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コラム:ガンダムW 敗者/EW/FTの設定について
新世紀ガンダムシリーズG/W/Xのうち、1995年に放送された新機動戦記ガンダムW。96年放送終了の翌年97年には劇場版としてエンドレスワルツ(以下EW)が上映され、当時はTV版の続編として大人気を博しました。
しかし、2010年にEWの続編フローズンティアドロップ(以下FT)が発表され、更にはEW/FTの機体デザインに合わせてTV版をリメイク、未公開エピソードを追加した敗者たちの栄光(以下敗者)やゼクスファイルが発表されたことで、それまで誤差程度であった設定や公式外伝など整合性がとれない部分が出てきたため、TV版とEWはよく似た平行世界となりました。日本ではあまり馴染みのないことですが、マーベルやDCコミックではよく取られる手法です。
以下は敗者/EW/FTでの情報、主にヒイロとウイングゼロ関連のまとめの一部です。
○ウイングガンダム系列の名称と設定の違いについて
ガンダムW史上最もややこしいのがウイングガンダム系列の名前と設定。
・ウイングガンダムゼロ(TV版)とウイングガンダムゼロ(EW版)は本来同一機体だが、見た目が違いすぎるためプラモ販売の際に商標登録の都合でEW版はゼロカスタムと変更された。が、やっぱり同じ機体なのでと、後にゼロ(TV版)とゼロ(EW版)に再度変更された。
しかし、敗者/FTでゼロ(TV版)とほぼ同じデザインのプロトゼロが登場し、更に大破したプロトゼロを修復、改造してゼロ(EW版)になったため、今度はゼロカスタムが理屈上正しいことになるという、ややこしい現象が発生した。じゃあプロトってなんやねん。
・カトキハジメのウイングガンダムアーリータイプはEW版のゼロからデザインを逆算したものだが、そもそもゼロは他の4機と違い、ウイングガンダムの改修機、後継機ではないためアーリータイプの名称は正しくない。なのでゼロと合せてウイングガンダム(EW)に変更されている。
・ウイングゼロ(EW)が撒き散らしている羽は演出やCGなどではなく本物の羽毛。ただし鳥の羽根ではない。
ウイングバインダーは実はナノマシンで構成されており、常に自己修復されている。ウイングガンダムの翼がパネル単位の微妙な角度変更で常に最大の空力効果を発揮しているように、ウイングゼロも翼の表面の羽毛を動かすことで空力調整している。実際に見たら多分もっふもふ。
一部が剥離した際もナノマシンは自己修復を続けるため、剥離部分が鳥の羽根になり、文字通り羽が抜け落ちていることになる。あれ?Gガンダムより技術すごくない?
・プロトゼロは実は3種類存在している。
1.五博士がロマン優先で設計はしたけど技術不足で制作を断念したプロトゼロ
2.ドクターJが独力で完成させた未完成のプロトゼロ(1号機)後のスノーホワイト
3.H教授が残した設計図とゼロシステムを元にカトルが作り上げたプロトゼロ(2号機)後のEWゼロ
・スノーホワイトは主人公ポジの機体なのに、マントのせいで未だに姿がわからないことで有名。開発時期的にプロトゼロと同じバーニアデザインのはずだが、カトキハジメデザインのスノーホワイトプレリュードが翼デザインのEW版だったため余計な混乱を招いている。マントなしイラストが存在するのはFT12巻下の表紙だが、白いプロトゼロとゼロEWの両方が描かれているためなんの参考にもならない。ただ、FT8巻中の表紙に描かれているマントの向こうの顔はプロトゼロ(頬のノズル形状)、ツインバスターライフルはEWになっている。
○増えるガンダム
FTに登場するスノーホワイト、ワーロック、プロメテウス、シェヘラザードの設定に伴い、実は五博士はそれぞれ2機ずつMSを作っていたことになっています。
ついでに博士の本名も公開されました。
ドクターJ(ジェイ・ヌル)
※ゴーグルと義手から隠しきれない狂人さが伺えるが、実際はわざと脱走者を逃したヒイロを庇ったり、オペレーション・メテオが実行されないようヒイロに指示を行っていた割と良識人。ビーム兵器担当。
・ウイングガンダムプロトゼロ1号機
→テストパイロットに持ち逃げされ、その後ウィナー家に預けられて解体される。実は射撃プログラムにはアディン・ロウの狙撃技術が使われている。後のスノーホワイト。
・ウイングガンダム
→ヒイロの乗機。ガンダム史上最も不憫な主人公機。本編中、乗っていた時間より海に沈んでいた時間のほうが遥かに長いのは有名な話。
プロフェッサーG(ダイヤモンド・デスペラード)
※イニシャルはDだが、名前のダイヤモンドよりGND鉱石(ガンダニュウム合金の素材)のほうが硬いという理由でGを名乗った。センサー担当。
・魔王(四足歩行獣型)
→実はテストパイロットとしてゼクスが乗ったことがあり、そのゼクスの活躍と兵装の白い牙を見たカーンズが、ホワイトファングを発足させるきっかけとなった。あとから人型に変形する機能も追加されたが、ウィナー家に預けられて解体される。後のワーロック。
・ガンダムデスサイズ
→デュオの乗機。ガンダム史上最も戦闘以外で他人に壊されることが多い機体。ハイパージャマーが何なのかは永遠の謎。
H教授(ヘンリー・フィーア)
※詐欺師みたいな顔だが実はカトル並に優しい。プログラム担当。
・シェヘラザード
→実はテストパイロットとしてノインが乗ったことがある。その後は他の機体と一緒にウィナー家によって解体される。魅惑のベリーダンス使い。
・ガンダムサンドロック
→僕のサンドロック。重装甲格闘機かと思いきや、こう見えて実は指揮系統が強い。
ドクトルS(ソルシエール)
※趣味は女装。火器管制担当
・プロメテウス
→トロワ・バートン(本物)の乗機になる予定だったが、トロワがヘタれたためメカニックの名無し(前髪凶器)がテストパイロットを務める。その後ウィナー家に預けられて解体される。
・ガンダムヘビーアームズ
→トロワ(刺さる前髪ピエロ)の乗機。動く弾薬庫なのにパイロットのせいで弾切れになってからのほうが強い。
老子O(呉王龍=ウーワンロン)
※格闘家で開発者で五飛の師範で嫁のお祖父ちゃんというスーパー爺さん。駆動系担当。
・トールギス始龍
→五飛の本来の乗機。L5コロニー襲撃の際に、コロニーを守るために妹蘭によって駆り出される。その後は不明だが、おそらく保管されていたL5コロニーごと消えたと思われる。ゼクスのトールギスよりも速度が2倍という殺人スペック。
・シェンロンガンダム
→亡き妻の異名から哪吒と五飛から呼ばれ、オペレーション・メテオを嫌がった五飛に持ち逃げされる。五飛に「教えてくれナタク」とよく言われるが、当然会話機能はない。
おまけ
老子張(五飛)
・エピオンパイ
→ゼクスが火星に置いてきたエピオンの設計データを元に、ハッキングで設計データとOSを入手して作り上げたエピオン2号機。
他4機は設計図なし、OSは1から作り直しの状態で復元まで12年かけた。一方、エピオンパイは上記方法から1年で完成。あまりのお手軽さにトロワも思わず泣いた。
○ヒイロについて
ヒイロ・ユイ
父:アディン・ロウ
母:アオイ(再婚してアオイ・クラーク)
養父:セイス・クラーク
名前はコードネームであり、本名はアディン・ロウJr.。外伝G-UNITの主人公がアディン・バーネットなので、多分設定した人は確信犯。
指導者ヒイロを暗殺したアディン・ロウととある組織のエージェント・アオイの子だが、二人はJr.が生まれる前に別れているため、再婚相手のセイスとアオイの手で育てられる。しかし両親がテロに巻き込まれて亡くなり、アディン・ロウに拾われてからは実の父と知らされることなく育てられ、狙撃と暗殺術を学ぶ。
アディン・ロウがデキム・バートンの計略で亡くなった後は、ドクターJに拾われてベータと名付けられ、同じエージェント候補のアルファと共にMS操縦技術とエージェントの教育を受ける。
ドクターJの指示でアルファとベータで殺し合いを行い、生き残った優秀な方をオペレーション・メテオの実行者にすると言い渡されるが、ベータがアルファを逃したことで、ベータがオペレーション・メテオの担当者になる。本編以降の経歴は割愛。
一部ではウイングガンダムより奪ったリーオーの方が大事に使われていると言われるが、養父セイスがリーオーの開発者だったためそれなりの愛着があるらしい。
ヒイロ・ユイのコードネームはドクターJから与えられたものだが、指導者ヒイロとドクターJが学生時代の友人だったこと以外の関連性は不明。だがもし血縁者だったとすると、アディンから教わった狙撃と暗殺術、アオイから引き継いだ驚異的な身体能力、ドクターJから教育を受けたMS操縦とエージェント技術とここまででもヤバいのに、さらに伝説の指導者の孫でトレーズの親戚ととんでもないことになってしまう。
アルファ
アディン・ロウJr.のクローン。ある人物と同時にクローンとして作られ、完成後はバートン財団に回収された後にドクターJの元へ送り込まれる。(オリジナルのアディン・ロウJr.はアルファの後にドクターJに保護されている。)
ベータと比較すると身体スペックは同じでもアディン・ロウから戦闘術を学んだ分ベータより戦闘スキルは劣る。
乗機はプロトゼロ1号機。ただしゼロシステムは搭載されているが起動していない。
未完成で変形できないウイングガンダムに搭乗したベータと殺し合うようドクターJに命令されるが、ベータから「ウイングは変形できないからゼロバードモードで逃げろ」と提案され、その提案を受け入れて脱走。実はカトルと面識があるが、脱走後は宇宙を漂流してボロボロの姿だったためヒイロと同じ顔であることは気づかれていない。ウィナー家にプロトゼロ1号機を託した後、行方不明になる。
一部なのにまだ長い。全部書いたらこの10倍以上になるので今回はここまで。
質問、指摘があればコメントで返信します。
コメント
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長く愛される作品だと言う事なんでしょうけど、追随するのがたいへんだから後付けでややこしくしないで欲しいなぁ~、と、個人的には思います😅
まあ、後付はガンダムの文化ですから。根本原因はカトキデザインな気もしますが。
この頃からある程度?ストーリーやキャラクター設定を前勉強しなければ無かった作品です。
当時劇場版で第08MS小隊との同時上映を見に行った記憶があります。
腐女子の薄い本が話題にもなっていましたね(笑)
放送当時のWは思い返してみれば他作品と違って各キャラの過去話や人格構成の要因となった話が圧倒的に少なかった印象でした。
劇場版EWに至っては漫画の前日譚を見ないと、冒頭からいきなりガンダム破棄だから漫画を知らない人は「何で?」となってたことでしょう。
Wは女性層を取り込む目的があったとはいえ、まさかあんなに腐女子人気が出るとはスタッフも考えてなかったと思いますね。
ヒイロのスパッツは恐らく?確信犯だと思います(笑)
昔見たスパロボ4コマで、無口コンビの綾波レイから「…女殺し」と言われ、「殺しはわかるが、女?…!まさか、スパッツ!?」というネタがあったのを思い出しました。
長文お疲れ様です( ̄^ ̄)ゞ
自分もあんまし理解できて
無かったのでありがたいと
思う反面、こんなに複雑な設定を
書いてて頭がおかしくならないのかと思いました
否、彼はすでにZEROシステムで
闇落ちカトル状態になって
しまったのかもしれない
「だぁぁめんなんだよ!これ以上近づかないでぇぇぇ!」
きっとこれが理解できないとゼロシステムを扱うことなどできないという作者側からの挑戦状なんでしょう。
プロット時点では他キャラの生い立ちやFTキャラの相関図、TV版と敗者版のストーリーと機体の違いもまとめたのですが、あまりの量だったので泣く泣く削りました。
たまたま読んだプラモ狂四郎でガンダムを知り、Vガンダムがリアルタイムで初めて見たTVシリーズになり、プラモウォーズでガンプラにハマったリアル、BB、新世紀となんでもござれな激動の90年代育ち。
アニメ以上に動くガンプラを目指して日々研究中。
※現在は仕事が忙しくてガンプラ製作が大幅にスピードダウン中。
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