新HG BLUE DESTINY 01

既にブルーでの戦闘は何度か経験した。

今回は単騎での基地襲撃ミッションだ。データ収集の為とはいえ、危険度が高い任務だと言う。

だが、好都合と思った。

EXAMはシステムの性質上、仲間との連携に適さない面がある。それに、一度自分の手でブルーを思う存分試してみたいと思っていた。

ただ、EXAMに見え隠れする途方もない力の源を制御できず、仲間を巻き添えにするのではないかという恐れがあるのも事実。

今回データ収集する武装は、180mmキャノン。分解状態でコンテナに入っており、射撃地点で組み立てて使用する。

山間の高地から敵基地を遠距離狙撃する。…が、狙撃という程の射程距離は無く、消音機構も無い。一射目で砲撃方向に気付かれる可能性が充分にあり、相手MSの性能や練度に依っては接近されるのも早いだろう。取り回しが悪く連射が効かない。…好みの武器では無いが仕方ない…

また今回使用するウェポンコンテナとシールドには都市迷彩が施されているが、雪山を背にする射撃ポイントで遮蔽陣地を作り雪中迷彩効果を狙う事もプランの内だ。

一射、二射、三射。

弾速が遅く、放物線弾道なので決して扱いやすいとは言えないが、戦車砲以上の口径をMSの機動力で運用できる事は今後の戦術を広げるだろう。

…と言いたいところだが、

ジオンの新型は300mmを超えるバズーカをホバー移動で流れるように撃つ。その半分程度の威力の砲を分解して箱に詰めて運んでなどと…オマケにこうも反動が大きいと移動しながらの射撃は不能。なのにサイレンサーも無し。…ダメだなコレは…最低ノルマの回数はこなしたからもういいだろう…

そう思ってマシンガンに持ち替えようとした時、ブルーの頭上スレスレを轟音が切り裂いた。

…!!!? 撃たれた!?

こちらの方が高所なのに、不利な低地から同じ距離をカウンター狙撃だと…!?

言わんこっちゃない。あれでは見つけてくれと言っているようなものだ。

すぐに崖を飛び降り、太陽を背にして麓の敵基地へ向けてバーニアを焚く。

しかし敵の狙撃手、凄い腕だ… あちらには難しい状況なのに紙一重の狙いだった。むやみに二射目を撃ってこなかったのも熟練を感じる。どこに居る？ 

≪EXAM 起動≫

自分で起動したのか、勝手に立ち上がったのか覚えていない。

自分の力なのか、EXAMの力なのか。この “力” を存分に振るえる相手に出遇えるかもしれないと気持ちが昂る。

一つ！二つ！

マシンガン二丁に予備弾倉二本。この規模の基地制圧ならば足りるハズだ。

背中のロケットランチャーはこうも敵陣に入り込んでしまうと使う機会は乏しい。基地施設はなるべく壊すなと言われているし、いっそパージして軽くしたいが試作兵器を捨てて帰ると後で何を言われるかわかったもんじゃない。

三つ！

やはりこの感覚だ、縦横無尽に跳び回るフットワークこそブルー。蝶の様に舞い蜂のように刺す。本当にブルーは強い、ブルーは力だ。

後方にフィリップとサマナが控えているとはいえ、今この戦場に友軍は居ない。その事実も、俺とブルーを昂らせる要素に過ぎない。

ブルーの着地を狙ってバズーカを構えるザク。

「化け物め…！もらった！」

「甘いっ！」

着地の反動を利用してそのまま後方宙返り。EXAMを起動したブルーはこんな芸当もやってのける。

運動制御、火器管制、あらゆるシステムが書き替わっているようで通常時とは別の機体と言っていい。いったいどういうプログラムなのか興味はあるが…

ほんの一瞬、「朝陽が綺麗だな…」などと思ってしまった。ブルーがもたらす余裕か。

敵の数も減らしたのでそろそろ近接武器のデータも取るとしよう。

ビームソードをシールドに内蔵することで、銃を持ったまま格闘戦に対応できる。反面、シールドを失うとソードも失うが… ブルーの機動力なら元々シールドなど飾り程度。

わざわざ持ち替える手間が無いので即座に使えて好感触だ。

ふと気配を感じて振り向いた。

黒い影。

空気が張り詰める。

纏う雰囲気に隙が無い。

…出来る。狙撃してきたのも…おそらく。

…なぜか急に無線のノイズの奥から微かに、重く響く連打音と物悲しい悲鳴のようなギターが聴こえた気がした。

目の前のコイツか？

ラジオか自前のBGMか知らんが…戦場で酔狂なヤツだ…

直感的に、コイツは長引かせると面倒だと思った。

じっくり手合わせしてみたい気はするが、既に作戦想定時間のリミットが近い。評価試験隊モルモットの任務は、敵の殲滅よりもデータ収集と生還が第一だ。

サッサと切り上げて撤収の頃合いだが、…そう簡単にいく相手でも無さそうだ。どうしたものか…

一つの策を思い付き、懐に飛び込んで鍔迫り合いに持ち込む。

要は、相手の戦闘能力を奪えば良い。打ち負かす必要は無い。

動きを止めてしまえば…！

４本でどうだ！

予想外の攻撃に狼狽えたのか、ビームの刃がグフの首筋を貫いた。

シールド内蔵に伴いエネルギーカートリッジ式に改造されたものだからこそ出来る芸当、普通ならばこんな数を同時に出力すると数秒でジェネレータがダウンするだろう。ビーム兵器のノウハウに関しては連邦に大きなアドバンテージがある。

メインカメラを落とせば自由に動けまい。

武人として正面から闘ってみたい気持ちはあるが、腕のある乗り手ならいずれまた相見える事もあるだろう。

　～　～　～　～　～　～　～　～　～

長編ブンドド、最後までお付き合い頂きありがとうございますw

前回のBD1は旧キット(HGUC 080)、今回は新キット(HGUC 207)です。どちらも同じ友人からの制作依頼で、旧はシンプルに、新は陸ガンとのMixということでオーダーを頂きました。

オプション注文は “輝き撃ち” 、しかも “立ち輝き” 。…ムチャクチャゆーてくれるわコイツwと思いながらも、そうやってヤイノヤイノ面白半分に注文つけてハードル上げてくれるお陰でこちらの技術力も上がるというもの。加工箇所に関しては「制作記録」の方をご覧ください。隠し立てせず公開しておりますw シンプルな白背景で撮影した写真も「制作記録」に一部纏めました。

二丁マシンガンのスタイルは、映画『リベリオン』の≪GUN=KATA≫をオマージュ。これも依頼主からのオーダー。幾つかのカットはまんまその構図で撮っていますw 背中のランチャーと２連ビームは私のアドリブ。評価試験隊という設定を掘り下げ、ランチャーはサイサリスのMLRS、２連ビームはジム・ストライカー、180キャノンへのダメ出しはジムスナイパーと、後の連邦機へ繋がる流れを意識しました。

依頼主も「かつてないカッコ良さ！フルアームドへの試行のハズが超えとる。全体のバランス、塊感が凄い。依頼した構想以上の仕上がり！」と大満足頂きました。( ﾟдﾟ)ﾄﾞﾔｧ!←

せっせと作っていた基地ジオラマと崖上ジオラマはこの新BDの為です。故に、ある意味、今作は仕込み期間３ヶ月の大作？ 背景壁紙も年末くらいには用意してました。ユウがBD1に乗っていたのは11月末～12月15日(キャリフォルニア攻防戦 BD1vsイフリート改)迄の北米。北の方なら雪有るよね、と。 一連のシーンは照明を工夫して夜明けの表現にチャレンジ。

ライバル機として登場させたグフカスタム。ボスキャラを用意してブンドドシーンを撮りたいと、納品前日に思い立って８時間でデッチ上げた突貫工事w 納品２時間前まで撮影していたというw ディティール一切無しでダッセェのでいずれ改めてちゃんとリビルドしたい。パイロットのキャラ設定も考えてあるので追々…