Reunion. —SHADOW PHANTOM IF STORY—

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こちらの投稿は、SenGokuさんが作られた作品に、わたくし押忍やすじろうがフレーバーテキストとデジラマを付けたものでです。SenGokuさんの作品は、下記リンクです。まずは皆さま、ぜひ、SenGokuさんの作品をご覧ください。

 

【Reunion.】

 飛び込んだ戦場を、必死に”泳ぐ”。

 瞬間、アイリッシュの眼の前を、稲妻のような光が走った。

 直感的に、分かってしまう——祖母から聞いていた。母も、そうだったと。

 赤い機体。

 その機体は、切り裂くように戦火を抜け出すと、コロニーの外壁に、ふわりと柔らかく設地した。自分と同じように、肩にキャノン砲を積んだ、その機体が、自分の母だと、アイリッシュには、はっきりとわかった。

「母さん……?」

 おずおずと、問い掛ける。気配が、応えるような気がした。直感が、確信に変わる。

「母さんでしょう!?」

『アイリッシュ……?』

通信機の向こう側から、涼やかな声が響く。

『アイリッシュ!』

「母さん!」

アイリッシュは、思わず機体を、”母の胸”に飛び込ませた。

『アイリッシュ……!あなたって人は……!』

 優しく機体を受け止められながら、接触回線でより明瞭に声が響く。その声は、母の温もりでアイリッシュの胸を充たす。なぜ、戦場に来てしまったの、という咎める言葉とは裏腹に、その言葉と心は、アイリッシュの魂を優しく包む。

「ごめんなさい、母さん……。」

 でも、会いたかったの、という言葉は出ない。母さん、と、もう一度声を振り絞った。

(分かっている——分かっているわ、アイリッシュ——。)

 母の思いが、言葉を介さずに、流れ込んでくる。

 自分の意思が、娘に伝わっていくのを感じながら、ミヤギは、かつて、一度は否定した、言葉を介さぬ、意思の疎通について、思いを馳せる。(心の中のことは、口に出さなければわかりません。口に出す必要がなくなるなら、わたしはニュータイプになどなりたくはない。)あの時、”彼”からは、確かな言葉が欲しかった。だが、こうして——こうして、娘をその命ごと抱き締めていると、思うのだ。魂を分かち合うような、命が響き合うような、こういう共感、共鳴も、決して、悪くはない。  そうだ、この共鳴は、”ニュータイプ”同士だから、ではない。  この、魂が通い合うような抱擁を、今は、心ゆくまで味わいたいと、母も、娘も、願っていた——。 2人を守るように、白とグレーの、2機の”ガンダム”が、ゆっくりと機体を寄せた。彼らからも、確かな意思を感じる。互いの心を労り、包み込むような空気が、周囲を充たす。 戦いは、間もなく、終わる。 宇宙は、優しく、蒼く、輝いている――。【fin.】

 自分の意思が、娘に伝わっていくのを感じながら、ミヤギは、かつて、一度は否定した、言葉を介さぬ、意思の疎通について、思いを馳せる。

心の中のことは、口に出さなければわかりません。口に出す必要がなくなるなら、わたしはニュータイプになどなりたくはない。)

あの時、”彼”からは、確かな言葉が欲しかった。だが、こうして——こうして、娘をその命ごと抱き締めていると、思うのだ。魂を分かち合うような、命が響き合うような、こういう共感、共鳴も、決して、悪くはない。

 

 そうだ、この共鳴は、”ニュータイプ”同士だから、ではない。

 

 この、魂が通い合うような抱擁を、今は、心ゆくまで味わいたいと、母も、娘も、願っていた——。

 2人を守るように、白とグレーの、2機の”ガンダム”が、ゆっくりと機体を寄せた。彼らからも、確かな意思を感じる。互いの心を労り、包み込むような空気が、周囲を充たす。

 戦いは、間もなく、終わる。

 宇宙は、優しく、蒼く、輝いている――。

【fin.】

SenGokuさんの投稿が嬉しすぎて、作っちゃいました笑

ご本人からもご許可を頂戴したので、公開します。

アイリッシュの軽キャノンめっちゃかっこいいです。これ、第6部を構想しちゃうレベルです笑

SenGokuさん、本当にありがとうございました!!

コメント

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  1. SenGoku 39分前

    早っ!

    自分の投稿から、こんなふうに編集できるのですね

    ストーリーまで付けていただけるなんて光栄です

    使用していただけて嬉しいです、なんせ押忍やすじろうさんのファンですから

    (#^^#)

    物語の創作意欲に貢献できるとは思いませんでした

    次回シャドウファントムの展開楽しみしております(^^♪

    • いつもありがとうございます(gundam-kao6)

      早朝に投降を見た瞬間、この映像も、テキストの構成も、すべて、稲妻のようにわたしの頭を走りました。一瞬でした。すごく楽しかったです(gandam-hand2)

      本当に、嬉しいお言葉です。

      真に勝手ながら、目次ページにもSenGokuさんのページ共々外伝としてリンクを掲載させていただきました。

      今後ともぜひよろしくお願いいたします。

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