「呪いなんてなかった。祈り…、想いだったんだ!!」
『エピソード オブ メモリー』の第2弾として今回制作したMSは『アストレイだけどアストレイには見えないアストレイ』がコンセプトの機体になります。
前大戦でも活躍したオーブのM1アストレイをザフトが極秘でザフト製として開発したという設定で紹介しますが、この機体にはとんでもない設定が加えられています。
機体名は『ザフト』と『アストレイ』を掛けて『ザフトレイ』という名前にしました。
では、ごゆっくりとどうぞ!
ザフトレイ
型式番号:ZGMF-AM1
ザフトが前大戦で流出したMS開発技術からニューミレニアムシリーズのMSを開発する一方で、オーブのアストレイをザフト製として開発した試作MS。全てのパーツはザフトの技術のモノを使っており、ゲイツに似た形状に加え、ブリッツのバックパックのスラスターを頭部のすぐ横に直接搭載したことからアストレイとは程遠い姿となっている。スラスター以外にセンサーを2つ追加したことで本機には頭部のも合わせてセンサーが3つもあり、索敵能力やレーダー探知が通常MSの3倍になっている。作戦によって偵察機として利用も可。また、頭部の内側だけは前大戦後に手に入れたM1アストレイのモノをそのまま使っている…という設定。戦闘ステータスはM1アストレイはおろか、ザクを凌駕する性能を持つ。特徴の一つとなる専用ショットランサーには様々な武装がまとまっており、その他にも数多くの武器を持つ。
この機体の存在はプラント上層部でもごく一部の人間にしか知られておらず、量産化も計画されていたが、試験中に起きた事故が原因で量産化は見直され、試験も一時中止に。それ以来『呪われたMS』と呼ばれ、その後はZTT隊にこの機体の試験の続行及び事故の原因を調べることになるが……と、ここから先は後のストーリーで語ろうかと思います。
『事故』と言いましたが、オカルト要素が入ってます。その原因は頭部……になります。また型式番号の『AM』とは『アストレイモデル』という意味で、『1』はそのまま『1号機』を意味する。
本機で使用したガンプラは『レジェンド』の上半身、『ブリッツ』の下半身(腰の部分)、腕脚は『ブルーフレーム』、腰横のサイドアーマーは『ガンダムZZ』、頭部はM1アストレイのモノを使いたかったのですが『ムラサメ』のモノを使って少しイジりました。これらから、ほぼSEED系を使用しました。
上半身改め胴部に関しても設定があり、ペーパープランで終わっていたプロヴィデンスの量産MSの腹部を利用したモノで、後にプロヴィデンスの後継機のベースとなる…という流れになります。
特徴となる武器以外にも、別の特徴があります。
頭部の目をジンやゲイツみたいにモノアイにしてみました。最初、この機体名を『モノアイアストレイ』と考えていましたが、名前を短くしようと思い、なんやかんやで『ザフトレイ』という名前にたどり着きました。
フルネームは『ガンダムザフトレイ』と考えたのですが、これはガンダムなのか?と疑問に思う自分がいる為、『ザフトレイ』という名のまま投稿しました。
ガンダムなのか?そもそもアストレイとも言えるのか?
考えれば考える程悩んでしまいます(^^;;
武装の紹介。
試作ショットランサー
C.E.ではショットランサーは珍しい武器。ザフトレイの標準装備である実体槍で、幾つかの武装をまとまっている。槍の先端がドリル状に回転することができ、防御の高いMSの装甲を凄まじい回転力によって貫く破壊力を持つ。またその先端部分がミサイルのように発射可能で、回転したまま距離を取る敵に当てることができる。しかし、これは一発しか使えない。この武装には隠されたギミックがあります。
ランスビームソード
先端部分がミサイルとして使った後、ビームソードの刃を出すことが可能。隠されたギミックとはこのことで、ビーム兵装によるリードの長い攻撃を得意とする。ビームの出力を変えることができ、最大で敵艦を真っ二つに斬り裂く威力を発揮することができる。
ビームショットガン
ランスに搭載された4門のビーム兵装。威力は高くないが、連射性は非常に高い。
三連ミサイル
ショットランサーに内蔵されたスラスター搭載ミサイルポット。スラスターがある為、移動時はランスのスラスターも可動できる。ミサイルは最大で全12発。3発同時、またはバラバラでの発射も可能。
ベースとなる武装は『イージスナイト』のモノを使用しており、ジョイントパーツで少し長めにしたりミサイルポッドを追加したり…と、かなりイジりました。
試作高エネルギービームライフル
プロヴィデンスのビームライフルからプロヴィデンスザクのライフルを経由し開発される高エネルギービームライフルの試作品。後にレジェンドのビームライフルとなるモノで、この試作ライフルの銃口からはビームサーベルを発生させることが可能。
このライフルは『HGレジェンド』のモノを使用しました。
バズーカ×2
ショットランサーやライフルとは別の手持ち武装として使える予備武装のバズーカ。こちらは前大戦でザフトが回収したストライクのバズーカをザフトが生産したという設定のモノです。2丁持ちが可能。
こちらのバズーカはどちらもEGのモノを使用してます。
12.5mm自動近接防御火器
頭部に内蔵されたバルカン砲。
シールド
ストライクやアストレイと同じ対ビームコーティングされたシールド。
専用ビームサーベル×2
脇の下…というより、胴部の横に常に装備されているザフトレイ用のビームサーベル。
レジェンドではエネルギーケーブルがあったところにビームサーベルを装備したモノになり、ビームサーベルは『ダブルオースカイ』のモノを使用しています。
そして、特徴その3。
頭部に内蔵された隠し武器『額ビームサーベル』
額から近距離の敵に対して放出する隠しビームサーベル。ショットランサーやビームサーベルなどの格闘兵装が無くなった場合、敵に油断させる時に使用する……という想定で装備した武装。ゼロ距離で敵を真っ二つにする他に、敵に猛スピードで突っ込む際にも使用可能。
こちらは劇場版のとあるガンダムも使用していたので、こちらのザフトレイが初めて頭部に仕込んだ……と、こちらの設定ではそう思って頂ければいいかなと思います。
ここまで紹介したザフトレイですが、動力は一般機と同じバッテリー駆動。
運動性が高い一方で使用する武装が多い分、使用する武器によりエネルギーの消費が早いのがデメリットになります。
あと一つ紹介していないモノがあります。それは専用のストライカーです。
そのストライカーはザフトレイが起こす事故を止める為、ZTT隊が手元にあった急造パーツやプラント上層部が連合から入手した技術を利用して開発したモノ。
詳しい紹介の前に、ストーリーで登場させようと思います。
ザフトレイが起こした事故、そしてそのパイロットの苦悩をご覧下さいーーー
C.E.73年11月
再び戦争が本格的となる中、ザフトの技術試験部隊の一つであるZTT隊に新たな任務が与えられる。
「ザフト製アストレイ?そんな機体があったなんて……」
プラント本国に出頭する隊長のジナと前回報告書を書いたメモリーは上官から直接新たな任務を与えられた。
内容はザフトがザクと同時期に量産化を目指していた試作MS『ザフトレイ』の試験の続行、そして過去に起こした事故の原因を調べることであった。
「このMSが起こした事故の詳細は今渡した資料の中にある。まあ、あまり役には立たないだろう。担当した部隊は当時の事故で全滅したからな」
「事故とは一体どんな…?」
ジナが上官にそう聞くと、部屋に保安局の数名がある少女を連れて現れる。
その少女の手には手錠が掛けられており、まるで罪を犯したかのような雰囲気を漂わせていた。
「『エリッサ・ノルンバート』、ザフトレイのテストパイロットだった者だ」
「ノルンバートって…、えっ!?でも、なぜこの子に手錠を?」
名前を聞いて何かに驚くジナは上官にそう聞くと同時に、隣で資料を見ていたメモリーは事故の詳細を口に出す。
「『試験機によってその場にいた味方は全滅してしまう』、『原因不明により事故と判断』、それから…『試験機のテストパイロットの証言は…』……』
「『ザフトレイが勝手に動いた』、言えるのはそれだけよ」
資料の内容を口にするメモリーに『エリッサ』と名乗る少女はそう話す。暗い表情の彼女はそれ以上一言も語らなかった。
渡された資料によると、ザフトレイが対MS戦を想定した模擬戦に入った際、機体が『暴走』。パイロットの操縦を無視し、次々と味方機を撃墜してしまい、その場にいたザフトの部隊を全滅させる結果となる。原因は未だ不明で、パイロットの証言も不確かなモノ。ザフトレイはそれ以来『呪われたMS』としてプラント本国にて厳重に封印。更にパイロットのエリッサも『味方殺し』、『裏切りのコーディネイター』という悪名が付けられ、保安局に拘束された。当時、上層部はこれらの事態を事故として処理。ザフトレイは量産化の夢を断たれる結果となってしまった……とのこと。
だが、今回に限ってザフトレイは封印を解いた。パイロットと共にーーー
「エリッサ・ノルンバート、ザフトレイ!行きます!」
本国を後にしたZTT隊の艦はとある宙域にてザフトレイの試験を再開。パイロットはテストパイロットのエリッサ。
彼女が駆るザフトレイは手始めに、目の前の数多くあるデブリの岩に対して試験を行うのだった…。
「こちらメモリー・カロウ。試験を開始してくれ!」
「………」
「エリッサ・ノルンバート、返事は?」
「……了解」
観測としてメモリーの専用ザクが背後で待機。エリッサはあまり話したくない雰囲気を漂わせるが、ザフトレイの試験には付き合ってくれるのだった。
資料にあった『暴走』は今現在では起きる様子もなく、試験は順調に行われる。
最初は数多くある岩の中を猛スピードで移動しながら回避行動を披露。続いてロックした岩に目掛けて遠距離射撃を行い、破壊して散った破片を装備するショットランサーで全て機体に傷付かぬよう弾き返す……といった動きを見せた。
ザクのコックピットから観測しているメモリーはザフトレイの機動力と運動性に衝撃を受けていた。
「こんなMSが存在していたとは……。量産化されれば、連合とのパワーバランスが大きく変化していたのに…惜しいな」
「………」
観測を続けるメモリーのザクだったが途中、エリッサのザフトレイがザクをロック。ザクのコックピットからはアラームが鳴った。
「まさか、『暴走』!?」
「隙だらけね?裏切りの疑惑がある人間をMSに乗せるなんて」
これは『暴走』ではなく、彼女自身がしていることだった。
エリッサのザフトレイは武器を構えるが、未だ撃ってこない。もし裏切りであれば、すぐに攻撃しているはずだ。
「君は裏切り者ではない。その証拠に未だ撃ってこない」
「様子を伺ってるだけってことは考えないの?」
「それだけじゃない。事故の時も、ザフトレイがその場にいたザフトの部隊を全滅してしまった後も君は逃げなかった。保安局に拘束される時も嘘偽りもなく、ありのままを証言した。『ザフトレイが勝手に動いた』と。結果、誰も信じてくれなかったが……」
「アナタに…、アナタに何が分かるの!?裏切り者と言われ続け!嘘つきと言われた私に!私の気持ちなんか!!」
「………」
「もし信じる人がいるなら……お姉ちゃんかもしれない」
何も言わなくなるエリッサ。と、ここで通信が入る。
艦から様子を伺っている隊長のジナからだった。
『カロウ、今日はここまでだ。帰投してくれ』
これ以上の操縦はパイロットの精神状態の妨げになるとジナが判断し、メモリーも試験中止と判断。
エリッサとメモリーはそのまま艦に戻るのだったーーー
ーーーその頃、艦のブリッジで試験の様子を伺っていた隊長のジナは今回の試験について語りだす。
「今回の試験の再開はおそらく、今の状況下でザフトレイの量産の見込みを再認識させる為のモノだろう。事故の原因を掴み取れって命令もおそらく、量産化された時に取り除く必要があるからだ」
「だが、『暴走』とやらは未だ確認が取れていない。カロウのザクが近くにいても反応しないのなら、次は模擬戦で全MSを発進させ、そのまま全滅させるか?」
傍にいる艦長がそう言うと、彼女はある提案をする。
「事故が起きた宙域に行くか。事故当時の条件さえ揃えれば『暴走』が起きる可能性が大きいしな」
「どこの宙域だ?」
彼女はモニターで目的地をその場にいたクルーに見せる。
「ヤキン・ドゥーエさ。……と言っても、その付近だけどね」
気楽そうに語るジナの提案はこうだ。
ザフトレイの『暴走』を見るにはまず『暴走』を起こす必要がある。それには最初に起きた場所で、似たような条件を用意する。そうすれば、おそらくザフトレイは過去に起こした事故と同じ行動を行うことができ、ZTT隊も原因を突き止めることができるだろう…と。
どちらにしろ、その宙域に行く必要がある。
「それにしても、アイツの妹だとは……」
ジナはエリッサに何か思い詰める節を見せていた。
そして、目的地が決まったZTT隊はザフトレイの試験に相応しい場へと移動するのだった。
前大戦の最終決戦の場、ヤキンへーーー
移動中、格納庫ではーーー
「………」
格納庫では作業員がザフトレイの補給中に設計や開発経緯を調べるべく機体の各パーツを調べていた。『暴走』の原因が少しでも分かるだろうと今も調査中だが、何も出てこない。
そんな中、一人だけ既にパイロットスーツに着替えたエリッサがザフトレイの前で待機していた。彼女はZTT隊に引き渡されてからは手錠を外されおり、今現在も行動を自由にされている。
そんな彼女の前に、またしてメモリーが近づく。声を掛けるが応答せず、ただボーっと突っ立ってるだけだった。
「また黙りか…。仕方ないかもしれないけど、今回の試験でハッキリするはずだ。事故の原因、『暴走』の正体が分かれば…」
「また味方を撃てば確実に銃殺よ、私は……」
またしても暗い顔でこちらを見ないどころか、顔を逸らす彼女。
原因が分からず、今まで周りから『裏切り者』などと罵られたであろう彼女にメモリーはどう接するべきか分からずにいた。
「万が一、また『暴走』が起きても対策は考えてる。今、急ピッチでアレを製作してる」
「何アレ?」
ザフトレイの向かいであるモノを開発しているメンバー達の姿が見えた。
メモリーの話だと、上官からザフトレイとは別にあるモノを渡されていた。そのモノをメモリーはズボンのポケットから出して彼女に見せる。
「ディスク?」
「この中に入っているモノを利用して、ザフトレイの『暴走』を止める。その為のストライカーを今、手が空いてるメンバーと開発中なんだ」
「ザフトレイ用のストライカーパック?」
「まあ、このディスクの中身とあのストライカーはどれも連合のモノなんだけどね……」
完成まで少し時間が掛かると説明するメモリーに、エリッサはふと自分の話を語りだす。
自分と……亡くなったお姉さんの話を。
「私のお姉さんは前の大戦で亡くなったの。ヤキンで…、ゲイツに乗って……」
「知ってる。渡された資料に君のお姉さんのこともあって、少し調べたんだ。『アリッサ・ノルンバート』、フェイスに属するザフトの女戦士。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で、オーブのM1アストレイと相討ちになって戦死したという記録が……」
「………」
「すまない。ただ君が裏切り者じゃないと証明する為に…いや、ただの興味本位か。人として最低だな、俺は……」
そう自覚するメモリーだったが、エリッサは自分とお姉さんの話を語り続けた。
彼女の家は両親が早くになくなり、姉と一緒に暮らしていた。その生活が進んでいき、彼女のお姉さんはザフト軍に入ると突然妹に打ち明けた。妹の生活を少しでも楽にさせようとして選んだとのことらしい。だが、当時のエリッサは猛反対。更には喧嘩へと発展し『お姉ちゃんなんか大嫌い』やら『死にたいなら死ね』と言ってしまい、彼女の姉は妹の前から姿を消した。しばらくして戦いが終結し、彼女のところに知らせが来たのだ。ヤキンで姉が死んだという知らせが……。
「私は後悔した。私の言葉が本当になってしまったことに」
「だから姉と同じザフトに入った。そして、ザフトレイのテストパイロットに……?」
「試験する場所がヤキンの近くって聞いて、パイロットに志願したの。もしかしたらお姉ちゃんに会えるかもしれない。……ううん、会えなくてもどんな想いで戦っていたのか知りたかった。なのに、どうして…?」
死んだお姉さんを追いかけていた彼女が突然裏切り者として扱われる、一体誰が予想しただろうか……。
「君のお姉さんはアストレイと相討ちしたと言ったけど、躊躇わなかったのか?形は違えど、アストレイに乗るのは…?」
「お姉ちゃんは私やプラントの為に戦って死んだ。そして相手のパイロットも家族や仲間の為に戦って死んだ…。気にしていない…と言えば嘘になるけど……」
上手く答えが出ない彼女にメモリーは『もういいよ』としか言えなかった。
その時、ザフトレイの各パーツを調査していたメンバーの一人が頭部で何かを発見。
メモリーはすぐさま駆け寄り、確認することに。
なんと、頭部の内側がオーブのM1アストレイのモノをそのまま使っていたことが発覚。
更に、その頭部内部にあるハードウェアにプロテクトが掛かっており、それを解除するとそこにはとある戦闘の記録映像が残されていたのだ……。
「これはオーブと……コロニー・メンデル?そして、ヤキンでの戦闘の映像データ?」
メモリーは周りに集まる作業員達に見守られる中、いろいろと調べ始める。
なんと、この頭部に使われているM1はヤキンでの戦闘で撃墜されたモノで、ザフトは無事だったその頭部をザフトレイの頭部として外装を変えていたということも知る。
更に調べると、映像以外にも音声も一部ではあるが残っていた。前の戦闘での影響でなのか、一人の若い女性が仲間の名を呼ぶ声しか残っていなかった……。
『マユラ!』
『ジュリ!』
という声が。
これらのことからメモリーはザフトレイが起こした事故ついて分析し、そしてある答えに辿り着く。
「ザフトレイが起こした事故…いや、『暴走』の犠牲になったのはジンやシグー、ゲイツといった前大戦から存在しているMS。まさか、M1アストレイのパイロットの強い意志がザフトレイの『暴走』を起こした?」
メモリーの推測に周りは『まさか〜』という声ばかり。確かにあり得ないことで、非科学的な発想なのは確かだ。
だが、もしあり得るとしたらどうだろうか?死んだパイロットの意志というモノがMSに憑依したことでザフトレイの『暴走』が生まれたとしたら……。
メモリーの馬鹿げた推測で一同が大笑いする一方で、傍で話を聞いていたエリッサが話し掛けてくる。
「死んだパイロットの意志が事故の原因?」
「俺はそう考える。…確かに非科学的だけど」
「あの試験の時、ザフトレイは何かが取り憑いたかのように暴れた。操縦する私を無視して。もしかしたら、本当にそれがザフトレイを……」
「開発担当が死んでいる為、ザフトレイは開発や製造についても不明。だが、現に明らかになっていることがある。頭部はM1のモノを使っていて、そのパイロットの強い意志がハードウェアに残っていることだ」
その後、メモリーはブリッジでジナや艦長に説明。
最初は事実だけを話すつもりだったが、作業員達と同様でその場にいたクルーに非科学的だと言われる始末。
だが、ジナだけはバカにするようなことを言わなかった。
「パイロットの強い意志……か」
報告するメモリーがブリッジから去った後、ジナは上着のポケットからある手紙を取り出す。
その手紙には『妹のエリッサへ』と書かれていた。
「アイツから妹への意志、いつ渡すべきか」
ジナが取り出した手紙、それはヤキンでの戦いで戦死した『アリッサ』が妹宛に書いたモノ。
いつ妹のエリッサに渡そうかタイミングを考えるのであったーーー
ーーーしばらくして、ZTT隊は目的地に到着。
前の戦いで自爆したことで元ヤキン・ドゥーエがあった場所の付近とはいえ、かつて大きな戦闘が行われた場。辺りには当時の激しさを物語るかのようにMSや艦の残骸が漂っていた。
そんな宙域で、彼らは試験を行う。『呪われたMS』と呼ばれる機体の謎を明らかにする為に。
果たして、事故の原因は何なのだろうか。
「試験の準備に取り掛かる!ザフトレイは出撃準備に取り掛かれ!」
格納庫で顔を出すジナは作業員達にそう伝え、一時解散させる。
そんな中、ジナはエリッサに近づく。
「何ですか?」
「いつ言い出そうか悩んだけど、アリッサの妹だろ?」
「お姉ちゃんを知ってるの?」
「アカデミー時代の同期で、友人だ。前の大戦では違う部隊で、ヤキンの戦い前に会ったのが最後だった」
「そう…なんですね」
エリッサの姉との関係を伝えたジナは彼女に渡すべきモノを渡す。姉からの最後の手紙を……。
「これ……」
「お前の姉から預かってた手紙だ。渡そうとしたんだが、タイミングがな……。アリッサが死んだショックもあったり、当時の戦いの後始末やらで忙しくて渡す機会が無かったんだ。今更だが、ごめん」
「でも、どうして?私、お姉ちゃんに酷いこと言ったのに……」
「アリッサは妹のお前と仲直りしようと考えていたみたいだった。だから、手紙を書いたんだと思う。……まあ、出撃前でも試験後でも読んでやれ」
ジナはエリッサを残し、その場を後にする。
そんな光景を遠くから見ていたメモリーはその後のエリッサの様子を伺う。
最初は読もうか悩む彼女だったが、結局手紙を読み始める。しばらくして、彼女は姉からの手紙に涙を流してしまう。
「仲直り、できたのかな?」
「できたと思うぜ。なんたって、アタシの友人とその妹だからな」
「そうですか……って、うわっ!?隊長?」
「美しき乙女の会話を盗み聞きしてたのか?悪い趣味だね〜?」
「自分で美しき乙女って……」
メモリーのすぐ隣に移動していたジナは彼に見られていることに気づいていた。彼はジナが自分を『美しき乙女』と言ってることに笑いを堪えるのだった。
それはそうと、姉の手紙でエリッサの心の問題は解決できたと思った。誰もがそう思った。
その時、艦全体に警報が鳴る。
付近で連合艦が確認できたとのことだった。
ジナは急いでブリッジに上がる。
ザフトレイの試験は中止……かと思いきや、連合艦からMSが出撃。それは前大戦でもザフトが使っていたゲイツだった……。
「ゲイツが5機も?まさか、前の大戦で鹵獲したゲイツをナチュラル用に改良したのか?」
格納庫の小さなモニターで外の様子を伺うメモリーはブリッジに通信で連絡する。
「こちらメモリー・カロウ。ザフトレイの試験中止を申し立てます!このままでは試験ではなく、実戦になってしまいます!」
『そうだな。試験を中止にーーー』
ジナが言おうとした瞬間、格納庫で大きな音が響いた。
格納庫にいたメモリーが振り返ると、ザフトレイが動き出していた。
「エリッサ、中止だ!これは命令だ!」
「私、ここにいるけど」
メモリーや周りの作業員達はすぐ傍にいるエリッサの姿に驚いた。
では、誰がザフトレイを……?
「誰が動かしてる!?」
「コックピットが開いたままです。中に人はいません!」
作業員の一人が指差して教える。このことから考えられるのは一つだけ。
『暴走』、それ以外に考えられない…。
「連合が使うゲイツに反応したのか?それとも、ヤキンの近くだから反応したのか?」
メモリーはザフトレイの『暴走』の条件を冷静に分析。
そんな中、ザフトレイは武装のショットランサーとバズーカ、シールドを装備し格納庫から出ようとしていた。
ここで、一人の少女がザフトレイの前に移動する。
『カロウ!今の状況はどうなってる?ザフトレイは?』
「隊長!それが…エリッサがザフトレイの前に……」
『止めさせろ!エリッサを死なせるな!!場合によってはザフトレイの破壊も許可する』
ブリッジからそう命令するジナ。
友人の妹を死なせたくないと思ったのだろう……。
メモリーは急いで自分のザクに乗り込もうと考えるが、距離からして間に合わない。
「カロウ!ストライカーを使え!!」
ここで開発中だったストライカーがちょうど完成した。
作業員の中で中年のおやっさんとも言える人物の言葉を聞き、メモリーはすぐさまストライカーに乗り込むのだった。必要なディスクを取り出して。
「間に合え…!間に合え…!!」
その頃、エリッサは勝手に動くザフトレイに話し掛けていた。
「私はアナタのせいで酷い目に遭ったの。お姉ちゃんに会えるかもしれない、そう思ってアナタに乗った。なのに、味方を殺してしまった。アナタを恨んだわ。でも、アナタは今でも戦っていたつもりだった。違う?」
エリッサはここでジナから渡された手紙を取り出し、ザフトレイに見せつける。
ザフトレイは彼女の話を聞くかのように、その場で止まる。
「お姉ちゃんからの手紙。ここには自分が死ぬかもしれないって書いてあった。そして、こうも書いてあった。『もし私が死んでも相手を恨まないで』って」
『………』
「戦争をするのは自分勝手の人もいれば誰かの為に戦う人もいる。お姉ちゃんも私の為に軍に入って死んだ。アナタに殺されたのかどうかは分からない。けど、私は許そうと思う。あの時の戦争は終わってるから……。
アナタの戦争は終わったの!もうオーブや世界の為に戦わなくてもいいの!」
エリッサの言葉に何の反応も見せなくなったザフトレイ。
その隙に、背後からメモリーが搭乗するストライカーがザフトレイに合体する。
同時にザフトレイは完全に停止し、『暴走』を止めることに成功した…。
「『サプレスストライカー』、間に合ったか……」
「……行きます、私。ザフトレイと戦場に!」
「だが、これ以上は試験の範囲を……」
エリッサの目をモニター越しで見るメモリーは彼女の覚悟を理解したのか、それ以上何も言わなくなる。彼女は機能停止したザフトレイに搭乗し、出撃準備に入った。
ザフトレイ、対MS戦を行う…。
「エリッサ・ノルンバート!」
「メモリー・カロウ!」
「「行きますっ!!」」
ザフトレイは連合に堕ちたゲイツ相手に試験を行った。『サプレスストライカー』を装着した状態で……。
その後、ザフトレイはその場に現れたゲイツ5機全てを撃破。
連合艦も撤退し、ZTT隊は追撃をしないまま戦闘を終了。同時にザフトレイの試験も終わりを告げた……。
帰投するザフトレイ。その最中、メモリーとエリッサは会話する。
「『暴走』が起きる様子は無いな?」
「一体何が?このストライカーにはどんな力が?」
「上官から渡されたディスク、その中には連合の『量子コンピューターウイルス』というモノが入っていたんだ」
メモリーは『サプレスストライカー』について説明する。
『サプレスストライカー』、『抑制』や『鎮圧』を意味するストライカーは連合の『レイダー』のバックパックをザフトレイのストライカーとして改良したモノ。武装を多く持つザフトレイは使用する武器によりエネルギーの消費が早い為、対策として十分なエネルギータンクを積んでいる。また連合の『量子コンピューターウイルス』をシステムとして加え、それを利用することでザフトレイと合体時、『暴走』を抑制に成功。しかし、抑制目的の為、敵MSに誤作動を起こさせたり支配下に置いたり、映像や音声の詐称といった本来のコンピューターウイルスとして使用できなくなっている。ディスクに入っていたのはウイルスのほんの一部に過ぎなかった為である。
エネルギーの増大やウイルスの搭載によってか、ストライカー合体時の機動力は合体前と変わらない。しかし、重力化での空中戦が可能となっている……とのこと。
メモリーは説明を終える頃、エリッサは出撃前のことについて語りだす。
「『パイロットの意志が憑依している』って言ってましたね?」
「非科学的だけどね」
「あの時のザフトレイ、私の話を聞いてくれた。あの時の戦争はもう終わった、その言葉でザフトレイは動かなくなっていた……」
「『モノには魂が宿る』ってヤツか?ザフトレイが動いていたのはパイロットの意志でなのか、それとも自我に目覚めたのか…。今となっては誰にも分からない」
メモリーがそう言うが、エリッサには分かっていた。
どちらにしろ、前大戦で死んだ人の想いから始めっていたことに……。
「呪いなんてなかった!祈り…、想いだったんだ!!」
エリッサのこの言葉はメモリーだけでなく、格納庫にいる作業員や艦のブリッジにいるクルーにも伝わっていた……。
その後、メモリーはザフトレイの報告書を書く。急ピッチで開発したサプレスストライカーから観測したザフトレイの戦闘報告はもちろん、ザフトレイが起こした事故の原因についてもーーー
『過去に起きた事故はザフトレイの頭部がM1アストレイのモノを使っていたことが原因と見える。その頭部に残されたハードウェアの記録からザフトレイの頭部は第ニ次ヤキン・ドゥーエ攻防戦での戦火の中、儚くも散ったオーブのM1アストレイ隊『アサギ・コードウェル』の機体のモノだったことが分かった。どういう経緯でザフトレイの頭部にしたのかについての詳細は明らかになっていない。しかし、それが原因で『暴走』が起きたことは間違いない。『呪われたMS』。その呪いの原因とも言える『暴走』は今回開発した専用ストライカー・サプレスに搭載した連合の量子コンピューターウイルスを用いたことで抑制することができ、更には予想外とも言える連合に鹵獲されたゲイツ5機を単機で撃破したという成果を挙げた。だが、正直言ってどう評価すべきなのかが分からない。パイロットのエリッサ・ノルンバートが言った『呪いではなく祈り、想いである』という言葉を聞いてしまってから………』
メモリー・カロウは今回の報告書をジナに確認した後、プラント本国へ提出。
その後、本国から連絡が来る。
その内容はこうだった。
『今回をもってザフトレイの試験は終了とする。今後、ザフトレイとそのパイロットはZTT隊護衛として配備するように。以上ーーー』
とのこと。
エリッサの罪は上官の計らいにより不問となるが結局、ザフトレイは不採用機として量産化は認められなかった。ザフトにオーブ、更には連合の技術を網羅したとも言える機体の量産化などプラント上層部が認めるはずもない。
また、『暴走』についても上層部は作り話として扱うのだった。
記録には残らないことだとしても、この目で見た人達の目には残るであろう。
ザフトレイというパイロットの意志が憑依したMSの存在を……。
C.E.73年11月
戦争はまだ始まったばかりだ。
『エピソード オブ メモリー 第2話:呪いは祈りなり』
と、ストーリーはここまで。
ザフトレイは今後、『暴走』が起きないようサプレスストライカー装着のまま活躍していく……という流れになります。サプレスを外すと再び『暴走』するかについては不明……ということでお願いします。合体している間はウイルスが働いてますので。
ZTT隊の新メンバーも加わり、メモリーの物語は進んでいきます。
さて、ストーリーに登場したサプレスストライカー装備状態についても説明しようと思います。
ストーリーでも紹介した通り、量子コンピューターウイルスを利用してザフトレイの『暴走』を止めるという目的で製作したストライカー。重力化では空中戦が可能となっており、エネルギータンク内蔵でエネルギーの増大により合体前より長時間の戦闘が可能となった。しかし、機動力は変わっていない。
このストライカーはストーリーにもあったように、『レイダーガンダム』のモノを使ってます。旧キットのモノになりますが…。
こちらは合体時、ウイングがスラスターとぶつかる為、角度を変えての合体になってしまいました。
あと、『暴走』についても少し説明します。
こちらは宇宙世紀のシステム『EXAM』をオマージュしたような設定です。ザフトレイの頭部は前大戦で戦っていたM1アストレイの頭部を外装だけ変えただけのモノ。ストーリーにもありましたように、かつてのパイロット『アサギ・コードウェル』の意志や想いがMSに憑依し、当時の時代のMSに反応してしまう…という現象が起きるというモノ。
サプレスストライカーによってその現象を起きなくなりましたが、ストライカーを外すと再び起きるのか?今後外す機会が訪れるかは……今の段階では分かりません。でも、このザフトレイはメサイアの戦いまで戦い抜く予定でいます。
これからも『エピソード オブ メモリー』を宜しくお願いします。
今回はここまで。
メモリー専用ザクウォーリアとのツーショットで終えようと思います。
次回は『父の日』として父親に贈るガンダムを投稿しようと思います。では、次回も宜しくお願いします。
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どうも!初めまして。ただの通りすがりのガンダム好きです。
子供の頃からガンプラ作りを趣味にし、10年くらい前にはミキシングに目覚めました。プロというよりは素人程度の技術力ですが、どの作品にも出ていないオリジナリティ溢れるガンプラを少しずつですが投稿するつもりです。
宜しくお願いします。
ちなみに作品はSEED DESTINYが好きで、中学の時には『メモリー・カロウ』と名乗っていた時期がありました。当時は専用のザクを考えており、ストライクフリーダムと互角に渡り合えた…という妄想設定を考える程にガンダム好きでした。最近は『X(クロス)』という名前になったりしています。X(クロス)とメモリーは作品紹介で登場する予定でいますが、性格が違うことから全くの別人ということで承諾して頂くとありがたいです。
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