機動戦士ガンダム ウォッチ・ドッグス 第五章「ドリーマーズハイ」

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  第百二十七独立戦隊はエーヴェ宙域に到達した。金星のラグランジュ・ポイントを少し過ぎたあたりにある暗礁宙域である。

 ホルストVIIから離脱した輸送艦アンティータム級ルドウィグはこの宙域に逃れたであろうと、解放された連邦軍兵士は推察していた。それが打ち合わせたことであったからである。

「艦長」

 グレッドがタントラの艦橋に滑り込んできた。

「ご苦労だったな、大尉。早速二機撃墜したと言うじゃないか。やはり、”ニュータイプ”は違うな」

 レーゼンビーはニタっと笑った。

「嫌味ですか?」

 そう思うのはF・B出発前のあの会話があったからだ。

「私は君のその少々捻くれたところは改善してもらいたいと思っているよ」

「一パイロットとしての評価を期待しているんですよ。ニュータイプなんてザツなものではなくってね」

 グレッドはこれだけ言わないと気が済まなかった。
「確かに、ニュータイプってのはあくまで人間だろうな。あのアムロ・レイでさえそうだろうから」

「会ったことが?」

 レーゼンビーは「まさか」と言う風に鼻を鳴らす。

「彼が今も生きていれば、世界は変わりますかね?」

「本質は何も変わらんだろうな。凡人とは言わんが、彼はあくまでも一軍人であって、シャア・ダイクン程のカリスマ性はないはずだ。そんな男が今もいたところで、精々軍に使い潰されてお陀仏だろうさ」

「悲しいものですね」

「アムロ・レイにとっちゃ、アレで消えられてラッキーだったのかも知れないな」

「艦長?」

 オペレーターのジョージ・シルフ少尉が呼びかける。

「どうした?」

「個人的に伺いたいんですが、艦長と副長はあのアクシズ落下阻止に参加したんですよね?」

「あぁ、88艦隊でな。私がモビルスーツ小隊の隊長で、副長もそこにいた。もう一人の隊員は落下阻止のオーバーロードで自爆しちまった」

「それは悲しいですね。あと少しだったのに…」

 同じくオペレーターのミナ・オクイ少尉が同情を投げかけた。

「今では奇跡って扱いでも、当事者からすれば立派な戦場だったからな。彼も覚悟の上だったはず。でしょう、艦長?」

 アロン・アヴァロンがフォローをしてやった。

「まあ要は、伝説として語り継がれる奇跡の裏じゃあ、アムロ・レイやシャア・アズナブルは勿論、名のない者たちの犠牲それを築いたってことを忘れちゃならんってわけさ」

 レーゼンビーは綺麗事が嫌いではなかった。むしろ良い方向に働くならば好んで使うのだ。

 宇宙世紀0093、アクシズ・ショックとのちに呼ばれる現象は起きた。伝説のニュータイプ、アムロ・レイとシャア・アズナブル。二人の戦いの終幕を飾ったこの現象は多くの連邦軍人だけでなく、敵対するネオ・ジオンの軍人や目撃した地球圏の人々皆の心を打ち、そして呪ったのだ。

「隊長、あれは…」

「アクシズが…地球に…」

 地球連邦軍宇宙軍のロンド・ベル隊の援軍として駆けつけた同じく地球連邦軍宇宙軍の88艦隊所属ウディ・レーゼンビー大尉はひどい焦燥を感じた。そして、

「アヴァロン中尉、クエステン中尉、お前たちは周辺宙域の敵機の相手をしてもらう!」「隊長はどうするんです⁉︎」「アヴァロン中尉、男は格好をつけたいものなのさ」 レーゼンビーは乗機のジェガンのテール・ノズルを最大出力で発射した。「隊長!」 レーゼンビーは恐怖を感じていないわけではなかった。部下も置き去りにして、死んでしまったら見殺しになる。だが、それを振り切るほどの高揚が彼の身体を動かしていた。「地球を汚して人を殺すなんて…!……⁉︎」

「アヴァロン中尉、クエステン中尉、お前たちは周辺宙域の敵機の相手をしてもらう!」

「隊長はどうするんです⁉︎」

「アヴァロン中尉、男は格好をつけたいものなのさ」

 レーゼンビーは乗機のジェガンのテール・ノズルを最大出力で発射した。

「隊長!」

 レーゼンビーは恐怖を感じていないわけではなかった。部下も置き去りにして、死んでしまったら見殺しになる。だが、それを振り切るほどの高揚が彼の身体を動かしていた。

「地球を汚して人を殺すなんて…!……⁉︎」

 予想ができなかったわけではない。だが彼は部下たちのジムIIIが自分の背中を追っていることを思い知らされた。「自分たちだって男ですよ! ねぇ⁉︎」 ロフール・クエステン中尉が叫んだ。「隊長が命令違反をしたのだから、自分たちは隊長の命令に従う義務はないのですよ!」 アロン・アヴァロン中尉が理屈を言った。それは彼自身の高揚を隠すためだ。

 予想ができなかったわけではない。だが彼は部下たちのジムIIIが自分の背中を追っていることを思い知らされた。

「自分たちだって男ですよ! ねぇ⁉︎」

 ロフール・クエステン中尉が叫んだ。

「隊長が命令違反をしたのだから、自分たちは隊長の命令に従う義務はないのですよ!」

 アロン・アヴァロン中尉が理屈を言った。それは彼自身の高揚を隠すためだ。

「お前たち…よーし、それなら玉砕だ! ついてきやがれ!」「「了解!」」 三人はアクシズの表面に向かう。

「お前たち…よーし、それなら玉砕だ! ついてきやがれ!」

「「了解!」」

 三人はアクシズの表面に向かう。

 ドーン! 彼らはロンド・ベルのジェガンに続いてガンダムの脇に取りついた。「やめてくれ! こんなことに付き合う必要はない! 下がれ! 来るんじゃない!」「そうはいきません!」 アロン・アヴァロン中尉の声だ。「ロンド・ベルだけに良い思いはさせませんよ!」 レーゼンビーである。「しかし、その機体じゃ…!」 その間にも、アクシズを押すようにして、テール・ノズルを全開にするモビルスーツの数は次々に増えていった。 それらは一方方向から接近するのではなかった。地球の反対側からも接近して、アクシズに取りついていった。 その数は、数+……。 しかし、アクシズはそんなゴミのようなモビルスーツの推力で押し戻されたり針路を変えるような大きさではない。 確実に軌道を下げて、地球の昼の部分に肉薄していった。「アクシズを地球に落としちゃだめなんだーっ! こんなもので何億人もの子どもが殺されてたまるか‼︎」 クエステン中尉が大義を投げた。「諦めの悪いヤツが、俺以外にもいるなんてな!」 ユウ・カジマ大佐は呆れを知った。「こんなデカブツを、地球に落としてたまるかよ! あそこには俺のお袋だっているんだよ!」 ジョフ・アイディ中尉が糾弾した。「もうこれ以上罪の無い人間を死なせるわけにはいかねぇんだよ!」 イアゴ・ハーカナ大尉も同調する。

 ドーン!

 彼らはロンド・ベルのジェガンに続いてガンダムの脇に取りついた。

「やめてくれ! こんなことに付き合う必要はない! 下がれ! 来るんじゃない!」

「そうはいきません!」

 アロン・アヴァロン中尉の声だ。

「ロンド・ベルだけに良い思いはさせませんよ!」

 レーゼンビーである。

「しかし、その機体じゃ…!」

 その間にも、アクシズを押すようにして、テール・ノズルを全開にするモビルスーツの数は次々に増えていった。

 それらは一方方向から接近するのではなかった。地球の反対側からも接近して、アクシズに取りついていった。

 その数は、数+……。

 しかし、アクシズはそんなゴミのようなモビルスーツの推力で押し戻されたり針路を変えるような大きさではない。

 確実に軌道を下げて、地球の昼の部分に肉薄していった。

「アクシズを地球に落としちゃだめなんだーっ! こんなもので何億人もの子どもが殺されてたまるか‼︎」

 クエステン中尉が大義を投げた。

「諦めの悪いヤツが、俺以外にもいるなんてな!」

 ユウ・カジマ大佐は呆れを知った。

「こんなデカブツを、地球に落としてたまるかよ! あそこには俺のお袋だっているんだよ!」

 ジョフ・アイディ中尉が糾弾した。

「もうこれ以上罪の無い人間を死なせるわけにはいかねぇんだよ!」

 イアゴ・ハーカナ大尉も同調する。

 今度は感化されたネオ・ジオンのギラ・ドーガもやって来る。「ギラ・ドーガまで……無理だよっ! みんな下がれ!」「地球がダメになるかならないかなんだ! やってみる価値はありますぜ!」「しかし、爆装している機体だってある…!」「まだまだ!」 そして、アクシズに取りついたモビルスーツは、オーバーロードで加熱していった。その行き着く果ては自爆しかないのに……。「駄目だっ! 離れろっ!」 ガンダムとシャアのカプセルの接触部が発光して、その光が拡大していた。

 今度は感化されたネオ・ジオンのギラ・ドーガもやって来る。

「ギラ・ドーガまで……無理だよっ! みんな下がれ!」

「地球がダメになるかならないかなんだ! やってみる価値はありますぜ!」

「しかし、爆装している機体だってある…!」

「まだまだ!」

 そして、アクシズに取りついたモビルスーツは、オーバーロードで加熱していった。その行き着く果ては自爆しかないのに……。

「駄目だっ! 離れろっ!」

 ガンダムとシャアのカプセルの接触部が発光して、その光が拡大していた。

「もう少しです! そうすりゃ、完全にアクシズは……うわっ!」 白熱したクエステン中尉のジムIIIがついに爆発した。「クエステン中尉ーっ!」「チクショーっ!」 同時に、ガンダムとカプセルから拡大した光が、爆発した破片を拡散させた。「駄目だっ! 摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞっ!」「それでも…私たちは…」 ネオ・ジオンのカール・シュビッツが呟く。「アムロさん…! お供をさせてください…! そうでなければカラバからあなたについてきた甲斐というものがありません!」「ボッシュ…! そういうことはしなくていい…!」 ジムIIIに続き、ジェガンやギラ・ドーガもバックパックを爆発させ、アクシズの岩肌を流れていく。

「もう少しです! そうすりゃ、完全にアクシズは……うわっ!」

 白熱したクエステン中尉のジムIIIがついに爆発した。

「クエステン中尉ーっ!」

「チクショーっ!」

 同時に、ガンダムとカプセルから拡大した光が、爆発した破片を拡散させた。

「駄目だっ! 摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞっ!」

「それでも…私たちは…」

 ネオ・ジオンのカール・シュビッツが呟く。

「アムロさん…! お供をさせてください…! そうでなければカラバからあなたについてきた甲斐というものがありません!」

「ボッシュ…! そういうことはしなくていい…!」

 ジムIIIに続き、ジェガンやギラ・ドーガもバックパックを爆発させ、アクシズの岩肌を流れていく。

 そしてそのギラ・ドーガを掴もうと、ジェガンが手を差し伸べるが届かない。『そうだ…諦めずに命を燃やしている人間がこんなに…!』 カムナ・タチバナ大尉はこの光景に本質を感じていた。「あの悲劇を! あの絶望を! 俺は…! 俺は‼︎ もう一度力を貸してくれ……! マリオン!」 ユウ・カジマ大佐は祈った。「もういいんだっ! みんなやめろっ!」「部下を持ってかれちまったんだ! 諦められるかよっ!」 レーゼンビーが叫んだ。

 そしてそのギラ・ドーガを掴もうと、ジェガンが手を差し伸べるが届かない。

『そうだ…諦めずに命を燃やしている人間がこんなに…!』

 カムナ・タチバナ大尉はこの光景に本質を感じていた。

「あの悲劇を! あの絶望を! 俺は…! 俺は‼︎ もう一度力を貸してくれ……! マリオン!」

 ユウ・カジマ大佐は祈った。

「もういいんだっ! みんなやめろっ!」

「部下を持ってかれちまったんだ! 諦められるかよっ!」

 レーゼンビーが叫んだ。

「離れろっ! ガンダムの力は…!」 キュルルル! ガンダムと掴まれた赤いカプセルの光の共振が激しくなった。その下で地球が、昼から夜に変わっていた。 機体のオーバーロードの白い波とサイコミュの光が、左右上下に取りつくモビルスーツにぶつかると、モビルスーツを弾いていった。 それは、オーロラに似た鮮やかなものだった。「あうっ…⁉︎ ガンダムが俺をどけた⁉︎」 さらに、別のモビルスーツをオーロラ光が弾いた。「アア……⁉︎ これじゃ、押せないっ!」 アクシズ全体を、ガンダムから発したオーロラが包んでいくように見え、それがνガンダムの周囲に取りつくモビルスーツを排除し始めたのである。 しかも、オーロラのような光の帯に変じた光は、明確に拡がり、伸びて、その光の帯にアクシズの光景を映しながら、地球を囲むように流れていった。 オーバーロードしたガンダムからの波動が、次々に他のモビルスーツを排除していた。「大尉ーっ! 自分たちが駆けつけた意味がないじゃありませんかっ!」 拡がるガンダムの白熱の波動に、さらにモビルスーツが弾かれていった。「アムロ大尉っ!」 ボッシュ・ウェラー少尉の意志は飛ばされた。 アクシズはドウドウと前進したが、その周囲に撥ね飛ばされた援軍のモビルスーツは、ただそれを見守らざるをえなかった。

「離れろっ! ガンダムの力は…!」

 キュルルル! ガンダムと掴まれた赤いカプセルの光の共振が激しくなった。その下で地球が、昼から夜に変わっていた。

 機体のオーバーロードの白い波とサイコミュの光が、左右上下に取りつくモビルスーツにぶつかると、モビルスーツを弾いていった。

 それは、オーロラに似た鮮やかなものだった。

「あうっ…⁉︎ ガンダムが俺をどけた⁉︎」

 さらに、別のモビルスーツをオーロラ光が弾いた。

「アア……⁉︎ これじゃ、押せないっ!」

 アクシズ全体を、ガンダムから発したオーロラが包んでいくように見え、それがνガンダムの周囲に取りつくモビルスーツを排除し始めたのである。

 しかも、オーロラのような光の帯に変じた光は、明確に拡がり、伸びて、その光の帯にアクシズの光景を映しながら、地球を囲むように流れていった。

 オーバーロードしたガンダムからの波動が、次々に他のモビルスーツを排除していた。

「大尉ーっ! 自分たちが駆けつけた意味がないじゃありませんかっ!」

 拡がるガンダムの白熱の波動に、さらにモビルスーツが弾かれていった。

「アムロ大尉っ!」

 ボッシュ・ウェラー少尉の意志は飛ばされた。

 アクシズはドウドウと前進したが、その周囲に撥ね飛ばされた援軍のモビルスーツは、ただそれを見守らざるをえなかった。

「虹の光…」 レーゼンビーが無意識的に呟いた。 それから後のことは彼自身もあまり覚えていなかった。「艦長!」 ジョージ・シルフ少尉の声でレーゼンビーはハッとした。「なんだ⁉︎」「件のアンティータム級ルドウィグから救難信号をキャッチしました! 現在所属不明のモビルスーツから攻撃を受けているとのこと!」「なんだって⁉︎ ハイ・レゾナンス・ジオンとやらに先を越されたというのか…」「向かいますか?」「当然だ! 全艦、全速前進! ルドウィグの救出へ向かう!」 タントラのエンジンが臨界に達した。

「虹の光…」

 レーゼンビーが無意識的に呟いた。

 それから後のことは彼自身もあまり覚えていなかった。

「艦長!」

 ジョージ・シルフ少尉の声でレーゼンビーはハッとした。

「なんだ⁉︎」

「件のアンティータム級ルドウィグから救難信号をキャッチしました! 現在所属不明のモビルスーツから攻撃を受けているとのこと!」

「なんだって⁉︎ ハイ・レゾナンス・ジオンとやらに先を越されたというのか…」

「向かいますか?」

「当然だ! 全艦、全速前進! ルドウィグの救出へ向かう!」

 タントラのエンジンが臨界に達した。

※今回は一部文章を劇中再現のため、小説版逆襲のシャアから引用しています。

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