      ありがとうございます。

      コトブキヤさんのMSGは・・・実はほとんど買っていなかったりして・・・
      ユーザー側の改造したい欲の高まりでできたのが各種ジョイント系パーツなのかも知れませんね

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