クワイエット・ゼロ騒乱とよばれる事件から3年。解体されたベネリットグループより独立したミオリネ・レンブランは、その直後よりクインハーバー暴動の責任者として、被害者であるアーシアングループとの会談に臨んでいた。
プラント・クエタ襲撃に端を発した一連の事件の全ての罪を被り、首謀者として逮捕されたシャディク・ゼネリ。その公判は依然として続いていたが、大方の予想通り再び陽の当たるところへ戻る事は絶望的であった。
そんな彼のたった一つの望み。
“ミオリネを守ること”
ただそれを為すために、「共犯者」であったはずの私達は今ここに居るのだ。
グループは解体されたとは言え、元総裁であり、現在も株式会社GUNDARMのCEOであるミオリネは、最重要警護対象であることに変わり無く、テロ組織によるMSを使用した襲撃も有り得ることが予想されていた。
クワイエット・ゼロ騒乱時にグラスレー・ディフェンスシステムを皮切りにベネリットグループの大半の企業は地球へと売却された。グラスレー社の主要開発拠点のひとつ「CEライン」はニッポンの企業に買い取られたが、優れたMS技術はほぼそのまま継承される事となり、そのグレードKシリーズの4.5世代機として開発されたのがベギルへクスである。
20年以上前の第3世代機の時代からほぼ変わらないMS本体の構造からは基礎設計の優秀さが伺い知れる。唯一頭部には前傾したブレードアンテナが備えられた。これは、かつてアスティカシア学園で行われていた『決闘』儀礼のためではなく、通信機能の強化のためである。
ベギルシリーズはその優れた拡張性から、追加兵装とバックパックの刷新により、機体性能を進化させてきた。
ベギルへクスには、かつて優れた航空機技術を誇っていたニッポンのテクノロジーを応用した新型の大気圏内用フライトユニットが装備されている。これは民衆を刺激しない様に対話の場には威圧となるMSを決して持ち込まないというミオリネのポリシーを実現すべく、護衛用MSの待機場所を洋上とした事から、緊急時に現場まで迅速に急行出来る高度な飛行性能が求められたためである。
市街地戦において邪魔になるウイングは可動して折りたためる上、必要に応じてパージする事も可能。切り離されたバックパックは自立支援航空機としての運用も出来る設計となっている。
また、自らの警護の為に民間人の巻き添えが出る事を良しとしないミオリネの意向に沿うべく、主兵装としての射撃武器は廃され、近接戦闘により確実に敵機だけを攻撃する事を想定した仕様となっている。
主兵装のビームマサムネは基部は大型であるが粒子加速機構を備え、通常のビームサーベルやシールドをものともしない、圧倒的な切れ味を持つ長刀である。ビーム刃形成時に発せられる高周波音はジャズのような不協和音を生む為、別名「ジャズブレード」とあだ名されている。
またベギルペンデの装備であったノンキネティックシールドを流用した実験用装備も用意された。
これは搭載されていた対GANDフォーマット用装備アンチドートを、全く逆の効果をもたらすシェルユニットに置き換え、クワイエット・ゼロ騒乱時にスレッタ・マーキュリーの乗るキャリバーンが達成したとされるスコア∞を擬似的に再現する事を目標とするものである。しかしながら、まだ現時点では最大稼働時に僅か数百メートルのデータストーム空間を数秒間維持するだけでシステムダウンしてしまうのというものに過ぎない。
ニッポンの技術の粋を集めたこれらの改修により、ベギルペンデを上回る戦闘力を与えられたベギルへクスは、あたかも、いにしえのサムライのごとき姿を現代にあわした。
要人警護において、当日の警備行動はそのうちのほんの一瞬にすぎず、事前の情報収集や、警備プランの立案、テロリストの芽を摘んでおくことなどがその大部分を占めてくる。
次回の交渉を目前にひかえた土曜の夜、私は一軒のとある路地裏のバーに入っていた。テログループの連絡場所として使われている可能性のある店だという。店内にはビル・エヴァンスが流れていた。
カウンターにいる二人組のうち一人が店を出て、男が一人座っている。
「お友達はもうお帰り?」
「あぁ、さっきヤツにはまだ小さな坊やと奥さんが居るんでね。ちらっと顔を出してくれただけさ。」
「そう。あなたには居ないの?待っているご家族、、」
「お姉さん口説いてる?笑
俺はひとりもんだから、そうゆうのは'今は'居ないと言や居ないんだけどね。ただまぁ、すぐ他の美人と話してると、天国のアイツがすぐ嫉妬しちゃうかも知んないから。」
「大切な人が亡くなったのね。ゴメンなさい。」
「3年前のクインハーバー暴動でね。家族を亡くしたヤツはゴマンと居る。俺も脚を失った。GAND義足ってヤツだ。やっぱりどうやっても忘れられないのかね、最期の言葉も聞けなかった家族のことは。酒に溺れて、煙草に逃げて。それでもどこかこの怒りの矛先をいつでも探しちまう。いや、怒りですらない。喪失感ていうか、虚無感っていうか。欠けたピースを取り戻す方法を未だにどっかに求めちまうんだよな。」
男の言葉に、自らを振り返る。
グラスレー寮の育成プログラムでアーシアンの孤児から見出され、出会った6人。それは恋人でもなければ、友達でもない。利害の一致した「共犯者」、、、やはりその言葉が似合うのか。だが、お互いに身寄りの無い6人は誰よりも長い時間を共に過ごした。まるで「家族」のように。
もう決して戻ることの無い欠けたピースを埋め合わせようと、3年経った今でも足掻き続けているのは自分も同じ様に思えた。
「私もね、無くしちゃったんだ、パズルのピース。戦災孤児でね、難民キャンプでは満足な治療が受けられなくて左目の視力を無くしたの。だからGAND義眼。でもね、それを未だにそれを探し続けてるのは、その1ピースがどれだけかけがえの無いものだったか身に染みているからなのかも。それがわかったのなら、"どっちかひとつ"なんて決めつけないで、わがままにやりたい事を求めてもいいのかもね。」
「俺なんかにそんな身の上を語るなんて、呑み過ぎてるんじゃないのか?」
「そうかもね、今夜は帰ることにするわ。エナオよ。エナオ・ジャズ。ジャズが聞こえたら私が来た合図かもね。また、、ね。」
男に別れを告げると、私は店をあとにした。
待機中のMSのコクピットに緊急通信が入ったのは、昨夜のそんな出来事を思い返していた時だった。
「クインハーバー郊外より、テログループのものと思われるMSが単機で襲撃。解析結果から敵機はガンドフォーマットを使用している可能性あり。」
「015エナオ・ジャズ、ベギルへクス、テイクオフ。これより急行する。」
艦上より最大加速で離陸したベギルへクスは、数分でクインハーバー市街上空へと到達した。
敵機を捕捉すると同時に抜刀したビームマサムネが一の太刀を浴びせ掛けるが、確実に捉えたはずの刃は空を切る。
「早い!反応速度が極限にまで高められている。やはりGANDフォーマット、、、GAND化された義体を直接機体と接続でもしないとこんな事は。試作装備を使うわ。イリーシャ、シールドの射出をお願い。」
「コピー」
配置されていたコンテナから射出された試作シールドを装備すると、ベギルへクスは直上から敵MSに肉薄しシステムを最大可動させた。シェルユニットが虹色の輝きを放ち、データストーム空間が形成された瞬間、左目のGAND義眼には昨夜出会った男の姿が写し出された。
「データストーム空間にあるオーバーライドされたGANDが共鳴し合って、パーメットの幻を見せている⁉︎」
「エナオか⁉︎まさか戦場で出会ってしまうなんてな。」
「傷つけられた痛みを知るあなたが、なぜ?GANDを使ってまた人を傷つけようと言うの⁉︎」
「あんたに出会うのが遅過ぎたのかもな。あはは、なんで、どうして。君にまた会いたいと思ったのが、こんな再会を連れてくるなんて。」
現実にはほんの一瞬の間に、二人の間では永遠とも思えるやり取りが繰り広げられた。
シールドを投げ打つと、二刀流のベギルへクスは
僅か数秒間のあいだ機能停止した敵機の脚を切り飛ばし、行動不能にした。
「ほんとにジャズが聞こえたよ、君のその刀から。」
投降した男の言葉を聞きながら、私はシャディクへの借りはあとどの位で返せるのかを、ぼーっと考えていた。
今日は少し疲れた。早く帰ってヨガで心を落ち着かせたい。そんな気分だ。
水星シリーズで最も異形という言葉に当てはまるデザインだと思っていたベギルペンデ。しかし四肢は非常にスラリとしていてスタイリッシュ、曲線も優美で、そこに組み合わされる平面がまたたまらなく効果的だということに気付きました。シールドの接続部を含めた可動域も恐ろしく、水星キットの中でも随一です。
格闘戦特化型で、刀が似合うサムライな機体にしました。主兵装としてイメージ似合う刀を探して、ウェーブ WAVE KM-083 1/100 ハンドレッドエッジ用 オプションパーツセットを使いました。中国製のプラモデルになるのでバンダイ製に比べると若干の不満はありますが、デザインは文句なくカッコいいです❗️1/144用に柄を削ったのと、クリアパーツ部が挟み込みになっていたので、他のビーム兵器と同様に取り外し出来る様加工しました。
もう一つの作品のモチーフが、日本の空を守るサムライブルー、F2戦闘機です。ベギルペンデ にはこのカラーリングが絶対似合うと思い洋上迷彩のF2を参考に配色しました。
バックパック兼支援航空機の30MMエグザビークルもF2をイメージし、ペンデ(5の意)の次世代機へクス(6の意)というところから、ヘックス迷彩のラインを取り入れた洋上迷彩を翼にマスキングで描きました。
これは良かったのですが、さらにその上に日の丸もマスキングで描こうとして地味に失敗💦今年はマスキング修行がんばります笑
本体とシールドにもヘックス迷彩のデカールをアシンメトリーに入れてます。F2カラーには、やはり空が似合います。元の単発エンジンのようなバックパックはジョイントを介してフライトユニット下面に接続しています。これによりシルエットがエールストライカーの様。
翼を畳んだら、これまた新型バルキリーか?みたいなシルエットでした(変形出来ませんw)うーん、この刀の位置は戦国アストレイだな🤔
本体唯一の改造点は頭部。実戦配備機にも決闘用アンテナがそのままはおかしいと思い、クリアパーツに開口し、切り取ったアンテナを接着しました。改造前はネズミみたいだなと思っていた頭部が、今は青鬼みたいですw
日の丸と長刀で戦術機みもありますねー☺️
最近ガンプラも取り扱い出したブックオフで見た目全くの新品でしたが¥1000でゲットしたものを、シャディクガールズの中で推しのエナオ嬢の専用機としました。髪の色のブルーグレーはベースカラー、瞳の色のエメラルドはシェルユニットに、濃いブルーはジャズ用語のブルーノートに掛けて。
皆さん仰ってますがこのシールドカッコいいです。持たせるか迷いましたが虹色パーメットにしてみました☺️ギミックも含めて厨二心をくすぐり過ぎるw
1月22日はJan.22という英語表記がJAZZに見えることからジャズの日らしいということで(ビミョーに間に合って無いですが😅)、ガンダムのジャズといえばのあの人ではなく、エナオが主人公のストーリーにしてみました。本編では明かされなかったずっと気になってたエナオの左目のヒミツ。男はあーゆーのが好きなんだよ🥰w
ジャズが聞こえたら、私が来た合図、、かもね😉笑
コメント
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水星そしてエナオの後日譚、素敵ですね☺️想いに沿った改修やジャズの名に合わせた武装、まさかあの方のキメ台詞まで奪ってしまうとはw
シャディクのせいで人気ないですが、確かにベギル系のデザイン格好良いですよね!
ありがとうございます✨
名前にジャズって入ってるから、それだけでカッコいいですよね笑
ミステリアスな美女大好きです🧘♀️
イオ構文、ずっと言わせたかった♪
一時期のグラスレー社機体の不人気は、ティックバラン並でしたからねーw
シャディクみたいなキャラも好きなんですけれど🥰
UC.60生まれ
ジオン第四工科大卒
1年戦争時 工兵の不足により工業科学生でありながら学徒動員・徴用され第603技術試験隊においてオリヴァー・マイ技術中尉付きのメカニック見習いとして、様々な機体に携わり無事終戦まで生き残る。これは、彼の肉眼に映った兵器たちの記録である。
主に微改造・全塗装で仕上げている初心者モデラーです。
ガンプラの取説にある機体解説やショートストーリーが好きで、それに寄せた文章を考えてみました。
お目汚しですが、よろしくお願いします。
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