だけど ほんとは 誰だって、、、
UC0087、のちにグリプス戦役と名付けられた戦いの最中、ティターンズより新型のガンダムmk2を奪取することに成功した強襲巡洋艦アーガマは一路、月のアンマン市を目指していた。
「データロードチェック完了、シュミレーションOKです!」
「こちらリック・ディアス クワトロ・バジーナ データ収集の為、模擬戦を開始する。」
先の戦闘でクワトロ機は奪取され撃墜された為、予備機として配備されていたリック・ディアス4番機を使ってのテストとなったが、シュミレーションデータ上とはいえ、三機のジムⅡはあっという間に撃墜された。
「続いて元クワトロ機のデータをロード」
モニター上での装甲色が赤色に染め上げられてゆく。
「大尉には通常の敵機データでは全く物足りないんでは無いかと思いまして、、今回は少し変わった趣向のものを用意してみました。。。」
「ほぅ、何だ?」
赤い彗星!赤い彗星!
「⁉︎」
漆黒の宇宙を切り裂き、眼前に現れたのは紛れも無く"赤い彗星"として恐れられたかつての愛機MS-06Sであった。
ヒートホークのみを装備したザクⅡS型は、リック・ディアスのビームサーベルと鍔迫り合いを演じたかと思うと、背後を取ろうと軽々と宙に舞う。
ディアスは体勢を変えることなく、背面に懸架されたビームピストルで弾幕を張った。
相手は近接武装しか装備していない。間合いを取ってこちらから一方的に射撃するのがセオリーだ。
しかしザクを仕留める為に二丁拳銃のビームピストルを乱れ撃つが、ことごとくかわされる。
圧倒的にこちらが有利な状況にも関わらず、戦場を楽しんでいるかの如く舞っているかのような動きだ。
弾切れしたピストルを捨て、クレイバズーカに持ち替える。
ザクは攻撃を仕掛けるべく真っ直ぐ突っ込んでくるが、それではただの的だ。
「もらった!!」
しかし、直撃を確信した一撃が当たらない。
通常の三倍のスピード⁉︎
赤いザクは全弾回避してこちらの懐に入ったかと思うと、近接防御のバルカンファランクスさえ封じて、ただの一撃でコクピットをかち割り、ディアスを沈黙させた。
「すみません大尉、新米メカニックが張り切り過ぎて勝手にあんなモノを。」
「あんな数世代前の一年戦争時の機体にリック・ディアスが劣るなどあり得んよ、アストナージ。ロードデータのバグだ。」
「設定は当時の赤いザクと同じにしたと言うんですが、、、そう言えばどうします?アンマンで受け取る新型機の事ですが、アナハイムはZプロジェクトの新型の他に、リック・ディアスの強化改修案も用意していると言っています。クワトロ大尉にテストしてもらえれば、向こうもこれ以上無いデータが取れると喜ぶと思いますが、、、」
「うむ、さて、どうするかな、、、」
「アタシだってこれでも昔は名の知れた歌い手だったんだ。
一年戦争の時なんて、連邦とジオン両方から引っ張りだこでさぁ、フフフ
今でも"昔の名前ならステージに上げてやる"、そういう連中は多いんだ」
アンマンの片隅にある路地裏のとあるバーで、ヤケ酒に浸っているのか、女はカウンターに座った私とマスターにそんな話を繰り返していた。
赤い彗星!赤い彗星!
「俺は赤い彗星のシャアだ!」
いきなりバーのドアを開けたかと思うと、赤いシャツを着たその男は狂気じみたように続ける。
「ジオン復興のために俺は立ち上がる!!ジークジオン!ジオン・ダイクン万歳!!!」
そう叫び終えると、男はまた闇夜の街へ走り去って言った。
「失礼しました。最近ああゆう輩がここらでも多いんですよ。戦争後遺症なんですかね?昔を忘れられないんでしょうねぇ。」バーのマスターはすまなさそうに詫びる。
「だけど、ほんとは、誰だって気付いてるんだ。誰もが昔の自分のようには生きられないってね、、、」
女はそう呟くと、酔い潰れたのかそれきり眠ってしまった。
「エゥーゴも色々と人手不足だと聞いております。なのに大尉に自ら試作機のテストをして頂けるなんて、この上ない光栄です!」
アンマンで強襲仕様として改修を終えたシュツルム・ディアスを前に、アナハイムの担当者は力が入っているようだ。
「ディアスは連邦系と公国系、双方のMS技術が混ざり合った交差点だった。まだまだ改良の余地のある優れた機体だと思っている私自身にそれを証明させて頂きたい。」
過去の自分に打ち勝てないという事は、誰よりも私自身が昔の自分に囚われていたのかも知れないな。だが、私も赤い彗星としての自分を演じることはもうしない。時が味方してくれるはずだ。
「シュツルム・ディアス、テストを開始。クワトロ・バジーナ 出る!」
hgucシュツルム・ディアスをリック・ディアスとのコンパチ仕様で制作しました。元々は2015年頃にAmazonで普通に購入したものだったんですが、いつの間にやら全く再販の無いレアキットと化していたんですね(zaku-kao4)素組したままずっと眠っていたものだったんですが、改修とディテールアップ、全塗装を行って蘇らせることにしました。
当時欲しくて買ったキットだったにも関わらず、組み立ててみてガッカリした理由は、本キット最大のウリであるはずのグライバインダーです。本体の全長を超える巨大装備にも関わらず2パーツのざっくりモナカ構成で、裏側にそこそこディテールがあるものの表側はほぼノッペリ。バックパックとの接続方法がリックディアスのオシャモジと同じ一軸ポリキャップなんで、キャノンの可動範囲なんかほぼありません。当時、改修する腕なんか全く無かった自分はバ○ダイのリコデキット商法に落胆し、そっと箱にしまったのでした。
そこで、今回はパワードアームズパワーダーのアームを使いバインダーの接続方法を見直し、のっぺりした平面を格好の練習台として、全身にパネルラインの筋彫りや、モールド開口、合わせ目消し、段落ち処理などを行いました。
クランクアームの可動は素晴らしく、ゲームなどで見た、肩越しにキャノンを構えるポージングは勿論、
下側からヴェスバーの如く構える新たなポージングも可能となりました。
通常位置での横幅のボリュームも増し、かっこよくなりました。
のっぺりだった表面にいれたパネルラインにも満足しています。差し色として塗り分けたオレンジもいい味を出していると思います。あとで気付いたんですが、このカラーリング、サイコザクに近くて、バインダーのアームもサブアームみたい笑
もしかしたら、サンボル世界のシュツルム・ディアスはこんなのかも知れませんね(zaku-kao8)
実はリック・ディアスは以前に作った事があり、今回のランダムバインダーもそこから拝借したものになります。
エコール・デュ・シエルのアスナ機として、生まれて初めてスプレーで色変え塗装をしたんですが、塗装の知識も全く無く冬のベランダでダンボール箱の上でスプレーを吹き、塗膜はゴツゴツで荒いわ、厚いわ、下地も透けてるわと今見ると散々な出来w
そこから比べても自分のガンプラ作りの腕の上達を再確認出来た、今回の制作でした。
今でもまだまだだけど、この頃と比べたら本当に出来る事が増えた(zaku-kao9)
今回のストーリーは、これまた大好きなEVOLVE/12をなぞりました。
物語の中では過去の自分に囚われたまま、シュミレーションでシャアザクに完敗を喫するリック・ディアス。シャア専用機同士が戦うという実戦ではあり得ない組み合わせが胸熱❗️
どっちかというとヤラレ役になっちゃうんですが、僕らはそんなクワトロが好き🥰w
最新CGで暴れ回るディアスが、まぁカッコ良く映ったものです。
主題歌だったコミネリサ(後にSEEDdestinyスペシャルエディション2主題歌のTearsも担当)の『TIME IS ON MY SIDE(時が味方してくれる)』もスタイリッシュでEVOLVEでは一番好きな歌でCD買いました(zaku-kao6)という具合に思い出いっぱいの作品をガンプラで再現出来て良かったです。
ありがとうございました❗️
シャア専用ザクvsリック・ディアス❗️
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UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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