U.C.92年12月、グリプス戦役終盤の混戦以来、行方不明となっていたシャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンは新生ネオ・ジオンの総帥を名乗り、自ら艦隊を率いてサイド1のコロニー「スウィート・ウォーター」を占拠する為に出撃する。その傍にはシャアのための新たな力を用意したニタ研所長 兼作戦士官・ナナイ・ミゲルが居た。
「ナナイ、これが私の為に用意してくれた機体か?」
「はい、MSN-04Ⅱ ナイチンゲール 先程アナハイムのグラナダ工場から引き渡されたばかりです。」
「これが、、この巨体でMSだとでも言うのか⁉︎」
「そうです。MAのような一撃離脱でなくナイチンゲールはあくまで高機動戦闘を主眼に置いた設計ですのでMSと言えます。」
「私は鈍重な機体は性に合わん。思い通りに動くのか?」
「サイコミュが全身のアポジモーターとリンクしているので、運動性能は想像以上です。サイコフレームの搭載量もサザビーより大幅に増えていますので、驚くほどの追従性があります。」
「これに、さらなる強化プランも用意しているのか?」
「今回の出撃でコロニーの駐留部隊を相手にする程度なら全く問題ありませんが、いずれ、連邦宇宙軍の本隊やロンドベルと対決する時が来るかも知れません。ですが、どのような敵が相手でも私は大佐に思いを遂げていただきたい、、生きて帰って頂きたいのです。」
・スクープ・ファンネル
アナハイム グラナダ支社がサイコフレーム技術の供与と引き換えにフォンブラウン工廠から入手したフィンファンネルの設計図を基に試作された解放式メガ粒子砲を持つビット兵器。技術的にはプロトフィンファンネルとリック・ディアスのランダム・バインダーを掛け合わせたものであり、通称“おしゃもじファンネル”。
ジェネレーターを内蔵し、高出力ビームと、ビームバリアの展開という攻守にわたり活躍する追加装備。アーマーに装着したまま発射することも可能。
・ダブルシールドガトリング
大型シールドの裏面に装備された二丁のガトリング砲。“隠し腕”と同様のアームにより懸架されている為、盾を構えつつも幅広い射角を有し、ビーム兵器主体の本機に実体弾の弾幕を形成する能力を付与する。
・マイクロミサイルポッド
機体各所のマウントラッチに増設された対多数戦に対応したミサイルポッドシステム。
・オーバーレンジスナイパーライフル
アクシズの防衛戦が想定された本作戦において、超長距離狙撃用に特化した折り畳み式ライフル。大型光学スコープサイトとサイコフレームの連動により通常艦砲の射程圏外からでも精密射撃を可能とする。
・ハイパーアトミックバズーカ
ルナツーの核貯蔵庫から奪取したmk-90型核弾頭を装備した特殊弾頭用バズーカ。GP計画の機体群に関するデータはアナハイム本社の記録からは抹消されてしまったが、救助されたデラーズ残党によりアクシズにもたらされたGP02サイサリスのデータからネオ・ジオンにて設計される。万一、ロンドベル以外の連邦宇宙艦隊が出撃した場合、それを殲滅する事を想定して用意された。
本機の大型シールドは対核兵器防御機構も兼ねている。
「ジョルジュの事で私を恨んでいると言っても構わんのだぞ?私もララァを撃ったアムロには仇と言える感情がある。」
「兄は祖国独立の為にあなたを護って死んだのです。悔いは無かったと思いますわ。それに、大佐はアムロ・レイには恨み以上の感情を持っていらっしゃる、ちがいますか?うなされて目覚めた時、今でも夢に見るのでしょう?ララァ・スンとアムロのこと、、、」
「君には隠し事は出来んな。今回の作戦もナナイがアムロとの決着を着けることを許してくれたから決めた。ネオ・ジオンの総帥をやる私には、お前ぐらいの懐の深い女でないと駄目だ。」「本当によろしいんですね?明日スウィートウォーター政庁を制圧すれば、連邦政府に対し公に反旗を翻したことになります。」
「ここまで地道に準備を進めて来て、今さらその質問は野暮というものではないか?私も覚悟は決めたつもりだ。父ジオンの遺志を継ぐこと。百億のスペースノイドの民意を代表することを。」
(ジオン独立戦争後サイド3で反連邦活動のスパイをしていた兄ジョルジュはエウーゴへと参加する途中、大佐を守って死んだ。僅かだがニュータイプとしての素養があった私は、その兄の死を強く感じ過ぎてしまい一時ショック状態に陥ったが、兄の死を強く悼み、責任を感じ私に寄り添ってくれたのもシャア大佐だった。
スペースノイドの自治独立はその兄の遺志でもあり、スペースノイドである私自身の悲願でもある。だか、その一方で、キャスバル・レム・ダイクンとしてスペースノイドを独立へと導くという、その想像を絶する重荷や、ララァを撃ったアムロとの因縁から一人の女として大佐を救って差し上げたいともまた願っている。このジレンマを許してくれますか、兄さん?)
「お支えいたします、大佐。
愛して下さるのなら、、、」
その後、占拠したスウィートウォーターを拠点とし、シャア艦隊はルナツー降下作戦、アクシズ降下作戦を敢行。アクシズ落とし、その最終局面においてアムロとの宿命の対決に負けたシャアは、一人コクピットにて過去を思い返していた。
それはこれまでに出会った女たちへの想いと贖罪であった。
「クェス、私には父を務めるまでの度量も無かったのだ。
ナナイ、お前を愛するよりもその物わかりの良さを利用しただけになってしまったかもしれないな。
レコア、君にも居場所を作ってやれなかったな。
ハマーン、ナタリー、君たちを守ってやれなかったのは私の弱さだ。
ララァ、私を導いて欲しかった。私に真のニュータイプの力があれば。
母さん、貴方さえ、、あの日、貴方さえ失わなければ、、!私はこの身を赤い復讐などに染めず、ずっとキャスバルのままで居られたのかも知れません。。。」
名を偽り、父ジオン・ズム・ダイクンの仇であるザビ家打倒を果たしでもなお、母を失ったその深い哀しみが癒えることは無かった。
宇宙に上がった人々を蔑み、地球という壊れかけた楽園を貪り尽くした特権階級の過ちは間違いなく大きな罪であったが、スペースノイドもまた自らの正義の為と疑わず、数々の取り返しのつかない過ちを犯してきた。
一年戦争、デラーズ紛争、グリプス戦役、ネオ・ジオン抗争、、、
終わりのなき戦いの連鎖は、最早、スペースノイドの正義か、アースノイドの悪かを決着させる手段など無い事を証明し、
人類という、どうしようもなく愚かな種の業の深さをただただ見せつけるのである。
だから私は誓った。地球を憎しんで潰すのではない。人類に絶望し、人類を否定し、人類に自らを顧みさせるのだと。
だが、何だ?この暖かな光は?
サイコフレームの共振によって集められた人々の意識?母なる惑星を潰してはいけないという人類の総意?では、なぜ地球がこうなるまでに追い詰めたのだ?
しかしこの期に及んで地球にいるアルテイシアを守ってやれたのだなと、心のどこかでホッとしている自分が居る。これが人。私もひとりの人に過ぎないということか、、、
アムロの声が遠くなってゆく。
どこかで赤ん坊が泣いている。だが、この光があれば迷いはしまい。このオーロラの彼方へ道は続いている。
さようならアルテイシア。私はいくよ、またお前を抱きしめたいと思ってしまったら、きっと旅立てなくなる、、静かだ、、刻が、みえる。
その虹の彼方へと飛び立って以降、戦場に小夜啼き鳥の鳴き声は二度と響かなかったという。
ご無沙汰している間にもう年の瀬。11月に引き続き、12月も一カ月間みっちり一体と向き合って制作しておりましたhgucナイチンゲールです。
思えば春の再販でこのキットを苦労の末手に入れたところから、自分の中でのシリーズ『シャアの哀しみに寄り添う』が始まった気がします。
今年シャアザク、ゲルググ、リックディアスとシャアの赤い機体を作ってきた集大成として、シャア・アズナブル最期にして最強の搭乗機ナイチンゲールを今年最期の作品として制作しました。
合いそうだなと思った追加武装も全部乗せで、オリジナルの完全武装仕様にしています。
このキットを通しての感想は、「何しろデカい!」
箱もデカい、パーツもデカい、hgだなんて信じられないくらい組み上げても重くてデカい!HG、MG通して自分史上最大のキットです!
デカさゆえにのっぺりとした印象のアーマーに大胆に今ある道具を駆使してスジボリを入れていきました。リアスカート、バインダーなんかは結構頑張りました。
パーツを並べるだけでも場所を取るので、素組、スジボリ、ヤスリがけ、デカールワーク、最終組立、撮影などの塗装以外の殆どの工程は、いつもの作業台とは別に臨時にダイニングテーブルを一つ用意して、そこで行っていきました。ここでもいかにデカいかを体感w
ほぼ見えなくなるリアスカート裏も塗り分けて自己満。ケレンみ〜
コクピット周辺もハイディテールなのでチマチマ塗り分け。ハイニューガンダムと同様の解釈で、サイコフレームに見立てた蛍光デカールをはりました。
モノアイは「青い瞳のキャスバル」にあやかって、青っぽい蛍光プラ棒でHアイズ化。
このほか、ビームエフェクト、スコープセンサーなども蛍光塗装しました。
シールドガトリングは30msのパーツとパワードアームズパワーダーを使用。隠し腕の銃火器バージョンのイメージで収納状態から柔軟に可動します。
追加武装用の接続として各所に3ミリ穴、ハードポイントぽく見えるよう、六角形のモールドで加飾しました。オレンジのアクセントカラーもいい感じ。
元々の大型メガビームライフルと追加武装は全て本体にマウント出来ます。
塗装は前々から気になっていたマットキャンディ仕上げ。一部をソリッドカラーのマルーンレッド光沢仕上げでメリハリをつけました。
ツヤツヤのキャンディになった段階でこのままグロスで仕上げたい衝動に駆られましたが、何とか初志貫徹しました。
グレーサフ→光沢黒→ゴールドリーフ→クリアレッド→つや消しクリアーの工程でしたが、大判デカールを貼っていたらマークセッターが若干クリアレッドを侵した部分もあり、デカール前の光沢クリアはやはり大事だと反省です。
前評判として「塗料めっちゃ食うけど、ぜひ全塗装してみたいキット」とは聴いていたので、塗料の量に戦々恐々としていましたが、やはりめっちゃ食いますw
これから塗装考えておられる方の参考までに、今回使用した塗料の大まかな使用量は
- グレーサーフェイサー 10cc
- グロスブラック 10cc
- ゴールド 15cc
- クリアレッド 30cc
- レッド 10cc
- ガンメタリック 10cc
- メタルブラック 5cc
- ライトグレー 5cc
- ホワイト
- カッパー
- シルバー 各少々
- オレンジ
- つや消しクリアー
クリアー
でした。(タミヤアクリルと水性ホビーカラー)
ストーリーはシャアの為にナイチンゲールを用意したナナイの視点から描いてみました。
CDAに若き日の萌えナナイも出て来たので、あそこからの変貌はハマーン同様なかなかのギャップがありましたが、普段はクールを装っても時折シャアへの想いが溢れて出るなどイイ女だとは思います笑
シャアとアムロ、どちらに魅力を感じるかはガンダムファンの間でもよく議論になるところですが、大人になった今の私はやはり私はシャア派。自身の中に常に矛盾をはらみつつ、強いハズなのにいつも惜しい。でも、そんなシャアが好きなのはいつもその身に悲哀のオーラを纏っているからではないでしょうか?
かくして、我が家もアムロとシャアの宿命の対決場面が完成❗️年末らしく紅白対決だー!なんて息巻いていたらガンスタさんが本当に紅白企画やってくれたので、紅組で乗っかります🌹
豪華でデカい今年のシメに相応しい大作になりました✨
ありがとうございました(zaku-kao6)
ゆけ、アクシズ!2024年と共に!
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UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
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