余談〜機密指定”G計画”

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UC.0095.12月2日。月面都市グラナダの国連宇宙軍基地に停泊中のロンド・ベル隊総旗艦ラー・カイラム艦長室では総司令であるブライト・ノア大佐が一連のサイド6イズマコロニーでの事件をロンドンにある国連軍統合参謀本部へと報告していた。この時ブライトの報告を聞いていたのは参謀本部議長ただ1人だけ。秘話レベルは最大である5に指定されていた。単なる報告ならばこのレベルは不自然であり、ブライトが薄々感じていたこの事件のきな臭さを決定的にした。報告を聞き終えた参謀本部議長のジョン・コーウェンは溜息をこぼしてから口を開いた。

コーウェン[ブライト大佐。君にこの話をするのは危険かもしれない]

ブライト[と、申しますと?]

コーウェン[身内から命を狙われる危険がある。かつてのデラーズ紛争での私がそうだったように。それでもこの後起きる可能性がある事態に対処するには君のロンド・ベル隊が今持っているガンダムクアックスとそれを乗りこなす件の少女の協力が必要不可欠だ。だからこそペガサスの連中に命令を下す君に話さなければならない]

コーウェンの言葉にブライトはモニター越しながら部屋の空気が張り詰めたように感じた。

コーウェン[ブライト大佐。君は”G計画”を知っているかね?]

ブライト[南極にある先端技術開発所が行っている兵装研究計画でしたね。具体的な内容は私も権限が無いので知りませんが]

コーウェン[例のミネバ・ザビ暗殺未遂が起きた日にその研究所から研究の中核だったオブジェクトが消えた。時間的にイズマコロニー内でX00が謎の消失を起こしたのと同時だ。そのオブジェクトは我々の歴史を根底からひっくり返す未来からの漂流物だ。宇宙世紀に小型核融合炉、MSの開発。それら全てがその漂流物から得られた技術と情報による結果だ。それを解析して反映させるのがG計画だ。そして、先日イズマコロニーに現れたテロリストたちはジオン残党の革を被った別物だ。奴らの狙いはG計画に関わる全てを抹消する事だ。先日のイズマコロニー以外にも複数起きているジオン残党による騒ぎは君も知ってるだろう]

ブライト[ええ。旧サイド4ムーア宙域の再開発コロニー襲撃にサイド7グリーン・ノアの国連軍基地襲撃。どの現場にもあのブルーディスティニーと袖付きがいた事が確認されています。議長はこの一連の騒ぎが袖付きではないと?]

コーウェン[イズマコロニーの事件後にミネバ・ザビ自ら秘匿回線でこちらに連絡があった。お飾りの姫殿下だと思っていたが、なかなかの曲者だ。それに、襲われた施設は全て極秘のG計画関連施設。決定打はムーアに現れた連中を追撃した部隊の全滅は情報本部からの報告では奇襲してきた国連軍コードのジムIIIによるものだった]

ブライト[つまり敵はある種の思想に基づき国家や勢力の枠に囚われないという事ですか]

コーウェン[そういう事になる。そんな敵を出し抜くにはあのシャリア・ブルの部隊に動いてもらうしか無い。参謀本部から直接命令を下すと敵に知られる危険がある。だから君からシャリア・ブルに伝えろ。あのニュータイプは薄々勘づいてるかも知れんがな]

コーウェンとの密談を終えたブライトは早速秘匿回線で送られてきたデータを開いた。そして、宙を見ながら言葉を漏らした。

ブライト[“X00とクアックスが揃った時、オブジェクトへの道が開ける”…まるで宝探しだな]

ブライトは部屋から出るとブリッジに上がり地球へ向かっていたシャリア・ブルのペガサスへ早速連絡を取ったが、

ブライト[何!?クアックスが無断発進で地球へ降りただと!?貴様ら揃って何してた!!]

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