忍術書を参考にしつつ誇張や脚色を加え、史実から逸脱し過ぎないよう注意しながら、独自の発想でダイバーアヤメの表現を試みました。
くノ一ではなく久ノ一の表記なのは、実在した忍術「久ノ一の術」より。
くノ一とは女を指す隠語であり、女忍者の意味は元々ありません。くノ一を忍びに入れる術で、それを女忍者として実在したか否かは諸説あり、実在したと仮定して製作しました。名前も平仮名にして柔らかく。
※以降 長文につき ご注意ください
余剰パーツを中心に構成し、全体的に地味めな色で部分塗装。大部分は成型色そのままですが、今回はつや消しクリアーを使っています。衣装は装束から上衣のように変え、普段着っぽくして肌の露出を最小限にしました。髪の色と眉毛は黒に限りなく近い灰色のニュートラルグレーⅤに、髪留めは暗い赤のあずき色に、足は草鞋っぽく土草色に、腰巻は彩度を落とした灰色に。
「久ノ一の術」とは陽術(素顔で堂々と敵中で活動する術)の一種で、適切な方便でくノ一を敵の奥深くに入れ、奥方の従者になれば術は成功します。または女中として敵方の城に潜り込み、動静や秘密を探って報告等。
隠密で潜入ではなく正面から堂々と入り込むため、コソコソする必要も無いのです。陽術は時間をかけて確実に成功へと導きます。
内部フレームはペールオレンジをベースに、肩口を余剰パーツのパープルに変えています。腕とのボールジョイント接続を違和感なくするため。目立つマフラーは無くして襟元をスッキリと。
この状態でも背面の3mm拡張基盤は一応使えます。ただし引っ掛かっているだけなので無理なポージングをさせると簡単に外れます。
肩と上腕を余剰パーツにしていますが、モールドと割り切っています。他に使えそうなパーツは無く、埋めると全塗装必須になってしまうため。
ポーチ接続部は不要なので、0.2mmプラシートを巻き付けて接着し、塞ぎました。逆に腰が太く見えるようになった気もしますが、多分気のせいでしょう。きっと錯覚に違いない。うん。
聖域は紺から白に。目立たなくするなら紺でも良いのですが、逆に目立ちそうな気がして普通にしました。忍者と仮定しつつも梵字デカールは流石に使いません。あくまで一般人の立ち位置。
もし武器を使うのであれば、潜入時の身分に応じた相応の物を使います。例えば包丁で、台所にあります。苦無のような使い方で刺突も出来ますが、耐久度に難ありますし、抜き身で持ち歩くわけにも行きません。理由付けして持ち歩く必要。武器を使わない状況作りが大切と思われます。
農民や労働者として送り込まれたのであれば、農耕や採掘のお供に変形メイス。折り畳みが出来て怪しまれ難い特徴があります。
背負って持ち歩けますが、包丁以上に相応の理由付けが必要になります。大きさ・重さ・金属音も課題に。
諜報活動や隠密行動時も、素顔で行動。従者や女中として敵方から信頼を得ていれば、怪しまれる行為しない限り堂々と拠点内を歩けます。変装術の【七方出】の一種「常の姿」にも通ずる所があると思われますし、臨機応変に立ち回れます。常に周囲に気を配り、不審に思われないよう堂々と行動するのが肝要。
既に潜入済みの忍者と連携するなら、ちぇーんまいんも有効かと思われます。考えようによっては、史実のような忍器の代用も可能かと。
この「HG ケンプファー」のチェーンマインは、グリップにあるダボを落とすだけで、ダイバーアヤメの手首でも持てます。
例えば、本来のチェーンマインのように壁や破壊対象にくっつけて起爆。これは連続的に轟音を発する、爆竹に類似した花火「百雷銃」の応用。時限式なら遠隔操作も可能。
個別に使うのであればランドマイン化させ、設置型地雷「埋火」の応用。地面や地中に設置して上に草や土をかけて隠蔽し、相手に踏ませて起爆。忍者ゲーム作品にもよく登場します。
使用後の縄(リード線)も、あらゆる忍器に転用可能。縄梯子や即興の登器作り等何でも役に立ち、小さくまとめて袖の中にでもしまっておけば持ち運びも容易。意外と使い道ありそうな便利武器。
最大の問題点は、どうやって持ち込むか?
変形メイスもチェーンマインも144倍するとアレですが、ダイバールックであれば等身に合わせたサイズになると思われますので、そんなに大型化しないはず。そう仮定した上で史実の「隠蓑の術」を応用します。
読みはそのままカクレミノですが、現代的な隠れ蓑の術とは全く違います。光学迷彩マントでも背景同化の壁紙でもありません。
「隠蓑の術」とは、敵地に顔見知りが多く、他の方法では侵入し難い時の極秘な謀計であり、先述の「くノ一」と相図して行います。簡単に言えば、二重底の荷物に紛れて人を潜入させる術。
くノ一が奥方の従者であれば「宿に預けていた荷物を取り寄せたい」と進言。誰も彼女が忍者とは疑う事も無く、奥方の命であれば尚更信じきるでしょう。事前に門番にはその旨を伝えておき、上は衣装でも重くなるので二人で運びます。女性の荷物だから検査も甘いのが特徴。
以上の術を使えば、どんなに厳しい城でも潜入できるそうです。
人を潜入させる術であるなら、人間よりも小さく軽い(であろう)道具の持ち込みは容易なのではないでしょうか?
変形メイスなら折り畳み、チェーンマインなら画像のようにまとめたり束にしたり、リード線から分離するなどして必要数を仕込めば、同じように持ち込めるかもしれません。
ただし、ガンダム世界観のようなSFだと赤外線チェック等でバレると思われるので、時代相応の忍術でしょうね。現代式でも空港の金属探知や税関みたいに厳重なら即バレます。
難しい話はココまでにして、一部の作業工程。
上衣のマフラー接続部を落とし、V字に加工します。
裏側から形状に合わせて切り取った「ミニ四駆スタイリングメッシュ」を接着し、後から塗装。焼鉄色に塗って鎖帷子のようなインナー化。
ただし内部は一切作り込んでいないため、覗き込みは厳禁。暗黒面が広がっていますので、あやめさんに正面から笑顔で刺されないように。
腰巻には0.2mmプラシートを巻き付けるように接着。0.2mmの厚みは出るものの、パテやプラバンを使わないならお手軽工作でお勧めです。
Pカッターのような特別な道具も必要なく、ハサミで好きな形に切り取って曲げられ、PS素材なので塗装も問題ありません。ただし、2枚セットで500円前後と比べて高め(wave製の場合)
プラバンの相場は忘れましたが、多分それより高いはず。
筆で部分塗装。つや消し剤もラッカー性のは成型色に、水性のは塗装後にと毎回使い分けています。もちろん全て筆塗りで、スプレーによるトップコートを最後にしたのは10年以上前かもしれません。
ニュートラルグレーⅤは黒に限りなく近い灰色であり、黒色は月明かりで輪郭が照らされて不利な点から、独自の忍者表現にも使い易いのではと思われます。その割に最近使い始めたばかりなのは内緒。大好きな濃紺ばかり使っていますねぇ…
前作の『九ノ一ナミ』と。
同じ「ダイバーアヤメ」を素体としながら、このナミや本来のアヤメとは全く異なる表現にしてみました。こちらでは特徴的なマスク顔も一切使っていません。また、ナミを忍者化した事によりアヤメさんの頭部が余剰になる事も無くなり、表情変更用として気軽に使えるように。
投稿作品として動きも華もありませんが、敢えて平民寄りな表現もありかなと。最初は本格忍者化と並行してアヤメさんを農民化させる案もありました。流石にマニアック過ぎて没に。
(ダイバーナミの究極ニッパー槍を枝切り鋏としたり、鉄血オプションセットのクワやツルハシを持たせる予定でした)
くノ一の余談。歴史的に忍者が活躍した当時の女性は「姦しくて拙く、知恵も口も浅く、心変わりが激しい」とされていたようです。故に女性の忍者は適さないと判断されていたのかも?
女忍者の存在は史料に記録なしと言われており、くノ一が女忍者の意味で普及したのは1960年代以降の創作物との説あり。
現代の創作物において、くノ一達が敵に捕らえられ、尋問や拷問を受けて機密を白状したり寝返る描写が多いのは、もしかしたらこういった時代的な背景が反映されているのかもしれませんね。
フェイスパーツに水転写デカールを使うのは初めての試みで、最初に台座側で練習してから本番に臨みました。普段からワンポイント程度で使っていた事もあって意外と簡単でしたね。フィギュアライズでは瞳が別パーツ化されていて、睫毛にもモールドがあり、位置修正も容易でした。他社製ではこうも簡単には行かなそうなので、練習あるのみかなと。
以上になります。長々と専門的な説明を連ねてしまい、失礼しました。
流石に忍者MSとは言えず、モビル少女でも無理があり、今回は普通に。
忍術書を参考に、ダイバーアヤメの独自表現を試みました
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つや調整を含め基本的に全て筆塗りで何かを量産しています。独自解釈も多々あって伝わり難く感じられるかもですが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。最近は低浮上気味ですみません。
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