機動戦士ガンダム ウォッチ・ドッグス 第十四章「メルトの夜明け」
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突然、機関砲の掃射がウミヘビのワイヤーを引き裂いた。
「……なっ⁉︎」
それはテンペスタ型軽戦車だ。
「誰が?」
「私よ!」
「え?」
アディスはその声に聞き覚えがあった。
「ホープさん……?」
「二軍が使うはずだったものよ! 援護するから!」
「でも!」
「パパが死んじゃったんだから!」
「小娘がぁ‼︎」
ロコがウミヘビのグリップをホープの方に投げ捨てる。
「アァッ‼︎」
「ホープさん‼︎」
軽戦車は横転する。
「これで……」
「そうはさせない!」
アディスはガブール・BLのビーム砲を抑えるように取り付いた。
「これで撃てまい!」
「甘いなぁ‼︎」
ロコはガブール・BLにビーム・ライフルを構えさせる。
「まさか⁉︎」
「くたばれ!」
「よせぇ‼︎」
そのビームは軽戦車を貫き、内部を一瞬にして蒸発させた。
「ア…ディス……」
軽戦車はそのまま爆発した。
「ホープ……さん……? 死んじまったのか……? 本当に死んじまったのか⁉︎」
アディスは操縦桿を握る力が一気に緩くなる。
「おセンチ野郎が!」
ジェガンが蹴り飛ばされ、地表に落下するその瞬間も、アディスの心身は凍りついて動かなかった。全周囲モニターの嘘だと手を当ててみるが、やはりそれが確からしい。
「なんだよ……なんだよ……なんだよ……‼︎」
アディスはもう一度身体に力を入れ、頭を突き上げた。ジェガンのテール・ノズルは吹き上がる。
「ほう! 歯向かうか! 連邦の小僧が!」
ガブール・BLはビーム・ライフルを投げ捨て、ヒート・ダガーを装備した。互いに拳を振るうかの如くダガーをぶつけ合い、一秒間に何度も火花が散る。
「なかなかの腕だ‼︎ だがこのガブール・ベルグソンには勝てんよ‼︎」
「舐めた口を聞く‼︎」
「それは貴様だァ‼︎」
アディスはダガーを大きく振り上げる。だがロコはその隙を逃さなかった。
「もらったァ‼︎」
ロコはジェガンの左の前腕を切り落とす。
「思い上がれぇ‼︎」
アディスは腰に懸架したビーム・ガンを前方に向け、ガブール・BLの放熱版を吹き飛ばした。
「なに⁉︎」
「そのままァ‼︎」
アディスはバランスを崩したガブール・BLの胴体にさらにビームを撃ち込む。
「馬鹿な……⁉︎ このロコ・プロコがやられるというのか⁉︎」
ロコは振り返る。ゼダ・マンディラに最も慕われていた四人のうち、彼以外の三人が先に逝った罪悪感と悔しさ。それが彼の弱みであった。
ガブール・ベルグソンは上下に割れ、地表に落下する。
「隊長! 後ろ!」
ドリスの声にグレッドが振り返る。ティグリスIIIスペチアレが背後を取っていたのだ。
「死ねよやァァァッ‼︎」
「スプレッド・ビーム!」
シールドのスプレッド・ビームがスペチアレの動きを止める。
「小賢しい!」
だがスターライトは分離し、スペチアレの僚機を目指す。
「しまった⁉︎」
スターライトが再合体すると、スイングネス・ビーム・ライフルとビーム・キャノンで二機のティグリスを撃つ。
「エギー! ベル! 避けろ!」
二人のパイロットは、気がつくと消し炭になっていた。
「貴様ァ‼︎」
スペチアレが接近し、ビーム・サーベルがスターライトに向けられるが、それは受け止められる。弾かれたサーベルは天を仰ぎ、その隙にスターライトのビーム・ブレードがスペチアレの右足を切断する。
「クソっ! 撤退だ! これでは勝てん!」
トラウトマンは残りの部下に命じ、変形して去っていく。
アディスは機体をガブール・BLのそばに着陸させ、コクピットを確認する。だがハッチが開放されていた。
「まさか⁉︎」
左を向くと、左腕押さえて走るロコ・プロコの姿があった。
「待て!」
しかしロコはすぐさまマンホールを開き、下水道に身を投じた。
「必ず報いは受けてもらう……!」
アディスは地表に一発ビーム・ガンを発射した
「ロコ・プロコ殿!」
下水道には秘書のヴァレンタインが待ち構えていた。
「ヴァル……」
ヴァレンタインはロコの左腕を見る。
「なんということだ……」
ロコは左腕の肘から下を失っていた。血が垂れていたが、湿っぽい下水道ではそれはすぐに見えなくなるのだ。
「ランチでもプチモビでもなんだっていい……さっさとここから……」
下水道から繋がる港の入り口が見えた時、そこに赤いモビルスーツが入ってくる。
「おい、冗談だろ……」
モビルスーツはロコの目の前に着陸し、モノアイが彼の方を向く。ロコはヴァレンタインを制止する。
「申し訳ありません総帥殿……連邦を誘い込んだのですが、撃破には至りませんでした……」
「それだけではないでしょう?」
ノイズが多く低い声が問いかける。
「はい……このメルトも乗っ取られました……」
赤いモビルスーツは少し沈黙し、
「誰が独裁を許可して?」
「……はい…?」
「誰が反乱を起こさせるまで抑圧しろと言ったのかと聞いている」
「それは……より効率的な生産を行うためであります……」
「そう……反乱が起きれば生産どころではなくなると、考えもしなかったようね」
「私の判断ミスでした! 申し訳ございません!」
「私は貴様のようなのが嫌いだ。この面汚しめ」
赤いモビルスーツは右のマニピュレーターをロコの方に差し出す。
「お許しください! 閣下!」
「そのような声は聞いていない」
赤いモビルスーツがロコを握りしめる。
「閣下! ローザン・ケリー閣下‼︎」
ロコは港の壁に投げつけられ、全身がぐちゃぐちゃに潰れた。
「あぁ……」
唖然とするヴァレンタインに赤いモビルスーツのスリッパが迫る。
「ヒィッ…!」
ヴァレンタインはそのまま踏みつけられた。
赤いモビルスーツのパイロット、ローザン・ケリーはヘルメットを外し、長い栗毛色の髪を靡かせる。
「もう、やめておくれよ……」
メルトの居住ブロックには、レジスタンスとタントラクルーが集まっていた。
「あなた方のおかげで我々は解放された。本当に感謝している」
レジスタンスのレオーナ・ライトが頭を下げる。
「しかし、スタインフェルドさんたちの尊い犠牲があるのも事実だ」
ソル・バブラーがレオーナの横から言った。
「お守りできず、申し訳ありません」
アディスが涙ぐんだ声で言う。
「みんな覚悟の上だったさ。気にするんじゃない」
レオーナがアディスの方に手を乗せて言った。
「感謝の品と言っては難だが、うちで作ってた装備を提供する。好きなだけ持って行ってくれ」
「ありがとう。助かるよ」
ヤン・ホンマがニヤリと笑った。
「それと、船の修理も済んでいる。安心して帰ってくれよ」
「本当に世話になった」
「お互い様だ」
レーゼンビーとレオーナが笑う。
「それでは失礼させてもらうよ」
「おう! またな!」
タントラクルーはそのままタントラに戻る。
「ヨーソロー!」
レーゼンビーが陽気に叫ぶと、タントラはエンジンを起動した。
ブリッジからはレジスタンスの人々が手を振っているのが見えた。
アディスはメルトを出てからも、外を見続けていた。
「大丈夫か?」
グレッドが話しかける。
「ええ…」
「無理はするな」
「……はい」
グレッドはアディスの隣に身を寄せ、同じように外を眺めた。
「俺も愛する人を失った。自分のせいでだ」
アディスはグレッド方をそっと見つめる。
「妙な心を持ったせいだよ。俺がいなきゃその人は……」
「つらい…ですね……」
「なんとかはなるさ」
「そういうもんですか?」
「そうだろうな」
グレッドは今向き合っている問題を思い出す。だが、それを今のアディスには伝えられなかった。
「また、会えますか?」
「会えるさ。でも、もう少し先だろうな」
「それまで生きてみます」
「そうだな」
グレッドはアディスの肩に手を回した。
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塗装は部分塗装がほとんどかつ雑で下手っぴなのでお手柔らかに…🙇
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