宇宙世紀0093年。シャア・アズナブルは新生ネオ・ジオン軍を率い自らが総帥となって、地球の重力に縛られ自己中心的な支配を続ける人類を粛正するために、地上に隕石を落下させることで地球を居住不能な星にするための作戦を計画。地球連邦政府に対して再び戦いを挑もうとしていた。
その暴挙を察知したのがブライトやアムロが所属する地球連邦軍のロンド・ベル隊であったが、未だシャアの拠点を見つけ出せずにいた…。
−ラー・カイラム−
ブライト「まだシャアの拠点は見つからないか。どうなってんの。」
アムロ「連邦軍はシャアが反乱を起こすなんて考えてもみないのさ。だから俺たちロンド・ベル隊に協力しようともしない。」
ブライト「我々は連邦軍でありながら孤独..という訳か。」
アムロ「一年戦争の時から何も変わっちゃいないのさ。」
ブライト「世知辛いものだな、何年経とうが。」
アムロ「ん?何か来るな。」
ブライト「確認する。」
オペレーター「あれは輸送船ですよ。アナハイム社の。」
ブライト「前もって連絡は無かったか?」
オペレーター「いえ、ありません。」
アムロ「変だな。」
ブライト「中身を確認させろ。」
オペレーター「了解。」
アムロ「あれは..MSか?」
オペレーター「アナハイムの輸送船は、チームGUNSTARDOMものでした。極秘任務でMSを届けに来たそうです。」
ブライト「極秘任務?前もって連絡もない極秘任務だと?」
アムロ「俺が見てくる。」
ブライト「ああ。頼む。」
アムロ「MS...見た事のない機体だな。コレは...ガンダム...なのか?」
oyz「アムロ大尉。ご無沙汰してます。」
アムロ「室長じゃないか。久しぶりだな。このMSはどうしたんだ?」
oyz「この機体は、アムロ大尉専用の機体という事でお届けに来たんです。」
アムロ「連絡も無しにずいぶん急だな。それに、連邦軍の高官達は俺たちを厄介者扱いしてる。新型を寄こしてくれる筈はないんだが。」
oyz「私も詳しいことは...。でもこの機体は、うちの会社からの贈り物ですよ。」
アムロ「贈り物..か。」
oyz「このガンダムは“μガンダム”って言います。サイコミュ搭載の新型ニュータイプ専用機です!」
アムロ「試作機なのか?」
oyz「え、ええ。そうです。フィン(板)ファンネル搭載の新型ですよ。」
アムロ「新しい武装か。」
oyz「じゃあ、私は戻らなきゃいけないので、コレで失礼します!」
アムロ「もう帰るのか?艦長に会わないのか。」
oyz「は、はい。ブライト艦長に宜しくお伝えください。」
アムロ「そうか...わかった。」
oyz「では...。」
アムロ「室長。」
oyz「は、はい?」
アムロ「この機体は...可変するのか?」
oyz「は、はい。可変...します。申し訳ないんですが、詳しい説明はこのマニュアルを読んでいただければ...。」
アムロ「そうか。読んでおくよ。」
oyz「宜しくお願いします...。」
アムロ「どう思う?ブライト。」
ブライト「皆の前だ。名前に艦長と付けてくれるか。」
アムロ「あの室長が、可変の説明も無く帰るなんて。不自然だと思うが。」
ブライト「私もモニターで様子は見ていた。
挙動が妙だと思ったので、念のため追尾艇を出してある。」
アムロ「流石だな。」
ブライト「あの新型MSの方はどうなんだ?」
アムロ「罠...という訳では無さそうだ。まだチェック中だよ。」
ブライト「AE社の事だ。ニュータイプ専用機の実戦データが欲しいのかも知れんな。」
アムロ「それだけだといいがな。」
−ネオ・ジオン−
oyz「ただいま戻りました〜。」
シャア「何処に行っていたのだ。」
oyz「それより、可変検証試作型サザビーの方はどうですか?乗りこなせていますか?」
シャア「私を誰だと思っている。無論だ。」
oyz「それは良かったです。ちゃんとアムロさんにガンダムを渡してきた甲斐があったというものです。」
シャア「なに?今なんと言った?」
oyz「乗りこなせて良かった、と。」
シャア「その後だ!アムロがどうとか。」
oyz「ああ、そっちですか。アムロさんにガンダムを渡して来たんです。」
シャア「何故そんな事をする!」
oyz「あれ?大佐はアムロさんと決着をつけたかったんじゃないんですか?」
シャア「好敵手として、いずれ決着をつけるべきだとは思うが。」
oyz「じゃあ、いつ決着をつけるおつもりです?...今でしょ!?」
シャア「古いな。たしかにアムロとは白黒つけるべきだがな。」
oyz「そしたらアムロさんが白で、大佐は..赤ですなぁ。ハハ。」
シャア「それでは紅白歌合戦みたいではないか。ええい!」
oyz「それは置いておいて、決着を付ける為の手は打ちました。ですが、大佐には生きていて貰わねば困ります。」
シャア「まるで負けるみたいな言い方だ。気に入らんな。」
oyz「ゾーンに入ったアムロさんは怖いですよ。解ってますよね?」
シャア「む...だが決着をつけねばならん。」
oyz「ですので、大佐がやられちゃわない様に、今からアムロさんに渡して来た新型ガンダムの解説をしたいと思いますー!」
シャア「わざわざすぐに戻ってきたのはそういう事か。」
oyz「アムロさんに、μガンダムの出自を説明できませんし。さあ、では本題です。開発の過程図をご覧くださいー!」
シャア「む...コレは....!?」
シャア「コレは、サザビーの開発過程図ではないか..!」
oyz「ほらよく見てくださいよ、大佐。」
シャア「右上に...!?あれは..ガンダム...!」
oyz「ハイそうですー。あれがμガンダムですー。」
シャア「サザビーと出自が変わらんではないか。」
oyz「そーです。ベースはムーンガンダムです。そしてその起源はバルギルなのです。今回のμガンダムですが、ほぼムーンガンダムから出来てます。」
シャア「見ればわかる。」
oyz「ムーンガンダムの頭の後ろに付いてるアンテナをバルギルにくっ付けたいが為に、ムーンガンダムを入手した説が有力です。」
シャア「説というか、その通りなのだろう?説にするのはどうかと思うが。」
oyz「まあその、ムーンガンダムをνガンダムカラーで作るのをやりたかった説もあります。」
シャア「ええい、説のせいにするな。」
oyz「νガンダムの背面装備って言えば、フィンファンネルとバズーカですよね。板ファンネルをそれっぽく配置して、一部はシールドに。カラーリングをνガンダムに。それだけで、それっぽくなるのは面白いですよね。」
シャア「...全然違うな。」
oyz「並べちゃいけないみたいですねー。」
oyz「サザビー可変検証試作型と並べてみましたー。」
シャア「同じではないか。」
oyz「それでも顔と色と装備が違うだけで別機体に見えますね〜。」
シャア「本体が全く同じとはな。ん?もしや。」
oyz「気づきました?」
シャア「もしや、私のサザビーと同じ可変機なのか。」
oyz「そうですっ!装備が違うので可変に多少の違いはありますが。では早速可変を見ていきましょう。」
・Aパーツ “μアタッカー”
oyz「Aパーツ、μアタッカーです。本体の可変方式はサザビー可変検証試作型と同じであうが、板ファンネルが配置する事で全く違う外見になります。」
シャア「すごい板感であるな。」
oyz「背面に設置した板ファンネルを全て分離して、可変時に正位置に持ってこなければならないので、まるでパズルの様で泣きそうになりました。」
シャア「自分で作ったのだろう。」
oyz「板ファンネルの扱いも厄介で。配置を間違えるとこうならないんですよ。だから可変させるのに時間がかかっちゃいます。」
シャア「厄介なものを作るからだ。」
・Bパーツ “μナッター”
oyz「Bパーツです。μナッターです。」
シャア「コレは見覚えがある。」
oyz「違いは板ファンネルが付くかどうかだけですね。この後ろの板ファンネルはマグネットが入ってて、互いにくっつき合うんです。ただ、どの板ファンネルにマグネットが入ってるか見ただけでは解らないんです。」
シャア「難儀なものだな。どうするのだ?」
oyz「正解を当てるまで試します。」
シャア「なんと効率の悪い...。しかもこう言ってはなんだが、虫っぽく見えなくもないな。サザビーの時はそうは思わなかったが。」
oyz「変な事言わないでくださいよ、大佐。」
・μフライヤー
oyz「μガンダムの可変形態、μフライヤーになります。μアタッカーの時と板の配置を変えますー。」
シャア「また板の配置が複雑そうな...。」
oyz「板の配置を間違えると可変しないんですー。」
シャア「ええい、なんて面倒くさいものを作るのだ、室長!」
oyz「全部、板ファンネルのせいですよ!とりあえず可変シークエンスをご覧くださいー!」
シャア「可変した後に板ファンネルが付くのか。大変そうだな。」
oyz「板ファンネルはアムロさんの思念操作なので大丈夫ですよ。」
シャア「そうか...。流石アムロだ。」
oyz「大佐じゃあ、この機体の可変はムリでしたね。」
シャア「ええい、そんな事はない。」
oyz「ではサザビーも板にしますか?」
シャア「私のは普通ので良い。」
oyz「そうですね。それにあれはビームも出ない、ただの板ですからね。」
シャア「何?ビーム砲は付いてないのか?」
oyz「ありませんよ。」
シャア「まさかホントに板だけとはな。」
オペレーター「総帥!大変です。連邦軍の艦が現れました!あれは...!ラー・カイラムです!」
シャア「なんだと!?何故、連邦軍にこの場所がわかったのだ!?」
オペレーター「わかりません!あ、敵のMSが出ました!」
シャア「む...!?何機だ!」
オペレーター「1機....です!モニター出ます。」
oyz「μガンダムですねっ!」
シャア「あれは...アムロか。どうやったかはわからんが、この場所を見つけるとは流石だな。」
oyz「何故見つかったんですかねー?」
オペレーター「どうしますか!?」
シャア「サザビーは出れるな?私が出る。」
オペレーター「総帥が自ら!?」
シャア「アムロが来たなら私でしか太刀打ち出来まい。サザビー、出るぞ。」
シャア「よくこの場所がわかったな、アムロ。」
アムロ「当然だろ。そんな事より、一体どういうつもりだシャア!」
シャア「なんの事だ。」
アムロ「とぼけるな!わざわざこのガンダムを届けたのはシャア!貴様だろう!」
シャア「む...。それは私の意思では無かったのだが...。」
アムロ「ネオジオンを復活させる事と関係あるんだろう!?答えろ、シャア!」
シャア「私にも想定外なのだ。」
アムロ「何を!贈り物とか言って物品(ガンダム)を送りつけて後になって代金を払えとかいう詐欺の手口だろう!ネオジオンの資金にでもするつもりか!させるか!」
シャア「ならば何故そのガンダムで来る!」
アムロ「表向きは、AEが贈ってくれたものだ!」
シャア「贈与税を知らんのか。頂き物でも高価なモノなら税金が発生するのだぞ!」
アムロ「知るもんか!」
シャア「甘いぞ、アムロ!そんな事ではこの物価高を乗り越える事はできん!」
アムロ「貴様が言う事か、シャア!」
アムロ「シャア!貴様はネオジオンを復活させて何を企んでいる!?」
シャア「地球に住む者は自分達の事しか考えていない、だから抹殺すると宣言するのだ!」
アムロ 「人が人に罰を与えるなどと。」
シャア 「私、シャア・アズナブルが粛清しようというのだ、アムロ。」
アムロ 「エゴだよ、それは。」
シャア 「地球が持たん時が来ているのだ。」
アムロ「ライフストーム枯渇が原因か!」
シャア「FF7だな、それは。」
アムロ「じゃあ何だ!」
シャア「自己中がいけないのだよ!」
アムロ「その考えそのものが自己中じゃないのか!」
シャア「わからぬか、アムロ!」
アムロ「貴様のインテリな考えなど!」
シャア「連邦は君を戦争の道具としか見ておらん。しかもその高すぎるニュータイプ能力を疎ましく思っている。」
アムロ「シャア!貴様だって!ニュータイプを戦争の道具にしてるだろう!」
シャア「違う、ニュータイプは人類の覚醒だ。ニュータイプは纏まらなければならん。」
アムロ「個人の意見だろう。エゴだよ、それは。」
シャア「ニュータイプの世界を創ろうと言うのだ。アムロ、貴様も仲間にならないか?」
アムロ「ならない。」
シャア「むう。」
アムロ「貴様と俺では価値基準が違う。俺はどんな理由があろうと仲間にはならない。」
シャア「やはり決着をつけるしかない様だ。」
アムロ「そのつもりだったんだろう、シャア!」
シャア「このサザビーは伊達ではない!」
アムロ「それは、俺の台詞だ!」
シャア「悪いが、言ったもの勝ちだ。」
アムロ「ええい!」
シャア「行け!ファンネル!」
アムロ「やらせるか!」
シャア「板だと!?ならば!」
アムロ「!」
シャア「また板か!」
アムロ「この板...動くぞ。」
シャア「板ごときに!」
アムロ「見える!」
シャア「どういう事だ!?板が邪魔で全く攻撃が届かん!」
アムロ「μガンダムは伊達じゃない!」
ララァ「喧嘩はやめて、アムロ。大佐。」
アムロ 「ララァ・スン?」
シャア「え?ララァ?何処だ?私には何も感じられないのだが?」
アムロ「ララァ!シャアと僕を、一緒くたに自分のものにできると思うな。」
ララァ 「意識が永遠に生き続けたら拷問よ。私はあなた達を見たいだけ。」
アムロ 「そりゃあエゴだよ。」
シャア「え?色々造れるブロックの?」
アムロ「そりゃあレゴだよ。」
シャア「〇〇〇〇ルーガ。〇〇に入る言葉を答えろ。」
アムロ「そりゃあウゴだよ。」
シャア「以前、私が所属していた、反地球連邦組織はなんと言う?」
アムロ「そりゃあエゥーゴだよ。いったい何がしたいんだ、シャア!」
ララァ「私は永遠にあなた達の間にいたいの。」
アムロ 「シャアは否定しろ。」
シャア「なんだか知らんが、随分酷い物言いだな、アムロ。」
アムロ「どうせララァとの会話はシャアには聞こえないんだ。」
ララァ「でも面白いから。」
シャア「何?聞こえてないだと?」
アムロ「だからニュータイプのなり損ないだとか言われるんだ。」
シャア「馬鹿にするな、アムロ。む...見える、私にも見えるぞ。」
ララァ「ホントかしら?」
アムロ「見えるもんか。」
シャア「見えた!な...!?ララァ...!?」
ララァ「あら大佐、私がわかるの?」
シャア『ガクガクブルブル』
ララァ「動かなくなっちゃた。どうしたのかしら?」
シャア「....お化けだ...。」
ララァ「え?」
シャア「...ララァのお化けが見える...!なんという事だ、ニュータイプ能力ではなく霊感の方が開花してしまったとは...!」
ララァ「お化けだなんて失礼だわ、大佐。」
シャア「うわっ喋った!お化け怖い...。お化け怖い...!悪霊退散、悪霊退散...!」
アムロ「シャア!ララァは幽霊じゃない!」
シャア「じゃあなんだ!」
アムロ「ララァの思いだ!思いが思念体となって認識されてるんだ。それを解るんだよ!」
シャア「それをお化けというのだよ、アムロ!亡霊以外の何者でもないではないか!」
ララァ「もういいわ、アムロ。」
アムロ「ララァ?」
ララァ「じゃあその幽霊である私が、どこまで出来るか試してみようかしら。お相手して頂けるかしら、大佐?」
シャア「お化け....く、来るな!」
ララァ「ねえアムロ。その装備、貸してもらえるかしら?」
アムロ「フィンファンネルか、動かせるのか?」
ララァ「私、思念体だし、どうかしらね?....あら、すごいわコレ。自在に動くわ。今の技術って凄いのね。私の頃のビットとは大違い。」
アムロ「やるな、ララァ。」
ララァ「さあ、行くわよーっ、大佐。」
シャア「やめろ、ララァ!南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏!」
ララァ「お経なんて効かないわ。うふふふ。」
シャア「うおお!?板が襲ってくる!?なんとかしろアムロ!」
アムロ「自分でなんとかしたらどうだ、シャア!」
ララァ「あら、大佐もファンネル持ってるじゃない。借りちゃおうかしら。」
シャア「何!?私のファンネルが勝手に!?」
ララァ「さあ、行くわよーっ、大佐。」
シャア「ぬう!?ファンネルのコントロールが効かん!ジャックされるなど!?うおおーー!?」
アムロ「あ....、シャアが達磨に...。」
ララァ「やりすぎちゃったかしら。うふふふ。」
アムロ「コレでシャアも少しは懲りただろう。」
ララァ「ふふ、大佐には反省してもらわないと。」
アムロ「そうだな。」
ララァ「また会いに来るわ。またね、アムロ。」
アムロ「ああ。しかし怖いな、女って。」
シャア「ぬう....また宇宙を漂流する羽目になるとはな...。やはりサザビーを完成させるしかあるまい...。」
お待たせしました!可変検証型サザビーの続きのお話です!え?見てない?過去作から見てくださいねー!?
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ギャグセリフの声を脳内再生する事に集中しすぎてせっかくのμガンダムが入ってきません 笑
相変わらずの文才ある長文ですが、ボケとツッコミが軽快で大変面白く、あっという間のラブストーリーでした😁
確かに並べると似てますが、カラーリングのせいもあって、違うものにも。それにしても、カッコいい可変機、さすが室長!
フォース“GUNSTARDOM”可変開発室 室長。
可変機が大好き!作品毎にストーリーを書きます。最近小説みたいになってガンプラの写真が挿絵の様になってます。
嫁がガンプラアンチでナイショで深夜のみで制作。なので塗装は筆です。(´・ω・`)
oyz (オイズ) 可変開発室長さんがお薦めする作品
すーぱーるなまりあ
すーぱーはまーん様
オイズッガイ
SD⇄リアル ストライクガンダム
クルーゼ隊のコロニー強襲から辛くも逃れたアークエンジェルだっ…
マゼンダさん考案方式 可変ガンダム
どーも、こんにちは!可変開発室のoyzです! 今回は、“可変…
可変検証試作型サザビー
宇宙世紀0093年。シャア・アズナブルは新生ネオ・ジオン軍を…
可変改修型ガンダムファラクト
エラン「….僕は勝ったよ、スレッタ・マーキュリー…