機動戦士ガンダム ウォッチ・ドッグス 第七章「ロスト・ナンバー」

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  「ペーターゼン隊長、何故配属されて最初の任務が護衛なのです?」

「ハレルセン中尉、ここは汚れ仕事が基本なの。そこで護衛なんて綺麗な任務、中々ないわよ?」

「海兵隊ってそんなものなんです?」

「旧公国軍の頃からそうだってさ。戦後は宙賊に成り果てたって聞くよ」

「……」

 ヒルデマリーは彼女がまだ地方テロリストを脱却できていないと分かった。

「ここでは捨て駒にされても文句は言えないの」

「軍隊ってのはいつもそう」

 リリーは嫌味ったらしく言ってみせた。

 そこにフレグ・ヒル少尉がやって来る。

「少佐! 中尉! おはようございます!」

 標準時では午後に差し掛かっていた。

「ヒル少尉、今日の任務は頼むわよ?」

「結局どんな人を護衛するってんです?」

「ニュータイプよ。組織お抱えのね」

「少佐みたいな?」

 ヒルデマリーはムッとした。

「すみません」

「慣れっこよ」

 フレグは少し俯いてから、

「いつ会えるんです?」

「もうすぐよ。そのパイロットはコードネーム『イレブン』と呼ばれてる」

「イレブン…」

 三人はモビルスーツ・デッキに降り立った。

「来たか」

 ボールデンである。

「イレブンってのは?」

「もう来るとさ」

「モビルスーツが着艦する! 各員収容準備!」

「お、来た来た」

 ノーマルスーツを確認し、ハッチを開くと、そこに濃淡で美しい流線型のシルエットを纏ったモビルスーツが着艦した。「これ、キュベレイって機体?」「改造機だろうな」 モビルスーツ・デッキが閉ざされ、機体のコクピット・ハッチが開いた。 そこには緑と黒のノーマルスーツを着た細身のパイロットが姿を現した。そのノーマルスーツはかつて旧ネオ・ジオンのニュータイプ部隊が使用した物に似ていた。「まさか、子供?」 ヒルデマリーたちが呆気にとられていると、そのパイロットはこちらに降りてきた。 ヘルメットを脱ぐと、目元までかかった栗毛色の髪の可愛らしい顔が見えた。その容姿は整っていて、中性的である。「ロミオです。よろしく」 そう言う声は高く、女性の声に聞こえるが、確かに男性の声である。「ロミオ…シェイクスピアがお好きで?」 リリーが軽率に出た。「文学ってのは好きだけど、僕が決めたものでもないから」「イイ顔してる」「ありがとう」 ロミオは少し笑ってみせた。「隊長さんっていうのはあなた?」 ロミオはヒルデマリーの方を向いた。「ええ、私がこのMAUヒルデマリーの隊長のヒルデマリー・ペーターゼン少佐です」「よろしくね、少佐」「ところであなた階級は?」 リリーが訊いた。「特にないさ。でも中尉ってとこかな?」 それにしては生意気であるとリリーは疑念をもつ。それを見てヒルデマリーが、「ニタ研のお墨付きってやつなんでしょう?」「ペーターゼン少佐はいい人ですね」 ロミオが少し意地悪そうに言った。「ロミオ、アンタの護衛にはこのリリー・ハレルセン中尉とフレグ・ヒル少尉が付く。理解はできていて?」「後ろの仮面の人は?」 ヒルデマリーが振り向くと、背中で腕を組んだシスターが立っていた。「シスター、来てたの?」「ええ。私も出撃させてもらおうかってね」「あなたは休んでおきなさいな」「折角あなたが非番なんだから、私が好きをしたって構わないでしょう?」「あのねぇ…」 ヒルデマリーがため息をついた。「護衛は多くて損はないですよ」「あなたねぇ!」「隊長さんだってのはわかってますよ。でも今回は自分が依頼したんです」「彼女は私と一緒にスサンドラのブリッジで指揮官ってのをやってもらいます」「…仕方ないか…」 シスターが落胆した。「それで、今回の作戦はラビアンローズ級の残骸に潜伏して、近寄った連邦軍を始末するってことでしょう?」「そうよ。隊長はロミオくんにやってもらいます」「そのつもりです」 ロミオは途端に機体のコクピットに蹴り上がった。「ちょっと! 装備は整っているの?」「いるさ! このヘルマプロディートスをみくびってもらっては困るんです!」 ヒルデマリーはその名に感じた痛々しさにムッとした。「いい名前でしょう? ふふっ」 それは皮肉である。「ええ、ごたいそうなこと!」 ヒルデマリーも返した。「リリー、ヒル少尉、発進準備を!」「「了解」」 三人がコクピットに潜り込むといつも通りにジェネレーターに火を入れ、全天周囲モニターがパッと光った。

 ノーマルスーツを確認し、ハッチを開くと、そこに濃淡で美しい流線型のシルエットを纏ったモビルスーツが着艦した。

「これ、キュベレイって機体?」

「改造機だろうな」

 モビルスーツ・デッキが閉ざされ、機体のコクピット・ハッチが開いた。

 そこには緑と黒のノーマルスーツを着た細身のパイロットが姿を現した。そのノーマルスーツはかつて旧ネオ・ジオンのニュータイプ部隊が使用した物に似ていた。

「まさか、子供?」

 ヒルデマリーたちが呆気にとられていると、そのパイロットはこちらに降りてきた。

 ヘルメットを脱ぐと、目元までかかった栗毛色の髪の可愛らしい顔が見えた。その容姿は整っていて、中性的である。

「ロミオです。よろしく」

 そう言う声は高く、女性の声に聞こえるが、確かに男性の声である。

「ロミオ…シェイクスピアがお好きで?」

 リリーが軽率に出た。

「文学ってのは好きだけど、僕が決めたものでもないから」

「イイ顔してる」

「ありがとう」

 ロミオは少し笑ってみせた。

「隊長さんっていうのはあなた?」

 ロミオはヒルデマリーの方を向いた。

「ええ、私がこのMAUヒルデマリーの隊長のヒルデマリー・ペーターゼン少佐です」

「よろしくね、少佐」

「ところであなた階級は?」

 リリーが訊いた。

「特にないさ。でも中尉ってとこかな?」

 それにしては生意気であるとリリーは疑念をもつ。それを見てヒルデマリーが、

「ニタ研のお墨付きってやつなんでしょう?」

「ペーターゼン少佐はいい人ですね」

 ロミオが少し意地悪そうに言った。

「ロミオ、アンタの護衛にはこのリリー・ハレルセン中尉とフレグ・ヒル少尉が付く。理解はできていて?」

「後ろの仮面の人は?」

 ヒルデマリーが振り向くと、背中で腕を組んだシスターが立っていた。

「シスター、来てたの?」

「ええ。私も出撃させてもらおうかってね」

「あなたは休んでおきなさいな」

「折角あなたが非番なんだから、私が好きをしたって構わないでしょう?」

「あのねぇ…」

 ヒルデマリーがため息をついた。

「護衛は多くて損はないですよ」

「あなたねぇ!」

「隊長さんだってのはわかってますよ。でも今回は自分が依頼したんです」

「彼女は私と一緒にスサンドラのブリッジで指揮官ってのをやってもらいます」

「…仕方ないか…」

 シスターが落胆した。

「それで、今回の作戦はラビアンローズ級の残骸に潜伏して、近寄った連邦軍を始末するってことでしょう?」

「そうよ。隊長はロミオくんにやってもらいます」
「そのつもりです」

 ロミオは途端に機体のコクピットに蹴り上がった。
「ちょっと! 装備は整っているの?」

「いるさ! このヘルマプロディートスをみくびってもらっては困るんです!」

 ヒルデマリーはその名に感じた痛々しさにムッとした。

「いい名前でしょう? ふふっ」

 それは皮肉である。

「ええ、ごたいそうなこと!」

 ヒルデマリーも返した。

「リリー、ヒル少尉、発進準備を!」

「「了解」」

 三人がコクピットに潜り込むといつも通りにジェネレーターに火を入れ、全天周囲モニターがパッと光った。

「ロミオ、ヘルマプロディートス行きます!」 肩と腰のバインダーが展開し、そこから数光のテールノズルが見える。バックパックからも伸び、それがカタパルトと共にヘルマプロディートスの機体を押し出した。 リリーとヒル少尉も続き、テールノズルを噴かせた。

「ロミオ、ヘルマプロディートス行きます!」

 肩と腰のバインダーが展開し、そこから数光のテールノズルが見える。バックパックからも伸び、それがカタパルトと共にヘルマプロディートスの機体を押し出した。

 リリーとヒル少尉も続き、テールノズルを噴かせた。

『ニュータイプくんの実力を見ないことには何もわからないんだ』 リリーは自分に言い聞かせる。彼女の上層部への不信感を拭う唯一の方法である。「ニュータイプくん、あなたは一体……」「着いたよ」

『ニュータイプくんの実力を見ないことには何もわからないんだ』

 リリーは自分に言い聞かせる。彼女の上層部への不信感を拭う唯一の方法である。

「ニュータイプくん、あなたは一体……」

「着いたよ」

 リリーの言葉を遮るように、ラビアンローズ級ロサ・ギガンティアIIが現れた。先のMAUペーターゼンの襲撃でその艦体の大部分が損傷していた。それはまるで枯れ果てた薔薇のようだった。「あそこに潜伏する。もうすぐ物資の回収に連邦が来るはずだ」「了解…」 ヒル少尉も信じたわけではなかった。 ロミオは重力ブロック、リリーはエンジンブロック、ヒル少尉は工廠ブロックに取り付いた。ドック艦という性質上、それぞれが大きく分かれている。「全機、待機せよ」 ロミオは声を硬くして言った。言い慣れていないのか、その声は少し間抜けに感じられた。 それから数十分が経った。ロミオはサイコミュをスタンバイモードにセットした。「もうすぐ来る」「え?」 リリーはニュータイプの力に困惑した。 ロミオの予想通り、機体のセンサーに連邦軍のクラップ級が入った。「一波は僕がやる! あとは任せたよ!」

 リリーの言葉を遮るように、ラビアンローズ級ロサ・ギガンティアIIが現れた。先のMAUペーターゼンの襲撃でその艦体の大部分が損傷していた。それはまるで枯れ果てた薔薇のようだった。

「あそこに潜伏する。もうすぐ物資の回収に連邦が来るはずだ」

「了解…」

 ヒル少尉も信じたわけではなかった。

 ロミオは重力ブロック、リリーはエンジンブロック、ヒル少尉は工廠ブロックに取り付いた。ドック艦という性質上、それぞれが大きく分かれている。

「全機、待機せよ」

 ロミオは声を硬くして言った。言い慣れていないのか、その声は少し間抜けに感じられた。

 それから数十分が経った。ロミオはサイコミュをスタンバイモードにセットした。

「もうすぐ来る」

「え?」

 リリーはニュータイプの力に困惑した。

 ロミオの予想通り、機体のセンサーに連邦軍のクラップ級が入った。

「一波は僕がやる! あとは任せたよ!」

 ロミオは意気揚々と言い放ち、サイコミュを起動した。「バルサザー!」 バックパックの二又になったテールノズルがそれぞれ三つに分かれ、別々の軌道を描いて連邦の船に向かった。「アレがファンネル?」「バルサザー・ファンネル。優秀な手下」 ロミオは目を閉じてそう言った。その姿はソロモンの亡霊ララァ・スンのエルメスのようだ。

 ロミオは意気揚々と言い放ち、サイコミュを起動した。

「バルサザー!」

 バックパックの二又になったテールノズルがそれぞれ三つに分かれ、別々の軌道を描いて連邦の船に向かった。

「アレがファンネル?」

「バルサザー・ファンネル。優秀な手下」

 ロミオは目を閉じてそう言った。その姿はソロモンの亡霊ララァ・スンのエルメスのようだ。

 クラップ級は一射目で機関部、二射目でブリッジを撃ち抜かれた。「すごい…あれがニュータイプか…」「小さいのが来る! 抑えてよ!」 ロミオの言う通り、カタパルトから三機のモビルスーツが発進した。だが、その機体はファンネルの挟撃で火の球に変えられた。その球を撃ち抜くように、背後から新たに三機のモビルスーツが発進する。「リリーさん!」

 クラップ級は一射目で機関部、二射目でブリッジを撃ち抜かれた。

「すごい…あれがニュータイプか…」

「小さいのが来る! 抑えてよ!」

 ロミオの言う通り、カタパルトから三機のモビルスーツが発進した。だが、その機体はファンネルの挟撃で火の球に変えられた。その球を撃ち抜くように、背後から新たに三機のモビルスーツが発進する。

「リリーさん!」

 リリーは間髪入れずに最前の隊長機らしき機体を撃ち抜いた。その爆発で後ろの二機がふらついた。ヒル少尉はそれを見逃さず、ビーム・サーベルで斬り掛かる。

 リリーは間髪入れずに最前の隊長機らしき機体を撃ち抜いた。その爆発で後ろの二機がふらついた。ヒル少尉はそれを見逃さず、ビーム・サーベルで斬り掛かる。

「墜ちろよ!」 一機は胴体を肩から斜めに切られ、爆散する。しかし、その爆発はヒル少尉の機体にあまりに近く、そのまま吹き飛ばされてしまった。「アッ!」 爆発を掻い潜ったモビルスーツがこちらに近づいて来る。

「墜ちろよ!」

 一機は胴体を肩から斜めに切られ、爆散する。しかし、その爆発はヒル少尉の機体にあまりに近く、そのまま吹き飛ばされてしまった。

「アッ!」

 爆発を掻い潜ったモビルスーツがこちらに近づいて来る。

 だが、ヒル少尉の機体の目の前にファンネルが現れる。「バルサザーはこうもできる!」 ファンネルは縦に一直線に並び、そのまま連結した。「ビーム・ランチャーだ!」

 だが、ヒル少尉の機体の目の前にファンネルが現れる。

「バルサザーはこうもできる!」

 ファンネルは縦に一直線に並び、そのまま連結した。

「ビーム・ランチャーだ!」

 連結したファンネルはそのまま高出力ビームを放ち、モビルスーツを消し飛ばしてみせた。「僕のこと、これでも不満?」「参ったわニュータイプくん」「ロミオって呼んで」 リリーはロミオの声色が少し変わったように思えた。「了解。ロミオ

 連結したファンネルはそのまま高出力ビームを放ち、モビルスーツを消し飛ばしてみせた。

「僕のこと、これでも不満?」

「参ったわニュータイプくん」

「ロミオって呼んで」

 リリーはロミオの声色が少し変わったように思えた。

「了解。ロミオ"隊長"」

 その嫌味は親しみに変わっていた。

「休息をとる。全機目標接近まで待機」

 ロミオはその嫌味を実際にやってみせた。

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