Chap.5 U.C.0080 1月10日 ……
人はいつかは死に、誰しもがその歩みを終える。
死は平等にやってくる。
平等に——?
本当に、そうか——?
力あるものが、理不尽に——そうだ、奪われたではないか。
それは、平等な死なのか?
あの理不尽を、平等にするために、戦ってきた。
あの連中を、ジオンを、滅ぼし尽くす。
奴らの大切なものも、奪い尽くす。
あのザンジバルを撃ち墜とし、ジオンに、もう1人の自分を作り出したとき、復讐は、完成したのだ。これで、自分を地獄に叩き落した理不尽な死は、彼奴らにとっても”平等”な死になった——……。
調子っぱずれな"アメイジング・グレイス"が聞こえる。
「パパ、どうしてそんなにこわい顔をしているの?」
いつかの、夢の続きだ。
「お前と、ママを……。」
マイセンは、言葉を詰まらせる。
アリスは、不思議そうに、マイセンの顔を覗き込む。マイセンを気遣うような表情だった。
「あなた。」
妻のアイリーンの声が呼び掛ける。
「アリスが、サンタさんにお願いしたプレゼント、知ってる?」
「……何だ、大事な話をしているんだ。」
マイセンは戸惑いながら応じる。
「大事な話よ、これも。」
アイリーンは、ふわりと柔和な笑みを浮かべながらも、マイセンを窘める。こういう時、女性は——いや、母は、強い。アリスも、何かを言いたそうにそわそわしている。
マイセンは、ふっと微笑み、ひとつ、息をついた。
「……何を、頼んだんだ?」
マイセンが訊ねると、おずおずと、アリスは話し出した。
「パパが……。」
「うん?」
「パパが、もう……MSに乗らなくていいように、って。パパが、こわいお顔を、もうしなくていいように、って。」
ガツン、と、頭を殴打されたような衝撃が走る。
(これは、夢だ——わたしの、妄想だ。)
そう、自覚してしまう。
いかに健気と言えど、子どもが、こんな——……
「違うわ。」
アイリーンが、マイセンの手をそっと取り、静かに言う。
「アリスが……わたしたちが、望んでいることよ。」
「違う。そう思おうとしているだけだ、わたしが……。」
つまり、わたしは、闘いから降りたがっているのか——?
「MSより、アリスと遊んだ方が楽しいよ!」
アリスが、声を張り上げる。
「ママ、言ってたもん、MSはかっこいいけど、たくさんの人に……こわいことをするって……。」
アリスは、マイセンにしがみつく。
「ワルモノだよ、それじゃ……アリスやママを……こんなふうにしたひとたちとおんなじだよ……。」
そのまま、肩に顔を埋め、声を震わせる。
「アリスは、優しいパパがすきなの……。」
マイセンは、アリスをそっと抱きしめた。
そうだ。
こんなことはーー娘も、妻も、望んでいないはずだ。
そんなことは、分かっていた。
分かっていたのにーー……。
「ごめん……ごめんな、アリス……。」
傍に、アイリーンが寄り添うのを感じる。
「ねえ、あなた……もう、いいんじゃない。」
そうだ。
わたしは、どうやらあの若造に敗れたらしい。
望みどおり、自分を超えてゆく戦士にも出会えた。
こうして、妻子とも再び……悪くない最期だ。
「そうだな、じゃあ、行こうか……一緒に……。」
言って、立ち上がる。妻の顔を見るが、アイリーンは、伏目がちに、静かに、ゆっくりと、首を振る。
「違うわ。まだ、もう少し……。」
なぜだ、と、マイセンは思わず声を上げた。その声は、動揺に震えていた。
だって、ねえ、と、アイリーンは可笑しそうに笑った。
「超えてみせろって、そうやって押し付けて、自分だけ満足してって……それはちょっと、あんまりじゃないの。」
アイリーンは、そっと、肩に手を置く。
「あの子も、あなたと同じよ。家族もなく、愛を喪って……。」
だから、と、アイリーンは、優しく、しかし、強い光を帯びた瞳を向けて言う。
「あなたが、あの子の父親がわりに、なってあげて。」
「でも、アイリーン……。」
「大丈夫よ、ずっと、待っているわ……。」
大丈夫、と、妻が優しく囁く声を聞きながら、マイセンの意識は再び光に包まれたーー……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うっすらと目を開けると、目の前のコンソールパネルはあちこちに警告が表示されていた。コクピットはけたたましい警報音に満たされている。敵の一撃と、敵の武器が自壊した衝撃とで、ウォーシールドは破壊されていた。装備していた追加装甲が殆ど破損して、パージされていたが、犠牲になった装備のお陰で機体は無事だったようだ。だが、戦闘機動に必要な推進力は、アーマーに頼っている。そのアーマーは失われた。シールドを保持していた左腕と、左脚も吹き飛ばされている。これ以上の継戦は不可能だ。
(結局、機体性能に助けられたか……。)
技倆の問題ではない。機体性能の差ーーつまり、自分が生き延びたのは、連邦か、ジオンか、背景にしているものの、経済力の差による結果でしかない。
正面のモニターは、ノイズで欠けているものの、まだ生きている。敵も、最後の武器の自壊で残っていた左腕が吹き飛んいる。もはやダルマ同然だ。いや、もう、頭もない。ただの鉄塊だ。青いジムが、鉄塊に素早く向かい、コクピットあたりにゴリっと、ビームスプレーガンの銃口を押しつけた。
「ローワン、待て。」
殺すなよ、と、通信を送る。
『大尉、ご無事で。』
「無事なものかよ、これが。」
敗けた。完敗だ。
経済力を由来にした機体性能の差。それを、見事に覆して、致命打を与えられ、今や自分は行動不能だ。
マイセンは、ノーマルスーツ用のバーニアを手早く装着し、ハッチを開け、機体の外に出た。ローワンが、危険です、と喚くのが通信機に聞こえた。
「お前が守れ。なら、大丈夫だろう。」
フン、と、マイセンは穏やかに笑った。
「パイロットは生きていると思う。コクピットを開けてやれ、敵ながら天晴れな、相手の顔を見てやろう。」
良い戦いをした。チタン系合金の精製技術を持たないジオンの機体で、コクピットブロックが残っているというのだから、敵のパイロットはなかなかに武運のあるヤツらしい。そして、ガンダムを打ち倒した。まるで、戦場に愛されて生まれてきたヤツのようではないか。戦士としての誇りを持ち続けてきたマイセンにとって、どんなヤツなのか興味を禁じ得ない相手だった。
「小銃は持っている。大丈夫だ。拘束は、する。」
了解、とローワンは応える。
『825、826、大尉がデブリ片に当たらないように、障壁になれ。』
付近の味方に指示を送るローワンの声が、スピーカーから聞こえた。次いで、ローワンのジムのマニピュレーターが、ダルマになった敵機の装甲を引き剝がすと、敵機のコクピット内の空気が、勢いよく吹き出す。噴射し切ったのを確認すると、マイセンは注意深く小銃を構えながら、剝き出しになったコクピットを覗く。中では、若いパイロットがぐったりとシートにもたれていたが、マイセンの姿を見ると、すぐにすっと姿勢を正した。濃い色のバイザー越しにも、何かを悟ったような、澄んだ瞳の色がよく分かった。
自らシートベルトを解き放ち、両手を上げながら、マイセンに近づく。マイセンは、投降の遺志表示と理解した。
敵は、そのままマイセンにぎりぎりまで近づき、ゴツンとヘルメットのバイザーを押し当てた。共振による直接会話をするつもりらしい。
『大尉!』
ローワンの慌てた声が、ヘルメットのスピーカーに響いたが、大丈夫だ、と低く応えた。小銃の銃口は、しっかり相手の腹に押し当てている。
『……要求どおり、超えてみせたぞ。満足か、爺ィ。』
若い敵兵は、まっすぐな瞳を向けて言った。
「ああ、ありがとうよ。」
心からの、礼を述べる。おかげで、膿を出しきれた、と言うと少し違う気がするが、とにかく、この若者のおかげで、何かが変わった気がする。今日の宇宙は、どこか、青く、澄んでいる。そんな気がした。
『闘いには勝ったが、戦には敗けた。俺たちはもうこれ以上、戦えない。』
淡々と感情を殺したように言う姿は、現状を受け入れいるような清廉さを感じた。やはり、戦士として、この男には好感が持てると思った。
「潔いな。」
素直に賛辞を口にしたが、敵は、応えなかった。その瞳に、深い哀しみの色が宿るのを、マイセンは見た。
『俺は降りる。もう戦わない。仲間と、一緒に帰る。』
数秒の沈黙の後、若い敵兵は呟いた。その目は、マイセンをじっと見つめていたが、もっと、ずっと遠くを見ているようだった。
「帰る、だと……?」
どこへ、帰ると言うのだ。ヤツらの基地も、投降しているか、全滅しているはずだ。仲間と一緒に、と言うが、出撃してきたMSは、コイツの機体を除いて、もう戦場には残っていない。
『あいつらと一緒ならどこだって帰る場所になる。』
澄んだ瞳の視線と共に、明確な意志を宿した声が返ってくる。
もしかして、コイツの言う”仲間”には、喪われた者の魂も含まれているのではないか。マイセンは、そんなことを想像した。
おそらく、互いに、愛する者を喪った。憎しみ合いながらも、その胸の内に燻り続ける熱を、ぶつけ合うような戦い方をした。マイセンは、目の前の若者に、勝手に、自分を重ねている。それは、この若者に、救いを求めてしまっているのかもしれない。馬鹿げたことかもしれない。だが、その澄んだ瞳の色に、マイセンは、もう2度と抱くことのできない、娘と妻の面影さえ、見たような気がしたのだ。
(アリス……アイリーン……わたしも……。)
帰る場所が、あるのだろうかーーこの、若者のようにーー?
お前たちが、待っていてくれた、あの家のような……帰る場所が……?
思うと、つい、唇が動いた。
「ならば……わたしも……帰ることが……?」
ピクリと、若者の眉が動いた気がしたが、マイセンの呟きには返事はなかった。そもそも、これは、彼への問い掛けであったのか、マイセンにすら、分からない。ただ、続いた沈黙に、その応えは、お前が探せ、という彼の意志が含まれているかのように感じられただけだ。
しばらくして、若者が口を開いた。
『投降する。お前の要求を飲んだんだ。今度は、勝った俺の要求を、お前が飲め。』
投降する者の態度とは思えないが、その太々しさを、マイセンは気に入った。やはり、気骨がある。
「言ってみろ。」
『南極条約に基づいた、捕虜としての身柄の保証を求める。』
バカが、とマイセンは笑った。
「そんなことは、当たり前だ。」
だが、この若者は過酷な戦場の、最前線にいたのだ。その当たり前を、改めて要求せねばならないような、悲惨な光景を目の当たりにしてきたのかもしれない。
『分かっている。だが、戦いで血を滾らせた連中のやることなど、信用できん。』
やはりだ。
『約束したんだ、俺は。生き延びなきゃいけない。だから——……。』
若者は、一瞬、瞳を揺らしてから言葉を続けた。
『俺が無事生き延びて、捕虜返還が果たされるまで、お前が責任を持って面倒を見ろ。俺の仲間たちもだ。虐待や、理不尽な扱いは、お前が絶対にさせるな。』
なるほど、そういうことか。
『紀章を見た。さっきの通信も聞いた。大尉だろう。なら、できるな。』
「ああ、良いだろう。」
マイセンは、ニヤリと笑った。
(あなたが、あの子の父親がわりに、なってあげて。)
幻に見た、妻の声が蘇る。
「デニー・マイセン・ライオス大尉だ。わたしが、全権限をもって、ここまでの健闘を果たした諸君らの身柄を保証することを約束しよう。」
マイセンが言うのを聞いて、5秒、ジオンの若者はマイセンの瞳をじっと見つめた。そして、若く、張りのある声で言った。
『マイロ・アンダーソン少尉だ。ガンダムを倒した男の名だ。たとえ記録から消されても、お前は覚えておけ。』
言って、マイロ・アンダーソンは両手を揃えて差し出した。マイセンは、その両手をしっかりと拘束し、彼を収容した。
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UC0080、1月10日。
ア・バオア・クーの支援拠点となっていた、ジオン公国軍の衛星基地は降伏した。兵員たちは捕虜として、地球連邦軍に身柄を抑えられた。
そのことを、”マリア”は15日の報道で知った。14日には、サイド6と地球連邦政府の間で、安全保障条約が締結されている。ようやく、と言ったところだが、おそらくこれから、サイド6が中継ぎして、地球連邦とジオン共和国との終戦条約締結に向けて動き出すのだろう。だが、一方で、ジオンの残存勢力も、どこかの宙域に集結しつつある、とも聞く。まだまだ、宇宙は、争いのにおいに充ちている。
「脳筋どもが……いい加減にしなよ。」
”マリア”は、コンサート前の楽屋で、新聞から顔をあげるとため息をついた。
この戦いの中、非戦闘員を乗せたザンジバルが、地球連邦軍による攻撃で沈んだという情報が、一部、報道メディアで報じられた。多少の遠慮は見えたが、報道の内容は、連邦政府を非難しているように感じられた。似たニュースは、戦時中の地球、東南アジアの戦線などでも聞いた気がする。ジオン側が同じことをしたならば、おそらく宇宙の果ての、あらゆる場所から激しい非難を受けるだろう。だが、連邦が起こしたことだからだろうか、そのニュースは大した騒ぎにもならず、すぐに、忘れ去られてしまうーーいや、忘れ去られるように、誰かがするのだろう。
”マリア”は、隣の記事に目を滑らせた。
(”デニー・マイセン・ライオス大尉、敵のエースパイロットを撃墜”ね……。)
戦果を華々しく褒め称える記事とは裏腹に、紙面にうつるマイセンの顔は、疲れ切っているようだった。
「大したお手柄だったようで、大尉殿。」
紙面に目を落としたまま、フッと、からかうような笑いを浮かべて”マリア”は呟いた。そして、新聞を畳み、視線を上げて正面を見た。
「……で、どういう心境の変化?」
”マリア”の視線の先にはデニー・マイセン・ライオス大尉その人がいた。
武骨で、筋骨隆々とした大きな体のおかげで、抱えている花束が酷く小さく見えた。
「……貴様の歌を、聴いてみても良いと思えるようになった。」
「だから、その心境の変化がなんでか、って、訊いてんだけど?」
行儀悪く足を組み、膝頭の脇に頬杖をつき、呆れたような表情で"マリア"は言う。
「はしたないぞ。」
"マリア"はロングスカート姿だ。
「別に、気にしないよ。こんだけ長いなら別になんも見えないだろう。」
「……そういう問題じゃない。」
「んで、どーしたわけよ、大尉殿。」
マイセンは、楽屋の隅に山積みになっている贈り物の山の上に、持っていた花束をそっと置くと、静かに呟いた。
「言葉で説明できるものではない、と、思う。」
バカじゃないの、と、"マリア"は声をあげる。
「そこを言葉にする努力を怠ってるヤツらが、戦争なんてくだらないことを始めるんだろ。」
そうだろうか。
「戦争を始める連中は、むしろいつも、言葉巧みだと思うがな。」
「じゃあ、考えなしに手を貸してる連中だ。アンタみたいに。」
「それについては、返す言葉もない。」
マイセンは、うつむいて呟く。
「情けない話だが、その答えを探しに来た、今日、ここには。」
あのねぇ、と、”マリア”はまたも呆れた声を出す。
「教会に祀られてる”マリア様”じゃないんだわ、あたしゃあ。」
「そんなつもりはないさ。」
そう言って、マイセンは顔を上げた。その顔を見て、”マリア”は、ほぅ、と感心したように息を漏らす。憑きものが落ちたような、爽やかな表情をしていたからだ。
「退役するつもりだ。」
唐突にそう告げるマイセンに、説明が足らない、などど、野暮なことは言わない。
「それは、賢明だと思うよ。」
畏れ多いな、と、マイセンは苦笑を浮かべて言う。
「今回の戦いで、捕虜にした連中が、ジオンに送り返されるのを見届けたら……俺は、軍を降りる。」
ふうん、と、微笑を浮かべたまま、”マリア”は相槌を打つ。
「……懺悔や、導きを求めて来た訳ではない。お前や、敵から、学んだことはある。きっかけは、外から与えられたものかもしれないが、自分で決めたことだ、今回も。」
もしかして、この男は、あまり喋るのが得意ではないのかもしれない。話の内容は要領を得ず、話し方もたどたどしい。
「お前の歌には、そういう、自分と向き合うきっかけを生むような、そんな、力がある、と思う。」
「懺悔じゃないって言ったけど、懺悔じゃん、今の。」
けらけらと、”マリア”笑った。
「……そうか?」
「そうだよ、顔に書いてある。”わたしは罪深い人間です”って。」
楽しそうに言って、マリアはソファーから立ち上がり、マイセンの横を通り過ぎると、贈り物の山へ向かった。
「別に、聞き入れないよ。カミサマじゃないから、聞く義理はない。アンタが自分で言った通り、自分で探しな。」
「そのつもりだと、言っている。」
後ろから聞こえる”マリア”の声を聞きながら、マイセンも、席を立つ。振り返ると、意外な光景が目に入った。
「お前……。」
”マリア”が、先ほどマイセンが持ってきた花束を抱えて立っていた。
「アンタが持ってると小さく見えたけど、なんだ、こんなに立派な花束だったんだね。」
白い大きな百合の花と、黄色い薔薇と、懸命に咲くカスミソウと……淡い色合いが、”マリア”の明るい髪色と、弾けるような笑顔によく似合った。
「新たな門出を決意した友達からの贈り物だ。縁起がいい。」
抱えた花束の香りを胸いっぱいに吸い込むと、とびきり魅力あふれた笑顔で、”マリア”は言う。
「決めた。今日は、これを持ってステージに上がる。」
決意したように言うと、じゃあね、と短く言って、マリアは部屋をさっさと出てしまった。
戦いを降りると、決意した。
それは、逃げではないのか。
分からない。
ただ、この1年、いつもこの身を駆け巡っていた、激しい雷鳴は、もう鳴っていないことに気づく。酷く、清々しい気分だ。
あの若者に、託したせいだろうか。
”マリア”が美しい声で歌う、”アメイジンググレイス”が聴こえる。
今も、コロニー落としの所業を赦すことはできない。
マイロ・アンダーソンも、同じだろう。
愛するものを屠ったわたしを、赦すことなど、できないはずだ。
彼は、もうひとりの自分だ。
彼を救うということは、自分自身を救うということだ。
彼の、父親の代わりになれ、と、アイリーンは言った。そんなことができるのかどうかは、分からない。だが、彼のために、できることを探してみたい、という気にはなっている。
互いに赦し得ないものを抱えた者同士が、どう未来にかかわっていくべきなのか。そもそも、彼の歩む道と、自分がこれから歩む道が、重なるようなことなどあるのだろうか。
これまでの戦いよりも、よほど困難な戦いが待ち受けていることを、マイセンは予感していた。だが、負けるわけにはいかない。鏡の向こうの自分を救わなければ、自分の魂も、一生シドニーの砂に埋もれたままだ。
歌は、神への祈りが、何万年経っても、太陽のように明るく輝き続けることを謡っている。
神への祈り。
(愛、ということか——。)
マイセンは、目を閉じ、一人ごちる。
人はいつかは死に、誰しもがその歩みを終える。
死は平等にやってくる。
だが、その感覚は、その現実は、
日々の日常が、その平穏が、
それを麻痺させ、何処か遠いものへと追いやる。
突如気付かされるのだ。残酷に。その逃れられない現実に引き戻され、倍返しのように叩きつけられる。
そう__それは最愛のものを無くした時に。
わたしは決して許しはしない。彼奴らを。ジオンを。
だが、それ以上に——
忘れてはならない。
彼らもわたしのように、最愛のものを持っていることを。
彼らにも、ささやかな日常が、平穏があることを。
そして、争いの輪に加わる以上、わたし自身も、彼らの愛を、奪っているのだということを——。
わたしのこの身体が欠片となり、塵一粒となるまで生きていこう。
わたしのこの悲しみを。わたし以上の悲しみを——知らしめるのは、悪くない。それは、連邦の正義の名のもとに__では、決して、ない。
この、言葉で、この生き様で。
わたしの手となり足となり、塵となったガンダムよーーそして、ガンダムに至る道程で、御霊となった愛すべき者たちよ。
見ていてくれ。
わたしは、わたしの信じる戦いを、続けようではないか。
Lightning Redemption〜After of the One Year War〜雷鳴の伝灯・完
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
押忍やすじろうさんとのコラボ企画第二弾!最終話をお届けしました。いかがでしたでしょうか。
全て、ヤスさん作ストーリーとデジラマになります。
遂に完結しました。最後の最後まで読み応えのある素晴らしい作品でした。まずは、押忍やすじろう氏に最大の賞賛と感謝を。この企画を進めるなかで、おいらから色々意見や提案をさせていただきました。ヤス氏からすると、すごくやりづらかっただろうと思います。また色々汲み取っていただき、息子キッドにもデジラマ作成を依頼していただき、ありがたかったです。ラストシーンの浮遊するガンダムは息子キッドが作成してくれました。












この作品に携われたことに感謝を
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コラボ企画の完結、素晴らしい作品製作、お疲れ様でした😆
激しい戦いの後、それぞれの魂が交差するストーリー、ジーンときますね😉
宇宙を漂うガンダムのショット、とても絵になりますね👍
F91のMSVが大好きです。
HGのF91を溺愛し、
そこからスクラッチして遊んでます。
ガンダムアーティファクトも好きで作ってます。
製作ペースは遅く、なかなか出来上がりませんが、
相手してもらえると喜びます。
作品へのいいねやコメントもゆっくりで、忘れた頃におじゃまします笑。
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