HGUC ホバートラック、61式戦車

「なんだ?…足音じゃない」

エレドアはアンダーグラウンドソナーで索敵するが聴き慣れない音に表情をしかめた。ザクやグフといった新型とも違う。そもそも2足歩行のような重低音や規則性はなく持続的なエンジン音がヘッドフォンから聞こえてくる。

「俺等と似ている…」

「何です?」

「このホバートラックと似てるんだよ。ただパワーが桁違いだけどな」

「ジオンにそんなMSがあるんですか?」

「俺が知るかっ！」

「怒鳴らないでくださいよ〜」

普段は軽い性格のエレドアだが音に関しては性格が変わる。何でも自称アーティストらしいが彼がそれで名を馳せるのはまだ少し先の話だ。

「人型か。欲を出すな、時間が稼げればいい」

オリバーは自身に言い聞かせるように呟いた。

基地は放棄するのだから今は脱出するまでの時間を作るのが第一優先だ。

グフは灼熱の刃を敵に向ける。高熱により装甲を溶断するヒートサーベルは、その熱で周りの空気を揺らめかせる。構えて呼吸を整えるとグフは動き出した。先程同様、砂塵を巻き上げ軽快な機動で砂地を駆ける。

「やっぱそうか、奴は浮いてやがる！」

前線まで出たエレドアとミケルはグフ飛行試験型を目視する。

「凄い、MSが地面を滑っている」

「関心している場合か！3番機、敵の足を止めろっ！」

「他所モンが命令すんなっ！」

3番機のサリーは180mmキャノンを構えた。同時に7小隊隊長のロブからも砲撃指示があり狙いを定める。だがグフの機動力は並大抵ではなくスコープの十文字に中々収まらない。それでも動きを止めるべく発砲したが、弾は虚しくその横を通り過ぎる。

「7小隊！敵は単機で突っ込んでいる。他の敵機とはかなり距離がある！」

「なら一点集中砲火を浴びせるまでよ、マイク撃ちまくれ!」

ロブは指示するとマシンガンで射撃を開始した。連射で撃つと薬莢が次々と地面に落ちる。だが見た目の派手さと裏腹に中々敵機には当たらない。

「チッ、何だあのMSは?!」

「一意専心…一太刀に賭ける！」

オリバーはヒートサーベルを振り下ろすと加速の乗った重さでマイクの陸戦型ジムの腕をシールドごと切断する。

「…ウオッッ！」

陸戦型ジムは衝撃で地面に膝を着くとそのまま倒れ込んだ。オリバーは倒れたジムにはトドメを刺さず直ぐに狙いを切り替えロブのジムに接近する。倒れたジムはすでに弾切れを起こしており片手を失っているので再装填しようにも射撃はもう行えない筈だ。

「貴様らにコイツは止められん！命が惜しいならその身を引け!」

「マイクっ！畜生！」

ロブはマガジンを取り替え射撃を続けるが一向に当たらない。それどころか敵との距離は狭まる一方だ。

「おいおい、ヤベェんじゃねぇの7の隊長さん?」

「五月蝿いっ！弾が当たるようしっかり情報よこせ！」

「テメェが下手っぴなだけだろっ！」

「エレドアさん、僕達は一旦引きましょう。隊長にもジオンに新型がいるのを伝えないと…」

「ああそうだな。巻き添えはごめんだぜ。」

ミケルはホバートラックを反転させると後退した。

「おいおいっ裏切るのかっ!」

「戦略的撤退だよ！俺たちには機銃一本しかねぇのにどうジオンの新型とやりあうんだよ！」

後退した61式戦車の残存車両も翻弄されるジムに戸惑いが隠せなかった。

「なんてMSだ。うちのジムはポンコツじゃないか?」

「聞こえてるぞ戦車隊！地べた這って逃げてきた連中の言う事か！」

サリーは180mmで牽制するが、いかんせん早い敵には滅法相性が悪い。このままではこちらも弾切れを起こすのは時間の問題だ。

「クソッタレ!!」

ロブのジムもグフから一撃を受けた。たった一太刀で腕を飛ばされロブも流石に唾を飲んだ。

「MSだけじゃねぇ。一振りで致命傷を与えるっつーのは腕も確かだ…」

ロブはシールドを構え防御姿勢を取る。するとグフは何かを思い出したように向きを変え基地の方角へ戻っていく。

「見逃すってか…、敵に情けをかけられるとは落ちたもんだぜ」

顎から落ちる汗を拭うとロブはコクピット内のコンソールパネルを両手で力の限り叩いた。

「ジオンの新型だって?」

シロー・アマダはミケルからの通信に耳を疑う。

「ええ、地面を滑るように動いていて7小隊もそいつに…」

「やられたのかっ?」

「全滅ではないですけど小隊として戦闘継続は不能です」

「だから言ったろ〜、あそこにはジオンの新型がいるって」

二人の会話に割って入ってきたのはキキだ。

「てか、お前早く降りろよ。俺達も前に出るんだから」

「お前じゃない！キキ・ロジータって名前があるんだ！誰のおかげで敵の手薄な所から攻められると思ってんだよ!」

「協力には感謝するがお前が乗る必要はないだろ！」

「いちいち五月蝿いんだよっ！」

このやり取りにカレンも大きく溜め息をつき呆れる。

「ったく、甘ちゃんが…」

「俺とカレンは警戒に当たっているサンダース機とポイントβで合流し敵基地へ進軍を開始する。

各機、気を引き締めていくぞ!8小隊出撃する‼」

〜to be continued〜

陸戦型ジムの画が多かったですが、ジムはまた別の機会で今回はホバートラックと61式戦車です。

特に改造はしてませんが塗装でホバートラックはグレー、レッド、土草色を調合してエアブラシ塗装です。後部シートはマーカーで、他汚しはお約束パステルと艶消しです。

61式はグレー単色で塗装で汚し、艶消しです。

特に見所なくすみませんm(_ _)m

ガンプラの楽しみ方としてジオラマやストーリーを作る際はこういった引き立て役が大事ですよね。

バンダイさんは500円のガチャガチャで1/144、61式戦車、フライマンタ、コアファイター、キュイとか出してくれないかな（´-`）.｡oO

次回は嵐の中で輝いて(後編)とし完結予定です。

シロー・アマダ率いる第08MS小隊がオリバー大尉のグフ飛行試験型が交戦開始！基地からの脱出時間を稼ぐオリバーの運命やいかに!

紹介するガンプラは陸戦型ガンダムを予定してます。また見てくれたら嬉しいですヽ(=´▽`=)ﾉ

では次作に向けて頑張ります。