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コラム:Hi-νガンダムが完成されたνガンダムだと思われている件

過去の世界大戦において各国様々な新兵器が登場しましたが、中には時間が足りず試作段階で消えたもの、未完成のまま実戦投入されたものも数多くあったでしょう。
「完成していれば歴史が変わった」
「時間があればもっと精度を上げることができた」

それはガンダム世界でも同じ。というかガンダムは割と試作品、未完成のままロールアウトが多い方です。そして、本編では語られず、外伝やMSVで再設計された完全版が登場する、なんてことも。

この話をすると大体例に挙げられるのが今回のお題であるνガンダムとHi-νガンダム。
僅か3ヶ月でロールアウトしたνガンダムの精度を上げ、十分なテストを行った完全版がHi-νガンダムと世間的にも公式でも認識されているため、Hi-νガンダムこそ最強のアムロの機体と多くの人が思ってることでしょう。

しかしそこが落とし穴。実は完成度から見れば確かにHi-νガンダムの方が高いのですが、実戦においてはνガンダムと大差は無く、むしろνガンダムのほうが有利かもしれないのです。

そこで、νガンダムと比較した際のHi-νガンダムの違いを挙げて検証してみましょう。

○より長い開発時間をかけ、十分なテストを行っている
→確かに長い時間をかけたほうがより良いものを作れますが、そもそもνガンダムは長期戦も想定してジェガンなどの連邦規格パーツとの互換性を持たせ、修理やメンテを容易にしている機体。
専用で作れば開発に時間がかかるジェネレーターや駆動系モーター、センサー類は既存の最高峰のものを使用しており、機体本体で新規に必要なのはフレームと装甲くらい。設計図さえあれば短期間でラフな試作機を作れるアナハイム自慢の全自動AEビルダー(仮)とこれまで培った第2世代MS技術があればテスト無しでも3ヶ月未満でハードはほぼ完成していたはず。
実際、納期を5日繰り上げても本体に問題がなかったあたり、時間がかかったのは本編でも調整不足だったフィン・ファンネルだけだったのでしょう。
逆に言えば、Hi-νガンダムの「十分にテストを行った」のはフィン・ファンネルのことだったのかもしれません。
ソフト面も、少なくともアムロがカラバ所属時代から積み重ねた7年分のモーションパターンがあるので、数ヶ月程度差があったところで誤差にもなりません。

○サイズが頭頂高20mと小型化している
→確かに技術が向上している目安として小型化は代表的ですが、必ずしも小型化=高性能とは限りません。
νガンダムの22mに対して20mまで小型化したことで被弾面積は減っていますが、パイロットがアムロならまず被弾しない技術があるので問題になりません。
また、ダウンサイズしたことでサザビーやナイチンゲールとのサイズ差が大きく開き、格闘戦においてのパワー不足が顕著になっています。
例えば密度が同じスイカとりんごがあるとして、両手で潰そうとすればりんごのほうが簡単に潰せるのはイメージできるでしょう。比率を逆にして、同じ筋力のハイパワー少年と貧弱大人でりんごを潰そうとすれば、いくら少年がハイパワーでも大人の方が腕が長くて力を掛けやす分、少年より楽にりんごを潰せます。
パワーがあり全長も大きいサザビー相手にパワーが低いνガンダムが格闘を挑むなら、大きい方が有利です。

そしてサイズも大きい分拡張性もνガンダムのほうが歩があります。
劇場版ではサイコフレームのリークがあってコクピットブロックを丸々サイコフレームで作り直し、小説版では回収したサイコ・ドーガのサイコフレームを溶接しています。
入手経緯に差はあれど、わざわざ小説版で溶接したのは、そのまま使うにはサイズがギリギリ大きくてHI-νガンダムに転用できなかったことが考えられます。サイコ・ドーガはギラ・ドーガの派生機なので大体20mとHi-νガンダムと同じですが、細身なHi-νガンダムにマッシブなサイコ・ドーガのコクピットブロックは収まらなかったかもしれません。
一方のνガンダムであれば多少の差は許容できる設計と思われるためそのまま移植してコンソールだけ載せ替えることもできたでしょう。

○フィン・ファンネルが充電式
→ここが1番の問題点。
戦闘中に充電できることで長期戦が出来るというのはデタラメです。戦闘中に充電するということは、充電中はフィン・ファンネルが使えないばかりかジェネレーターのエネルギーも充電に回さなければならないので戦闘力が大幅に低下します。さっさと戦艦に戻ったほうが安全です。
また、エネルギーだけではなく推進剤も補充する必要があり、補充のための予備推進剤も持ち歩く必要があるため重量増加に繋がります。
更に、戦闘中にフィン・ファンネルが破損して使えなくなればファンネルラックは無用の長物、デッドウェイトになります。
真に長期戦を考えるなら、充電機能を捨てて構造を簡略化し、適時戦艦から予備フィン・ファンネルを投げてもらうほうがはるかに効率的です。

結論:売り出すならHi-νガンダムのほうが魅力的だが、アムロ専用機としては無駄を削ぎ落とし効率だけを極限まで求めたνガンダムの方がより完成しているといえる。

余談ですが、この記事のためだけにEGνガンダムを組みました。
なにこれ凄い…大きさの満足度もさることながら、普通はシール処理になるサーベルラックやつま先まで別パーツ化してる…欠点はフィン・ファンネルとバズーカがない以外だと左手の予備サーベルが抜けないくらいしかないな…

コメント

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  1. RH少佐 3年前

    ファンネルラックと機体サイズについては興味深い考察ですね。私も仰る通りだと思います。
    そもそもHiもナイチンゲールもサイコドーガも単なる小説版であって発展型でもなんでもなかったハズですしね~😅ギュネイもグラーブだし😁商品展開の都合により歪められた?後付け設定ですよね。
    個人的には、どちらか選べとなれば通常のνのが好きです。っても、Hiも商品化されればホイホイ欲しくなっちゃいますが(笑)

    • AAA 3年前

      劇場版だと善戦していたνガンダムも、小説版のHi-νガンダムだとナイチンゲールにパワー負けしてボコボコにされてるんですよね。ここがサザビーより更に大きいナイチンゲールとνガンダムより更に小型化したHi-νガンダムのサイズ差による弊害、更に充電式にしたことでサーベルへのエネルギー不足が顕著になった証拠だと思ってます。
      当時はまだHi-νガンダムを立体化する予定もなければあくまで小説版νガンダムであってHi-νガンダムという名前と区分けはされていなかったことを考えたら、もしかしたら「時間をかければ最強になれた、 フィン・ファンネルは充電式にしたほうがきっと強い、デカいガンダムなんて主人公機じゃない」というロマンを優先した周囲の意見に対する富野監督からの解りやすい回答例として作ったのかもしれません。

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