村の救世主

村長の話で判明したのはレデガーはジオン残党軍の脱走兵だった。数日前にあのザクと共に現れて匿ってほしいと頼んできた。村長は村の風習として彼女を"客"として扱い、ザクは村の作業機械を整備する工場に隠された。レデガーは村に来てからは村の手伝いをしながらもザクの整備は怠らなかった。そんな中で現れたのがルーイカットたちだった。奴らの悪評は村にも届いていて被害に遭った他の村の惨状を村長は勿論知っていた。しかし、MSを装備し、完全武装の兵士たちと戦う力は村には無かった。奴らは村人を広場に集めると村人たちに銃口を向けた。

その時だった。銃口を向けていたジムが3機一度に頭が吹き飛んで倒れた。

村長はその時に気がついた。レデガーがいない事、そして村外れの整備工場から轟音が鳴り響き、凄まじい砂塵が舞っている事に。

ヘリズが村長から話を聞いていた頃、ミラーらはザクのガンカメラを見ていた。3機のジムの頭が同時に吹き飛んだその理由、対艦ライフルによる狙撃の瞬間が記録されていた。レデガーは残弾1の対艦ライフルで3機のジムを一度に狙える僅かなタイミングで狙撃していた。

そしてヘリズは村長から自分たちが到着するまでの顛末を聞いていた。3機のジムが頭を失って倒れた瞬間に工場の方から猛スピードでザクが現れた。残り2機のジムは応戦しようとするも一機はライフルを投げつけられて避けた隙に振り下ろされたヒートホークで頭を叩き割られ、もう一機は数発応戦したが全く当たらず、その間にヒートホークが横腹を抉っていた。村長はこの時レデガーとルーイカットたちの間に絶対的な力の差がある事を悟った。そしてジムを失って狼狽えてる奴らの隙を勿論村人らは見逃さなかった。元々人数だけなら村人らの方が圧倒的に多く、更に3分ほどの間にジム全機を葬ったレデガーのザクが既にこっちに近づいていた。ヘリズらが到着したのは村人らの反攻が成功したまさにその時だった。

村人らの証言、ザクとジムのガンカメラ記録と観念したルーイカットの部下の自白からルーイカットにはナイロビ特別軍事法廷で今までの罪状と合わせて裁かれ部下ともども極刑が下された。一方でレデガーは村をルーイカットらから救った事、そして戦犯容疑のルーイカット逮捕に貢献した事からミラーらが特別処置として釈放しサイド3へと帰還した。最後まで自分が村でした事以外何も語らなかった彼女だったが、ミラーから[村人たちが貴女を救世主と呼んでいる]と聞いた時だけ苦笑するような笑みを浮かべたという。