グリプス工廠───
サイド7グリーンノア2コロニーに置かれたティターンズの一大兵器生産拠点である。UC0087年2月、連邦軍内において強大な権力を握ったティターンズは自らの正当性を喧伝するための象徴として、あの“ガンダム”の正統なる後継機種の開発を進め、そこでは日夜そのトライアルが続けられていた。
「こちらグリプスコントロール。3号機ジェリド中尉、規定の飛行速度をオーバーしているぞ!編隊飛行を維持せよ!」
「はっ、開発のためにもっといいデータが欲しいんだろ?この俺の腕ならもっと攻めた飛び方も出来る!この機体の限界性能を引き出してみせるさ!」
「ジェリド・メサ中尉、、、か。まぁ、いい。マークⅡの開発スケジュールは押している。来月の完成披露式典には何としても間に合わせるようにとバスク大佐からも再三、念を押されているしな。」
司令室の責任者であるジャマイカン少佐は呆れているのか、期待しているのか管制官に大目にみるように促した。
「り、了解しました。ではチェイサーの4号機にも速度を上げて追跡する様指示します。ガンダムマークⅡ4号機ポール中尉!」
「こちら4号機ポール、了解した。続行する。」
黒いカラーリングが施された4号機のテストパイロット、ポール・ニカイドウ中尉はあくまで冷静沈着に速度を上げた。ジェリドとは士官学校からの同期で、ティターンズ配属も同時期だったが、そうとは思えない大人びた雰囲気を帯びた男だ。
ガンダムマークⅡは一年戦争時の伝説的名機“ガンダム”の名を受け継ぐティターンズの新型試作機として4機が製造されグリプスにおいて試験飛行を繰り返していた。連邦軍の記録上ではガンダムの名を冠する後継機が開発されるのは一年戦争以来の事である。
開戦以来劣勢であった連邦軍のジオン打倒の象徴。ジオン残党狩りを主任務として発足したティターンズがそれを持つという事は、連邦市民に対して、また旧ジオン残党に対しての強いメッセージであり、威信をかけたプロジェクトであった。
ジオン公国には勝利したものの、数百億のスペースノイドを統治するにあたって連邦政府は戦後、融和政策を推し進めてきた。MS技術の分野においても、戦後接収された公国系の技術は、連邦系のそれに新たなるイノベーションをもたらしたのだが、マークⅡはそれらを一切排除した純連邦系の技術者のみで作り上げられている。
それは、ジオンやスペースノイド自体を根底から否定するティターンズの地球至上主義を具現化した“巨人”であるからに他ならなかった。
「やっぱりな!この群を抜いた運動性能はマークⅡのムーバブルフレームでないと味わえない!!
おまえに追ってこれてるか?ポール!」
「ジェリド、機体に負荷を掛け続けるのは良いテストパイロットとは言えないぞ。」
模擬戦においても、ジェリドはマークⅡにはしゃぎつつもその性能を若干持て余し気味であったが、ポールは常に冷静に任務をこなしていた。
ジャマイカン少佐からの突然の伝達があったのはある日のブリーフィングでのことだった。
「テストパイロット諸君、日々の訓練とテストご苦労である!ここまでテスト小隊の君たちには4機そろっての試験をこなしてきてもらった訳だが、当初の計画を変更して明日からは1〜3号機は引き続きグリプス内での重量下運用試験を。4号機に関してはアレキサンドリア級重巡「ダマンフール」に艦載して、暗礁宙域での単独テストを行ってもらう。これはマークⅡのテストスケジュールが予定よりも大幅に遅延している事を受けての措置である。厳しい日程になるが誇りあるティターンズに選抜された諸君のより一層の奮闘を期待する!以上!」
「何だよ急な予定変更って、、ポール、俺が居ないと張り合いだろうが寂しがって帰ってくるんじゃないぞ!ハハっ!」
「ジェリド、、、俺の眼が無いからって無茶ばかりするんじゃないぜ。士官学校からずっと見てきたが、お前は本当は色んな機体に合わせられるいいパイロットだと思う。エマとカクリコンも、コイツの事宜しく頼むな。」
「おいおい、何お別れみたいな挨拶してやがる!今回の航海は一週間もしたら帰って来られるじゃねーか!」
だがジェリドのその言葉に、ポールはつくり笑顔で微笑むだけだった。
数日の後──
ブリーフィングルームを訪れたのは総司令であるバスク・オム大佐であった。
「諸君に一つ残念な知らせを伝えなければならない、、、
先日、暗礁宙域における機動試験中にガンダムマークⅡ4号機は墜落事故を起こして大破、君たちの同志、勇敢なるポール・ニカイドウ中尉は殉職された。」
「ポールが、、、信じられない。俺たちの中でも誰より冷静沈着だったアイツが、、、」
うなだれるジェリドをエマとカクリコンが慰める。
「誠に、誠に残念な結果である、、、しかし、しかし我々に立ち止まっている時間は無い!中尉の駆った機体を、マークⅡを何としても完成させねばならない!
間もなく開発は最終フェーズに移行し、テスト機も制式採用塗装が施されるだろう。
これは、ティターンズのティターンズによるティターンズのためのガンダムなのだ!!」
訓示を終えたバスクはジャマイカンと共に部屋をあとにする。
「お見事でした!大佐!
しかし、身内であるティターンズ隊員に、ましてやテスト小隊の仲間にまで真実を伏せなければならないとは、、、ジャミトフ閣下直属の特殊チームに転属とはいえ何ともすっきりしませんなぁ。」
「完成した試作機のうちの一機を優秀なテストパイロットと共に早急にブラック・ヘアーズに回せと、閣下自らのご指示なのだ。ヤツらは本当にこの私ですら得体が知れん。我々にとっての不都合は全てヤツらによって漆黒の闇に葬り去られる。ティターンズの“暗部”なのだ。」
同じ頃、ガンダムマークⅡ4号機を搭載したダマンフールは密かにグリプスのドックを出航する。 その光をグリーン・ノアに住む一人の少年がふと目にしていた。。。
先日GQuuuuuuax観てきました!にも関わらず引き続きAOZシリーズのリビルド第三弾をお届けするモーリースです!
でも今回はA.O.Zシリーズとは言ってみたもののキット的にはzガンダム本編ですね。マークⅡですからw
昨年末の再販で購入したrevive版のティターンズマークⅡを、旧hguc版のリビルドと共に2体同時制作で進めていきました。今年に入って組み立て済みのリビルドばっかりやってきたので、純粋にランナーから制作するキットは何気に今年初となります🎍w
旧hgucは幻とされているマークⅡ4号機をブラックヘアーズカラーに、
revive版はTRシリーズをイメージした3号機テスト機カラーにて制作しました。
ボックスアートもそうですが、マークⅡって後々カミーユが乗って主人公機になるからか、3号機マーキング選択されがちですよね笑
旧マークⅡはhgucシリーズで初めて購入したキットだったという事で、自分にとっても非常に思い入れのあるキットです。忘れもしない大学一年の夏休み、テストも終わり暇を持て余していた私が手に取ってからもう22年とは早いものです。
とはいえ、revive版が発売されたのも2015年と早10年が経とうとしています、、、時の流れはホントおそろしい😱
2体を実際に比較してみて、この十数年でのデザインの変化やパーツ別けの進化など興味深い点が多々ありました。
revive版もかなりアレンジが変わっているので好きな人の間でも賛否両論があって触ってみたいキットの一つでした。
組んでみた結果、revive版はディテールも増しているし、各パーツのc面、d面などで面が非常にパキっと決まっていて、単純にロボットととしてカッコいいなと思いました。
頭部のひさしなども非常に深くなっていてヒロイックです。
が、しかしマークⅡは最初劇中では“黒いガンダム”として登場した悪役のモビルスーツ。どちらがマークⅡとしてしっくりくるかと言われれば自分は旧hguc版でした。
コクピットハッチ周りの造形等、これ一旦組んだらほぼ目にしない部分にもデティールが。
他キットにも言えることですが、足裏の肉抜きや、バックパック接続面のディテールなど、中には旧版の方が優れているポイントも。
工作としては、旧hgucは合わせ目消しとフロントアーマーの独立可動や、センサー類のクリアパーツ自作。
revive版は、ほぼ工作無しで、モナカ割武器の合わせ目消しぐらいでした。センサー類はシールの上に蛍光塗装のお手軽製作です。
可動の進化は圧倒的にrevive版で、めちゃくちゃ動きます。表情も付けやすいです。足首の二重関節とかシリンダーがよく見えてカッコよかった👍
両手撃ちも出来るしね
今回のショートストーリーは、グリプスで4号機がテスト飛行していたときのもので、ちょうどzガンダム第一話の前日譚みたいにしてみました。あまり語られていないマークⅡの4号機。事故で喪失した設定らしいですが、実は隠蔽されてパイロットごとブラックヘアーズに編入していたら、、という妄想で、ジェリドの同期の4号機パイロットも描いてみました。
2体同時制作でしたが、なんとか一月中に完成させられました❗️
2月も引き続きAOZシリーズをやっていこうと思います。
ありがとうございました✨
マークⅡ 〜刻をこえて〜
コメント
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2パターンのガンダムマークⅡ、共にめちゃかっこよく仕上がってますね👍😆 ストーリーもよくできていて、続編を見たくなります😆
ありがとうございます❗️
自分の中でも思い入れのあるキットだったので、リビルド出来て良い経験でした✨
revive版が出ると、たいがい旧版は絶版状態になるので、持っている古いキットも想い出と一緒に大事にしたいですよね(gundam-kao7)
良い思い出となりますように😉
UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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