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レクチャー:今更聞けないガンプラ用語講座
なんとなく思いついた、今更聞けないガンプラ用語講座。自分で思い付いておいてアレですが、それこそ今更ながらガンプラ製作者がよく使う単語を纏めてみました。
○素組みとパチ組み
同じように見えて微妙に違う用語の代表例。
パチ組みは文字通り、ランナーから部品をパチパチ切り離し、ガンプラの箱内にある部品とシールだけでストレートに組み上げる作成方法。
素組みはパチ組みの状態からさらにスミ入れや部分塗装など、成型色を活かしつつ最小限の塗装を施す作成方法。よくパチ組みと表現を間違われる。
○バリとヒケ
どちらも工場生産時に発生しやすい整形不良。
バリは金型にプラスチックやレジンなどを流し込む際、金型同士の結合部の隙間までプラスチックが流れ込んでしまい、そのまま硬化してしまった状態。
早い話がたい焼きの耳。たい焼きならお得感があるが、ガンプラだと処理がめんどくさい。
なお、「バリっている」という表現は整形不良のことではなく、アニメーターの大張正己氏が描いたイラスト、またはそれに近いものを指す。
※大張正己…独特なアレンジで直線的なフォルムのロボットでさえ筋肉モリモリマッチョマンに変貌させる凄腕アニメーター。「サンライズ立ち」「勇者パース」で有名な剣の構えの作画を勇者シリーズで作画担当した経緯から、中国では「大張一刀流」の師範として崇められているらしい。
ヒケはプラスチックやパテなどが硬化する際に
素材が縮んでしまい、一見平らに見えてもわずかに歪んでデコボコが発生してしまう状態。
小さい凹みならヤスリで慣らして均一にすれば良いが、大きい凹みはパテを埋めてから慣らさないと均一になるまでに厚みが減って破損の原因になる割と厄介なやつ。
○合わせ目消しとモールド
合わせ目消しは、最近のガンプラでは分割ラインの変更やデザインに取り入れることで減ったが、パーツ同士を組んだ際に本来は有り得ない位置に出てしまう分割線を接着剤やパテでくっつけて埋める作業。迂闊にくっつけると塗装の際に分解できなくなりマスキング地獄が待っているので注意。
モールドは逆に装甲の合わせ目を作るためにパーツを彫り込む作業。18m級のMSの装甲が1枚の板ではなく複数の板を繫ぎ合わせているという解釈から、よりリアルさを求めた作例。情報量が増えてかっこよく見える反面、左右対称に彫り込むには熟練の技が求められるし彫りすぎると強度が落ちる諸刃の剣。シロウトにはオススメできない。
○ウォッシングとチッピング
どちらも完成品のガンプラを汚してよりリアリティを出すための表現技法。
ウォッシングはサビ、砂、泥汚れやバーニアのスス汚れなどを表現する塗装。
超硬スチールはともかく、ガンダリウム合金などの特殊合金が錆びるのかは永遠の謎。
チッピングは小石がぶつかったり擦れなどで表面が傷つき、塗装が剥げた状態を表現する塗装。
相転移により装甲表面の色が変わるフェイズシフト装甲に塗装ハゲの表現を行うのが果たして正しいのかと今も議論が尽きない。
○ミキシングとスクラッチ
ミキシングは複数のガンプラパーツを組み合わせて作成する技法。既存のプラモデルのパーツの一部を加工してオリジナルパーツを作る場合もこちらに該当する。
左右対称のパーツなどでも高い精度で作れる利点があるが、形状が近いパーツがないと理想形がなかなか作りづらい欠点もある。
スクラッチはプラ板、パテ、レジンなどを用いて1からパーツを作成する技法。
既存のガンプラの一部に用いる場合はセミスクラッチ、全て自作する場合はフルスクラッチと呼ぶ。
作るには高い技術が必要で左右対称に作るのは難しいが、理想形が作りやすく、最近では3Dプリンタのおかげで敷居が低くなりつつある。それよりビルドダイバーズに出てたパーツビルダー売ってくださいバンダイさん。
かつては木や鉄でフルスクラッチした猛者もいたとかいないとか。プラモデルとは一体…
○PSとPEとABSとKPS
ガンプラの箱の横に書かれている、対象ガンプラに使用されている素材の表記。
PSはポリスチレン、またはポリスチロールの略。
ガンプラで一番使われており、塗装や加工、接着がしやすい素材。
強度の不安はあれど、弱点らしい弱点はない素敵素材。
PEはポリエチレンの略。
ポリキャップに使われ、柔らかく復元性もあるため関節の軸受けとして重宝する素材。
塗装や接着ができないと思われがちだが、プライマーや専用接着剤があれば一応可能。
KPSの登場により活躍の場は減ったが、まだまだ現役。
ABSはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの略。
強度が高いため1/100以上の重量があるガンプラや可動域が多くてパーツが小さいRGのフレームなど、強度が求められる箇所に使われる素材。
他素材と溶剤による接着はほぼ出来ず、シンナーを含む塗料を塗ると割れるため塗装が難しい、摩耗しやすく関節に使われるとすぐ緩くなることが欠点。塗装派、改造派から不人気。とりあえずHGエクシアのABSは早くKPSに変更するかREVIVEしてください。
KPSは強化ポリスチレンの略。Kは日本語なのかよ。
PSより粘りがあり、柔らかく割れにくい、加工もしやすくPSと接着もできる新素材。ポリキャップが入る隙間がないような関節にも使えるため最強にも思えるが、白化しやすい欠点もある。
パッケージ上はPS表記なので分かりづらいが、光沢がないグレーの最近の部品は大体KPS。
○水性塗料、油性塗料、エナメル塗料
ガンプラの塗装によく使われる塗料。
水性塗料は安価で入手しやすい、保管もしやすく刺激臭も少ないためお子様がいる家庭や近所の目が気になる場合でも安全に使用可能。
金属の場合は塗料が弾かれてしまうため向いていない、油性より乾燥時間が長い、時間が経つと光沢が落ちやすい、下地の影響を受けやすいという欠点はあるものの、プラスチック、かつ、つや消しを吹く予定があるなら欠点にならない利点がある。
また、水性というからには水をつけると色落ちするのではと思う人もいるが、完全に硬化すると水はおろかシンナーでも落ちることはなく、逆に硬化後はどうやってもほぼ落ちないので塗膜を剥がす際は削り落とす必要がある。硬化前なら浴槽洗剤に浸け置きで落とすことが可能。
油性塗料はプラスチックへの食いつきがよいため塗装が定着しやすく、乾燥も早い、ツヤも出る利点がある反面、シンナー臭が強く保管にも気を使う必要がある。
水性塗料と違い、時間が経ってもラッカー薄め液に浸け置きすれば簡単に塗装を落とすことが可能。
エナメル塗料はスミ入れによく使われ、乾燥時間が長いが重ね塗りが少なくても発色がよいのが特徴。
塗膜は弱いですが油性塗料と相性がよく、油性塗料を溶かさないので塗装したパーツの溝に流し込んだあと余分を拭き取っても塗装面に影響が出ない利点がある。
しかし水性塗料は溶かしてしまうため水性塗料のスミ入れには向いておらず、水性塗料の上からスミ入れする場合はガンダムマーカーのほうがオススメ。
また、プラスチックに侵食してプラスチックを脆くする欠点もあるため未塗装のパーツに使用することはできない。ただしそれを逆手に取ってパーツを分割する技術もある。
○デザインナイフ
現代の技術が生み出した妖刀。
あまりの切れ味に数多の未熟な使い手から血を奪う。
切れ味が落ちると力の入れ具合が難しくなり、迂闊に力を入れすぎるとタメ攻撃に切り替わり余計に重症を負う危険を伴う。
筆者も深く指を切ってしまい、30分経っても血が止まらなくなって慌ててアロンアルファで傷口を縫合した経験があるが可能な限り真似しないように。
本日はここまで。世のガンプラマイスター候補生の参考になれば幸いです。
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たまたま読んだプラモ狂四郎でガンダムを知り、Vガンダムがリアルタイムで初めて見たTVシリーズになり、プラモウォーズでガンプラにハマったリアル、BB、新世紀となんでもござれな激動の90年代育ち。
アニメ以上に動くガンプラを目指して日々研究中。
※現在は仕事が忙しくてガンプラ製作が大幅にスピードダウン中。
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