“自由な発想” と “リアルさ” 、相反する要素のバランス

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某SNSでよく目にするタグに「#ガンプラは自由だ」というものがある。
どう作っても自由、塗装するもしないも自由、どうミキシングしても自由。本人が楽しければ良いじゃないか (だから批判するな) 。という主旨である。

確かにそうかもしれない。
趣味の世界は所詮自己満足の世界。

しかし、
様々なスポーツやゲームがそうであるように、
ある種のルールや縛りが有る方が物事は面白くなる。ガンプラの場合、他人から押し付けられるルールは無いかもしれないが、自分の中に何かの決まり事を起こすこと。ポリシーや哲学、拘り。
そういった “頭を使う” ことで物事は面白くなる。
何のルールも縛りも無い「自由」では、他人の心には響きにくい。
「自由」じゃない方が面白い。

言うまでもなく、ガンプラはオモチャである。
しかし、一方で
言うまでもなく、ガンプラは模型である。

模型は “リアル” であることが一つの評価軸になる。
リアルな造形、リアルな塗装、リアルな汚し。
そういった作品は皆一様に「すげーー!」となる。

架空のものを、実在しているように感じさせるにはどうしたら良いか考える。

幽霊の様な希薄な存在に、血肉を与え温度と重みをつけること。

それが “リアルさ” の本質ではないのか。

その観点から、
ガンプラ特有の “リアルさ” 要素として世界線と年表がある。

例えば貴方がガンダム(RX-78-2)を作ったとする。
最初は1体作って満足していたが、相手も用意してごっこ遊び(ブンドド)したくなる。
そうなると、紅いザクや蒼いグフ、ドム3機、紅いゲルググやジオングといった辺りを用意したくなるのが普通だろう。

デビルガンダムを持って来たりはしないハズだw

逆にそういう事をしている人を見たら、殆どの人は「何やってんだコイツ…」と思うだろう。

ところが「#ガンプラは自由だ」に掛かればこれも正しくなる。

RX-78とデビルガンダムの組み合わせが “有り得ない” のは何故か。世界線が違うからである。
もしこの相手がデビルガンダムでなくジ・Oだったら「苦しい事に変わりは無いが説明の仕方次第ではまだなんとかギリギリOKになるかもしれない」。
それは何故か。時代は違うが世界線が同じだからである。
そして、その「まだなんとかギリギリOKになるかもしれない説明の仕方」こそが “リアルさ” である。
“リアルさ” は何も細かい作り込みや高度なウェザリングだけの事ではない。
設定、時代背景、歴史的順序、考察の整合性、そういったものに破綻が無く説得力が有れば “リアル” になる。

逆に言えば、10人が10人納得する「RX-78とデビルガンダムが対峙するストーリー」を考えられたなら、それは間違いなく “リアル” な設定なのである。マァ ムリ ヤケドw

…という極端な喩えなら話は単純なのだが、
これがミキシングビルドになるとややこしくなる…w

…ナイーブな話に差し掛かっているので、念の為もう一度断っておきたいが、これはあくまで「他人から押し付けられるルール」ではなく、作る本人が自分の中に起こす拘り、縛りである。
なので、十人十色千差万別の正解がある。
…それじゃあ「#ガンプラは自由だ」と結局同じじゃないかと思われるかもしれない。
違う。

「無軌道なのではない。譲れぬ信念があるのだ、心に」

そういう感覚を持っている側から見ると「それは無いだろう…」という “無軌道” なミキシング例が一定数有る。
これは決して、一概に「宇宙世紀とアナザーを混ぜているからアウト」というような単純な事ではない。(それを言い出すとミキシングなんて出来なくなる)

個人の感性の部分にもなってくるので難しい領域なのだが、敢えて語彙力を無くした直感的な表現で言うと「カッコは良くても響かない」のである。
何が「響く」かは人によってツボが違うが、「響かない」のは恐らく “ストーリー” が足りない、もしくは無理があるのではないか。
言い換えるとドラマ性やロマン。(「ガトリングは男のロマン」のロマンとは違うw)
イマドキの言葉で言うと「エモさ」もそうかもしれない。

幽霊が生身に見える様にメイクアップして着飾らせるだけではなく、
幽霊にどんなプロフィールを与え何を喋らせるのか。そこに説得力が有るか。

ガンプラは(というかガンダム文化そのものが)ごっこ遊びなのである。
ごっこ遊びで大切な事は “如何になりきって没入するか” である。

子供の頃、ごっこ遊びをしている時に、全体の設定を無視して勝手に後付け設定を持ち出して、雑に「俺TSUEeee!!」をやり始めるメンバーが居たらシラケなかっただろうか?
逆に、全員が同じ熱量で真剣にやっていれば、それはとても楽しかったハズだ。

技術的な部分とは違う面で作品を構成する、見る者を納得させ引き込む “ストーリー性” 。
それが備わっている作品は、作り手がわざわざ「◯◯がもし××だったらという設定で」等と言い訳を並べずとも見る側にスンナリ入ってくるもの。
だけでなく、見る側の中で更にイマジネーションが膨らんで「続き早よ!ww」になっていく。

その広がりこそが 「ガンプラは自由だ」なのではないのか。

「自由」とは、作り手が保身の為に振りかざす免罪符ではなく、
受け手が判断し、愉しみ、広げていくものであるハズだ。

タイトルで「相反する要素のバランス」と言ったが、
実は “リアルさ” が備わっていれば、 「自由な発想」 ≒ ワクワク は作り手の手許を離れ、受け手を巻き込んで勝手に広がっていくのである。 

運営担当者様。

このような実験的な企画にチャレンジされた勇気に拍手を送らせて下さい。ユーザー側からは見えない多大なご苦労があるものと思います。お疲れ様です。

投稿フォームに関する、私の細かい伝わりにくい要望にも丁寧且つ迅速に対応して頂きありがとうございました。

もし “次回” が有りましたら、また微力ながら参加させて頂きたく思います。

Merry Christmas & Sieg Zeon.

コメント

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  1. 梵天丸 11か月前

    コメント失礼します!凄く共感します。ミキシングって勿論自己満足の世界ですが、そこに自分なりの設定、もしくは「縛り」を設けるとよりリアル感が増しますよね。勿論、この「リアル感」も自己満足ではありますが。自分は未熟ですが、そう言った刺激を貰える意味が、このガンスタさんにいつも感じてます。

    • RotStaffel 11か月前

      コメントありがとうございます。(smile)

      私もまだまだ未熟ですが、一体作る度にその機体やパイロットの設定をあれやこれや考えています。既に作ってある自分の作品群と関連付けていくと更に深くなって楽しいですし。
      趣味、遊びこそ全力でやらないと勿体無いと思います。
      そして、人間、全力で何かをしている人には共感しやすい、という連鎖の力に飛び乗る事で自分の予想以上に広がっていく事も有りますね♪

  2. meg-ocero 11か月前

    わかります☺️
    「ガンプラは自由だ!」であるからこそ、どんな作品にも否定などなく、リアルを追究しようと、自らの妄想に浸ろうとも、それこそ自由にミキシングしようとも、自由であるべきです。
    ただそれを個人のものではなくこういった場所に投降する上で、観る側の趣味趣向によって様々な意見が生まれるのは避けられないものでもあり…、作者の想いとは違った状況になることもありますよね😟
    自分はある程度拘りを持ちながら妄想全快で作成していますが(笑)、このGUNSTA内で活躍されている様々な方の作品を観て、格好良い!とか真似したい!とか、もちろんちょっと好みじゃないかな~など思いつつ、もっとたくさんの人に観てもらうために、どんな作品を作ろうかなとか、ストーリーを考えてみたりとか、新たな技術に挑戦してみたりとか、日々挑戦しております😅
    結局何が云いたいかというと、自由な中でも皆さんきっと自分の作った作品をたくさんの人にいいねと思ってもらいたいからこそ投降してるのでしょうから、折角凄い方々の作品を拝見出来るこのGUNSTAを自らの成長の場所として使ってみては?ということです。
    @Rotさん(省略失礼します)さんのそういう想いはとても賛同出来ますね☺️

    • RotStaffel 11か月前

      コメントありがとうございます。(smile)

      当初は本文中に織り込もうかと思っていながら、話をシンプルにする為に省いた内容になるのですが、

      「自由」だけなら、SNSなどにアップせず、一人で作っていれば満足なはず。
      でも(私を含めて)誰もが、多かれ少なかれ「称賛」されたいという気持ちがあるからSNSにアップしている。

      趣味趣向主義主張が入り乱れぶつかり合う中でそれを求めるのなら、魅せ方も大事なんじゃないの?
      という所ですね。

      事実、トップモデラーレベルの方々は、その信念やストーリーを受け手が感じた結果、色んな形の「称賛」をされている。そこに自分から免罪符のような言い訳は語っていないワケですから。

  3. 田中 八尋 11か月前

    まぁ、本当にリアルさを求めるなら初めから普通に作るだけでリアルになるスケールモデルを作ればいいわけで、本来はリアルではないはずの子どもの玩具をいかにリアルに見せられるかというのに挑戦している時点で無茶な話であり、「そんな無茶を自分の技術で成し遂げた」というのを楽しむ遊びなんですよね。初めてつや消し・初めてのドライブラシなどによって、自分の手の中でただの玩具だったガンプラの雰囲気が大きく変わっていくことに感動したという人も多いのでは。
     
    どんな困難に挑戦するかは人それぞれ。公式様の設定を崇拝してそれをなぞることに喜びを感じる人もいれば、逆にそもそも模型が好きなだけでアニメは見てないという人も多いし、自分の好きを詰め込んで改造する人もいれば、他人の決めたルールの中でどれだけミスなく作れるかというテストをこなすことに満足感を得る人もいる。
     
    いろいろな人が様々な困難に立ち向かってくれてきたからこそ、模型文化も広がってきたわけで、これまで誰も挑戦していない作り方、誰も挑戦していない「自由」に挑戦していく人たちは素晴らしいと思います。「こんなに手抜きをして、どれだけ困難に挑戦せずに作れるかを頑張っています、ガンプラは自由なんでしょ」っていう人を見てガッカリすることもあるけれど、可動範囲やプロポーションなどの問題のようにこれまで各自で乗り越える必要があった部分がキットの状態で既に解決済みに変わっていたりもするので、脳を切り替えるポイントなのかなとも思います。登山に挑戦するためには海での釣りを諦める必要があるように、新しい困難にチャレンジしている人が自分の取り組んでいる困難については放棄するかもしれない。自分が頑張っていることを頑張っていない人を見ると「なんで!?」って思いがちだけど、それこそ人それぞれ。自由への称賛は忘れないでいきたいものですね。

    • RotStaffel 11か月前

      「人それぞれ」「自由」というのは、今回の大前提としているのであって、そこを否定はしませんし私もその自由の上に立っております。

      その上で、それ以上+αに繋がる「信念」が見える人には称賛を惜しまない、という話をさせて貰いました。
      「この人面白いな」「この作品凄いな」と思ったものはリスペクトします。実際的に言えばイイネやフォローです。
      イイネやフォロワーが多く付く人というのは、結局そういう事なのでは?と論じてみた次第です。

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