魔女とガンダム

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UC.0095.12月7日。サイド6イズマコロニーに現れた謎のガンダムに対処するべくリボーコロニーより派遣されたサイド6軍警察特殊急襲部隊、通称”SAT”のパイロットであるシイコ・スガイは前回ガンダムが姿を現した宙域を装甲機動隊のネモと共に哨戒していた。

[スガイ隊長。例のガンダムってアクシズの時に消えたアムロ・レイ大尉じゃないかって噂ありますけど、どう思います?ロンド・ベルで一緒だったと聞きましたが]

部下からの問いに彼女は苦笑した。

[アムロさんは同僚でしたが、そこまで親しくなかったので。それに…]

その先を言いかけたがシイコは話題を変えた。

[私語はここまでにして任務に集中しましょう。私はさっさとこの任務を終えて”坊や”のクリスマスプレゼントを選ばないといけないので]

その時だった。

[ミノフスキー粒子探知!…このプレッシャー…ヤツがいる!]

シイコは僚機に本部への指示と応援要請を任せると、スロットル全開でその機体がいる方向へ愛機のガンダムMk-Ⅱを向かわせた。

[もし本当にアレの中身が赤い彗星なら…]

その時シイコは無意識のうちに口元に笑みを浮かべていた。

シイコはニュータイプに懐疑的であった。かつての一年戦争ではWB隊の一員としてシャアのジオングの脅威を、グリプス戦役ではエゥーゴとしてカミーユの行く末を、そして第二次ネオ・ジオン抗争ではロンド・ベル隊としてアムロ・レイが見せた奇跡を間近で見た。確かにニュータイプと呼ばれる人々には不可能を可能にする何かがあるのかもしれない。しかし、同時に彼女はこうも考えていた。もし、あの全てがニュータイプの力が見せたものだとしたら、なぜアムロ大尉が命と引き換えに起こしたアクシズショックを見ても人は変わろうとしないのか?ニュータイプが不可能を可能にする存在ならば、なぜカミーユを壊してしまったのか?結局ニュータイプもこの世の理不尽には贖えない存在。望むもの全てを手に入れる選ばれた存在ではないと。だから彼女は自身がニュータイプではないかと言われるたびに違うと返した。あのアムロやクワトロ・バジーナと名乗っていたシャアに対しても。だからアクシズショックの後に軍を退役して家庭を持った。ニュータイプは特別な存在ではないと納得した。だが…。そしてシイコの視界にあの

シイコはニュータイプに懐疑的であった。かつての一年戦争ではWB隊の一員としてシャアのジオングの脅威を、グリプス戦役ではエゥーゴとしてカミーユの行く末を、そして第二次ネオ・ジオン抗争ではロンド・ベル隊としてアムロ・レイが見せた奇跡を間近で見た。確かにニュータイプと呼ばれる人々には不可能を可能にする何かがあるのかもしれない。しかし、同時に彼女はこうも考えていた。

もし、あの全てがニュータイプの力が見せたものだとしたら、なぜアムロ大尉が命と引き換えに起こしたアクシズショックを見ても人は変わろうとしないのか?ニュータイプが不可能を可能にする存在ならば、なぜカミーユを壊してしまったのか?結局ニュータイプもこの世の理不尽には贖えない存在。望むもの全てを手に入れる選ばれた存在ではないと。

だから彼女は自身がニュータイプではないかと言われるたびに違うと返した。あのアムロやクワトロ・バジーナと名乗っていたシャアに対しても。

だからアクシズショックの後に軍を退役して家庭を持った。ニュータイプは特別な存在ではないと納得した。だが…。

そしてシイコの視界にあの"ガンダム"が見えた。機体は確かにRX-78。でも、感じるプレッシャーはアムロとは違った。

[…アムロ大尉じゃない。という事は…。ようやく会えたわクワトロ大尉。いえ、赤い彗星!!]

そして肉薄したシイコは"スティグマ"を内蔵したシールドを"ガンダム"へ向けた。

[だめだ…あの位置では援護できない]司令部への連絡を済ませた第1装甲機動隊所属のパイロット、サトシ・カワマタは宙域を光りのように激しく交差するシイコとガンダムを追えなかった。カワマタも装甲機動隊以前は88艦隊所属としてアクシズショックにも立ち会ったベテランパイロットだったが、この2機は次元が違った。自分ならもう何度撃墜されてるかわからないほどの戦闘機動。シイコの一撃をまるで背中に目でも付けているのではないかという動きで受けるガンダム。今のカワマタには見守ることしかできないのか?[隊長!牽制射撃をかけます!]しかし、[邪魔をするな!コイツは私が仕留める!!]シイコはそれを拒絶した。さらに、[ガンダムのパイロット聞こえるか!?お前が選ばれた存在ではないと証明してやる!!][隊長!何言ってるんですか!?隊長!!]その時、カワマタ機に追いついた応援機が到着し、接触回線で緊急連絡を伝えてきた。

[だめだ…あの位置では援護できない]

司令部への連絡を済ませた第1装甲機動隊所属のパイロット、サトシ・カワマタは宙域を光りのように激しく交差するシイコとガンダムを追えなかった。カワマタも装甲機動隊以前は88艦隊所属としてアクシズショックにも立ち会ったベテランパイロットだったが、この2機は次元が違った。自分ならもう何度撃墜されてるかわからないほどの戦闘機動。シイコの一撃をまるで背中に目でも付けているのではないかという動きで受けるガンダム。今のカワマタには見守ることしかできないのか?

[隊長!牽制射撃をかけます!]

しかし、

[邪魔をするな!コイツは私が仕留める!!]

シイコはそれを拒絶した。さらに、

[ガンダムのパイロット聞こえるか!?お前が選ばれた存在ではないと証明してやる!!]

[隊長!何言ってるんですか!?隊長!!]

その時、カワマタ機に追いついた応援機が到着し、接触回線で緊急連絡を伝えてきた。

激しくぶつかり合っていたシイコとガンダムだったが、機体の限界がシイコ機に迫っていた。コックピットでは既に警告音が鳴り、特にスティグマ攻撃の軸となる左腕の損傷が深刻で、いつ分解してもおかしくなかった。次の一撃で決めると決意したシイコは、[私のために死んで!ニュータイプ!!]咆哮して最後の一撃を振り上げようとした。その時だった。 [僕はまだ死ねない。ガンダムがそう言っている] 彼女の頭に謎の少年のビジョンと声が聞こえた。[誰!?]シイコは思わず機体を止めてしまった。その隙にガンダムは上を見上げると光のような速さでどこかへと消えていった。

激しくぶつかり合っていたシイコとガンダムだったが、機体の限界がシイコ機に迫っていた。コックピットでは既に警告音が鳴り、特にスティグマ攻撃の軸となる左腕の損傷が深刻で、いつ分解してもおかしくなかった。次の一撃で決めると決意したシイコは、

[私のために死んで!ニュータイプ!!]

咆哮して最後の一撃を振り上げようとした。

その時だった。

 

[僕はまだ死ねない。ガンダムがそう言っている]

 

彼女の頭に謎の少年のビジョンと声が聞こえた。

[誰!?]

シイコは思わず機体を止めてしまった。その隙にガンダムは上を見上げると光のような速さでどこかへと消えていった。

[待て!!]シイコはすぐにガンダムを追おうとしたが、追いついてきた部下に止められた。[隊長。司令部から優先命令です。直ちに帰投せよとの事です][なぜ!?][ロンド・ベルが宙域に到着しました。それに隊長の機体の損傷では追撃は無理です]部下に言われてシイコは改めて機体を見た。左腕は形を留めているだけで最早使い物にならない。モニターは警告だらけ。確かにこの機体ではこれ以上戦えない。さっきガンダムが見上げた方向を見ると1機のMSがガンダムを追っていた。恐らくそれがロンド・ベルの機体なのだろう。シイコはヘルメットを脱ぐと深呼吸した。[そうね…。危うく

[待て!!]

シイコはすぐにガンダムを追おうとしたが、追いついてきた部下に止められた。

[隊長。司令部から優先命令です。直ちに帰投せよとの事です]

[なぜ!?]

[ロンド・ベルが宙域に到着しました。それに隊長の機体の損傷では追撃は無理です]

部下に言われてシイコは改めて機体を見た。左腕は形を留めているだけで最早使い物にならない。モニターは警告だらけ。確かにこの機体ではこれ以上戦えない。さっきガンダムが見上げた方向を見ると1機のMSがガンダムを追っていた。恐らくそれがロンド・ベルの機体なのだろう。シイコはヘルメットを脱ぐと深呼吸した。

[そうね…。危うく"坊や"の所に帰れなくなるところだったわ…]

そしてシイコは損傷した機体と部下たちと共にイズマコロニーに帰投する事となった。

コメント

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  1. 色んな要素をミックスした読み応えある物語でした ありがとうございます ガンプラとifストーリーを組み合わせた投稿が増えるのは素敵なことです こちらのシイコの先が気になりますね

    • こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございます😊本編でのシイコ・スガイの描写を観ていて”もしかしたら立ち止まれたパターンもあったのではないか?”と思い作りました。因みにこの世界線でのシイコはガンダムと戦いながらも最後まで生き残る予定です。

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