オーガスタ研究所───
北米クラークヒル湖畔にある地球連邦軍基地やMS訓練校に併設し、一年戦争時から新兵器開発のみならず、ニュータイプに関する研究も行われてきた拠点である。
公にはされていないが、そもそもNT自体が宇宙移民者の中に自然発生した共感覚者という定義であった為、地球にあるこの研究所ではしばしば人為的に発現させられた“人工ニュータイプ”、いわゆる『強化人間』が研究材料とされる事も少なく無かった。
ORX-005 ギャプランは高高度迎撃も可能な可変機として設計され、MA時には爆発的な加速力を生むが、一般パイロットではその高いGに耐えられないため、ほぼ身体強化が施された強化人間専用機とされていた。
UC0087年11月、コンペイトウに一隻の地球からの輸送艦が入港した。
「ようやくフライルーの2号機と予備パーツが到着か。」
「オーガス研が設計図をどうしても出したがらなかったらしい。だから強化パーツはコンペイトウ技本製だが、本体はオーガスタからの供与さ。表向きはティターンズに協力する様子を見せながら、どっちに転んでも良い様に、大事なところは手放さないんだからな。」
「何機かあるようだな?見慣れないカラーリングだけど。」
「T3以外の部隊にまわす分も一緒に運んで来たんだろう。よっぽど技術流出を警戒してるのか、技術者とテストパイロットも一緒に連れて来て目を光らせてるらしいが、あの赤紫の派手な機体。アレに乗ってるのなんか、“強化人間”ってウワサだぜ。」
TR-5フライルーは、もともと拠点侵攻用装備であるファイバーのコアユニットとして用意されたものであり、それ単体でも領域支配MAと呼ばれるほどの戦闘力を持つ。
「シュミレーター状況終了。どうだ?エリシア。
ギャプランの強化プランの感想は?」
アルカスル艦長、フォルマ・ガードナーはシュミレーターを終えたエリシア・ノクトンに尋ねた。
「一言で言えばお話しになりませんわね!」
「火力、機動力、防御力、索敵能力、数値上は全てのバロメータでノーマル状態を上回っているハズだが⁈」
このプランの導入を勧めているヤハギ・フランジバックは尋ね返す。
「たしかにチャート上は総合力の上がったバランスの取れた機体、とおっしゃりたいんでしょうけど。。。所詮は強化人間でなくとも乗れるように施された、“型にはめ直した”ような改修。NTという突出した才能を活かせるような“何か”が圧倒的に感じられませんの。」
「なるほどね、さすがオーガスタ研の誇るNTのエリシア嬢はもっと尖った機体を御所望ってことか。まぁ、同じティターンズと言えどコンペイトウ技術本部は“委員会”とは別系統の組織だから無理して導入する義理もないし、この件はしばらく検討ってとこかな。
新しい作戦が入った。衛星軌道上でエゥーゴ艦が通信衛星のジャックを進めているらしい。現時点で軍事的に重要な目標では無いが、我が艦隊にはこれを阻止、最悪の場合は衛星ごと破壊しろとの命令だ。」
UC.0087.11.16. ダカール上空 静止衛星軌道上では通信衛星を巡って、ティターンズ・エゥーゴの間で既に激しい攻防戦が繰り広げられていた。
『人が宇宙そらに出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避ける為だった。そして、宇宙そらに出た人類が・・・』
ジャックされた電波に乗ってか、ダカールからの中継の様子がこちらにも流れてくる。
ギャプランのコクピットにいるエリシアに指令が告げらる。
「エゥーゴのアイリッシュ級は既にMS隊を展開している模様。スワン小隊は発進後まずこれを排除せよ!」
「了解。スワン小隊2番機 エリシア・ノクトン
出ます。」
『・・・宇宙に出ることによって、人間はその能力を広げる事が出来ると、何故信じられないのか?』
ギャプランは浮遊するデブリの影に身を潜めながら、一機、また一機と敵を狙撃する。
「一機撃墜。」
報告をしながらエリシアは心の内で物足りなさを漏らす。
(どれも本当に手答えの無い相手ですわ。私をロックオンする事すら無く墜ちてゆく。)
『人は長い間この地球という揺かごの中で戯れてきた。しかし時はすでに人類を地球から巣立たせる時が・・・』
ふいに見慣れない色の機体が、こちらの狙撃を避けた。
「白いリック・ディアス?」
『この期に至って何故人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ』
「あの動き、、、あの反応、、あの感じ方!!!間違い無い!間違い無いですわ!!」
こちらがダミーを撃った隙を突いて、後ろを取って背後から接近戦を仕掛けてくる。
「そんな思いつきの攻撃で私を倒せるとでも?」
『・・・揺かごの中に戻し、人類は自立しなければ、地球は水の惑星ではなくなるのだ。このダカールさえ砂漠に飲み込まれようとしている』
しかし機転を効かして形勢を逆転させたのはエリシアのギャプランの方であった。
トドメの一撃を決めたかに見えたが、自らの両腕を犠牲に白いディアスは攻撃を回避する。
「その潔さ‼︎神の采配も・・・捨てたものじゃないわね・・・
アスナ・エルマリート!!!
『それほどに地球は疲れきっている!今誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば・・・』
「同窓会にしてはみすぼらしい格好ねッ‼︎」
なおもリック・ディアスは反撃を試みるが、ギャプランはそれをことごとくかわしてみせて、相手のメインカメラに手を掛けた。
「今 あの時の借りをお返ししますわ‼︎」
「撃たな・・・い!! 借り!?」
つぎの瞬間、隊長機のリック・ディアスが放った閃光弾に乗じて、あと一歩のところで二機を取り逃してしまう。
「エリシア、帰艦命令だ。」 「了解。」
次は 撃つ・・・‼︎‼︎
アルカスルへの帰途、エリシアは自らに言い聞かせるように誓っていた。
一月から続けて来ましたAOZキットリビルドシリーズも手直しすべき古いキットはこれで最後ということで今回で一応の最終回?となります!ギャプラン・フライルーです。
元キットの大柄なギャプランに、さらに追加装備をした機体ということで、一般販売されたAOZキットの中でも随一のボリュームでした😅
TRシリーズなのでT3カラーで塗るべきところなのですが、一月からずっと同じ色を塗ってきて、さすがに飽きてきたので😅今回は、漫画エコール・デュ・シエル第3部序盤にて強化人間として再登場したエリシア・ノクトンが登場する機体として制作しました。
大きな改修点としては、
頭部モノアイをピンクのhアイズ化。今回、100均のピンバイスを卒業して、Amazonで購入したピンバイス&スピンブレードを使用したので、簡単に綺麗な穴を開けることが出来ました!
合わせ目消しは前腕のみ。その他の部分は基本的に段落ち処理としました。段落ちにして不自然になる肩アーマーは上部のディテールは削り落とし、凹モールドは開口した部分にプラ棒を加工したディテールを埋め込みアポジモーターとしました。
以前チャレンジした自作デカールですが、今回はハイキューパーツのシートを使って透明下地のものを制作してみました。
絵心は無いので、単純な図形やフォントの組み合わせです。白下地とはまた違い、透け具合や、白文字は打てないなど色々と考えながら作らないといけない点も多いですが、、デカール好きとしては自分のデザインしたデカールを貼れるというのは感無量です✨
今回の制作では、あくまでギャプラン形態がメインとなったので、フライルー形態はおまけみたいなもんです笑
強化人間であるエリシアからしたら、通常パイロット向けとして用意された強化プランではやはり物足りず、ダカール演説後にコンペイトウもエゥーゴに占領、アルカスルはそのままツバイカウ追撃に入ったので、損傷したギャプランの改修プランにはエリシア・スペシャルが採用された・・・的な妄想です笑
元ネタとなったエリシア・スペシャルとのカラーリング比較。
エリシアのノーマルギャプランは漫画では言及が無いので、おそらく多くの人が緑・青・赤のロザミア機と同じカラーリングを連想したと思うんですが、アスナがパーソナルカラーの白いディアスで登場するので、エリシアのギャプランもパーソナルカラーの赤紫でもいいんじゃない?というところから着想しました。
なのでエリシア・スペシャルから逆算して多くのパーツのカラーリングを踏襲しています。
色合いは、設定画イラストというより、タガタメクリエイティブさんが制作されていたエリシア・スペシャルがカッコ良かったので、特に濃い紫などはそちらを参考にしています。
エリシアの所属している隊はスワン小隊で、エリシア自身も自分はエリートでお嬢様の白鳥で、落ちこぼれのアスナはみにくいアヒルの子だと見下していたので白は必ず入れたい色でしたが、実は後々に強化がさらに進み、ダーグェというサイコマシンに乗ってしまう“怪鳥の子”だったという不気味な未来を暗示させる為に最小限にとどめています。
最大のパーツであるシールドバインダーにはスピードで撹乱する機体らしく、大胆にマスキング塗装でダズル迷彩を施しました。TRマーキングとも相まってド派手な特徴になってよかったです👍
そこまでユルくは無かったんですが、シールドバインダー+ロングブレードライフル+ダブルシールドブースターを付けると流石に肩が下がります。
ギャプランの肩関節はバケモノじゃないって!!笑
おそらく素組状態で変形させた事は無かったんじゃないか、というフライルーMA形態。
途中ポロリの連続でかなりの難易度でした!
これストレス無く変形させられる人いるのかなー⁈🤔
ファンネルよけながら取りつけるよりも難しいハズ!笑
ストーリーはエコール第3部のダカール上空攻防戦を。漫画ではアスナの視点から描かれていたので、逆にエリシアの視点から描いてみました。
相手役として18年前?に雑に缶スプレー塗装した白いディアスにもデカールを増やすなどして撮影。
先日、Gジェネエターナルになんとアスナとル・シューニュが実装されるとの情報を聞いて、「これはエコールが15年ぶりに連載再開されるフラグなのでは⁈」とにわかにザワつきながら作りました笑
ありがとうございました❗️
ダカール上空に舞う“怪鳥”
コメント
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エリシアというキャラクターの魅力がしっかりと感じられる素敵美しいカラーリングですね(zaku-kao6)
自作デカールも機体の雰囲気にピッタリで作品の魅力を高めてますね😆
ありがとうございます✨
第3部のエリシアは第1部の頃とは打って変わって、まさしくNT研究の『狂気』を体現するキャラクターとして再登場したので、その“危なっかしさ”を機体色からも感じ取って頂けて嬉しいです❗️
かっこよすぎます😆 ギャプランに追加装備😆 赤いカラーリングが良く似合いますね👍
いつもありがとうございます✨
今回は逃げずに結構攻めたカラーリングだったので、そう言って頂けると貫き通した甲斐があります❗️
サムネ画像のクオリティが製品パッケージレベルですね。
ありがとうございます😊
MGなんかのパッケージを参考に、毎回デジラマ作りも楽しんでやってます❗️
UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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