自分の以下のオリジナル設定を盛り込んだインパルスガンダムです。
旧HGのフォースインパルスガンダムを塗装して作りました。
ただ、数年前に作ったガンプラなので、塗装剥がれがありますので、ご了承下さい。
解説
機体名:インパルスガンダム
全高:15.9m
重量:5.4t
とある少年探偵が設計した高性能MSであり、本機はザフト軍の「ZGMF-X56S インパルス」のオリジナル機となっている。
外観
ツインアイが黄色になっている事を除けばザフト軍のもの変わらないが、こちらのインパルスにはコアスプレンダーやチェストフライヤー(上半身)とレッグフライヤー(下半身)の合体分離機構が存在せず、1体のスタンダードなMSとして完成している。コックピットは、胸部に存在する。
パイロット(主人公)の独自設定
- ショウヤ
本機のパイロットとして戦う少年。
ナチュラルの15歳でありながら、頭脳、知識、技術、精神力、身体能力など、あらゆる分野で常人を遥かに凌駕しており、正に「何でも容易く熟す完璧超人」と言われる超天才少年。
エンジニアや技術者としても優秀であり、ショウヤの手によって一から設計されたのが本機である。
そんな彼の性格だが、自らの師匠数名を除いて、基本的に誰であっても「敬語を使わず、傲慢にもならず、素の自分を隠さずに接する」タイプで、「正義でも大義でもなく、自分から見返りを求めず、自分のエゴで誰かの力になる」という信条の持ち主でもある。
日本に在籍しながら日々を静かに過ごす彼だが、敵対する者には冷徹で容赦がなく、過去には何と政府高官や反社会的勢力をも1人で捻じ伏せ、果ては8つ以上もの暴力団や犯罪組織を壊滅に追い込んだ事がある。
他にも、東京中央銀行などの大銀行や大物政治家のみならず、巨大勢力である連邦軍であろうとも、媚びない態度を一切崩さず、特に腐敗や不正を平然と行う輩に対しては暴力や論破を辞さない。ただし、あくまで「腐敗や不正を行って私腹を肥やす」「他人を蹴落として私利私欲を働く」といった輩に対しての態度であって、それらの組織に属していても、真っ当な人間、不正や悪事に直接関係のない人物に対しては、基本的に対等に接する。そのため、連邦軍の真っ当な総司令には、相応の信頼を置いたり、彼が認めた善良な人間であれば打ち解けられる。
そんな実績と恐ろしさから、裏社会の人間にも恐れられ、逆に市民から英雄視されている他、高潔な軍人や官僚には崇拝される事さえある。ショウヤを慕うヒロインについて
- 月天 シャオ
日本でも有数とされる「月天財閥」の元令嬢であったが、現在は自ら志願して、ショウヤの秘書兼メイドとなる。
ナチュラル、15歳。
淡紫の髪が特徴で、非常に容姿端麗な美少女。
純粋で心優しく生真面目な性格だが、少々天然な一面もある。
ショウヤの事を「様」付けで呼び、敬意と好意を持って接する。
5年前は、父である会長と一緒にレストランに食事をしていた際に、強盗事件に巻き込まれて人質にされてしまったところを、ショウヤに助けられていた。その時の彼は、自分から名乗りは上げなかったものの、シャオも会長も助けられた恩義を感じていて、彼が有名人になっていた事もあって覚えていた。
それから時が経って現在、会長と共に幸せに過ごしていたシャオだったが、今度は別組織によって人質にされてしまい、会長は改めてショウヤにシャオ救出を依頼。
だが、その組織のボスは、会長は呼び出し、シャオの命と引き換えに財閥の権利譲渡を要求する。会長はやむなく、権利放棄を明示すべく、スマホの操作画面をボスに見せるが、当のボスは最初からシャオを解放する気はなく、権利を奪った後は会長共々シャオも殺すつもりだった。
しかし、シャオはその目論見を最初から気付いていて、彼女は自分よりも会長に逃げるように促すも、組織のボスは痺れを切らして発砲するも、シャオを庇った会長が撃たれてしまう。
そしてボスは、倒れた会長からスマホを奪い取り、そのまま財閥資産を放棄を操作するが、そのタイミングでショウヤが駆け付けて、ボスも含めて組織の構成員はまとめて倒され、シャオは無事に救出される。だが、既に致命傷を受けていた会長は「再びシャオが救われた」事実に喜び、彼女にショウヤが自分たちの恩人である事を伝えて、安心しながら息を引き取った。
その後、組織の生き残った構成員は、逆恨みで財閥の本邸を爆破。更にボスもまた、倒れる直前に「財閥資産の放棄」の手続きだけは完了していた。
その結果、月天財閥は破綻し、父は殺されてしまう事となったが、シャオが流した涙は、悲しみだけではなく、恩人に出会い「彼に仕えて生きる」という希望を見つけた喜びでもあった。
※キャラクターモチーフは、アニメ「まもって守護月天」のシャオリンです。チームプリズム
そんなショウヤが11歳に創設した非合法私立組織「チームプリズム」は、彼自らがリーダーと務めており、MSや武装類を多く保持する。
また、各分野のプロが集まる少年探偵団を兼業しており、探偵業としての依頼成功率は75%。
この組織が非合法とされる理由は、戦争や組織に対する武力介入、違法取引、個人情報漏洩やプライバシー侵害を厭わない法外的活動だが、これらを行う理由が「政府上層部による圧政・独裁に対する粛清」「各国の人種問題の解決」「戦争や紛争への対処」であり、薬物関係や人身売買には一切手を染めないどころか、これらの検挙に動く事さえある。本機の経歴について
元々は、西暦2007年にショウヤが独自に設計して作り上げたワンオフ機だったが、実はザフト軍は、製造以前からインパルスガンダムの設計図のデータを盗もうと計画していた。
しかし、それを予期していたショウヤは、設計図を一部書き換えた上で、敢えて流出した。
結果として、設計図を手に入れたザフト軍は数年後に、本機と同名の「ZGMF-X56S インパルス」という高性能MSを建造したのだった。そして、ショウヤが設計したインパルスガンダムは、ザフト軍のそれとは違う形………つまり「ZGMF-X56S インパルス」のオリジナル機として完成していた。
性能
背部にシルエットを装着していない状態は「素体形態」と呼ばれており、この形態でも高いスペックを誇り、主に地上での運用に向いているが、水中戦や宇宙戦でも問題なく運用可能。
飛行能力とエンジン出力を除けば、ストライクフリーダムガンダム、インフィニットジャスティスガンダム、デスティニーガンダムなどの格上の相手にも匹敵、あるいは優位に立てるほどの戦闘能力を発揮する。
主に徒手空拳と対装甲ナイフを駆使しながら、敵の攻撃を無駄の無い動きで回避しつつ隙を見逃さず的確に重い一撃をカウンターで叩き込むスピーディーな格闘戦を得意とする。
- アンリミテッドエンジン
本機の動力源である永久機関。
その名の通り、永久的にエネルギーを生み出し、それを電力に変換するシステムとなっている。
ただし、単位時間あたりに生産できるエネルギー量が決まっている為、消費量が供給量を上回れば一時的なエネルギー切れに陥ることはある。また、この機体の生産するエネルギー量はさほど大きくは無く、バッテリー機とも遜色が無い。
もちろん、デュートリオンビーム送電システムは本機には存在しない。 - 攻撃能力
高い格闘能力に加えて、両腕部と両脚部にはエネルギー増幅装置「高エネルギー収束機器」が内蔵されている。
高エネルギー収束機器は、パンチやキックなどの打撃の際に起動する事で、腕部や脚部に高エネルギーを纏い、パンチやキックの威力を大幅に引き上げる。
実体兵器を無効化するPS装甲やナノラミネートアーマーをも粉砕できる威力を誇るが、一度の起動だけでも膨大な電力消費が必要になる為、一撃離脱戦法や必殺技として使用することが望ましい。 - 機動力・スピード
ザフト製のインパルスよりも軽量かつ若干小型なMSとして完成しており、それでいて本機の運動性も非常に高い。
本体の機動力と推進力も高く、ノンオプションで短時間の飛行が可能になっており、その場合の大気圏内での滞空時間も、エールストライクガンダムの倍以上に長めになっている。 - 防御力・耐久性
装甲は、VPS装甲ではなくルナチタニウム合金が採用されており、実体弾に対する防御力と耐熱性は高く保つことに成功している他、単独でノンオプションでの大気圏突入を可能にしている。
装甲だけでなく、内部フレームや関節部分にもルナチタニウム合金を用いたことで、機体自体が強固な設計になった。
他にも、ジャマーやハッキング、妨害電波などに対する強力な耐性も備わっている。
武装
- 機関砲
胸部の2門内蔵されており、主に近接戦闘で使用される他、ミサイル迎撃や防御、対人・対ソフトスキンに使用される。通常装甲のMSにも有効なダメージが与えられるだけの威力を有している。実弾の為、永久機関をエネルギー源とする本機にとって、唯一補充が必要な武装である。 - 対装甲ナイフ
両腰部に2本収納されている折りたたみ式のMSサイズのナイフ。バッテリーが内蔵されており、実体剣と振動波を併用する事で、敵MSを切断する。アンリミテッドエンジンからエネルギー供給を受ける事も可能だが、バッテリーだけでも長時間稼動できるようにエネルギー効率も調整されている為、機体の電力を消費せずに使用できる利点は残されており、インパルスの最後の武器となっている。PS装甲ならば貫通可能な切れ味を誇る。 - インパルスシールド
本機専用のシールドであり、ザフト軍のインパルスの機動防盾と同様の伸縮機能を有しており、形態に合わせて大きさを変化させる事ができる。
最大の特徴としてビームシールド発生装置を内蔵しており、ビームシールドを展開する事で、防御範囲を大幅に拡大できる。勿論、ビームシールド発生装置に頼らずとも、シールド自体の防御力も非常に高く、陽電子砲をも防ぎ切るほど。
総合的に、機動防盾とは桁違いの防御性能を誇る分、ビームシールドを発生させるには大量のエネルギーを消費する為、乱用が難しい。 - 高エネルギービームライフル
軽量で取り回しに優れているのは勿論、威力・連射性・エネルギー消費効率の全ての面でザフト軍のインパルスよりも高い性能を誇る。非使用時は腰にマウントする。
必殺技
これらの武装と必殺技は、本機の後述する素体形態やシルエット装着の有無に関係なく使用可能。
- インパルスキック
右脚に高エネルギーを収束させたキック。跳び蹴りや、相手が背後から飛び掛るタイミングに合わせて振り向きざまにカウンターで上段回し蹴りを放つパターンなどがある。
シルエットシステム
ザフト軍が設計図を盗む前から存在する武装換装システムであり、ザフト製のシルエットとも互換性がある。
一方でザフト軍も、シルエットシステムを独自に発展させており、後にその技術を手に入れた事で、シルエット自体も新規設計されている。
本機が使用するこれらのシルエットにもルナチタニウム合金を採用されており、高い防御力を実現しており、全シルエット共通で、大気圏内での完全な飛行能力を備えている。ちなみに、本体がVPS装甲ではない為、当然ながらシルエットを装着しても本体は変色しない。
既存のシルエットは、高機動戦用のフォース、格闘戦用のソード、砲撃戦用のブラストの3種類。
対装甲ナイフです。
1/100フォースインパルスガンダムからの流用ですが、ちょっと加工・微調整して、無理矢理持てるようにしました。
インパルスシールドと高エネルギービームライフルです。
塗装はそれなりの仕上がりかと思います。
このV字部分も、塗装するのはかなり苦戦しました。
ショウヤの秘められた過去について
彼の本名は、中山ショウヤ。
そして、ここで登場する人物たちは、彼の幼馴染、そして彼の師匠を務めた大切な人たちである。
ショウヤを取り巻く人物との、オリジナルストーリー(※長文になります)
- 黒沼爽子
シャオと並ぶもう一人のヒロインにして、ショウヤの幼馴染であり、中学時代の同級生。そして彼にとっては「自分の命と尊厳に捨ててでも守りたい存在」の1人である。
ナチュラルであり、彼と同じ15歳。
腰まである長い黒髪が特徴で、見た目は暗いが、その内面は明るく天然で、超がつくほど純粋で、前向き志向かつ温厚な性格。可愛いものが好きだったり、女の子らしい一面もある。
また、見た目の暗さを差し引いても、自然に可愛い女の子であり、温厚な性格も相まって、男子から好意を寄せられることが多々あるものの、爽子自身はショウヤに好意を寄せている。
ショウヤとは、中学時代で一緒に塾に通い、テスト問題の早解きで彼と切磋琢磨し合った間柄。そのテスト自体「満点回答が前提」で、彼女自身はショウヤに勝てた数こそ少ないが、その才能は本人が自覚している以上に飛び抜けており、ショウヤは「生粋の努力家」と評価し、逆に「俺なんかじゃ彼女に及ばない」として彼女を尊敬しているほど。
だが、ある日からショウヤと彼女を妬んだ担当教師による執拗な恫喝とイジメを受け続けた結果、精神を病んでしまい不登校となってしまい....(詳しくは後述)。
※キャラクターモチーフは、アニメ「君に届け」に登場する主人公・黒沼爽子。- 太公望(タイコウボウ)
ショウヤにMSの操縦技術を叩き込んだ師匠であり、各国の戦争を一時休戦に持ち込んだ英雄。
その性格は生真面目で、英雄の称号を持ちながら、それを鼻に掛けないほど。
可愛い愛弟子だったのもあって、ショウヤに対しても呼び捨てながら温厚に接しており、師匠を卒業した今でも関係性は良好。
ナチュラルであり、13歳と意外にもショウヤより年下。
現在はショウヤに実力を完全に追い越されているものの、彼からは未だに尊敬されており、その尊敬に違わない優れたMS操縦技術と豊富な戦闘経験は、キラ・ヤマトやアスラン・ザラでさえ軽く凌駕するほど。
※キャラクターモチーフは、PS2「光栄封神演義2」に登場する太公望。- 半沢慎之助
ショウヤに技術者・エンジニアとしての基礎、人との接し方、人と人との繋がり、信念や生きる上で大切なことを教えた師匠であり、妻の美千子と共に「半沢ネジ」という工場を夫婦経営していた。
ちなみに、ショウヤの「自分のエゴで誰かの力になる」という考えや座右の銘である「唯我独尊」は、全て他でもない慎之助から教わったもの。
ナチュラル、故人。
技術者・エンジニアとしての実力は超一流であり、特に慎之助が作り上げた樹脂製ネジは、極めて高い完成度を誇り、現在では予約が1年以上も埋まっているほど。しかもショウヤによると「その気になればMSどころか戦艦さえも建造できる」「慎之助さんが軍のエンジニアになったら、その国が圧勝する」と高く評価されているが、工場の資金難のため実現しなかった。
そんな優秀な技術者であった慎之助は、ある日半沢ネジは融資を受けられず経営の危機に追い込まれ、遂には自殺してしまう。その事件は、ショウヤにとっても大きな因縁があり.....(詳しくは後述)
その後半沢ネジの経営は、彼が遺した樹脂製ネジの事業を美千子が軌道に乗せる事で、倒産を回避している。- 半沢直樹
慎之助の息子であり、当時から東京中央銀行の営業第二部次長を務めており、「東京中央銀行最強のバンカー」と噂される程の凄腕のエリート行員として君臨している。
そしてショウヤにとっては、「感謝と恩返し」「挨拶による大切さ」といった大切なことを伝え続けてくれた師匠であり、慎之助から教わった「基礎技術を更に極めた」メカニックやエンジニア、果てはMS関連の操縦技術など、多くの知識と技術を彼からも教わっている他、チームプリズムによる探偵事業の立ち上げも、彼が手伝っている。
そして彼にとっては「自分の命と尊厳に捨ててでも守りたい存在」の1人である。
ナチュラル、45歳。
尋常ならざる問題解決能力を有する一方、目的のためには手段を選ばない苛烈で危うい一面も併せ持つ。
曲がったことを誰よりも嫌う正義漢で、自分がどれほど危機的な状況であっても困難に直面した人間を決して見捨てず、立場上協力や証言ができない人間がいてもその事情を汲み、それを咎めることは一切しない。その人柄を知る人物からの人望は非常に厚い。
一方で、悪事や不正を働く人間、責任逃れをしようとする人間、他人を陥れたり不幸にしたりするような人間などには、たとえ上司や国家権力であっても絶対に許さず、決して屈せず、情け容赦なく断罪し、完膚なきまでに叩きのめす。
※言わずともがなキャラクターモチーフは、日曜劇場「半沢直樹」に登場する半沢直樹とその父親なのですが、いずれも私が尊敬するキャラです。
特に半沢直樹については、その誠実なキャラクターや過去などの設定がとても気に入っていて、今回は「師匠キャラでありながら、主人公を尊敬する」ポジションという設定にしてみました。出会いと始まり
太公望と出会い、「滅多にいない逸材」として見いだされた事で、ショウヤは彼に弟子入りする。
そうして彼から幾つもの教えを得たショウヤは、駆け出し探偵として独立を始めるべく、駆け出しとして世界を巡るようになり、太公望もそれを応援していた。
ある日、ショウヤは太公望と共に「探偵事務所の立ち上げ」に必要な建設ノウハウを得るべく、まずは技術精度の高い町工場を探し、協力を依頼しようと試みていた。
そんな目的から金沢へとやってきたショウヤと太公望だったが、太公望と別行動している最中、ザフト兵と半沢の家族が揉めている場面に遭遇する。
ザフトもまた半沢ネジの技術力に目をつけ「徴兵に応じなければ射殺する」という圧力をかけてきたのだが、ショウヤは1人でザフト兵を追い返し、彼らを助けた。ちなみに、ショウヤがザフト兵を追い払ったのは、あくまで「罪の無い民間人を徴兵される姿を見るのが胸糞悪い」という彼個人の理由でしかなかった。
時間を無駄にしたとばかりに静かに立ち去ろうとするショウヤだったが、半沢ネジの経営者である半沢慎之助にそれを引き留められる。お礼や見返り等を何も考えず「自分のためだけに」行動したショウヤは困惑していたのだが、そんな彼の姿勢は、彼らにとっては謙虚であったのだろう。慎之助だけでなく、その妻の美千子、息子の直樹からも、深く感謝される。
さらにこの時、太公望とも合流すると、慎之助は嬉しそうに太公望に握手をする。実は慎之助にとっても、太公望とは古い付き合いであり、お互いに再会を喜ぶ。過去に太公望は、紛争から半沢ネジを助けた事があり、その時のお礼として慎之助の提案を受ける形で、半沢ネジに一時期居候させてもらったのだ。その時に太公望は、ショウヤの人柄を話していたのだ。
そして、慎之助たち全員は、太公望とショウヤに対して、敬語や様付けをしてくれる。これは、太公望が「世界のみならず自分たちの実家まで救ってくれた英雄」という事実もあるのだが、ショウヤに対しても「太公望様が話されていた素晴らしい一番弟子」「何も見返りも考えずに自分たちを助けてくれた謙虚な恩人」という理由でもあった。
そして、彼らとの交流から、慎之助はショウヤに「半沢ネジへの居候」を提案する。太公望も、慎之助の高い技術力がショウヤの役に立つと考え、この提案に賛成。
ショウヤは「自分はわがままに生きているだけで、居候しても困らせるだけだ」として、一度は断ろうとするも、慎之助は逆に「子供ってのは、わがままを言ってナンボなんです」「ワシらも無理なら無理と言いますし、そうやって言葉を交わし合って生きていくのも大事なんですよ」と説得し、その言葉を受けたショウヤは穏やかに頭を下げて、この提案を受ける事にした。
これがショウヤと半沢たちの物語の始まりである。半沢ネジへの居候、ショウヤにとっての幸せな時間
居候を受け入れたショウヤは、当初は慣れない環境とそれに相反する彼らへの恩義からか、ぎこちなさも相まって、若干荒々しい口調ではあった。しかし、慎之助たちは穏やかで優しく接し、そんな彼らにショウヤも応えようと、最低限の礼儀としてさん付けを使ったり、積極的に半沢ネジの仕事を手伝い始め、そうして徐々に彼らを信頼していったショウヤは、最終的に彼ら全員に敬語を使うようになった。
その甲斐あって、1週間で半沢ネジの全てのノウハウを習得したショウヤは、それでも鍛錬を怠らず、事務所設立にも必死に努力していた。
そんな慢心のない姿に感銘を受けた慎之助は、様々な技術を伝授するだけでなく、ある幾つかの教えを説いた。それこそ「自分のエゴで誰かの力になる」という考え、そして座右の銘「唯我独尊」であった。さらに慎之助は「ショウヤ様はいつか、世界の最先端を行き、人々の未来を切り拓く英雄になります」と言って、ショウヤはその言葉を聞き、未来への希望を見出すのだった。
もちろん、恩人は慎之助だけではない。
その妻の美千子からは、ショウヤが悩んでいる時には、親身になって寄り添い、彼の話を聞いてくれた。そして毎日、当初は慣れてなかったとは言え、荒くれ者同然でもあったショウヤに、当たり前のように温かい食事を作ってくれた。その優しい味は、ショウヤが毎日感謝を述べるには十分だった。
さらに直樹もまた、大学時代で得た経営や金融における知識、更には銀行員としてのノウハウをも最大限活用して、事務所の設立に協力してくれたり、更には彼から、MS関連の操縦技術から、メカニックやエンジニアとしての技術、ひいては慎之助の基礎を更に極めた技術を伝授してくれた。さらには、「感謝と恩返し」「挨拶による大切さ」といった大切なことを伝え続けてくれたのだ。
そうして直樹・慎之助・美千子からの優しさと教えを得たショウヤは、事務所を立ち上げた後、彼は「彼らの力になりたい」「半沢さんたちの幸せを紡ぎたい」と願うようになった。半沢ネジの危機
しかし、ある日を境に、ショウヤと半沢たちの人生は一転して狂いだす。
メインバンクである東京中央銀行から融資を受けていた半沢ネジであったが、その融資が打ち切られ、経営が苦しくなったのだ。その原因は、銀行から「工場用地を担保すれば融資継続する」と言う約束を反故にされてしまったからだ。それも、融資予約という形で担保を強引に取らせ、約束を反故にして無理矢理返済を迫るという、最低最悪のやり方でだ。
だが、この時は誰も知らなかった。半沢たちだけでなく、ショウヤもまた、彼ら以上の凄惨な地獄を味わう事となるとは。味わった地獄の数々について①
元々ショウヤには、黒沼爽子という幼馴染がいた。中学時代の同級生であり、彼女とはお互いに学業で切磋琢磨する間柄であった。
しかし、彼女とショウヤの実力を妬んだ当時の担当教師は、何度も彼らに嫌がらせを行っており、パワハラや恫喝は当たり前、酷い時は暴力さえ振るう。
これだけ問題がある教師は、本来は懲戒免職どころか逮捕さえあり得るが、実はこの担当教師の本職は、直樹と同じ、東京中央銀行のエリートバンカーにして、出向の一環として「学校等の教育施設に教師として赴任できる」という特別な教員免許まで持っていた(この免許は直樹以外では一部のバンカーしか持たない)。しかも担当教師の独自のコネとして、教育委員会の上層部、更には大物政治家とも繋がりがあったため、内部からの告発程度では懲戒免職にならないどころか、逆にパワハラの告発者や被害者に対して「一切の反論を認めず、彼らだけを処罰される」不当処分を繰り返していた。
もはや「巨悪」とも言える担当教師に対して、ショウヤは全く屈しなかったのだが、爽子だけはそうはいかなかった。もちろんショウヤは必死で彼女を守ろうとするが、その執拗過ぎるパワハラは、爽子を何度も傷つけ、遂には精神を病むまでに至らしめた。
このときショウヤは、激しい罪悪感を覚えた。「自分が不甲斐なかったせいで、爽子を守れなかった」と。味わった地獄の数々について②
担当教師は、ショウヤが半沢ネジを立て直そうとしているのを知り、今度は自らのコネを使って当時の東京中央銀行の上層部たちと共謀。
半沢ネジに対して、デマの吹聴や融資審査を通さない等の根回しを行い、取引先の信用を奪おうとしたのだ。しかも、半沢ネジの仲間や顧客にまで「半沢に従う連中に未来は無い」「銀行に逆らえば一生路頭に迷う」という恐喝を行い、多くの部下や仲間たちの恐怖を煽った。
さらには担当教師は、毎日のように半沢ネジに訪れては「こんな零細工場なんて幾らでもいる」「早く潰れてくれないと大口取引先と契約できない」等の罵詈雑言を、慎之助たちに浴びせられるようになる。
取引先と従業員も、誠実で真っ当な人間であった慎之助を疑う者は皆無で、当初こそ恐喝に怯まなかったが、それでも担当教師が行った恐喝やデマは、その取引先の更に取引先、さらに従業員の家族にも影響を与え始め、徐々に従業員や取引先が離れ始めるようになる。
そんな「銀行に逆らえば命は無い」彼らに対して、慎之助もショウヤも直樹も責める事はせず、特に慎之助は「ワシの事は気にせんでええ」と取引先に伝えており、従業員にも「辞めたいならワシに気を使うな」「ちゃんと退職金を払うから安心せい」と言って、彼らを安心させた。
だが、仲間にも取引先にも頼れず、更には銀行にも圧力を掛けられた状況では、いずれ半沢ネジの経営が傾く。ショウヤは、何とか半沢ネジを立て直そうと、デマの撤回や無実の証明を試みたり、方々の銀行や金融機関にも呼びかけを行った。だが、東京中央銀行はただ「返済しろ」と言うだけで、他の企業や金融機関も早々には呼びかけに応じない。それでも「銀行に頼らなくても、半沢ネジの優れた技術を守るためにできる事はある」とショウヤは考えて、頼れる企業や会社、資金援助が行える施設などを、血眼になって探し続けたが....味わった地獄の数々について③
遂にショウヤを直接巻き込む事件が起きた。それは、特殊刑務所への拉致監禁、そこで行われた文字通りの数多くの拷問であった。
ショウヤに私怨を持つ担当教師は、遂にはコネで政府を動かして、特殊警察に彼を特殊刑務所へと監禁させた。
この時の彼の罪状は、覚醒剤の大量所持と闇取引、暴力団や闇金との癒着、大量虐殺であったが、彼もチームプリズムも実態としては、戦争での殺人こそあったが、それでも上記の無茶苦茶な罪状を犯しておらず、罪状そのものは、あくまで監禁するための口実であった。
3ヵ月以上もの時間を監禁されたショウヤが受けた拷問とは、頭のゴーグル型のVR装置から洗脳電波を浴びせられ、小木曽に服従するように矯正され続け、逆に洗脳が通じない場合も、手首足首に着けられた装置から強烈な電撃を流し、心と身体の両方を痛めつける。
つまり、心が限界になれば電波を受け入れて洗脳できれば良し、身体が壊れれば死ぬ。どう転んでも担当教師が喜ぶ結果になる、そんな凄惨な拷問を受け続けたショウヤであったが、この拷問ですら彼にとっては「この程度」でしかなかった。味わった地獄の数々について④
監禁されている間、ショウヤが唯一心が壊れそうになったのは、電撃を浴びせるのと同時に何度も見せつけられた「慎之助が死ぬ光景」を捏造した加工映像であった。
そして映像は、「ショウヤ自らが慎之助を手にかける」という単なる1パターンのものだけではなく、電撃による感電死、水没させた上での溺死、冷気に晒されての凍死、壁や天井に押し潰されて圧死、爆弾を埋め込まれての爆死、火災による焼死など、あらゆる場面での慎之助の殺害という恐ろしい内容だった。
しかも担当教師は、ショウヤの精神を破壊する為だけに、どの方法を選んでも慎之助が助からないように映像とプログラムが改造しており、どう足掻いても必ず慎之助の死を目視させられる事になる。味わった地獄の数々について⑤
この拷問と殺人体験の最中、なんとショウヤはDG細胞の悪性部分を大量に投与させられ、DG細胞が発現した力によって、自らの脳が急激に時間経過させられてしまったのだ。
微量でも暴走の危険性のあるDG細胞を、まして大量投与なんてすれば、本来であれば脳が腐食して死に至り、仮に耐えられたとしても、急激な時間経過によって殺人体験が延々と繰り返され、脱出する事が出来なければ脳が100年以上という人間の精神は限界を超えて破壊もしくは死に至る。
さらに酷いことに、植え付けられたDG細胞には、多くの人間の不幸や忌まわしき記憶などを大量に記録されていた。そして、DG細胞を投与されたショウヤは、何とそれらの数多の凄惨過ぎる記憶、さらには死ぬ瞬間や転生した記憶までも受け継いでしまい、膨大な負の情報が彼の頭に深く刻まれてしまった。
そしてDG細胞による影響も相まって、ショウヤは本来現実からかけ離れた加工映像を「生の現実」として感じてしまうようになり、彼にとって繰り返させた拷問は、後に「生と死を繰り返すのも同然」とも表現できるものだった。
しかしショウヤは、それでも「慎之助さんは生きている」「半沢ネジはまだ無事」という僅かな希望を捨てずにいた事で、自らの意思と記憶を失わず、自分の精神力だけで、DG細胞による脳の腐食を克服しただけでなく、DG細胞の時間経過にも順応し、耐性すら獲得し、100億年の長い時間経過を耐えてしまったのだ。
加えて、この時間経過の中で、様々な殺人体験を基に、慎之助を助け出す方法、事件を解決する方法、被害を未然に防ぐ方法、挙句は敵を確実に倒す(抹殺する)方法など、様々な予測と試行錯誤を繰り返し、それらを体験の中で幾度となく実践していた。もちろん、これらは担当教師のプログラム改造によって全て失敗に終わっているのだが、皮肉にもそれが、サバイバルや殺し合い、犯罪や殺人、テロや戦争などの、いわゆる負の人生経験を100億年以上過ごす結果になり、当然ながらショウヤのただでさえ高い能力は、さらに爆発的に引き上げられ、あらゆる状況に対して徹底的なまでの予測を行えるようになっている。
こうしてショウヤは、3ヵ月間の監禁期間で、100億年もの地獄を経験させられ、比例して精神年齢も100億歳になってしまった。
ショウヤは何とか、現実と映像の違いを見分けられたものの、電撃を浴びせられた続けた上、時間経過によって、身体を動かすのにも膨大な時間を要する羽目になり、時間の感覚も狂わされ、これまで感じてきた喜びの感情が壊れてしまっている。しかも、死ぬ瞬間も含めた負の記憶を植え付けられた影響も相まって、ショウヤは「死ぬ事に慣れた」とまで言うほど、自分の持つ死への恐怖が完全に消えてしまった。
ショウヤも「100年を過ぎても風景一つ変わらない」と語るほどの時間経過だったが、それでも慎之助の身を案じて脱獄を試み、上記の100億年の時間経過を経て、何とか耐えて、遂に特殊刑務所を脱獄に成功。
そして、担当教師たちに監禁される直前、自分のスマホに複雑なプロテクトとロックを掛けており、担当教師たちにデータを盗まれるのを阻止していた。そのセキュリティの強さは、刑務官どころか超一流ハッカーでさえ、ロック解除はおろかデータ削除すらできずにおり、仕方なく刑務所内で保管される事となったが、ショウヤは脱獄するなり、すぐにスマホを奪い返すと、まずは内海信用金庫に連絡し、早急に半沢ネジへの融資実行を依頼。その上で慎之助に連絡した。
監禁直前、ショウヤは倒産寸前の半沢ネジを救うべく、頼れる企業や機関を探し続け、遂に内海信用金庫が融資を受ける打診をしてくれた。そして、担当教師が自分を狙ってくる事をある程度予想して「自分が連絡が取れなくなった場合、融資可能な段階まで話を極秘に進めて欲しい」と内海信金に依頼をしており、既に融資審査が下りていた事もあって、彼に信頼を置いていた内海信金もこれを承諾。
こうして半沢ネジの倒産は回避し、あとは慎之助と直樹たちを助けるのみとなった。しかし、それでも残酷な現実を食い止めるのには、あと少し遅かった。味わった地獄の数々について⑥
慎之助「ショウヤ様、色々とありがとうございます…!でも、これ以上、ショウヤ様や直樹たちに迷惑はかけられまへん。」
ショウヤ「何言ってるんです!迷惑だなんて…!」
慎之助「今日までに、それに備えて万が一ウチが倒産しても連鎖被害が出ないように、取引先への連絡を済ませときました。これで、みんな無事に済みます。」
慎之助「…ホンマに、ワシらのせいでショウヤ様を巻き込んでしまって申し訳ありません。でも、ショウヤ様に会えて、ワシは嬉しかったです。ショウヤ様と色んな技術の話をしたり、他愛のない世間話をしたり、楽しい日々を過ごせました。これからワシは、これから自分の命で責任を取ろうと思います!」
ショウヤ「だから早まらないでください!半沢ネジは倒産していないですし、これからまた直樹さんや美千子さんとも楽しい日々が過ごせるんです!俺は、慎之助さんが誰かの為に働く姿に、勇気をもらっていたんだ!貴方が死ぬのも、貴方が傷つく姿も、誰も見るに耐えない!」
慎之助「やっぱりショウヤ様はカッコいいですな。唯我独尊って言葉がとっても似合ってます。」
ショウヤ「こんな時に、何言ってるんですか…」
慎之助「ワシは、ショウヤ様をずっと見てきました。昔も今も、ショウヤ様は誰かの為に戦ってきました。きっとそれは、ショウヤ様にとっては自分の為ですけど、そんなショウヤ様の姿を見て、ワシらは勇気をもらってきたんです。太公望様のお弟子様だからとか、英雄だからとか、そんな理由だけではありません。何より、自分の為に誰かを守って戦うショウヤ様だからこそ、ワシらは尊敬するんです…!」
ショウヤ「慎之助さん…」
慎之助「ワシの願いは、誰かの為に人が働ける社会です。ショウヤ様は、楽しくワガママに、そして唯我独尊に生きてください。自分のエゴを持って生きていけば、誰かに見返りを求めなくても良くなります。ショウヤ様のような強くて優しい人が…、若者たちの将来が、世界の未来を作るんです。」
ショウヤ「今だって、そういう風に生きてますよ。自分の為の働きが、誰かの為になる事がある。それはずっと貴方が言っていた事だ…!」
慎之助「ショウヤ様。最期に、ワシの長い無駄話を聞いてくれて、ありがとうございます…!」
ショウヤ「最期って何ですか、待って下さい!慎之助さ…」
慎之助「どうかお元気で…」
慎之助に連絡したショウヤであったが、その電話が彼との最期の会話だった。
ショウヤ「慎之助さん、慎之助さん…!」
ショウヤは嫌な予感を覚えて、大慌てで半沢ネジまでたどり着く。
男性「半沢さん、いらっしゃいませんか?内海信用金庫の井田です!例の樹脂ネジの件でお話に来ました!」
そこには、内海信用金庫の担当者が来ていた。さらに、
直樹「ショウヤ様?!ご無事だったんですか?!」
直樹も自宅に帰ってきた頃だった。
ショウヤ「ちょっと、すみません!今は慎之助さんが…!」
直樹「えっ…?」
ショウヤは急いで扉を開ける。しかし既に遅かった。
ショウヤ「し、慎之助…さん?」
時遅く、慎之助は首を吊って自殺していた。ショウヤは急いで駆け寄るが、既に慎之助の身体は冷えていた。
ショウヤ「慎之助さん…そんな…」
そこに、
直樹「親父、内海信金さんが来てくれたよ!」
直樹もやって来た。
直樹「お、親父…」
ショウヤ「直樹さん…」
直樹「親父!親父!!親父!!!親父!!!!親父!!!!!」
直樹もまた、自分の父親の死を目の当たりにし、駆け寄ってきた。そして、
ショウヤ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「恩師の死」という光景を目の当たりにしたショウヤの、どうにもならない程の無力感と悲しみの慟哭が響き渡る。その数日後、慎之助の通夜と葬式が行われた。
ショウヤ「…直樹さん、美千子さん。俺は、この葬式に参加しても良かったんですか?」
直樹「ショウヤ様…」
ショウヤ「目を付けられる前に俺が慎之助さんの元を離れていれば……俺が監禁されてなければ………!俺がもっと早く内海信用金庫の融資を進められていれば、俺が慎之助さんの自殺を止めてさえしていれば、こんな事にならなかった…!」
美千子「ショウヤ様…」
ショウヤ「…慎之助さんを殺したのは、俺です。」
ショウヤは、その場で土下座をする。ショウヤにとっても、慎之助の死という辛い現実には、涙が止まらなかった。
しかしそれ以上に、慎之助を助けられなかった事や、自分がその自殺の原因にもなった事実に、ショウヤは自責の念に苛まれていたのだ。
ショウヤ「直樹さん、美千子さん!俺の事を、恨んでもらっても構いません!殴るなり蹴るなり、いっそ殺すなりしてもらっても構いません!それでも、俺が謝って済むと思いません!!俺は、それほどの事態を招いてしまった!!!」
ショウヤの心は、慎之助を失った悲しみ、慎之助を助けられなかった自責の念と罪悪感、それらの悲劇を招いた保身と権力欲に塗れた腐り切った大人たちへの憎悪、それらを防げなかった自分自身の弱さへの怒りという、ドス黒く湧き立つ様々な感情に駆られていた。ただでさえ拉致監禁によって時間を奪われ、殺人体験までさせられていたショウヤの心を擦り減らし、ズタズタに壊していたのだ。
ショウヤ「俺は、慎之助さんを救えなかった!直樹さんと美千子さんの家族を奪ったんだ!!俺は…俺は…!!!」
そんな感情に今にも押し潰されそうのショウヤは、もはや流し続ける涙を抑える事すら出来ず、頭を何度も地面に擦り付けて、ひたすら謝るしか出来なかった。しかし、
直樹「謝らないで下さい、ショウヤ様!」
美千子「ショウヤ様は何も悪くないです!」
直樹と美千子は、必死になってショウヤの土下座を止めさせた。
ショウヤ「直樹さん…美千子さん…」
美千子「悪いのは、ウチへの融資を打ち切った東京中央銀行です!ショウヤ様は、懸命に戦ってくれてたんです!ウチらは、ショウヤ様に感謝こそすれど、恨むなんて絶対に有り得ません!」
直樹「ショウヤ様だって、ずっと監禁されてて辛かったはずですよ!でも、それでも親父の事を救おうとしてくれたのを俺たちは知ってます!」
当然ながら直樹と美千子は、命を懸けて半沢ネジを救おうとしてくれたショウヤを恨んでなどおらず、むしろ感謝していたのだった。
ショウヤ「直樹さん…美千子さん…!」
そんな感謝の言葉を受け取ったショウヤは、何とか踏み留まって、心を強く持ち始めたのだ。
美千子「ショウヤ様は、この葬儀が終わったら、旅に出られるんですね?」
ショウヤ「…はい。俺も、自立して事務所を立ち上げていきます。慎之助さんが俺に教えてくれた事を自分なりに考えながら、強くなろうと思います。」
直樹「そうですか。それで、黒沼さんの方は大丈夫ですか?」
ショウヤ「爽子の方は、今のところ元気です。奇しくも、パワハラが俺のところに来た事で、爽子に対する当たりが少なくなって…」
美千子「良かったです…!ショウヤ様もご無事で、大事な幼馴染の方もご無事で…!」
ショウヤ「お気遣い、ありがとうございます…!それで直樹さんは、東京中央銀行のバンカーを続けられるんですよね?」
直樹「はい。」
美千子「私は一応、反対してたんです。父ちゃんは、東京中央銀行に殺された様なもんだって言ったんです。でも…」
直樹「…忘れる訳がない。だからこそ続けるんだ。」
ショウヤ「銀行を変える為…ですね。」
直樹「はい。」
美千子「それを聞いたら、反対し切れなかったです。」
ショウヤ「…直樹さん、美千子さん。もし何かあったら、いつでもご連絡下さい。俺も、出来る限りの事をします。」
美千子「大丈夫ですよ。半沢ネジは、ショウヤ様が内海信金に声をかけてくれたおかげで、融資をしてくれて、今では順調に黒字で経営出来てます。」
ショウヤ「…そうですか、良かった。」
美千子「これもショウヤ様のおかげです。これが無ければ、私たちは今頃、路頭に迷っていましたから…」
ショウヤ「…むしろ、この程度しか出来なかったのが悔しいぐらいです。けれど、慎之助さんの願いを忘れない為にも、俺は強くなります。どうか皆さんも、お元気で…!」
半沢ネジは、内海信用金庫からの融資を受けて、経営が黒字まで回復した。そして探偵事務所を立ち上げたショウヤは、慎之助から過去に教わった話を思い出し、国にも媚びず、唯我独尊に生きる事を決意したのだ。
後に直樹は、半沢ネジを倒産危機に追いやった張本人の大和田に対して、ショウヤの手を借りずに「役員の面前で土下座させる」という復讐を果たしており、その結果として直樹は子会社に出向する事にはなるが、最終的に本社に戻っている。ショウヤの人物像について
最初に述べたショウヤの人物像と高い能力は、元来の才能に加えて、上述する拷問やDG細胞の投与による時間経過が要因となっている。そして精神年齢100億歳という、あり得ないほど達観した精神面を持つようになってしまった。
さらに上述の出来事から東京中央銀行の上層部....それも頭取すら含めて、徹底的なまでに威圧的な姿勢を取っており、ショウヤが連邦軍に対する威圧的な姿勢も、この過去に由来する。
また、こうした事情から、半沢直樹とその家族、依頼人の娘である月天シャオや、幼馴染でありながら精神を病んでしまった黒沼爽子など、自分のせいで辛い過去を送っている相手や、そうした現状でも自分を仲間として認めてくれる相手には、普段は表に出さないものの強い恩義と責任感を感じ続けており、彼らに対しては優しく接する一面もある。
そして、過去に何度か「半沢直樹が不当な扱いを受けている」と聞いた際、自らの足で上層部に殴り込みを行った事がある。更には「常務の大和田(半沢ネジ経営悪化の張本人)への土下座の強要」を理由とする直樹の子会社への出向処分に対しては「直樹さんへの最低最悪な裏切り」「最もやってはいけない不当な処分」「真実を先に伝えるべきだった」として、一切の反論を認めず、徹底的に非難しており、現頭取の中野渡ごと役員全員を半殺しにした(もちろん、直樹たちの過去をしっかり説明した上で糾弾している)。
特に頭取には「直樹さんに"反省しろ"と言う権利はお前に無い」「(もし直樹さんの過去を知っていたなら)大和田の土下座は容認すべきだった」「お前こそが誰よりも派閥争いを意識し過ぎた」と言って、処分理由を完全否定し、処分撤回と彼に対する謝罪を要求するのだが、直樹に止められる形でその場は収めている。
このように、銀行への殴り込みは、何度か直樹の宥められて矛を収めているものの、彼の怒りは「慎之助を助けられなかった事への罪悪感」「慎之助を殺した輩の自己保身と私利私欲への憎悪」に由来するものであり、彼ら上層部が自ら反省の意を示すまで収まる事は無いだろう。
※主人公ショウヤのキャラクター設定は、「遊戯王VRAINS」の藤木遊作と、「仮面ライダーギーツ」の浮世英寿のキャラ設定を、それぞれ上手く取り入れました。
ちなみに、当時は半沢直樹に対して凄く感情移入し過ぎてしまったため、半沢直樹の本編に少し近い形でのオリジナルストーリーになります。
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最近、ニックネームを変えました。
好きな機体は、インパルスガンダムです。
ただ、投稿する作品の機体の設定や世界観は、原作と大きく異なるものがあり、別々のガンダムシリーズの設定をクロスオーバーさせた作品もあります。
また、ガンダムシリーズのみならず、仮面ライダーなどの特撮作品も観ている為、私が投稿する作品の機体の中には、それらを参考にした独自の設定が、これでもかと言うほど満載されています。
塗装もあまり得意では無いので、温かい目で見ていただけると幸いです…。
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