かつて戦争があった──
ひとつの宇宙コロニーの独立運動に端を発した紛争が、地球全土を巻き込む全面戦争となったのだ。
この戦争では、かつて人類の革新と言われたニュータイプたちが、両軍によりただ戦争の道具として利用されてゆく…
これはまだ、A.W.(アフター・ウォー)と呼ばれる前の時代の物語である。
機動新世紀 ガンダムX 第0話
『月だけがすべてを見ていた』
地球連邦軍北米第31軍事技術研究所──
「2番機ジャミル候補生、もっと意識を集中させて!
こんな様では、戦闘中のフラッシュシステム起動など夢のまた夢よ!」
「はっ、ハイッ!きょ、教官!
しかし、そうは言っても、このGXは量産型とはまるでスペックが違い過ぎて、まだ自機の操縦も慣れていない状態では…」
“YOU LOSE”
口答えを言い終わる前に、モニターには被撃墜の表示が浮かびシミュレーションは終了となった。
「また、シミュレーション訓練、クリア出来なかったんだってな?」
「うるせーよっ」
「新型のガンダムタイプに慣れてないって言い訳したらしいけど、お前本当は後席のルチル教官が気になって集中出来なかったんじゃないのー?」
「ば、、バカっ!お前、な、何言って…んなわけ、ねーだろ!」
訓練後、からかうように声を掛けてきたのは同期の戦闘機パイロット訓練生キナだ。
開戦からすでに数ヶ月、膠着状態に陥った戦線を打開すべく、両軍はこの様な15歳の少年たちをも徴兵していた。
「ま、希望を捨てるなよ…ジャミル──俺はひと足先に実機訓練だ。早く追いついて、一緒に宇宙革命軍のヤツらを蹴散らしてやろうぜ!」
GX-9900T ガンダムXトレーナー仕様は、地球連邦軍で開発が進められていたガンダムタイプのMSパイロット育成の為に配備された訓練用の機体である。
決戦兵器であるサテライトキャノンの開発は大戦末期まで難航するが、汎用型のGXはGWやGTよりも先に機体本体の開発は完了していた為、制式採用機建造までの間に搭乗が予定されていたニュータイプ部隊に配備され、パイロットたちの機種転換やフラッシュシステム起動訓練が行われた。
本機を含めたガンダムタイプのMS開発計画は、地球連邦軍において第7次宇宙大戦の趨勢を決する最重要機密事項と位置付けられた為、北米大陸中央部砂漠地帯にあるエリア31と呼ばれる立ち入り禁止区域にて、極秘裏に進められた。
本機は開発用の試作機に改修が施されたものであり、後に完成したサテライトシステムと、教習用に複座型とされたコクピット周りを除けば、後に実戦配備された1〜3号機と変わらない性能を持つ。
機体は欺瞞の為に、デザート迷彩が施され、胴体は実験機を示すインスペクションカラーに塗装された。
パイロットには、連邦軍でNT部隊の訓練教官を務めていたルチル・リリアントが充てられ、便宜上0号機の識別が与えられた。
この機体でルチル教官の訓練を受けたニュータイプ候補生ジャミル・ニートは、この後にパイロットとしての才能が開花。無事、正パイロットとして選抜され、ライラック作戦の阻止など華々しい戦果を挙げるなどするも、一向に大戦の終結は見えず、やがて開戦から8ヶ月を迎えようとしていた。
「サテライトシステム…ですか。」
「そうだ。
度重なる和平交渉にも応じず、宇宙革命軍は、遂にコロニー落とし作戦を盾に、我が方に降伏を迫って来た。
だが無論、地球連邦政府としては、その様なテロリスト同然の脅迫に屈する訳にはいかないという結論に至った。
そこで、これまでは極秘に開発を進めて来たが、我々にもサテライトキャノンとガンダムと言う切り札をがある事を遂にやつらに知らしめる時が来たのだ。革命軍の本拠たるコロニーを一撃で葬り去る事が出来るこの威力こそが、野蛮なコロニー落とし作戦への抑止力となる。
参謀本部からの命令である。
ルチル教官…いや、ルチル・リリアント大尉!
訓練機として用いられてきたGX0号機は、現時点を以ってサテライトシステム装備に換装。評価試験として月面マイクウェーブ照射施設への認証を行なった後に、初のサテライトキャノン試射を開始せよ!
目標、宇宙革命軍本拠地クラウド9近傍の無人廃スペースコロニーM27”セブンスヘブン”!
なお本作戦は、サテライトシステム中継衛星の機能試験を兼ねると共に敵軍にシステムの詳細が解析される事を避ける為、当基地近郊の地上より射撃を行うものとする。」
サテライトキャノン装備に換装されたガンダムX 0号機は、大気圏通過時のビーム減衰率を考慮して、バックパックのオプションポートを介して補助リフレクターが装備された。
今回の試射の目標を含めた、クラウド9を始めとするコロニー群は、地球から見て月とは反対方向のラグランジュポイントに存在する。
砂漠の只中にある射撃予定地点に着き、ルチルはどこまでも遠く青く晴れ渡っている空を見上げた。
クラウド9を射線に捉えられると言うことは、即ち、現地点からは月は地球の真裏に位置している事になるのだが、軌道上に配備された専用衛星が、地球上のどの地点に居ても月からのエネルギーの供給を可能にしている。
月面にあるマイクロウェーブ照射施設と、ガンダムXに搭載されたサテライトシステムとの接続には、必ずフラッシュシステムを介してのNTパイロットによる初回認証が必要となっている。
「こちら司令本部、発射地点と目標との間に障害物を認めず。射線クリア。
GX0号機は、フラッシュシステムを起動し、月面基地との交信を開始せよ!」
「GX0号機、了解。」
ルチルはGコンのサテライトシステム起動キーを作動させると、意識を遥か彼方の見ることは出来ない月へと向け、目を閉じて自身の脳波を鋭く鋭く研ぎ澄ませてゆく。
ポップアップしたモニターには、まだ『未認証』の文字が表示されている。
それは、これまでの近くのGビットに向けてとは比べ物にならないほどの距離のため、その作業には相当の集中力を要した。
やがてイメージが成層圏を飛び出し、宇宙を超えて、月面のとあるクレーターに辿り着いた時、それは彼女へと語りかけて来た。
(あなたは、、、誰?)
(私はD.O.M.E.──
かつて人類史上初めてニュータイプと呼ばれたもの。)
(人類史上初めてのニュータイプ⁉︎
どうゆう事なの?今、月面の基地に居ると言うの?)
現実世界ではほんの一瞬にも満たない間に、二人は時間や空間を超越して交信を続ける。
(今の私には人間であった頃の肉体は最早存在しない。いや…正確には様々な処理を施されて物質的には存在しているのだが、既に私自身の意識はそこを離れて成立し、“永遠”とも言える時に生きる存在となっている。
サテライトシステム──
君が話に交信して来たと言うことは、人類はついにあの力を使うという局面にまで至ってしまったという事なのだね。
ルチル・リリアント…君もニュータイプの力に目覚めし者のはずなのに、この道の先に続いている未来が見えていないというのか?君が今引こうとしている引き金は悲劇への幕開けかも知れない…)
(たしかに人類は今も愚かな戦争を続けているわ。平和を勝ち取るという名目の為に、今日も銃を取って戦っている…
でも、私がこの一撃をうつ事で、戦争の終結は早まるのなら。私の教え子たちを戦場に送り出さなくて済むのなら。
その為ならば、私は喜んでこの引き金を引くわ!)
(──君の覚悟はわかった…
いいだろう。サテライトシステムへの認証は開かれた。ただ、その一撃を放つ時、私の意識へと触れる事で、刻を垣間見るかも知れない。未だ見ぬ未来を。それを受け止める事が出来るかどうかは分からないが…)
自分に話しかけてきていた人物の声がだんだんと薄れて来たとき、ガンダムXは衛星を経由して月面から放たれた一筋の光を受けた。
「月面からのガイドレーザーの受信を確認!GX0号機、サテライトシステムの認証に成功です!
リフレクターと砲身の展開に入って下さい。マイクロウェーブの照射まで、5、4、3、2、1、来ます!」
X型に展開したリフレクターは、強い真昼の日差しの中でも十分に分かる程に、強く眩く輝いている。
「各部エネルギーコンダクターへと満充填完了!
照準補正、いつでも発射出来ます!」
「サテライトキャノン、発射せよ!」
(この一撃が、未来を変える……!?)
「発射!!」
轟音とともに、一条の太い光の束が空へと真っ直ぐに伸びてゆく。
それは、砂漠にもう一つの太陽を作り出したと言っても過言ではない程であった。
ビームの照射は数秒間に渡って続き、その更に数秒後には、標的となったコロニーへの命中と、その破壊が観測された。
しかし、トリガーを引くと同時に、ルチルの脳裏には謎の光景が流れ混んで来んでいた。
(なに?…何なのこれは!?)
焼き尽くされる数千万の人々の悲鳴…
コロニー落とし作戦の為に、毒ガスにより殺戮される住民…
Gビットを連れ衛星軌道上へと出撃するガンダム部隊…
地球へと迫る数十機のスペースコロニー…
戦争を終わらせるためと信じて引き金を引くジャミル…
地球へと降り注いでゆく、巨大な鉄槌…
数十億にのぼる人々の阿鼻叫喚…
太陽が登らなくなった世界…
(これがこれから起こる未来?私達の選択の先に待ち受ける結果だというの!?…)
「大尉?ルチル大尉!?
応答せよ!どうした?何があったのだ?」
「送られてくるバイタル信号には異常無し…ただ、GX0号機より応答ありません。」
回収された機体のコクピットに居たルチルは、まるで廃人のように意思疎通が取れない状態となっていた。
「…高度な能力を持ったニュータイプほど、戦場での様々な人々の意志を感じ過ぎてしまい、精神に異常をきたす可能性がある。特にサテライトキャノンのような戦略級の兵器の場合には…か。
なるほど、これで君の仮説は立証されてしまった訳だな、テクス医官。」
「…司令、目標となったあのコロニーには本当に人は居なかったのですか?
本当に廃コロニーだったのですかっ!?」
「それはニュータイプ研究所の軍医の君には関わり合いの無い事だ。
もっとも、これで硬直していた戦線はまた再び動き出す。ようやく我々の用意してきたNT部隊も日の目を見ることになるのだ。
彼女の事は本当に残念だったが、既に彼女の育てたパイロットたちは一人前のNT戦士になっている。師の無念は、きっと彼らが晴らしてくれるだろう…」
その後、彼女は開発中とされていた『Lシステム』と呼ばれる試作治癒カプセルの被験体として後方に下がり治療に専念したと言われるが、公式に容体が回復したとの記録は残ってはいない。
「ルチル教官!やっとキナの仇が討てる!今日は、その報告に…って、あれ?教官は?」
「生憎だが、彼女は今とある実験に参加していて、この基地を離れている。今ルチル教官から頼まれたデータの整理をしていてね。私はテクス・フォーゼンバーグ、駆け出しの軍医だ。」
「そうだったのか…ようやく出撃が決まったから、それを知らせに来たんだけど…仕方ない、また帰ったらにするよ。」
「なるほど、ついにニュータイプ部隊の晴れ舞台か。軍で知らない者は居ない程の英雄だ。私が代わりに…と言っては何だが、月並みだがご武運を、ジャミル・ニート!」
「ありがとう!軍医さん!」
歴史は繋がってゆく…
時に未来すら垣間見る力を持ってしても、それは変えられないものかも知れない
戦後の混乱と、コロニー落としの被害により、この作戦は誰に語り継がれる事も無く、歴史の闇に埋もれていった…
だが、一人のニュータイプ教官が決意を持って引いたその引き金を、その想いは、戦後数年を経て次の世代たちへと受け継がれてゆく…
月だけが全てを見ていた。
またまたお久しぶりです!季節はすっかり秋へ、お月見なんかもいい季節になりました🎑相変わらずスローペースになりましたが、前回の3か月よりかは短い1ヶ月半で新作の完成報告となります❗️
前回のオデュセウスガンダムから、FFユニットの制作に行こうかな〜と思って居た矢先に、偶然再販されたMGガンダムXに出会ってしまったのです…笑
GXを作るのは、放送当時の1/144キットぶり。次作るなら、コクピットハッチギミックや、細かい装甲分割ギミックのあるこの子と絶対決めていました。
そして、9月から1日一話ペースでアニメの再視聴も開始…作るなら30周年という今このタイミングしかない‼️というテンションで、制作開始いたしました!
MGで内部フレームもほぼ再現されていながら、パーツ数などはそこまで多くもなく組み易い良キット。リフレクターやエネルギーコンダクターなどクリアパーツが多く満足感が高いです。
シールドバスターライフルのシールドモードの持ち手だけが気に入らなかったので、劇中同様、側腕に直付けできるよう改造しました。
それ以外は大きな手も入れず、キットほぼそのままでした。
やはりアニメでのヒロイックなトリコロールカラーのイメージが強いせいか、あまりオリジナルカラーリングの作例は見ない気がしたので、ここは敢えての総カラーチェンジをしてみました❗️
デザートカラーと朱色で、陸ジムを連想される方も多いと思いますが、実は練習機繋がりでマクロスのVT-01オストリッチが元ネタだったりします。
差し入れのオレンジイエローが目立たなくなるので、バーミリオンの色合いをどこまでオレンジ系に寄せるかで迷いましたが、もう少しオレンジでも良かったかも知れません😅
(このポーズが、何となくクロボンX3みたいで実は気に入ってます笑)
MGに付属のマーキングは全てテトロンシールだった(ドライデカールだったのは、もう遥か昔の話で、今やMGでも水転写デカール付きはver.kaぐらいのモノなのね…)ので、今回もオリジナルデカールでデザイン作りからです。
旧地球連邦などは、公式のロゴなんかも定まっていない様だったので、宇宙世紀のEFSFっぽい感じで、でっち上げました。字面が被らないように、United Nations Earth表記です。
胸元なんかに入れたGXロゴは、わかり易くもデザインとして邪魔をせずに良い仕事をしていると思います。
仕上げには、数年前に塗装で挑戦して失敗したピクセル迷彩を今回はデカールで。
様になる貼り方って意外と難しいのデスネ…💦
リフレクターの中に貼るホログラムシートは、そのままでも偏光してキラキラと綺麗なんですが、先日発表されたロボット魂のDXの製品画像を見て、塗装でもあれに近い表現が出来ないか?と、シートの上から蛍光クリア系でグラデーション塗装をしてみました!予備リフレクターとして取り付けたグラスフェザーのホイルシールも同様に塗装した上から、さらに百均のオーロラシートを貼り付けています。
今までは水性アクリル系で蛍光ブルーの塗料というのを持っていなかったんですが、春に京都のボークス本店さんでファレホのゲーミングブルーを仕入れていたのを今回初使用してみました!
久々のMGなので、見せる内部フレームがあるのも嬉しい☺️全塗装しました!
分割可動する膝装甲と、アンクルアーマーの解釈がたまらないです👍
エネルギーコンダクターと言われる機体各所の紫のクリアパーツはUVライトで発光するように、いわゆるメカニカルクリア方式で内側から、ゲーミングブルー→シルバーと塗り重ねました。
パーティングラインが出る肩部のみ、表面もヤスリがけ処理の後、クリヤーでツヤ出ししてます。
X字のウイングが広がる、ホバリングモードと呼ばれるこの形態がカッコいい☺️
やはり大きな羽根を広げた背負い物は見栄えもしますし、ロマンですねぇ✨
最後に箱絵と同じポーズで!
まさに幼少期に夢中になっていた平成ガンダムシリーズドンピシャ世代なのですが、その中でも最も好きだったシリーズがガンダムXです。
Gガンは所謂格闘漫画的テイストに振れ過ぎていて、Wは政治的な勢力図がコロコロ変わり分かりにくい…平成シリーズでは最も宇宙世紀的な二大勢力が宇宙戦争をやっていた世界観だったので、子供心にも分かり易かったのかも知れません。
しかし、アニメは見ていたハズなのに、イマイチ途中から記憶無い…。なるほど、途中から放送時間が変わったり、打切りで話数短縮だったとかいう大人の事情を知ったのはだいぶ後になってからだったかも…😅
しかし!!そんな自分でも確かにストーリーの記憶が有るのは、当時、清く正しいボンボン読者だったからなのであります❗️ときた光一先生の漫画版は毎月欠かさず読んでたし、最終回の一枚絵は今でも忘れない!そして、最も強く印象に残っていたのが、本編終了後に掲載された、「ニュータイプ戦士・ジャミル・ニート」のお話でした!本編のストーリー完結後に、第一話に繋がる前日譚を描くという、後にスターウォーズなどで人気を博する所謂エピソード0方式。恐らく、本来放送と連動して1年間の連載予定だったものが、アニメ打ち切りとなった為に、穴埋めとして急遽用意され企画…だったのかな?
ですが、前後編の2話で描かれたこちらのお話の完成度がとても素晴らしいのです👍
という事で、今回の機体設定・ストーリーは、このお話の隙間をさらに補完するようなイメージで、劇中最強のNTパイロット・ジャミルの教官を務めたルチルは何故精神を崩壊してLシステムに組み込まれたのか?そして、サテライトキャノンほどの戦略兵器ならば、必ずその威力を検証するための実験が行われたはず…という点に着目し、史上初めてのサテライトキャノン試射を舞台に描かせて頂きました。
30年ぶりに作るGXは、やっぱりめちゃくちゃカッコいい❗️少年時代に夢中になっていたアニメが、周年でこうやって再注目されて盛り上がるのは、すごく感慨深く嬉しいですね!
キット化にはあまり恵まれてこなかったガンダムXシリーズ。バンダイさん!宇宙革命軍のMSも何か一つキット化オナシャス❗️
















#ガンダムXはいつもそこにある
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UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
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