月面都市アンマン───
フォン・ブラウンに次ぐ月面第二の都市・グラナダの衛星都市として建設された街である。グリプス戦役時には、ティターンズの監視を逃れるため、アナハイム本社工場のあるフォン・ブラウンや旧ジオニック工廠のあるグラナダを避けて、秘密裏にエゥーゴ向けの艦船やMSの開発・生産が行われていたという。
ネモ・トレーナー データ収集用複座型はアナハイム・エレクトロニクス社の訓練用MSである。
かつて一年戦争時に連邦軍にて教習機として使用されたジム・トレーナーを参考にエゥーゴへと提供する為に開発された第二世代量産MS・ネモを素体に改修され、コクピットを複座式とするなどして実戦仕様ではなく、主として訓練用の機体仕様となっている。
ここで言う“訓練”とは機種転換を行うMSパイロットや新規にパイロットとなる新兵のみならず、アナハイム・エレクトロニクスに入社した新入社員や新米メカニックらも含めた広義の意味であった。
MSを手掛ける企業として、まずAE社に入ってきた新入社員は各部署に配置される前の初期研修プログラムにおいて『実際のMSに触れること』『実物のMSに乗ってみること』が定められており、多くの新人がこの機体に乗ってそのカリキュラムを実践した。
また本機は、比較的スタンダードで多くの機体に普遍的に通ずる機構を持ちながらも、ムーバブルフレームやガンダリウムγ装甲、全天周モニターとリニアシートなど最新鋭の技術を学べる教材として新米技術者の職業訓練にも重宝された。
また、優れた汎用性からセンサー類を強化するなどして、現場によっては開発の為のテストヘッドやデータ採りの為の機体としても用いられた。アナハイムのアンマン工場においても、極秘に持ち込まれたガンダムMkⅡの性能評価試験においてデータ収集のために運用されている。
外観からは実戦仕様機からの大きな変更は認められないが、機体各所に姿勢制御用の小型アポジモーターが増設されている。これは機動性能の向上を目的としたものでは無く、乗り込むのが普段からMSに乗り慣れていない搭乗員であるという事を想定して、あくまでその“機体酔い”を軽減したり、訓練中の不慮の事故を防ぐ為に姿勢制御を安定させるべく増設されたものであったが、MkⅡとの模擬戦もとい“果たし合い”で本機に搭乗したアスナ・エルマリートは、これらを含めたスラスターをマニュアルで制御するといい離れ業を行い、機動力で勝るMkⅡに繊細な操縦で対抗した。
「いわゆる、“寸止め”ですな。」
ルーカス・マイトナー開発部長はモニターを監視しながらマリー・アルベルティアに説明した。
「盾以外の機体を損壊する場合のみはビーム類は全てトレーニングモードとなり、こちらとコクピットのモニター上はデータ処理画に変わります。実際の戦闘とほとんど変わりません。」
任されるはずだったティターンズの新型・ MkⅡのテストの任を、どこの誰ともわからない“海賊一味の娘”に取られてしまった───それをよく思わない大人の些細な、ほんの些細な自尊心から起こったいざこざに巻きこまれ、アスナ・エルマリートはガンダムMkⅡを相手に模擬戦をすることになる。しかも、こちらの機体はデータ収集用に配備されていた量産機のネモ。
「こ、、これは⁈」
不意に状況を監視していた研究員が声をあげる。
「部長!ネモの攻撃プログラムに異常発見!運動制御と全く同期が取れていません!このままでは、ネモがMkⅡの的になるだけです!!」
「ソフィーさん?そのプログラムって、ここで何とかすることは可能なの??」
アスナは回避しながら、後ろ座席の同乗していたメカニック、ソフィー・フェレルに問いかける。
「やって出来ない事はないんですが、、、
ただ、運動プログラムとの同期から組み替えますから、その間はマニュアル制御で操作して頂くことに、、、それに、恐らく模擬戦用被弾防止プログラムの連動も解除しますので、攻撃は全て、、、実弾でうけることになります。」
「ソフィーさんお願い!マニュアルで何とかやってみる!!」
MSの機体制御の自動化は進み、この時代にあってはそれが常識になりつつあった。全てマニュアルでの操作など、一年戦争時のザクの時代の話である。
「アスナ機が被弾防止プログラムを、、、解除⁈
運動制御は全てマニュアルのはずですが、、回避反応速度、瞬間運動加速度、あ、あらゆる面で先程よりも上回っています!」
「信じられん、、これがNTなのか──!!」
だが、自身の血が足の先の指一本にまで行き渡る様に、アスナの操縦の感覚はますます研ぎ澄まされ、両者の闘いはヒートアップしてゆく。
「馬鹿な!!ビームでビームを撃った、だと!?」
「今度こそ、、決める!!」
「二刀流!?だが、、、動きは止めた!!」
「!?」
白熱する二人の闘いの決着がついたかに見えたそのとき、、一機のリック・ドムがその間に割って入り、模擬戦は中止となる。
「模擬戦なんかで、熱くなるな!!馬鹿どもが、命がいくつあっても足りねーぞ!
このテストをぶち壊したのは、整備不良でも何でもねぇ、、、この俺だ!!」
妹を守ろうと身を挺して庇ったのは、フランシス・フェレルのリック・ドムだった。
「まぁ、途中から被弾防止プログラムも直って、危険は無かったんだけどね♪」
ソフィーは事の顛末の種明かしを語る。
「あの頑固な二人の兄妹喧嘩だ。言って聞かせるより自分から素直になれる方がいい。血はつながってなくても小さい頃から苦労して生きてきた間だ。みんなが一芝居うってくれたおかげで、今じゃ、あの子がアイツの“帰る場所”なんだって気付けたんじゃないのかい?」
「途中からベアード大尉も気付いてたんですよね?あの、サーベルの絶妙な間の取り方とか、お見事でした!」
「いやぁ、こちらこそ数々の非礼をお詫びしたい。問いただした所、トラブルの件も私の部下が勝手に先走ったつまらない小細工だったらしい。許してもらえるだろうか?」
アスナは、拳で語り合ったジャック・ベアード大尉と、かたい握手を交わした。
「いずれ宇宙で会える日を楽しみにしていますよ、、、」
その後、アスナの戦闘データと共にガンダム
ル・シューニュの開発に用いられた本機は、ハロウィン小隊の予備機として、アイリッシュ級戦艦ツバイカウに配備されたという。
すっかり春らしくなりました🌸今年も四月がやってきました。という事で、4月6日ジムの日にむけてジム系の発展機ということでネモを制作しました。
もともと今年のジムの日は去年から積んである陸ジムでいく予定だったんですが、前回制作したギャプランでエコールネタをやったので、それに引っ張られて、エコール・デュ・シエル第二部にてMkⅡとの模擬戦でアスナが搭乗するアンマン工場のデータ収集用ネモをイメージして、独自設定を盛り込み作ってみました。
ネモ・トレーナーの名前通り、モチーフにしたのはジム・トレーナーです。4月といえば、新入生・新社会人の季節でもあるので、“ヒヨッコ”という言葉も連想して塗ったことの無かった黄色い機体に挑戦してみました!
はい、予想した以上にヒヨッコ感が出て、いかにも弱そうです🐣ww
サフ萌え状態。黄色に塗装するパーツはこの後さらに白サフで下地を作りました。胸部とフロントスカート、前腕、アンクルアーマーにスジボリと角モールドを追加しました。今回は、新調したピンバイスとスピンブレードを駆使して三つ星ディテールや、バーニアディテールの追加を頑張ってみました。厚みをみて慎重に開けないと貫通してしまうこともありますが、綺麗に彫れた時の感動はひとしおです✨
デカールも、自作デザインを多めに入れていきました。白色が出力出来ないので、前回は下地との兼ね合いで貼れない部分も多かったですが、今回は最初からデカールの色を計算して塗装していったことで、どの部分でも自作デカールを貼ることが出来ました。市販のものよりも若干厚みがあるのか跡が目立ったので、今回は仕上げにつや消しを厚めに吹いています。
原作漫画では、コクピットシートが二人乗りのタンデムシートである事と盾がネモ用では無く連邦軍の汎用シールドである事以外は通常と変わり無いように描かれていましたので、モノクロである事を活かして好きにイメージしてみました。アスナは訓練校でもタンデムシートの教習機に乗っていたので、複座式のネモもアナハイムの研修用機体という妄想です。
盾は十字の入っていないタイプのもので、ジム寒冷地仕様から拝借しています。(renpou_emb)
今回も目立つ合わせ目処理は段落ちモールド化で、武器のみ合わせ目消ししました。
相手役のマークⅡは漫画でも、EVOLVEにも登場した肩だけが黒いマークⅡという設定があった為、ブラックヘアーズ仕様に塗装したマークⅡの肩部を組み替えて再現しました。こちらも模擬戦で使用したのは連邦軍標準仕様のシールドです。
ネモに付属のシールドも後にツバイカウに配備された時に装備したものとして黄色で塗装しています。
メイン色の黄色はタミヤアクリルのレモンイエローをベースに調色しましたが、黄色と一口に言ってもクリームイエローから、鮮やかな黄色、煤けた重機の黄色など、色による出来上がりにもたらす印象の違いというものを今回非常に感じました。春らしいカラーリングを目指したので、個人的にはもう少し明度を上げた黄色でも良かったのかなと思います。
ストーリーはエコールに出てくるMkⅡとの模擬戦のエピソードを再現してみました。アスナの操縦で、やられ役のハズのネモが、かつてないほど強くカッコ良く描かれてます☺️これまで外伝として描かれてきたエコールが、アーガマ隊が鹵獲してアナハイムに供与したガンダムMkⅡという点を通じて、Z本編とクロスオーバーするのも当時胸アツな展開だったと記憶しています。さらに相手はジャック・ベアード大尉!
久々にエコールを読み返しながら、こんなモノを作っていたら、もう完結が見たい気持ちでいっぱいです😂
あとがきなどを見るかぎり、恐らく美樹本先生の頭の中には最終回までの白地図はあるハズなので、一ファンとしては、何とぞご存命のうちに、、、などと失礼とはわかりながら、祈る様な気持ちで待ち続けております。。。(zaku-kao9)
ありがとうございました✨
敵は、ガンダムMk-Ⅱ!!
コメント
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コメント失礼致しますm(_ _)m
お話も機体も凄くカッコ良いです🤩‼️
トレーニング機体の黄色🟨何故こんなにカッコ良い🤔🥰👍
すみませんm(_ _)mお邪魔致しましたm(_ _)m
コメント有難う御座います❗️
そうですよねー💡
現実世界の重機的なカッコ良さを連想するから?とか、百式がカッコいいから?とか色々考えちゃいますね☺️笑
㊗️ジムの日に絡めてのネモ👍
素晴らしい仕上がり、設定🤩 とてもかっこいい😆
ありがとうございます😊
一応、ジム系の発展機って事で(gandam-hand2)
去年はジムの日作れなかったんで、間に合って良かったです✨
UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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