ザク───
史上初めて実戦投入されたジオン公国軍のMSであり、その後継機たるザクⅡはMSの史上最多生産数を記録している傑作機である。
一年戦争で敗北したとはいえ、MS開発に一日の長があるジオンから学ぶべき事は多く、戦後、ジオニック社をはじめとした旧公国軍系の軍需企業は連邦軍に接収されたり、他社に吸収合併されるなどして、連邦系技術との習合が進められた。
“連邦が造ったザク”
RMS-106ハイザックなどはその最たる象徴であり、ザク系のコンセプトとジム系の設計を組み合わせたハイブリッド機であった。
「スナイパーにとって戦闘中、最も避けなければならない事とは何か? マツバラ候補生!」
連邦軍士官学校においてMS狙撃戦術論を担当するテネス・A・ユング教官は一年戦争中、“連邦の撃墜王”と呼ばれた凄腕のスナイパーだった。
教鞭を取る今もその鋭い眼光はなおも健在だ。
「はっ!敵前に姿を晒すことであります!狙撃地点を特定される事は、こちらの射角を読まれる事に繋がりますし、射撃中の狙撃手はほぼ無防備な静止目標に他なりません。」
「よろしい。先のとおり、スナイパーの優位性を最も発揮できるシュチエーションは“先手必中”出来る場面であり、逆に姿を晒した狙撃手は敵機からの格好の的である。このことは一年戦争中のデータからも明らかであり・・・
T3部隊でTR-2としてテストが行われていた試作兵器“ビグウィグ”。ハイザックを中核としたこの遠距離砲撃戦システムは、試験中の暴走事故により開発が中止されていたが、UC0086年、その代替案とも言える機体がアスワンに持ち込まれていた。
「ハイザック・カスタム?」
カール・マツバラは久々にアスワンに乗艦したテオドロ・ウルバーニ技術主任に尋ねた。
「あぁ、そうさ!検証の結果、以前のビグウィグはハイザックとの相性が悪かった為に別機体の装備として再設計される事が決まった。そして、ハイザックはハイザックで単体での改良プランが検討され、今回完成したのがこの機体という訳だ。
射程外から狙い撃つ事が出来ないなら、獲物の方から近づいてくるのを待てばいい、そっと息を潜めてね。
知っての通りハイザックはビーム兵器の同時使用が出来ない。そのぶん機体からの排熱量はごく少なく、ミノフスキー粒子散布下でのステルス性は高いとされている。」
「なるほどね、まさにスナイパーの王道を征く機体ってことか。まぁ、ビグウィグのコンセプトの方がかなりブッ飛んではいたからな。」
「ただ、このハイザックカスタムはバックパックの性能も強化されている。その気になれば高機動戦闘も充分可能だ。」
「どうして狙撃用の機体に高機動仕様が?」
「そんな当たり前のつまらないコンセプトの機体を僕が設計するとでも思ったかい?TRシリーズは常に先進的な設計思想の試作機を試験運用する場だ。ハイザックカスタムには、高機動戦闘を行いながらの精密誘導射撃の検証を行ってもらう。」
「何だって⁈動く目標をこちらも動きながら正確に狙う?冗談じゃない!当たりっこない!!
いいか?精密射撃ってのは、狙撃点を固定して対象を正確に狙うのが基本だ。ただでさえ動く目標を狙うのは神経を使うのに、戦闘機動を行いながらじゃあ照準がブレて仕方ない。」
「だから、随伴する観測機からの正確な射撃データをリアルタイムで同期して、精度を上げる。今回はGオフェンサーの機首ポッドを観測に充てる。いいデータを期待しているよ♡」
テスト宙域に選ばれたのは最近、反地球連邦運動エゥーゴとジオン残党が頻繁にコンタクトを取っていると報告のあった暗礁地帯だった。
マーフィー隊長の1番機、エリアルドの2番機に続いて、カールの乗った3番機・ハイザックカスタムが発進する。
「俺とエリアルドはここから散開して個別に索敵する。カールはどちらも把握できる位置に身を潜めて狙撃準備だ。」
マーフィー隊長が指示すると、カールは巨大な岩塊の一つに身を潜めて、センサーのレンジを広げた。
思えばMSパイロットを志して以来、かつての恩師から教わったセオリーに忠実に狙撃手を務めてきた。スナイパーライフルを走りながら構える狙撃手というのは聞いたことがない。
そう考えているとセンサーに反応が現れる。
「リックドムが1機、ゲルググのキャノンタイプがもう1機か。」
リックドムはかなりの手練らしく隊長と激しいドッグファイトを繰り広げていた。
かたやゲルググは支援タイプということもあり、乗っているのは並のパイロットのようだったが、引き付け役のエリアルドのヘイズル2号機の動きが急に止まった様に見えた。
「2号機?どうしたエリアルド?トラブルか?」
「駄目だ、システム系のエラーだ。換装したトライブースターのドライバーがトラブった。」
『スナイパーにとって戦闘中、最も避けなければならない事とは何か?───』
一緒その言葉がカールの頭をよぎったが、考えるよりも先に彼の身体は反応していた。
「ほぉーら!こっちだ!ゲルググ!
スナイパーとドッグファイト出来る機会なんてなかなか無いぜ!」
岩塊から飛び出したハイザックは、ゲルググの注意を2号機から引き離す為に、挑発するような戦闘機動に入る。
ハイザックを新たな脅威と判断したゲルググは、その誘いに乗って追撃に入った。
「ハハッ!たしかになかなかの機動力だ!しかしこれじゃあ狙い撃てる気はしないね。」
そこに二機を追跡していた観測ポッドから観測データが届く。
「狙撃手は己の勘を信じて撃つもんだが、この一撃はまぁアイツを信じて撃ってみるか。」
ゲルググの放ったビームキャノンの一撃を急旋回して避けると、観測ポッドからの指示のままにカールはすかさずビームランチャーを放った。
ハイザックの狙撃は寸分の狂いも無くにゲルググの武装と頭部メインカメラを射抜いた。
「ゲルググのパイロット、そちらの武装とセンサーは完全に無力化された。両手を挙げて出て来るんだ。」
カールは接触回線を通して投降を呼びかける。
どうやらマーフィー隊長とドムとの決着もついたらしい。
帰艦したカールをウルバーニ技術主任は真っ先に迎え入れる。
「どうだった?マツバラ中尉?高速機動中の精密誘導射撃を成功させた感想は?」
「アンタを信じて撃ってみて正解だったみたいだ。でも、俺がいくら目立ちたがり屋だからって、やっぱりスナイパーが自ら姿を晒すのは気分がいいもんじゃないな。アイツは隠れて狙撃すべき機体だ。“隠れハイザック”だよ。」
引き続きのAOZシリーズですが、今回はリビルドじゃなくて一からの新作です。月一ぐらいは新しいキットも組んで積みを減らさないと😅
ってことで、今年の『ザクの日』に合わせてhgucハイザックカスタムを作りました。
何げに初めてのプレバン商品です。12月に到着してました。
今回の工作その①
最近マイブームの各部開口を今回も。
今回の工作その②
モノアイシールドとセンサーカバーを透明プラ板で制作。
モノアイは今回はhアイズ置き換えとかはせず、蛍光ピンクで塗装です。
カラーリングはT3所属をイメージして、ハイザック先行量産型とはまた違う、前作の初代ヘイズルをほぼ踏襲したレシピです。
が、淡いブルーのカラーリングはやっぱり連邦軍カラーっぽいですね笑
てか、何であのカラーがティターンズ所属機でないのかは、未だに自分の中ではしっくりきません(zaku-kao4)
右肩のシールドにはアクセントとして、3色の青系クラウド迷彩を施してみました。
今回、部分塗装時に最近話題のウォーターパレットを試してみました🎨
確かに驚くほど乾燥が遅くて、、、どころか水分が滲み過ぎてきて若干水っぽくもなりました😅
でも乾燥しがちだったり、エアコンつけたりするこの時期でも、じっくり筆塗り楽しみたいって方にはいいアイデアなんじゃないでしょうか?
自分的にももう少し研究の余地ありです。
連邦系の武装との相性を検証する為、ビームランチャー以外にもT3部隊で運用されていたビームライフルやジムライフル、手持ち式シールド等の装備が試験運用された、の図です。
シールドマウントパーツの為に前腕部に3ミリ穴開けました。
GQuuuuuuX!
ってことで、ビームサーベルも装備出来るけど、流行りなんで近接武器はヒートホークにしてみました🪓
「わかんないけど、何かわかった!」
主武装のビームランチャーですが、何か物足りないデザインだったので、簡単ですがスコープセンサーをくっつけました。
通称“隠れハイザック”ということで、今回のストーリーはそれにまつわるものにしようと思ってたら、最期にオチがきて何だか落語の演目みたいになりました(zaku-kao4)笑
隠れハイザックって、SD武者化するなら絶対忍者枠ですよね🥷
ありがとうございました❗️
今年のザクの日はハイザック!
コメント
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高速機動中の精密誘導射撃!このシビれるワードが今回の機体の魅力を象徴していると感じました。今回も、作品だけでなく、ストーリーまで胸熱でした。
ザクの日投稿おめでとう🎊ございます🎉 カラーリング、製作共に素晴らしいハイザックカスタムですね😆 めちゃかっこいいです👍
いつも有難うございます(zaku-kao3)
去年はザクの日に合わせての制作が出来ず、過去作をひっぱり出しての投稿になったので、良かったです👍
実は3月に入ってからの制作で、結構駆け足でしたが、流石最新設計のキットは加工しなければいけない部分もほとんど無くスイスイ進みました☺️♪
UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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