『A.O.Z Re-Boot くろうさぎのみた夢』からゲルググⅢを、アレンジを入れつつミキシングビルド。
〜 0093.3/12 アクシズ南天 〜
「ちぃっ!ロンド・ベルってーのはどんだけいやがんだ! 聞いてたより多いじゃねぇか、本当に連邦本体はルナツーに居んのかぁ!?」
シャア、ギュネイらの正規軍本隊が北天フィールドで応戦している中、傭兵部隊長としてネオ・ジオン艦隊の末席に名を連ねているトビアス・ライホは南天フィールドに居た。
『新生ネオ・ジオン』と格好を付けてコロニー民衆の支持を得てはいても、ロンド・ベルによる度重なるコロニー臨検でろくに訓練も出来ず、新兵は実質ただの数合わせ。11隻という艦艇数も軍隊と呼ぶには少な過ぎる。そんな状況で、即戦力となるベテラン傭兵部隊が組織されたのは自然の流れである。
中でも一年戦争からの古参であり、ハマーンのアクシズ・ジオンでも傭兵部隊を務めていたライホは、正規兵からも畏敬の念を集めていた。
「もう1ぉつ!」
もはや何機目かわからないジェガンを墜とす。
彼が駆るはゲルググⅢ。4年前のアクシズ・ジオン抗争の際、ジオンマーズ先遣艦隊からアクシズに譲渡されたMSの内の1機。
本来はジオンマーズと共闘して連邦政府を打倒する手筈だったのだが、グレミーという何処の馬の骨かもわからない坊主がのぼせ上がったせいで全てが狂った。物資受領の為にジオンマーズと接触している間に状況が混乱し、アクシズ・ジオンは内部崩壊、ジオンマーズも逃げる様に撤退。正規兵指揮官に回される予定だったゲルググⅢをそのまま拝借したのだった。
傭兵の身でありながら運用規格外の機体を使わせてくれているシャアには感謝だが、“見てわかるエース機” の存在は敵味方の士気にも影響するというもの。人手不足のネオ・ジオンではこれも貴重な1機ということだろう。
ガキィィン!
「っっツゥ!?」
デブリか何かに当たった。
「ん?ォィォィ…カメラが変になったぞ」
全天モニターの一部がモノクロになった。
「冗談だろw 宇宙世紀だぞ!」
その時、北天で複数の巨大な爆発が起こった。ロンド・ベルの放った核ミサイルをギュネイが迎撃したのだ。
ライホはそれをモノクロのモニターで見た。
「…Monochrome Fireworks…ってか…」
「そうか…そうだな…
俺達は何をやっているんだ…死の花火ばっか打ち上げてよ。
…ラグナロクの黄昏に俺らは何を見ている…
この宇宙を…虹色に彩る事など俺たちに出来るのか…」
思わず感傷が押し寄せたライホは、コクピットに設置してある自前のBGM再生装置に手を伸ばし、目当ての曲を選んで流した。
元々、ライホは一年戦争従軍時からジオンの思想だスペースノイドの解放だといった事にはさほど興味は無く、ドライな職業軍人というタイプだった。一年戦争終盤〜戦後数年は宇宙へ脱出する味方を見送る殿(しんがり)として長く地上で戦い続け、地球での生活も経験した。その実績と、戦闘中にもMETALを爆音で流している事から彼を『METAL WALL』と呼ぶ者もいた。
ハマーンは「ザビ家再興」という一見政治的な御旗を掲げてはいたが、その真の狙いはジオンの故郷であるサイド3の奪還であり、彼女はそれを成した。その悲願を思って同郷の者として志を共にした。
しかし今のシャアが言う地球寒冷化作戦というのは、かつて地球で数年過ごし、コロニー落としの爪痕も含めて多少なりと “世界” を見てきたライホにとっては素直に頷けるものでは無かった。地球の環境はスペースノイドが思っているより遥かに過酷であり、自然に拠って命を落とす可能性が有るなどコロニー市民には想像も出来ない事だ。また、経済的格差・貧困者の比率と程度に於いてもコロニーのそれよりも遥かに酷い。そういった事を無視して「地球に魂を引かれた人々」と断ずるシャアの言葉は短絡的で視野が狭過ぎる。とはいえ…雇用契約を結んだ以上、仕事は仕事だ。仕事としてネオ・ジオンの作戦は遂行するが、その結果起こるであろう事を思うと気は重い。
ネオ・ジオンの作戦行動はシャアの私情に拠る所が大きく思えるが、そのシャアもまた民意を注がれた器に過ぎないかもしれないとなると、結局スペースノイドとアースノイドの対立はどこまでも続くのだろうと諦めや悟りの境地に似た立場を取るライホだった。だからこそ思想の類とは距離を置き、ビジネスライクな傭兵として生きていた。
「南天はそろそろ打ち止めっぽいし、…とりあえず1回補給だな…」
言うが早いか母艦のムサカ級に向けて一筋の光跡となった。
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HGサザビーをベースにMGシナンジュ・スタイン、HGメッサーのミックス。スタイル完コピではなく “特徴を捉えたアレンジ” で纏める事を目指しました。細かい製作過程は「製作記録」をご覧下さい。
以前作ったBD1とグフカスのストーリーから繋げ、カラーリングはグフカスと同じ色使い、左右非対称のスプリッター迷彩はBD1から継承しています。
何とか形には仕上げ、一応ブンドド撮影も出来ていますが、ツギハギだらけの混ぜ物な上にあちこちパテで重くなっていて関節の保持力や耐久性に難ありw
元には無いアレンジ要素として、「ゲルググと言えば」的な両刃薙刀を。鉄血ウヴァルの薙刀が良いサイズだったのでサザビーのトマホークをカットして先に付け、真ん中にネオジムを埋めて固定できるように。
ロングライフルは単純にサザビーとメッサーのをニコイチしただけのぶっちゃけ手抜きw 先が重い&手首がユルくて射撃ポージングが維持できないw
ブンドドでは画角の自由度が激落ちするので使っていませんが、MGスタインのバズーカを無理やり担いだモノがメイン武器。
HG換算するとサイサリスのアトミックバズーカより大口径。そんな物騒なもんドコに使うんだよw
写真のコマが足りないので、白バック撮影の残りを製作記録に追加しておきます。
今回のBGMは
BABY METALの “Monochrome” です。
一見(一聴)、ただの綺麗系バラードかと思いきや、反戦メッセージを含んだパワーアンセム。今の時代に逆シャアのリメイクを作ったらメインテーマに使えないか?と思った所から。
この後のシーン、彼のコクピットではコレが流れていますので、SoCo 'n' ToCo YOLOsick!!←
それではブンドド後半、お付き合い下さい。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
「なんだぁ?エラい少ねぇじゃねーか!」
補給を終えて再び戦場に出てくると、味方の識別マーカーが随分減っている。二重囲いされている指揮官マーカーも足りない。
「…ん~~?ォィォィ…ギュネイが消えてるぞ… レウルーラの直掩部隊もヤられたのか…?」
話にだけ聞いていた大型MAらしきマーカーはまだあったが、敵機が2機纏わりついている。…と思った次の瞬間、肉眼でも大きな爆発が見え、MAのマーカーが消えた。
「……総帥ぃ…コリャちょっとマズくねぇかぁ? ……って、もしかして “角付き” もう俺だけか?」
シャアのマーカーも見当たらないが、さすがに総帥がやられたら大騒ぎになるハズなのでどこかには居るのだろう。…とはいえ状況は芳しくない。
ある意味 “敗走のスペシャリスト” であるライホには、この戦況は明らかに潮時に見えた。
「こりゃぁ…また “稼業” のタイミングですかねぇ…?」
もはやライホの頭の中は撤退戦モードに切り換わった。味方の生存を第一とし、自分自身も生還する。殿(しんがり)エースの本領である。
友軍オープンチャンネルで呼び掛ける。これだけの濃度のミノフスキー粒子下では届く範囲は知れているが、1機でも多く無駄死にさせずに生還させたいという使命にも似た想いでマイクのスイッチを入れた。
「こちらスティール・ハート! 状況が混乱していると判断し、臨時指揮を執る!
アクシズは落下軌道に入った!作戦完了、全機撤退!全機撤退だ!TurnBackBackBack!! Return to Home!! 全員生きて還れ!」
アクシズの進路の事など知らなかったが、嘘も方便である。説得力のある人物が短い言葉で自信有りげに言い切れば人はついてくるものである。ギレンの演説も同じ手法なのだが、ライホの動機は純粋だった。
傭兵という身分なので本来、正規兵に対する指揮権は無いのだが、ライホの “実績” ならば異を唱える者もおらず、崩れかけていた戦線の中で道標を示すものとなった。
「METAL WALLだ!」「やっと終わりか…」「1番機が居ないんだ!」「動けない…」
一気に様々な声が溢れた。そして少し遅れてレウルーラからの撤退信号が上がった。
戦闘は終わった。
だが “戦い” はまだ終わっていなかった。
ルナツーから駆け付けた連邦艦隊の艦載機が次々にアクシズに取り付いていく。既に重力の井戸に落ち掛かっている巨大な小惑星を、MSが束になって掛かった所で動かせるワケが無い。理屈では解っていても、その連邦機達の心情は理解できた。そしてそれよりももっと本能的な領域で「こんな物を落としてはならない」という肌感覚。
気付いたら隣にジムⅢの顔があった。
フルスロットルでアクシズに手を突く。僅か数年とはいえ自身の五感で感じた、あの大地を、あの海を、あの森を、あの砂漠を、あの空を、あの命達を、あの人々を、この星を人の業で潰すわけにはいかない。
「METAL WALL!我々も!」ギラ・ドーガが数機舞い戻って来る。「バカ野郎!戻れ戻れ!燃えるぞ!お前らの機体じゃ保たない!」「何言ってんですか!ゲルググの方が旧いですよ!」
言ったそばから1機のギラ・ドーガが吹き飛ばされていく。
「言わんこっちゃない!無駄死にするなと言っている!!」
その時、そのギラ・ドーガの腕を掴んだジェガンが居た。
そのジェガンはそのままライホのゲルググに近付いて来る。
「…14年振りだな、METAL野郎。
熱いヤツめ、オープン回線で丸聴こえだぞ」
to be continued...
GELGOOGⅢ on AXIS
コメント
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こんにちは!はじめまして!
いいねありがとうございます✨
トルマのアイコンがメチャクチャ気になってコメント、フォローさせていただきました✌️
よろしくお願いいたします🙇
ありがとうございます♪┏◯
って、そこに反応した人初めてですw
持ってる服のブランド比がトルマ6:ボブス2:シバライズ1:G-star0.5:Avirex0.5くらいのアラフォーです(zaku-kao4)
製作お疲れ様です!ゲルググⅢについては不勉強ですが、とてもカッコいい機体ですね(zaku-kao5)ザクⅢやこの年代のMSと並べて違和感なく、しっかりゲルググらしい強者感が✨コクピットでメタルを鳴らしつつ戦う「METAL WALL」もイケてます(^^)
ありがとうございます♪┏◯
コミックにしか出てこないし、A.O.Z自体が外伝ですから…私も外伝系はあまり詳しくないです。(^_^;)
元の設定画はもっとカッコいいですよ(笑)。
初コメント失礼致します🙇 ゲルググⅢめちゃかっこいい🤩 仕上がりの良さ👍 ストーリーや設定も素晴らしいですね😆 今後とも宜しくお願い致します🙇
ありがとうございます♪┏◯
腕が長過ぎ、手がデカ過ぎ、関節ユル過ぎ等パーツチョイスの失敗感はありますが、形に出来て満足です。
この機体を地球圏に持って来たくて頭をヒネリましたw
完成おめでとうございます😊
特徴的なフォルム、独特のカラーリング、とても格好良いです😆本当にこの機体のデザインは秀逸!キット化してほしい候補TOP3入りです!
ストーリーとデジラマも最高でした😆メインストーリーの裏でこんなストーリーもあったのだろうなと感動ものです😭
続き?!気になるやないですか😭
ありがとうございます♪┏◯
肩の形状からMGスタインを選び、後はほぼアドリブでした。カッコいいのにキット化されない謎…
逆シャアって、明らかに軍としての規模が小さ過ぎるので、こういう裏があった方がシックリ来ない?と思いました。
まだ、続きを書いている途中です。(^_^;) 入れたい要素が多くて細部がボヤけそうで難儀しています。
ゲルググⅢ爆誕!!「黒兎の夢」で設定画だけでもキット化して欲しいフォルム^_^特徴もしっかり掴んでますね♪
ありがとうございます♪┏◯
キット化されそうでされない、知ってる人は皆待ってる機体、という気がします。キット化されないうちに、という意識もありましたw
2020に未経験からプラモ開始。
HGを缶スプレーで。
“リアリティ” “兵器感” に拘って、基本暗め配色で塗ります。
塗装剥がし大好き、合わせ目はキニシナイ。
“駆け抜ける悦び” に侵された、戦闘BGMはHR/HMなジオン軍人。
RotStaffelさんがお薦めする作品
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