いわゆる『センチネル最終回ガンダム』です。1:144のミキシングビルドで作りました。
『モデルグラフィックス』誌 1990年5・7月号の連載最終回から30年。2020年の今、せっかく作るのであれば、何かしら売りが欲しいと考え、ビームライフルのデザインと脚の形状にこだわってみました。アラフィフの出戻りモデラーなので粗いところも多く、伝説の1:72フルスクラッチモデルの足元にも及びませんが、『ガンダム・センチネル』へ自分なりの30年越しのアンサーです。
“青春決着モデリング”、これからも続けていきたいと思います。
ランドセルは右側にビームサーベルを増設しただけでGM改ほぼそのまま。カトキMSの特徴である後姿のシルエットにもこだわってみました。
作品テーマは「ア・バオア・クーへの出撃」です。
“未来の宇宙兵器”をイメージするのは容易ではありませんが、現用戦闘機と宇宙ステーションの質感を念頭において製作しました。
「上か!」
画像ソフトで台座を消して、少しだけエフェクトを加えた射撃シーン。イメージは「コンスコン強襲」でしょうか。
旧1:100キットのボックスアートっぽく。
腰部の前後フンドシを延長し、“アヒルさん”を再現。バズーカ・ラッチのギミックは断念。
頭部は一番イメージに近い旧HGUCを使用。前後の分割下側をクサビ状に2mm幅増しした後、後頭部にポリパテをもって“あさの&カトキ”コンビのこだわりラインを。
“売り”であるふくらはぎはパワードGMがベースです。
二重構造を利用して内外のスラスターを追加工作、上縁には薄々攻撃。太腿で2mm、ふくらはぎ下で5mm延長しています。足首スリッパは数あるGMバリエーションの中から、GMⅢのものを選んで削り込み。
世に出ているHGUC改造カトキガンダムのほとんどは、GMカスタムかGM改のスネを流用しているようですが、どうもイメージに合わず、パワードGMのパーツを見たときに“これだ!”。追加正面ダクトには賛否あると思いますが、「戦争末期の改修機」ということで。
1990年夏に発表された「センチネル最終回ガンダム」の衝撃がどれほど凄かったのか。
当時は「初代HGガンダム」(※画像検索してみて下さい)が、”最新製品”として発売されたばかり。
ワンオフ作例とマスプロダクト製品を比較するのは酷かもしれませんが、スケール差を超えたところで、両者の造形や表現、演出センスには天と地ほどの差がありました。
「センチネル最終回ガンダム」は、ガンプラ界の成層圏にありました。
ドキドキしながら最終回号の表紙をめくり、4頁目にいきなり目に飛び込んできたあのガンダムのインパクトときたら。(だから、目の色は水色です!)
感嘆の溜息と興奮、そして……“こんなのどーやっても作れねーよ!”という泣き笑いの絶望。(続く)
2009年に出現した“お台場ガンダム”には確かに実物大の説得力がありましたが、大人になっていた自分が求める“未来の宇宙兵器像”はそこにはなかった。
その意味で「センチネル最終回ガンダム」は、今でもオンリーワンです。
当時のフォルムを再現・昇華しつつ、自分なりのアレンジも加えて“アップ・トゥ・デート”。
成層圏に手が届いたとは思いませんが、30年齢を重ねて、ようやくあのときのトラウマに決着をつけることができた気がします。
ミキシングの構成は以下。
・頭部=ガンダム(旧HGUC)
・胴体/腰部=GMカスタム+GM改
(※印象を左右する前スカートはGM改のものを縦に延長し、パワードGMからヘリウムコアを追加)
・肩/腕=GM改
(※肩部スラスターと関節部マルイチパーツはコトブキヤ製品でディテールアップ。下腕は2mm延長)
・太腿=GM改、膝あて=ガンダム、ふくらはぎ=パワードGM、スネ+足=GMⅢ
写真は基本工作が済み、サフを吹く直前にプロポーション・チェックしたところ。
この後、基本塗装まで済んだ段階で、後ハメ加工していた左の膝関節がボッキリ折れるハプニング発生(泣)。しかし、GM系の共通パーツですぐに補修。
オッサン・モデラーは時間が貴重なので立ち直りが早いのです(笑)。
ビームライフル製作工程。
・最初に作ったのはオリジナル・デザインに準拠したもの。しかし、持たせてみると“ハンドガン”にしか見えない上にバレルが大きすぎるのでボツ。大河原邦男氏の元デザインはあまりにも玩具的すぎる……。
・固定射撃にはストックが欠かせないだろう、とGMカスタム用ライフルから全面的に作り直した2作目。ただし、バレルの高さがおかしかったので前部を再度作り直し。
・バズーカも合わせて、色は「1/72フルスクラッチモデル」のものに倣っている。ライフルとお揃いのスコープは、ドラゴン製1/35戦車の転輪から。
144倍したとき、そこに未来の宇宙兵器が見えるか?
コメント
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素晴らしいと思います。読んでて楽しい。
ポコポコツインさん、コメントありがとうございます!
工夫して書いているつもりなので、テキストを褒めてもらえて本当に嬉しいです。拙文ですが他の作品テキストも読んでやってください。
JUGENさんの1/144のカトキバージョン超かっこいいんです。フェイス部分はどのキット採用されたんですか?
コメントありがとうございます!
フェイス部分は、旧HGUCのものが好みだったのでマスクやアゴの下を削っただけでそのままです。ヘルメットを前後に延長して、取り付け場所をかなり奥にしました。近くで見ると頬当のエッジが足りなかったりお恥ずかしいですが、Twitterに製作途中写真を上げるので見てもらえたら嬉しいです。
https://twitter.com/JUGEN68215046/status/1494282899641753605?s=20&t=H93-rol2c_riLpDIS_oG9Q
つまり頭部の全パーツは旧HGUCのRX78-2ですか?全く別のものに見えちゃいました。本当に元の物よりイケメンでした。JUGENさんのRX78-2が大好きです。🥰❤
カッコいい!スリッパにジム3、なるほどです。いつの日か参考にさせて頂きます。いつの日か。。。
コメントありがとうございます! 足首の接続ですが、スネ前面を幅詰めしたGMIII、アキレス腱側をパワードGMのパーツでサンドイッチにして、ポリキャップ可動を維持しています。足裏デザインがGMIIと共通で(←設定上仕方ない)、ここが見えてしまうと『Z』の世界観になってしまう気がするのでそこは見せないようにしました。オリジナルモデルでも足裏が見えているカットはないですし(苦笑)。
ゲーム化される度に、そのゲームのデザイナーが一から理想のプロポーションを求めてガンダムのモデリングをやり直す、なんて話があるくらいですから、こういうアレンジはなされて当然だし大好きです。
>カトキMSの特徴を意識
とのことですが、サムネイルの時点で「08小隊にもしRX78が出てくるカットがあったなら…」という印象を感じました。
コメントありがとうございます!「08小隊に~」カトキガンダムが出ていたら、1/144でキット化されてたかもしれませんね。
78センチネルは色々な人のを見てますけど、144だとこれが1番すきです。
永遠の宿題お疲れ様でした。
Shinfanさん
コメントありがとうございます! とても励みになりました。「永遠の宿題」、確かにそうですね。自分なりの答えが出せたような気がします。
原点は『プラモ狂四郎』、聖典は『ガンダム・センチネル』。アラフィフのオッサン・モデラーです。「いつか作りたい」の「いつか」は今だ!
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